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19話 種族は関係ない

ジェスを掴んでいた騎士を力づくで引き離す。

そしてよろけて無防備になった(鎧フル装備)腹にうねりを上げた拳が容赦なく突き刺さる。

鉄の鎧はその意味をなさず圧倒的な破壊力で破壊され、騎士は衝撃で吹き飛び2回バウンドしてやっと止まった。


突然の出来事に周りは時間が止まったかのように静かになりその状況を作り出した本人、ジークが動き出すとともにジェスが気を取り戻した。


「じっジーク!?なんでここに!」

「説明はあとだ、今はあっちに集中しろ」


動揺するジェスの横にジークが並んで身構える。

視線の先にはジェスと同じくらい動揺しうろたえている騎士たちがいた。

騎士らはまさかこの男が少年を魔族と知ってなお助けるとは思ってもみなく、さらにただのパンチで仲間がやられたという事に驚愕が隠せないようだ。


「きっキサマ!人が魔族を助けるなんて正気か!?」

「種族は関係ねぇ、おれはただ助けたいと思ったから助けただけさ」


驚きが次第に怒りへと変わり頭に血が上った騎士たちが堪えきれずそれぞれ武器を構え始める。

接近戦は危険と判断した騎士がすでに先ほどジェスに放った『アイス・スピア』を詠唱していて

上官の制止を聞かず感情に任せて発動させた。


魔力をさっきより多く籠められたそれはたった1本だけだったがそれを帳消しできるほどの速さと大きさを持っていた。

しかし10メートルの距離を一瞬で無にして殺到する氷の槍をジークは先ほどと同じように殴っただけでそれをコナゴナに打ち砕いてしまう。


「なにっ!?」

「退け、それとも・・・ヤルか?」

「ぐっ!?」


ジークの顔から笑みが消え代わりに殺気をたたきつけると騎士たちが怯む。

彼らは相当な場数を踏み度々魔獣クラスの魔物とさえ戦ったことがあるが今彼らが感じる殺気はそれを上回る、隣にいたジェスも思わずその場から飛びのこうとしたくらいだ。


「・・・退くぞ」

「ですが!」

「こちらに勝ち目はない、もし戦ったとして魔族はやれるにしろあの男は桁違いだ。それにこちらの全滅は免れない」

「・・・わかりました」


命令を下した騎士も怒りと屈辱で唇を血が出るほど噛みしめ堪えていた。

騎士たちは屈辱に耐えながらも倒れた仲間をかつぐとそのまま暗闇の中へと消えていった。



・・・・・・・


「エリィ様子はどうだ?」

「うん。大怪我してたけどこの人すごく体が強いみたいだからもう大丈夫だと思うよ」


騎士たちを撃退した後おれはジェスに事情を聞きすぐにエリスともう1人の仲間を探した。

遠くに逃げてると思ったが仲間の女性はが大きな怪我を負ってるらしくしかも道に血が点々と続いており

それを辿っていった結果すぐに見つけることが出来た。見つけた時は身構えられもう少しで魔法を発動されるところだったがジェスが横にいるのを見ると納得してもらった。

初見の女魔族のほうは血の量からして命にかかわりそうだったの急いで家に連れ帰り寝ていたエリィを起こして魔法で治癒してもらいベッドで寝てもらっている、どうやら腹を剣で貫かれたらしい。


「さすがは魔族デタラメだな」

「いやっジークがそれ言うの?」


ひとまずジェス達の治療を終えたが、ジェス達は長旅と今夜の戦闘で心身共に疲労が溜まり2人そろって目が虚ろになり首をカクカクさせていたのでとりあえず寝かせてあげた。



・・・・・・・・

~ある屋敷の部屋~


「なに?失敗した?」

「はっ言い訳はしません我らのミスです」

「べつに責めはせん。何かしら不測の事態でもあったのだろう?報告を続けろ」


そこには1人の20後半ぐらいの男とそのまえに片膝をついて報告をしている3人の騎士がいた。

そして男は騎士たちが撃退されたという報告に驚いていた。


「あの伯爵級の魔族は私が戦闘不能にしたはずだったのだが、まだそんな余力があったか」


それなら納得がいくと頷く男


「いえ、あなたが戦われた魔族は確かに戦闘できる状態ではなく、

少年の魔族が1人で我らを迎撃に来ました。」


その行動は想定内だったが、想定内だったからこそ男は逆に疑問を感じた。


「ふむ、それを予想してお前たちを編成し送り込んだつもりだったが、あの少年の魔族にそれほどの力量があったとは。私としたことが見誤ってしまったか」

「いえ・・・それがあと1歩のところまで追い詰めたのですが。突然の奇襲にあいました」

「奇襲か、だとするとまだ仲間がいたとは。それでその魔族はどんなだった?」


次々と驚かされた結果にやっと結果が出た。

新手の魔族がいたなら失敗は必然、彼らに非はないだろう。

だがまたしても部下は予想外のことを言ってきた。


「それなのですが・・・我らに奇襲を仕掛け、敵を助けたのは人の男でした」

「なんだとっ、人が魔族を助けた!?」


ありえない、人と魔族は敵同士で会えば必ず殺し合いが起きるほどだ。

そんな常識を覆す言葉に男は初めて大声を出してしまった。


「はい。その男は奇襲とはいえ石と素手だけで仲間を2人倒してしまい魔族と肩を並べて立っていました。あの殺気は並みの魔獣よりも上だったと思います」

「そうか、その評価だとその男はよほど腕の立つ者だったのだろう、撤退は正しい。

報告はもういい、負傷者を手当てしてやれ」

「はっ」


1人だけになった部屋に静けさが戻りしばらくして出た声は笑い声だった


「ふっ、私が読み外してしまうとはな、珍しいこともある物だ。

しかし・・・人が魔族を助けるとはさすがに予想外だったな、しかも報告からして最低でも5階級以上の強さはあるとみた。

はははっ、暇つぶしで田舎の祭りに来たはずだったがこれは思ったよりも楽しめそうだ」








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