エピローグ 二人が重なるまで
ノベルゲーム「刻印が重なるまで」のエピローグです。
ネタバレになるのでゲーム本編後に見ることを推奨します。
ヤマタドナとの和解から時が過ぎ、二年後。
店は閉店し、二人は手を繋ぎながら、静かにソファで終わりを迎えようとしていた。
「…もうそろそろ、時間だね。」
「ああ、終わりが来た。」
体を預けながらも互いの目を見つめる。
「楽しかったね、ドナ。」
「ああ、悪くなかった。」
「…死ぬのは怖いけど、ドナが一緒なら嬉しいな。」
「そうか?そう言ってくれると嬉しいな。」
「ほんとはもっと生きたかったけど、こればっかりは仕方ないよ…。」
「…そうだな、私たちもアースランドの所へ行こうか。」
「…う、ん。」
「どうした?」
「なんか、眠くなってきた。体が重い。」
「そうか…。」
「ねぇ、最期は、膝枕がいい、な。」
「はいはい、相変わらず甘えん坊さんだな。来い。」
「…ありがとう。」
ヤマタドナの太腿の上に頭を置き、再び見つめ合う。
「やわらかい。」
「そりゃそうだろうな…。」
「ねぇ、ヤマタド…ナ。」
「なんだ?」
「今まで、あり、がと、う…。」
「ああ、私こそありがとう。」
二人の唇の距離が重なり、しばらくすると離れる。
天狐は目を閉じたまま、ヤマタドナは頭を撫でる。
「…天狐。」
「…。」
「もう、行ったのか?」
「…。」
「…はは、結局私は、最期まで見送る側か…。」
天狐からの返事はなく、世界は静かだ。
「アースランド、私もそっちに行くよ…。」
睡魔が遅い、ヤマタドナも目を閉じる。
「そろそろ私も、行くか…。おやす、み、天狐。」
再び二人の顔は重なり、ついにそのまま離れることはなかった。
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どこか遠い場所で。何もないけど、なにかがあるその空間で。
三人は再開する。
「そうか、私たちは死んだのか…。」
「ここがあの世…?」
「待ってたよ、二人とも。大変だったね。」
ふたりは振り返るとそこに愛おしい人、友人の姿があった。
「アースランド様…。」
「アースランド…。」
「ほら、おいで…?」
「ずっと、会いたかった、です…。」
「うん、私も…。」
アースランドと天狐は抱擁を交わしながらもヤマタドナは口を挟む。
「…まったく、私を忘れるなよ?」
「「わかってるって」」
「本当にわかってるのか…?」
ヤマタドナが少しだけ拗ねている。
「まぁいいじゃん、ドナ。」
「そうそう、これからは三人楽しく過ごせるんだから!」
「はぁ…。まぁいいか。」
「それより二人の話を聞かせてよ!私待ってたんだから!」
「…仕方ないな、沢山、話してやるよ、」
「我もアースランド様もお話聞かせてくださいね。」
「あ、久しぶりに我って聞いた。出会った時以来?」
「そうかもしれませんね。私にしましょうか?」
「んーん、我のほうがいいな!あともう敬語はなしね?」
「わかっりった。」
「おい、言葉おかしくなってんぞ。」
「…わかってる、もう大丈夫だから。」
「ふふ、じゃあ行こっか!天狐ちゃん!ヤマタドナ!」
「ああ!」
「うん!」
三人は笑いあいながら、会話に花を咲かせるのであった。




