セーブ 6 ハルミア大空洞
GWも、終わり更新のほうが三日に一回くらいになります。
思ったより長くなってしまった・・・読みにくいかもですがよろしくお願いします。
無事、冒険者登録も終わり、装備を整える為、防具屋に行くことを提案した俺は
ミルフィの装備している司祭服を見て
「ミルフィさん、いつもクエストを受ける時はその装備で、行っているの?」
と、疑問を口にする。
俺は、元の世界では、MMORPGにどっぷりとハマり、それこそ寝る間を惜しんでやっていた。俺は後衛職を得意とし、特にヒーラーをメインとしてプレイしていたのだが
ミルフィの装備は、これからクエストに行くという装備でなく、礼拝を終えてちょっと町に買い物に出かけます~な格好だ。
「はい、私は基本、採集クエストをこなしていますので、この格好のまま行きます。
まだ、この町に来たばかりなので、この町ではまだクエストは受けておりません。」
なるほど・・・これはミルフィの装備も揃えないといけないな・・・
防具屋に着き、まずはミルヒィの装備を見繕ってもらう。店主が見繕う品を俺も一緒になって見て回る。
MMOの知識が異世界で役にたつとは思えないが、こういう装備選びからもこの世界のことを勉強していかないといえないとは思っている。
「お前さん、冒険者になったばかりだから教えてやるが、お前さんも覚えるようにしないとだめだぞ。」
いかつい感じの店主だが、面倒見はいいようだ。
「お嬢ちゃんは、僧侶か・・・武器は・・・木の杖・・・のみ!?こりゃぁ、武器からしっかりやらないと危険だぞ。」
はい・・・全くその通りでございます。
「待ってろ・・・ちなみにお前さんと、嬢ちゃんで予算はいくらだ?」
二人で1万八千リルでと答えると、店主は、隣の武器屋に行き、大声で武器屋の店主を呼ぶ。
「兄貴~お客さんだぞ!二人に武器を見繕ってやんな!」
「店前で、大声で怒鳴るな!バカ野郎!んで、嬢ちゃんと・・・そこのもやしか・・・お前ら、手を見せろ。」
迫力に負けて、俺とミルフィは右手を武器屋に見せる・・・
「悪いが、鑑定させてもらうがいいか?」
もちろん、それは構わないので、頷く。
(魔力の発動を感知・・・解析、完了。ステータス鑑定を取得しました。)
内心、音声さんには驚かさせられるが、このタイミングでかい?
武器屋のおやっさんが真剣な眼差しで、俺とミルフィの手をじっと見ている。
「ふぅ・・・もやし、お前は刀剣術の才がある、嬢ちゃんは杖術だな。
嬢ちゃんには、この癒しの杖だな。もやし、お前は、主武器がその刀だろう?副武器としてこのメイルブレイカーだ。」
それぞれ、見繕ってもらった武器を手に取る。うん、俺にもしっかり扱える。
ミルフィを見ると、彼女も問題なく扱えているようだ。
「お?ゲドの方も用意ができたようだ。嬢ちゃん、ゲドの店で防具を合わせてもらいな。もやし、お前さんはこっちだ。」
俺は、武器屋の店主に、店の奥に通され椅子に座るように促される。
俺が着席したのを確認した店主は、椅子に座り机の上にある瓶と、コップを二つ用意して中身の液体を注ぐ。
「さぁ、一気に飲み干せ」
店主の迫力に負け、俺は一気に中身の液体を飲み干す。
「ぐぼあぁっ!」
これ、酒じゃねえか!しかもものすごい度数高いぞこれ!
「がっはっはっ!いい飲みっぷりじゃねえか!もやし!」
俺の姿を見て、満足そうな店主は、一気に酒を飲み干すと
「もやし、お前さん・・・何者だ?」
店主がいきなり切り出してきた。
「おっと・・・すまんな。俺の名前はギド。隣の防具屋のゲドは弟だ。」
「瀬能 時宗・・・冒険者です。」
威圧的な目をしていたギドさんは、ふっと表情を緩め笑顔で話しかけてきた。
「警戒しなくていい。何も取って食わにゃしない。さっき鑑定させてもらっただろう?俺の鑑定は、得意武器と加護属性がわかるんだ。お前さんのはなんだ?時属性なんて聞いたことないぞ?普通の人間なら、地、水、火、風の4属性。選ばれた人間の光。魔族や、魔に属した者の闇。この6属性だ。今まで俺は時属性の者は見たことがないぞ!」
ふむ・・・加護属性なるものがあるのか・・・?音声さん、時属性の人って少ないの?
(この世界で、時属性はあなただけです。通常時属性の加護をもって生まれる人間は絶対にいません。あなたのように神から直接祝福をうけない限りは・・・)
「もやし!この鎧を切ってみてくれないか?」
ギドさんに言われるが躊躇していると
「これは、失敗作の廃棄予定だから遠慮すんな。」
この言葉を聞き、安心してメイルブレイカーで切りつける。
すると、鉄製の鎧は、切られた所から腐食していく。
「なるほど・・・劣化の速度を促進するのか・・・なんとも恐ろしい加護だな。」
ギドさんは、真剣な顔になり、俺の肩を掴んで
「もやし・・・いや、トキムネ。この力のことは絶対に仲間以外には言うな。それと、鑑定をキャンセルする力を身につけろ。俺みたいに断ってから鑑定する人間だけじゃないからな・・・」
「トキムネさん、お待たせしました~」
そこで、装備を新調したミルフィが俺の元まで、駆け寄り、一回転する。
薄い青を基調としたローブに左手には、鱗を貼り付けた革の盾。頭にはサークレットが付いている。
「どうですか?」
上目使いに、俺を見上げてくる仕草が可愛い。
「冒険者らしくていいよね。それにそのローブ可愛いし。」
俺の回答は間違ってなかったようだ。ミルフィは嬉しそうにしている。
ゲドさんが、俺呼んで店の奥に入り装備を新潮する。
銀糸の鎧、疾風のギリーブ、魔力の小手。
俺は、装備を調整してもらい、ミルフィの前に立つ。
「おまたせミルフィ。どうかな?」
ミルフィに声を掛けるが、返事がない・・・不思議に思い、ミルフィの顔を見つめると
「トキムネさんが、騎士様に見えます・・・ああっ・・・素敵すぎる。」
なんかうわ言のように言ってるけど大丈夫かな?と心配になっていると
「はっ!妄想の世界に旅立ってしまいました。カッコイイです!トキムネさん!」
現実の世界に戻ってきたミルフィが、顔を赤くしながら早口に捲し立てる。
ゲドさん、ギドさんに2万ミルを払い、二人の申し出で、装備の専属契約をすることにして、お店を後にする。あの道具屋には寄らず、別の道具屋により、回復薬や、野営の道具を買って準備完了。
「これで準備は整いましたが、私の装備まで新調して頂いて良かったんですか?
アリッサちゃんの為に残した方がよかったのでは?」
と聞いてくるミルフィに首を横にふりつつ俺は答える。
「今から行くハルミア大空洞って所は、今の俺達には危険な場所なんでしょ?
なら、装備を良くして行くべきだし、ミルフィさんは大切な仲間だからね。ミルフィさんが怪我するのは見たくないしね・・・」
正直な気持ちを話すと、ミルフィは顔を一気に真っ赤に染め上げ、「大切な人・・・大切な人・・・」とぶつぶつ呟いている。俺は、ミルフィの肩を叩き、門の外へと歩きだした。ミルフィは慌てて俺の元に駆け寄り、少し怒った口調で
「大切なゴニョゴニョなら・・・ミルフィと呼んで下さい!それ以外は返事しませんからね!」
俺はその顔をみて、改めて、彼女を守ると心に誓うのであった。
ハルミア大空洞までは、アルシュタッドの町から、一日の距離。予定としてはハルミア大空洞前で、野営をし次の朝から大空洞に入るということで決まった。
町を出て、半日。八度目の戦闘が始まった。グレーウルフ3体。俺は、前に出て
刀を抜き放つ。グレーウルフは後ろに広がる林に・・・違う。林の奥にいる何かに怯えて警戒している。
俺は、ウインドアローを七発、魔力で形成。そのまま待機させる。内、3発を各ウルフに放つ。
一匹はまともに辺り、吹っ飛ばされるが、二匹は素早い動きでウインドアローを回避する。左から向かってくるウルフに残りの4発を発動し、全弾命中させ一匹目が沈黙する、真ん中より駆け出してくるウルフから目を逸らさずにミルフィに指示を出す。
「ミルフィ、カウント3でマジックシールド展開!3、2、1 展開!」
グレーウルフは、俺から3mくらいのところから跳ねて、俺の首筋目掛けて、牙を向くが、そこに不可視の盾が出現し、ウルフの動きが空中で止まる。俺は、落ち着いて、刀を振り下ろし、グレーウルフを倒す。
最初に、吹っ飛ばしたウルフは、敵わないとみて逃げ出していた。
「ミルフィ、お疲れ様。ナイスタイミングだったよ。」
ドロップアイテムを回収し、狼の毛皮を剥ぐ。やり方を知らない俺だが、そこは音声先生のお力で・・・
(なんだか、私を便利なゲフンゲフン・・・やっておきますよ。)
音声さんも、実に人間見溢れる返答をくれるようになったもんだ。
声を聞く限り、知的美女って感じで間違いない。
(!!!!!!)恥ずかしがってる音声さんは、おいといてミルフィの方を見る。
ミルフィは先ほどから浮かない顔をしている。
「トキムネさん・・・何か起こっているのかもしれません。まだ町からそんなに離れていないのに、これで戦闘が八度目・・・明らかに多すぎです。それに、グレーウルフはもっと林の方に生息してるはずなのに、こんなところまできている。おかしすぎます。林か、大空洞になにか起こってるのかもしれません。」
この後、二度ほど戦闘になったが、なんなく撃破し、林に着いた。
林の中は、逆に生物がいないのではないかというぐらい、魔物や動物の気配がしない。本格的に怪しすぎる。
『トキムネ・・・この辺り一帯の魔力が、枯渇しかかっておる。何者かが、魔力を大量に吸っておるみたいじゃ・・・相当な大物と見る・・・警戒せよ。』
ファルからの突然の念話にも驚いたが、ファルは少し苦しそうにしている。
「ファル大丈夫か?お前大分、きつそうだが・・・」
ファルは俺の魔力で、顕現しているから魔力を吸われるのは思いのほかキツイに違いない。
『ちときついが、その分、お主から貰っておるでのぅ。大丈夫じゃ。空洞についたら儂も、戦闘に参加するからのぅ。何か嫌な予感がするのじゃ。」
俺らは、警戒しながら林の中を歩き続ける。
太陽が傾き出した頃、俺達は、ようやくハルミア大空洞に到着した。
切り立った崖にぽっかりと空いた大穴。中から嫌に生暖かい風を感じる。
俺達は、少し離れた場所に、野営を設置。休むことにした。
交代で火の番をすることになり、先にミルフィを休ませる。
(ハルミア大空洞は、全12層からなるダンジョンで、銀と銅の鉱脈がいくつか確認出来ます。今のあなたの力なら、第八層までなら問題ないと思われます。10層以降になりますと、魔法耐性も必要となりますのでご注意下さい。
12層目にいる地竜、ブラッディードラゴンは今は、休眠中ですので、12層に近づかなければ、大丈夫でしょう。本日の戦闘結果により、時魔法が第2位階まで
開放されました。開放された魔法は以下の通りです。
時魔法 スロウLv1 時魔法クイックLv1 時魔法マジッククイックLv1 を習得しました。)
音声さんの説明が、終わると時風の腕輪が光だし、魔力の小手を包む。
一際、光輝き、光が止むと、時風の腕輪は魔力の小手を取り込み形が変わっていた。
(時魔法が、第2位階になったことで、時風の腕輪が成長し、時風の小手に変化しました。時風の小手から、時魔法の開示がありますので解析します。)
解析は、音声さんにお任せして俺は白い刀を抜き放ち、手入れをする。
白い刀身を見つめ、俺は呟いた。
「そういえば、銀髪美少女は刀に銘がないって言っていたっけ。白い刀身だから・・・ましろ・・・眞白ってつけよう。この刀の銘は、白刀 眞白だ。」
俺は、眞白の手入れを続ける。その時、誤って眞白の刃で指を少し切ってしまったのは内緒だ・・・血を拭き、念入りに手入れをして終了。眞白を鞘に戻し、声を掛ける。
「明日も頼むね。眞白。」
『畏まりました。旦那様』
可愛らしい声が聞こえた気がしたが、俺は木に寄りかかり、体を休めることにした。
装備が、更新されたときに補足を入れようと思います。
トキムネ
頭 無し
体 銀糸の鎧 (闇属性耐性 小UP)
手 時風の小手 (風属性と時属性攻撃力 小UP)
足 疾風のグリーブ (素早さ 小UP)
武器 白刀 眞白
メイルブレイカー
ミルフィ・ローゼッタ
頭 聖なるサークレット(光属性 小UP)
体 銀糸のローブ (闇耐性 小UP)
手 皮のグローブ
足 魔法の靴 (魔力 小UP)
武器 癒しの杖 (回復魔術効果小UP)
鱗の盾
トキムネは、無詠唱で魔法陣を作り出し、効果を発揮できるので、魔法としています。
それに対して、ミルフィ達、エジンベア人は、呪文詠唱→魔法陣構築→効果の種類 範囲を識別→発動 となり、その過程で、威力、範囲に回る魔力が弱くなり、効果が弱くなります。なので、トキムネの使う場合は魔法。他の者が使う場合は魔術と表記致します。
1ミル=1円 です。