表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/30

25 第十一幕 インスマスの再興(3)

『燎原の炎』

                綾野祐介


25 第十一幕 インスマスの再興(3)


「オーンさんどうしたんですか、こんなとこ

ろで。」


 インスマスの入口付近で別れたはずのウィ

リアム=オーンが不意に現れた。


「うん、君たちが教会跡に行くって言ってた

から、ちょっと心配になってね。色々とあっ

た教会だから。」


「そうなんですね。でももう全て調査とかが

終わってて何も残ってないみたいなんですよ。」


 少し訝しんだが、浩太は素直に答えた。逆

に何かを見つけていたとしたら、オーンはど

んな態度に出るか判らなかったからだ。


「そうなんだ。残念だったね。で、君たちは

これからどうするんだい?」


「特に何も考えていませんが、そろそろアー

カムに戻ろうとおもっています。」


「行きの時にも言っていたけど僕の用事が終

わるのを待ってくれるのなら今日中にはアー

カムに戻るから、また乗せて行ってあげるよ。」


 行きの時もそうだったが、どうもオーンの

目的が判らなかった。ただ親切なだけとは思

えなかったのだ。しかし、他にアーカムに帰

る方法もないのは確かだった。


「ではお待ちしていますので、よろしくお願

いします。」


「一緒に僕の家に来て、そこで待っていてく

れれば出るときにも便利だからついておいで

よ。」


 二人はオーンの家に着いていくことになっ

た。


 ウィリアム=オーンの家はインスマスの東

の外れにあった。海からも遠く離れており、

周辺の数軒の家は健在だった。


「ここらあたりは大火の被害にあわなかった

んですね。でも、どの家も住んでいる人はい

ないようですが。」


「そうだね、ここらで実際に使用している家

はうちだけかな。他は家は残っててもアーカ

ムに越していってしまったみたいだよ。イン

スマスでは店もやってないので、まだまだ生

活するのは難しいから。でも、多分もう少し

し住民が戻ってきたらウェイト雑貨店も再開

して賑やかになるんじゃないかな。あまり被

害がなかったみたいだから。」


 インスマスが復興していくのは良いことな

のだろうか。その呪われた繁栄は、再興すべ

きではないのではないか。そこに戻って住も

うとしているオーンの前では、そんな事は言

えるはずもなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ