羽田渡と出会う、ということ
男嫌い
それが通じるのは中学生までだった。
北野家は代々続く、日本でも有数の名家と言われる。
そんな家に生まれたわたしは、幼い頃からずっと男性から隔離されて過ごしてきた。
しかし高校へ上がるとき、わたしの通っていた学校が高等科を廃止してしまい、やむを得ず近くの共学へと転入することになった。
パパは猛反対したそうだが、ママが『そろそろ男性に慣れないと、この先後悔するかもしれないわよ』と強硬な姿勢をとり、パパはあっけなく挫折したそう。
そんなわけで初めて見る同世代の男性達。
どう接していいのかもわからないまま、男子達と仲良く話している女子を指をくわえて見ているしかなかった日々。
さらには『委員長キャラっぽいから』という訳のわからない理由でクラス委員長となってしまい、余計に男子達と話さなければいけなくなってしまって、そろそろ限界だった。
おかしな理由で委員長にしたクラスにも嫌気が差していたし、いつまでも周りに馴染めない自分にも嫌気が差していた
そんなある日だった
『素晴らしいおっぱいですね、今まで見たどのおっぱいよりも素晴らしいです。感動しました』
2年生になって初めての席替えで隣になった男子が突然そう話しかけてきたのだ。
何を言っているのかわからなかった。
いや、わかるはずがなかった。
男子から話しかけられるなんてことはあったものの、いつも黙ってしまうし、何より下ネタを言ってきた人なんて一人もいなかった。
頭がこんがらがったわたしは、無意識にお気に入りのクマちゃん柄の筆箱を掴み、彼のこめかみに向けて、振りぬいた。
それが彼、羽田渡との出会いであり
わたしの、一番の思い出だ
クールなクラス委員長の過去編予告
彼女の過去編はもう少し先で語りましょう