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俺系娘に死ぬほど愛されて眠れない  作者: 海藤進
第一章 俺系娘現る
12/30

衣澄姉さんが来る、ということ

チチチチチ・・・・



「ん、んん・・・・」


小鳥の声でゆっくりと眠りから意識が浮上する


「朝・・・・晴れてる・・・・」


良かった。あのまま嵐だったら色々と面倒なことが・・・・・・・・・嵐?


嵐、何か昨日あったような・・・なかったような・・・・・・


ふと、随分と布団が温かいことに気づく


しかも体が重い


というか、何かに抱きつかれてるような・・・・



「あぁ!!!」


急激に意識が覚醒した


間違いない、この暖かく柔らかい物体は・・!!



「んにゅう・・・・・・・ん?・・・・おはよー、わたるぅ・・・・・・むにゃ」


「お、おはようございます・・・」


先日からの居候、畑さんがタオルケットから顔を覗かせていた


まだ寝ぼけているのだろう、むにゃむにゃいいながら僕のお腹にスリスリしてきた


寝起きだからなのだろうか、パジャマが捲れて胸元が大変心もとないことになっている





ここで男子の諸君は思い出してほしい





そう、男子には避けては通れない朝の試練がある





「(くっ、不可抗力とはいえ僕の如意棒が・・・・!!いけない!!紳士として絶対に沈めなければ・・・!!!)」




ここで、普通の男子だったら鎮めることもできず、ただ慌てることしかできなかっただろう



しかし僕は違う。




一流の紳士は己の賢者モードくらい呼吸をするように操ることができる



これも日々の鍛錬の成果。継続は力なり。



きっと昔の人も朝は苦労したのだろう




とりあえず無心。



一に無心、二に無心。


三四が無くて、五に無心。



「ふぅ、苦難は去りました・・・・」



我ながら立派だと思う。自分で自分を褒めてあげよう。



「んん・・・・むふぅ・・・」


「(に、如意棒が・・・制御できない!?)」


考えてみれば、今までロクに女子と接したことがない


つまり朝の仮面ラ○ダーブレ○ドを鎮めることができないのだ


その上畑さんはかなりの美少女。


言わずもがな聖剣エクスカリバーはその存在を少しずつ表している


「んんぅ・・・・・わたるぅ・・・・」



「(ああああああ!!!鎮まれ僕の聖剣仮面ラ○ダー如意棒!!)」



一触即発のその瞬間、ドアが勢いよく開かれた



「おはよううございますわ!!!早く起きなさい!!!・・・・・・・・・おきな・・・・さ・・・・」




扉の前に立っていたのは、僕の天敵であり従姉妹である・・・・一流の紳士も全裸で逃げ出す衣澄姉さんがいた





その目はバッチリ僕と畑さんに向いており



静かに背中の日本刀を抜いていた





朝の静かな住宅街に、一流紳士の悲鳴が轟いた。












「ほんんっっっとに!!ありえませんわ!!!」


「す、すいません」


「いつもいつも破廉恥なことばかり言ってるから、もしかしたらと思いましたけど、遂に女の子に手を出すなんて・・・・その上小学生だなんて!!!失望しましたわ!!!」


「いや別に手は出してな」


「あぁん?」


「なんでもないっす」


「お、俺は小学生じゃな」


「あらあら!大丈夫ですわよ!!・・・・怖かったですわよね、痛かったですわよね?・・・若い身空でなんと嘆かわしい・・・安心なさい、お姉さんがこの腐れ豚野郎を社会的に葬り去りますわ」


小学生じゃない!と反論しようとしたところに衣澄姉さんに抱きつかれ、苦しそうに暴れている畑さん。


顔が衣澄姉さんのおっぱいな埋まって大変苦しそうだ


「だから衣澄姉さん!話を聞いてくださ」


「法律が裁く前にわたくしが物理的に捌きますわよ?」


「ういっす」



真顔で物騒なこと言いながら日本刀抜かないでほしい


「だ、だから俺は小学生じゃな!!ムググググ!!!!わ、渡助けてくれぇ!!」











衣澄姉さんの暴走が収まったのは、それから2時間も経ったあとであった。



その間僕が五体満足でいることができ、さらに畑さんも窒息死しなかったのは不幸中の幸いだろう









「あらあら、雷が怖いなんて、昔のワタルのようですわね〜!かわいいですわ〜~♥♥♥」


「う、うううう、うるさい!き、昨日のはその、ちょっと気の迷いで・・・」


勘違いから開放されたかと思えば今度はからかわれ顔を真っ赤にする畑さん。


その見た目と言動が衣澄姉さんのハートをガッチリ掴んだらしく、なかなかの気に入られようだ


「あ、そうそうワタル。またお母様から家事を頼まれたのだけど、お洗濯物とか貯めてないですの?」


畑さんをナデナデしながら聞いてくる。


「うーん、昨日までの分は既に洗濯終わってますよ」


「あら、ワタルが洗濯物貯めないなんて珍しいですわね」


「そりゃ僕もしますからね!昔とは一皮も二皮も剥けましたよ・・・あ、別に下ネタじゃないですよ?」


「ならば下ネタが言えない体にしてさしあげますわ」


「謹んで遠慮します」


下ネタ言えなくなるなんて死んだも同然だ。くわばらくわばら




「そういえばきちんと自己紹介してませんでしたわ!!・・・わたくしの名前は衣澄と申しますの。衣澄お姉ちゃん、と呼んでいただいて結構ですわ」


「あ、えと、畑咲です・・・昨日から渡の家に居候してます・・」



「あぁ!貴方が例の居候の方でしたの!!まさかこんなに可愛らしい方とは思いませんでしたわ〜~♥咲ちゃんって、呼ばせていただきますわね」


「あ、はい、よろしくおねがいします」


「うふふ、そんな固くならなくてよろしくてよ?」


「あ、ああ」


引きつった顔で握手を交わした畑さんが小声で話しかけてきた



「(衣澄さんって、どっかのお嬢様なのか?・・・あとあの日本刀って・・・)」


「(畑さん、知らない方が人生、楽しいと思いますよ?)」


「(そこまでか!?)」



衣澄姉さんについては色々と知っているし思い出もあるが、今ここで話しては畑さんが怯えてしまうかもしれない



少々不満げだが我慢してもらおう




「さて!!久し振りにここのお掃除、やらせていただきますわ!!」



張り切って洗面所へとかけてく紫色のウェーブした髪を見送りながら、早く今日が終って衣澄姉さんが帰ることを祈った。


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