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29 第十二幕 クトゥグア顕現

『燎原の炎』

                綾野祐介


29 第十二幕 クトゥグア顕現


「ここで一体何をするつもりなの?」


 風間真知子は戸惑っていた。インスマスで

は綾野祐介に助けられたらしい。ウィリアム

・オーンは深き者どもの長だと聞いた。風の

民の自分でも危ない所だったのだ。岡本浩太

と一緒だったこともあるだろうが、本来敵対

している筈の人間サイドの者に助けられたの

は、どういった気持ちで受け止めればいいの

か、自分の中でも整理ができていない。

 

 真知子は綾野に助けられたのだが、その後

病院に彼女を迎えに来た火野将兵に従って日

本に帰国していた。そして、そのまま火野に

従って、火野の故郷だという村に連れてこら

れて来た。火野はセラエノ大図書館に行って

いた筈だったが、真知子には連絡がないまま

戻っていたのだ。


 火野からはセラエノでの詳しい話は聞いて

いない。何か思いつめたような表情を崩さな

いので真知子からは聞けなかった。ただ、付

いてきてほしい、とだけ言われて従っただけ

だった。


「今から、ここを焼き払う。」


 さりげなく恐ろしいことを火野が言った。


「えっ?ここはあなたの故郷の村でしょ?」


「そうだ。ここは僕が生まれ育った場所に

間違いない。18歳まではここで普通に暮ら

していたんだ。」


「それを焼き払う?どういうつもり?」


 火野の表情からは何も読み取れなかった。


「セラエノで見つけたんだ。クトゥグアを完

全召喚する方法を。その方法は。。。」


 真知子には信じられなかった。試すわけに

もいかない、あまりにも冒涜的な方法だった

からだ。それを正しい方法だと火野が信じた

ことも信じられなかった。元々クトゥグアの

封印を解こうなどということを一族の悲願と

している時点で狂っている、と風の民の真知

子でさえ思う。


「本気でやるつもりなの?」


「だから君を連れてきた。まあ、僕一人でも

やるつもりだけどね。」


 狂っている。ただ単純に思う真知子だった。

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