ケイという少年
これは転生ではなく前世の記憶を持つ少年の話です。結構主人公最強ものとなりますし、前世の記憶を直接使うことはありません。苦手な方はお引き取りください。
「ケイー、そっちも頼む」
「はーい」
そこは山奥の小さな村、ケイと呼ばれた少年は今日も、大人たちの手伝いをしている。現在ケイは芋の収穫を手伝っているところだ。
「いやぁ、いつもありがとな、手伝ってもらっちゃって」
「いえ、ゴートおじさん達にはいつもお世話になってますし。むしろ俺に魔法が使えたら、もっとたくさん恩返しできるのに…」
「馬鹿言うなって、こんなド田舎で魔法が使える奴のが珍しいだろうよ。それにケイはいつも俺たちのために色々してくれてるだろ?それで十分だって」
そう言って少し腹の出てきた、それでも筋肉のある短髪の中年はガハハと笑った。
ここはフィルロード王国という国の辺境にあるクルット村。この世界には魔力というものが存在する。それはすべての生き物の体に流れていて、才能のある人間はその流れを感じ、魔法だって使える。と言っても魔法を使える者だってそう多いものではなく、いたとしてもそのような人間は幼い頃から都心の魔法学校に通い、成人して魔法騎士団や魔道具の研究員、凄腕冒険者といった重要職に就く。こんな田舎に魔法の使えるものなんているはずはないのだ。そう、普通だったら。
「あなたの娘は今も元気に狩りに勤しんでますけどね…強大な魔法を打ちまくって」
「なんつーか、あれはまあ…例外だわな…」
ケイはいたって普通の少年である。14歳では平均の165センチ、少し明るい茶髪でイケメンでもブサイクでもない普通の少年。もちろん魔法だって使えない。しかしそんなケイには規格外の幼馴染の少女がいる。ハルというその少女はとても美しいストレートの黒髪に、身長はケイとさして変わらないモデルのようなすらっとした体型、なのに出るところは出ているといった完璧な女性だ。きわめつけはレベルの高い魔法がバンバン使えるのだ。魔法が使える人の中でも魔力が高いようで。ではなぜそんな少女が未だ村に出ていないのか。
『こんな村、私がいないと崩壊するでしょ?』
彼女は決まってそういうが本当の理由はきっとケイのためだろう。ケイはそう考えている。