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俺系娘に死ぬほど愛されて眠れない  作者: 海藤進
第一章 俺系娘現る
14/30

初めての男友達、ということ

「お嬢様、あまり夜遅くまで起きてるとお身体に障りますよ?」


一人で寝るには広すぎる和室にかかっている時代物の時計が10時を指す頃、メイド長がドアのところから声をかけてくる



父上の頃からこの北野家に仕えていて、私の身の回りのことを世話してくれる


もう60になるのに、背筋はピンとしていてまだまだ頼もしい


「わかってるわよ、もう。・・・子供じゃないんだから、少しくらいいいじゃない」


嵐が吹きすさぶ外を眺めながら考え事をしているところに水を差されたような気がして、少し拗ねたように答える


「そうはおっしゃいますが、ここ最近ご就寝が遅くはありませんか?・・・まさか何かご病気とか・・・」


「違うわよ!!ホンっとにお節介ね。もういい加減高校生なんだから自分のことは自分で決められるわよ!!」


「ですが・・・」


「もう!!早く出て行って!!」


寝間着を振り回しながらドアの向こうへメイド長を押しやり、乱暴に戸を閉める。


「お嬢様!!」と声が聞こえるけど無視。


また障子のはられた窓へ向い外を眺める。


雷が鳴っていて雨も強い。風流を感じられるような天気ではないが、今はただ静かなだけより考え事がしやすかった。



「羽田君、なにしてるのかしら・・・」



不意に口から彼の名前が出たことに恥ずかしくなり、慌てて首をふる。



「べ、別に気になるわけじゃないし・・・」



誰に言うわけでもないけれど、どうしても口から出てしまう



『羽田渡』

彼に対する第一印象は勿論良いものではなかったけれど、それでも嫌な思い出ではない。


今だって、口を開けば変なことばかり。本当に変態だと思う。


でも、それすらも嫌ではない、と感じている自分がいる。


認めたくはないけれど、もしかしたら彼のことを友人としては好きなのかもしれない


「友人・・・なのかしら」


言葉に出してみて、頭の中で反芻はんすうして。



そうしたらなぜか少し笑ってしまった



「男の子が苦手なはずな私が、男の子の友達ができるなんてね・・・」



共学校に転入と決まってからずっと、彼に出会うまで続いていたあの不安な日々が嘘のようだ




「でも、彼は私のこと、どう思ってるのかしら・・・」



同じように友達と思ってくれているのだろうか



少なくとも、向かうから話しかけてきてくれるし(下ネタだけど)、嫌われてはいないはずだ



「でもよく叩いちゃうし・・・いやいや!!あれは下ネタばかり言う彼が悪いのよ!!」



もし彼が下ネタを言わなければ・・・



「想像できないわね」



彼も友達が増えるかも、と一瞬思ったけれど、振り返ってみると彼はクラスの中では意外と男女共に友達が多い



そう、『男女共に』だ。


男の子はともかく、あれだけ下ネタを乱発する彼にどうして女の子の友達がまでできるのか



気になってクラスの女子に聞いてみたら



『頭が良くて顔もそこそこ良くてスポーツ万能なことを一切無いことにできるから』


らしい


てんで理解出来ない。



だけど彼を慕う人はいる。


「そうよね・・・羽田君、友達多いのよね・・・」



なぜか胸に寂しさを感じつつ、もう寝ようと布団に入る。



「そういえば夏用の服買わなきゃいけないわね・・・」


だんだん眠りに落ちながら、明日は商店街の服屋さんに行こうかな


そんなことを考えていた・・・・・










翌日、嵐の過ぎ去った気持ちの良い晴天の中お店に着いた。


冷房の効いた店内に入り、そこで信じられないものを見た



「あそこのもしかして・・・・羽田君、よね?・・・・隣にいる子は・・・・妹さん?でも羽田君に兄弟はいなかったはずだし・・・・・ま、まさか年の離れた、か、かかかかかかかかか彼女!?!?!?」




無意識のうちに彼に向かって体が動いていた

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