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7 第五幕 クトゥグア

『燎原の炎』

                綾野祐介


7 第五幕 クトゥグア


 みなみのうお座にひときわ光る全天に21

個しかない一等星のひとつ、それがフォーマ

ルハウトだ。太陽の約1.8倍の半径を持ち

ハッブル望遠鏡によって太陽系外で初めて可

視光により発見された惑星フォーマルハウト

bを伴っている、地球からは約25光年離れ

た恒星である。


 また、フォーマルハウトはフォーマルハウ

トBとフォーマルハウトCの二つの伴星も引

き連れている。


 先の惑星フォーマルハウトbは、皮肉にも

「ダゴン」と名づけられた。コルヴァズと呼

ばれることもあるこの惑星はクトゥグアが住

処としている場所だった。



 クトゥグアは考えていた。考えていた、と

いう表現は少し違うのだが、人間の基準から

すると「考えていた」としか表現できないの

だ。


「我の存在する意義、理由はなんだ?」


 ということだ。


 旧支配者たちは一時全宇宙に渡って覇権を

得、その後旧神との戦いに敗れて各々が封印

なり多次元へ追放なりされたとき、クトゥグ

アはフォーマルハウトに封印されたのだった。


 封印、というがクトゥグアの性質上、封印

は馴染まなかった。クトゥグアは元々が炎の

形を取っていることが多いのだが、本質は温

度である。高温になると炎になるが、逆に超

低温になることもできる。宇宙空間において

絶対零度になることができるのはクトゥグア

だけである。


 絶対零度はセルシウス度で-273.15

℃、ファーレンハイト度で-459.67°F

であるが、フォーレンハイトとフォーマルハ

ウトとは似ていても関係がない。


 自らが温度であることを理解しているクト

ゥグアにとって封印は意味がない。温度は全

宇宙のどこにでも存在するからだ。旧神は一

体何を封印したのか。


 クトゥグアについては、その中心となる意

志、意識を封印したに過ぎない。それはあく

まで中心となるものであって、クトゥグアと

しては末端の意志や意識は宇宙のいずれの場

所においても顕現させることができるのだ。


 但し、中心なる意志、意識が封印されてい

ることにより、全ての力が発揮できるわけで

はない。だからこそ、旧神は封印を試みたの

だろう。そして、それはある程度の効果を得

ているのだった。


 自らの存在意義。それを自らに問う日々。


 封印されたフォーマルハウトでクトゥグア

はそんなことを繰返しているのだった。






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