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6.じゃじゃ馬令嬢は主人公に媚びません

ステラの乗ったバートン公爵家の馬車が皇宮へ到着する執事が出迎えてくれた。


ステラは執事に案内されお茶会が開かれる庭へと案内された。


庭ヘステラがやってくると先に到着していた令嬢達が一気にステラへと目を向けた。


(え?!何?!何でそんなに皆揃って私の事をガン見するわけ?!)


ステラは令嬢達の視線に冷静なふりをして内心戸惑いながら考えていた。


『見て。あちらがバートン公爵令嬢のステラ様よ。』


『殿下の誕生日パーティーでもチラっと見かけたけれど…本当に噂通りの美人ね。』


『あれだけ美人な上に爵位の高い家の令嬢なんて…勝ち目がないわ。』


『やっぱり…皇后様はステラ様を皇太子妃にと考えておられるのかしら。』


『ステラ様もきっと皇太子妃の座を狙ってらっしゃるわよね。』


令嬢達がヒソヒソと話しているのが地獄耳のステラには全て聞こえていた。


(あぁ、そういう事ね。何かあるのかと思って戸惑ったじゃん。まぁ確かに私も驚くほどステラってスーパー美人さんだもんね。はぁ、、でもね、、どんだけ美人でもバスティン以外に思われても嬉しくないわけよ。それに私は皇太子妃なんてお断りなのよ。私はバスティンの奥さんになりたいんだから。)


ステラは令嬢達の話を聞きホッとしつつそんな事を考えていた。


「皇后様が来られるまでこちらの席でお待ち下さい。」


ステラが考えていると執事がステラへ椅子を引いて言った。


「分かりました。案内ありがとうございます。」


ステラが執事へにこりと笑みを浮かべて言った。


そしてステラは椅子へと座った。


(はぁ〜。早くお茶会終わってくんないかなぁ。すでにこんなとこで座ってる時間あるならバスティンに会いに行きたいのにさ。何でもいいから早く皇后もアーノルドもきてお茶会始めてくんないかなぁ。)


ステラは椅子に座り面倒臭そうにそんな事を考えていた。


すると、そこへ令嬢達がステラの元へやってきた。


「バートン公爵令嬢のステラ様ですよね?初めてお目にかかります。クラプトン伯爵家のサリナ・クラプトンと申します。」


「お初にお目にかかります。アドレ伯爵家のカンナ・アドレと申します。」


「お初にお目にかかります。ルルド伯爵家のアンナ・ルルドと申します。」


「お初にお目にかかります。サルド伯爵家のエルナ・サルドと申します。」


令嬢達が一人づつステラへ挨拶をした。


「皆様、ご挨拶ありがとうございます。私はバートン公爵家のステラ・バートンと申します。よろしくお願い致します。」


ステラはにこりと微笑みながら自然と圧倒的なオーラをまといながら令嬢達へと言った。


そんなステラを見て令嬢達は思わず圧倒されたがすぐに笑みを浮かべたのだった。


「そういえばステラ様は殿下の誕生日の日にあのラスター公爵とダンスを踊っておられましたよね?てっきりステラ様は殿下と踊りになるのかと思っていたので驚きました。」


「えぇ。本当に。私達は殿下にダンスを踊って頂きましたけどステラ様は殿下と踊られなくて良かったのですか?」


令嬢達がステラへどこか勝ち誇った様な表情で言った。


(もしかしてこの人達マウントでも取りたいのかなぁ。自分達はアーノルドと踊ったわよ!って、、。でも私は別にそんな事をどうでもいいんだけどな。だってアーノルドと踊りたいなんてこれっぽっちも思ってなかったし。)


ステラは令嬢達の言葉を聞いてそんな事を思っていた。


「はい。私は社交デビューのダンスの相手はラスター公爵と決めていましたので。」


ステラは満面の笑みで令嬢達へきっぱりと言った。


「あ、そ、、そうだったのですね。」


「そうと決められいたのであればねぇ、、?」


「えぇ。」


令嬢達はステラの予想外の言葉に戸惑いながら言った。


(令嬢A、令嬢Bさん達!あなた達は私がアーノルドを狙ってるって思ってんでしょ?残念!私がアーノルドを狙う事は死んでもないのよ!それに残念ながらあなた達にはアーノルドの隣に立つチャンスはないのよ。アーノルドの横はヒロインのグレイスって決まってんだから。)


ステラは令嬢達を見てそんな事を考えていた。


(、、?!ん?!待って!皇后主催のお茶会ってことは、、。ヒロインのグレイスも参加するじゃなかった?!うん!そうよ!主人公・アーノルド、ヒロイン・グレイス、悪役令嬢・ステラはこのお茶会で初めて顔を合わすんだったー!!アーノルドはこのお茶会でグレイスに会った事がきっかけでのちにステラに散々思わせぶりな態度をとっておいてたった一つの愛を見つけた相手がグレイスだってなるんだから。)


ステラはふとオンラブの小説内容を思い出し慌てて考えていた。


その時…


「あの、、バートン公爵令嬢のステラ様…お初にお目にかかりますルノア男爵家のグレイス・ルノアと申します。」


ステラの元へヒロイン・グレイスが挨拶をしにやってきた。


(って、早速ヒロインかーい!!)


ステラはグレイスを見てずっこけそうになりそんな事を考えていた。


「はじめまして。バートン公爵家のステラ・バートンです。よろしくお願い致します。」


ステラはにこりと微笑みながらグレイスへ言った。


(ヒロイン様早速お出ましじゃん。あ…でもオンラブの小説内容そのものだわ。決して美人とは言えないけど可愛らしい感じの子ね。こんな雰囲気だからきっとアーノルドも恋に落ちたのね。何となくわかる気がするなぁ。)


ステラはグレイスを見てそんな事を考えていた。


「皇后様、ならびに皇太子殿下が到着されました。」


その時、執事がステラを含めた令嬢達へ言った。


執事の言葉を聞きステラ達は一斉にやってきた皇后とアーノルドへ礼をした。


ステラ以外の令嬢達はまさかアーノルドまで参加するとは知らず戸惑いながらも嬉しそうな表情を浮かべていた。


唯一ステラだけは無表情だった。


(私はここへアーノルドが来る事知ってたから驚きもしないけど他の令嬢達は見るからに目がキラキラしてるわぁ。まぁ…オンラブの中だったらステラが一番目を輝かせてたけどね。)


ステラは周りの令嬢達をチラっと見て考えていた。


「皇后様、皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」


ステラがきれいな礼をしながら皇后・シャルルとアーノルドへ挨拶をした。


ステラに続き他の令嬢達もシャルルとアーノルドへ挨拶をした。


「皆さん顔を上げてお座りになって。」


シャルルがにこりと微笑みながら令嬢達へ言った。


そして、シャルルやアーノルドも席に座りお茶会が始まったのだった…


「本日は…お集まり頂きありがとう。どうか時間の許す限り楽しんで行ってもらえたら嬉しいわ。」


シャルルがにこりと微笑みながら言った。


「「ありがとうございます…。」」


令嬢達がシャルルへ言った。


「突然の参加で驚かせてしまい申し訳ない。母上に声をかけて頂き急遽参加させてもらう事となったのだ。私の事はあまり気にせず楽しい時間を過ごしてくれ。」


アーノルドが優しく微笑みながら言った。


「「ありがとうございます。」」


令嬢達はアーノルドの笑みを見てうっとりする表情を浮かべながらアーノルドへ言った。


ステラを除いては…


ステラはアーノルドにお礼言う際も特に表情を変える事なく言ったのだった。


その後、皆はお茶を飲みながら話をしていた。


ステラを除く令嬢達は我先にと言わんばかりにシャルルとアーノルドの元へと行き話をしていた。


(まぁまぁ皆あんなに熱心に話しに行くなんて感心するわぁ。まぁオンラブの話中だとステラもあの場で皇后にも懸命に話をしてたなぁ。アーノルドとはこのお茶会でまた距離が縮んだんだったよね。)


ステラは奮闘する令嬢達を見て他人事の様に考えていた。


(あぁ〜それより早く終わって〜。私は早くバスティンに会いたくて死にそうだ〜。お父様やバスティンはまだ陛下と話をしてるのかなぁ。)


ステラはそんな事を一人考えながら皇宮内を見ていた。


その時…


「キャッァァァ!」 


グレイスが突然声をあげた。


ステラはその声を聞き驚き声をあげたグレイスを見た。


「あ、突然猫がやって来たので可愛いなと思い触ろうとしたら…急に猫が威嚇してきたのです、、。」


グレイスは慌てて戸惑いながら猫を指さして言った。


「急に大きな声を出して申し訳ありません、、。」


グレイスは申し訳なさそうに言った。


一瞬その場が静まり返った。


その場にいた猫は近くにいた令嬢達を威嚇し続けていた。


だが猫がフッとステラの方を見た旬か猫は急にステラの方へと猛スピードで走り出して思い切りジャンプをしてステラの方へ飛びかった。


それを見たアーノルドが"危ない!"という表情を浮かべて止めに行こうとしたその時…


猫は飛びかかったと思いきやステラの股に飛び乗っただけだった。


猫はステラの股に乗りまるでステラに媚を売るようにステラの股へスリスリと顔を擦りつけていた。


(え?何っ?)


ステラは自分の股に乗っている猫を見て状況把握に困り唖然しとした表情で思っていた。


もちろん周りにいたアーノルドも唖然としていた。


「ん?あれ?あなたあの時助けた猫じゃないの?!どうしてこんなところに?というより怪我は大丈夫なの?」


ステラは猫を見ているとハッとなり猫を抱き抱えて猫へ言った。


「ニャァ〜〜〜オォォ。」


猫は大丈夫といわんばかりに鳴いた。


「ん〜怪我は治ったみたいね。良かったわね!」


ステラは猫が怪我していた場所を確認すると猫の頭を優しく撫でながら笑顔で言った。


「ニャァァァーーン。」


猫は嬉しそうに鳴いた。


(ふふ、、何だかこの猫前世でじーちゃんが連れて帰ってきて飼ってたじゃじゃ丸に少し似てる気がするなぁ。まぁ、じゃじゃ丸はここまで太ってなかったしノラ猫だったけどね。この猫はどう見ても血統付きだもんね。誰が飼ってる猫なんだろう。)


ステラは抱き抱えた猫の顔を見ながらクスっと笑いながら考えていた。


「ステラ嬢大丈夫かい?」


そこへアーノルドがステラの元へとやって来て声をかけた。


(げっ!アーノルド?!)


ステラはアーノルドに声をかけられてあからさまに嫌な表情をして思っていた。


「えっと、、はい。大丈夫です。」


ステラは精一杯の笑顔というより苦笑いを浮かべて応えた。


(何で話しかけてくるの?!私に構わないでくれる?!)


ステラはアーノルドに応えながらそんな事を考えていた。


「すまなかった。その猫、、ロミオは私の飼っている猫なんだ。」


アーノルドはステラの表情を見て何か思う表情を浮かべたがすぐにステラへ説明した。


(はい?!この猫アーノルドの飼ってる猫なの?!)


ステラは驚いた表情で猫のロミオを見た。


「ニャァァ。」


ロミオがステラを見て鳴いた。


「あぁ。そうだったのですか、、。」


ステラはまた精一杯の苦笑いを浮かべて言った。


(ちょっと!アーノルドの猫ならそう言いなさいよね!アーノルドの猫だと知ってたらあの時に助けたりなんてしなかったのにーー!いや、助けてはいたか。助けたとしてもせめてお父様が助けた事とかにしたのに。あぁ、なんてついてないんだろう。)


ステラはげんなりした表情でロミオを見て考えていた。


「ロミオは少し気性が荒い雄ですぐに人を威嚇するから困っているんだよ。でもステラ嬢には懐いているみたいだね。」


アーノルドは苦笑いを浮かべてステラへ説明するもステラに顔を擦り付けご機嫌なロミオを見て優しい笑みを浮かべて言った。


(うわぁ〜!出た出た。オンラブの話中で何度も登場したオンラブを読む世の女性を虜にした主人公スマイル。オンラブ内のステラよ、、こんな笑顔に騙されていたなんて。)


ステラは軽く引き気味の表情でそんな事を考えていた。


「そうなのですね。それは大変ですね。」


ステラは他人事の様に言った。


「ステラ嬢は私の誕生日パーティーの日にロミオを助けてくれたと聞いた。今日はステラ嬢にその件のお礼を伝えたかったのだ。あの日ロミオは勝手に外に飛び出して行った様でな。ロミオを助けてくれてありがとう。」


アーノルドはステラへロミオを助けてくれた事のお礼を言った。


「いえ。困っていたので助けるのは当たり前ですから。お気になさらないで下さい。」


ステラは淡々とアーノルドへ言った。


(あぁ早くどっか行ってくれないかなぁ。後ろの令嬢達の視線が凄いんですけど?)


ステラは自分達の方を見ている他の令嬢をチラリと見ながら考えていた。


「そうは言っても助けてもらったことに変わりはないのだから何かお礼がしたいのだが、、。」


アーノルドは困った表情でステラへ言った。


(面倒臭い事になったなぁ。お礼とかいらないから。早く私を一人にしてくれませんかねぇ。)


ステラは不満そうな表情で考えていた。


そんなステラの表情をアーノルドさじっと見ていた。


「せっかくのご厚意ですが本当に…お礼などはして頂かなくても大丈夫ですから。どうぞ私の事はお気になさらず殿下を待っておられるご令嬢達の元へ戻ってあげて下さい。」


ステラは本当に何もしていらないという表情でアーノルドへ言った。


(本当に早く令嬢達のところへ戻ってよ!令嬢達に私がアーノルドへ気があるとか勘違いされたらどーするの?!もー本当に勘弁して欲しいわぁ。早くお茶会終わってよ〜。)


ステラは切実に考えていた。


「…お礼の件は分かった。ステラ嬢がそこまで言うのであればステラ嬢の言葉を尊重するとしよう。」


アーノルドがステラへ言った。


「感謝致します。」


ステラが言った。


「それとは別に気になっていたことがあるのだが。」


アーノルドがステラへ言った。


「なんでしょうか?」


ステラは不思議そうにアーノルドへ言った。


「ステラ嬢はその、、初めて会った時とは随分と雰囲気が変わった気がするのだが。」


アーノルドが気になっていた事をステラへ言った。


(初めて会った時の彼女は私に好意を抱いた様に感じたのだが。だが容姿の変化にも驚いたな。初めて会った時から幼いながらも可愛らしさの中に美しさも垣間見えた印象だったが数年ぶりに見た彼女は誰にも負けを取らない程の美しさだ。今も他の令嬢より爵位の高い家の令嬢にも関わらずドレスも装飾品もシンプルなものを身に着けているというのにむしろそのシンプルな装いが美しさを引き立てている様にも感じる程だ。)


アーノルドはステラを見てそんな事を感じて思っていた。


「そうですか?私は何も変わってはいませんけど…。」


ステラは??という表情で言った。


(まぁ本当は中身が違う人間に変わったんだけどね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「そうか、、。今日のお茶会はあまり楽しめていないのかな?何だか他のご令嬢に遠慮している様に見えたのだが。」


アーノルドが言った。


(ステラ嬢だけは母上とは話をしていたが何故か私の元には近寄ろうともしない気がするが。もしやわざとそうして私の気を引こうとしているのか?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「いいえ。皇后様にお誘い頂き光栄に思っていますし楽しませて頂いております。」


ステラは作り笑いを浮かべて応えた。


(本当はまったく楽しくないというより来たくなかったけどね!バスティンが皇宮に来る予定がなかったら意地でも来ませんでしたがね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「そうかなのかい?それならばいいが。ステラ嬢もあちらへ来て他の令嬢達と共に話をしないか?」


アーノルドがステラへ提案した。


(ちょっと本当に何なの?!頼むならほっといてくんないかなぁ。遠回しに早くどっか行ってって言ってんのわかんないわけ?!本当に勘弁してよねぇ。)


ステラはそんな事を考えていた。


「いえ、、。私はそうここでロミオの相手をしながらお茶を頂く事にします。ロミオもその方が大人しくしてくれるのではありませんか?」


ステラは抱き抱えているロミオを見ながらアーノルドへ言った。


「だがしかし、、。」


アーノルドは困った表情で言った。


「本当にお気になさらず。どうぞご令嬢達の所へお戻り下さい。」


ステラは頑張って作り笑いを浮かべて言った。


(いいから早くあっちへ行ってよ!)


ステラはそんな事を思っていた。




そんな二人のやり取り皇宮内から見ていた人物がいた。


皇帝との話が終えたダニー、ジョシュア、バスティン、ペーターが騎士団の稽古場へ向かう途中にジョシュアが窓からステラに気づき立ち止まった。


「父上!ステラが参加しているお茶会が見えますよ!」


「本当にか?!」


ジョシュアが窓の外を指さしてダニーに言った。

するとダニーはすぐに反応して窓の外を見た。


「本当だな。ステラが見えたぞ。」


「あれは、、殿下と話をしているみたいですね。」


「殿下もお茶会へ参加されているのか?!」


「その様ですね。」


ダニーがステラを見て嬉しそうに言った。

ジョシュアはステラがアーノルドと話しているのを確認して言った。

するとダニーは少し驚き言うとジョシュアは頷きながら言った。


「ステラ様笑みを浮かべて話しておられますね。お茶会を楽しまれているのですね。」


ペーターがステラの表情を見て言った。


「、、。相手が殿下なのだ。バートン令嬢も嬉しいだろうな。楽しそうで何よりだな。」


バスティンがステラの表情を見てどこか不機嫌そうに言った。


(あれだけ威勢よく私に好きだの幸せにするだの色々と言っておいて所詮は殿下が相手だとあのざまだ。あの様に楽しそうに、、。)


バスティンは胸のあたりにモヤモヤしたものを感じつつそんな事を考えていた。


「はぁ、お前たち毎日ステラを見ていたのに何もわかっていないのだな。」


「本当に、、。」


バスティンとペーターの言葉を聞いたダニーとジョシュアは呆れた表情で言った。


「え?それはどういう意味でしょうか?」


ペーターは戸惑いながら言った。


バスティンも??という表情をしていた。


「あのスーの浮かべている笑顔は完全に作り笑いだよ。スーが面倒臭いと思っている時に使う必殺技の一つだよ。凄くその状況を面倒臭いと思っているけどそれを隠す様に作り笑いをするんだよ。あの笑顔は完全なる必殺技の作り笑いだな。それも相当面倒臭いと思ってる時のやつだ。」


ジョシュアがきっぱりとバスティンとペーターに言い切った。


「ジョシュアの言うとおりだ。あのステラの笑顔は完璧な作り笑いだ。私とジョシュアはあの笑顔を向けられたからな。」


ダニーも言い切るも自分が作り笑いをされた事を思い出したのか悲しそうな表情に変わり言った。


「スーにあの作り笑いをされる度にどれ程落ち込んだことか。いつもスーに嫌われたらと怖くてたまらなかったなぁ。」


ジョシュアが切実に言った。


「あぁそうだな、、。」


ダニーも切実に言った。


そんな二人を見てバスティンは呆れてペーターは苦笑いを浮かべていた。


「だからあの笑顔のスーは今まったく楽しめてないということだよ!それどころか面倒臭くて仕方ないんだろうな…。ハハハ!スーらしいな。」


ジョシュアは笑いながら言った。


「あの笑顔を見てステラが楽しそうにしていると思うなどまったくお前達は一体ステラの何を見ていたのだ?私とジョシュアを差し置いてステラとの時間を過ごしていたというのに!」


ダニーがムスッとした表情で言った。


ダニーがそう言うとペーターは苦笑いを浮かべていた。


バスティンはボブの言葉を聞き再度窓からステラを見たのだった…




ステラはとにかく目の前のアーノルドがどこへ行ってほしいと思っていた。


「ステラ嬢がそこまで言うのならば無理強いは出来ないな。」


アーノルドは残念そうな表情でステラへ言った。


「えぇ。ですので遠慮なくご令嬢達の元へお戻りくださいませ。」


ステラはもはや作り笑いをするのも面倒になり言った。


(はぁ、やっとあっちに言ってくれるのね。)


ステラはようやくかという表情で考えていた。


「あぁ。」


アーノルドが応えた。


(本当に私が他の令嬢達の元へ行ってもいいのか?本当に彼女は何を考えているのだろうか。)


アーノルドはステラを見てそんな事を考えていた。


そしてアーノルドがその場から離れようした時だった…


(あ〜これで一人になれるわぁ。)


ステラがそんな事よ思っている何やら視線を感じて視線の感じる方を見た。


すると皇宮内の廊下の窓にばバスティンが居るのが見えた。


(なっ!あれは!バスティン!)


ステラはバスティンの姿を目にして思っていた。


(あぁ〜バスティン。陛下との話が終わったのね。あ〜バスティンがこっちに気付いてる〜。待っててね!バスティン!こんなつまんないお茶会が終わったらすぐバスティンの元に飛んで行くからね〜。)


ステラはバスティンを姿を見た嬉しさでデレデレとした満面の笑みを浮かべながらバスティンを見て考えていた。



「おっ!ステラが私達の存在に気づいてこっちを見ているぞ!」


「本当ですね!」


ステラが自分達の方を見ている事に気づいたダニーとジョシュアが言うと嬉しそうにステラに向かって手を振った。


ペーターはステラに向かってペコっと頭を下げた。


バスティンはステラの笑顔をじっと見ていた。


「ほら見ろ!あれこそがステラの本当笑顔だ!あんなに嬉しそうに。私達の姿を見れて嬉しいのだろうな。」


「はい。きっとそうでしょうね。」


ダニーとジョシュアは表情をデレデレとさせながら嬉しそうに言った。


(ステラ様はバスティンへ微笑みかけているの様に見えるけど気のせいだろうか、、。まぁ、でもバートン団長もジョシュア嬉しそうだから言わないでおくか。)


ペーターはダニーとジョシュアを見て苦笑いを浮かべて考えていた。


「さぁ我々は稽古場へ行くとしよう!」


ダニーが気を取り直して言った。


そして、4人はその場を離れて稽古場へと向かった。


バスティンはその場を離れる際にもう一度ステラの表情を見て自分でも気づかぬうちにフッと笑みを溢したのだった。



(あ〜行っちゃった。でも…後で会えるんだからいっか〜!)


ステラはバスティンが見えなくなるのを残念に思うもすぐに嬉しそうな笑みを浮かべて考えていた。


そんなステラの表情をアーノルドがじっと見ていた。


(ステラ嬢はあんな風に笑うのか…?先程までぎこちない表情をしていたというのに一瞬で心から笑った顔をしていたな。一体何を見ていたのだろうか。)


アーノルドはステラの笑みを見てそんな事を考えていたのだった。


そしてアーノルドは他の令嬢達がいるところへと戻った。


「殿下、先程の猫の事をご存知なのですか?」


グレイスが不思議そうにアーノルドへ尋ねた。


「あぁ。あの猫は私が飼っている猫のなのだ。多少気性が荒い猫なので普段は私の自室か執務室にいるのだがどうやら抜け出してきたみたいでね。グレイス嬢…先程は驚いただろう?すまなかったね。」


アーノルドはロミオの事を説明するとグレイスへ謝った。


「い、いえ、、。そんな、、。私の方こそ大きな声を出してしまい申し訳ありません、、。」


グレイスは申し訳なさそうにアーノルドへ言った。


「いや、あの様に急に威嚇されたら驚くのは当たり前さ。」


アーノルドがフォローするように言った。


「ありがとうございます。」


グレイスはホッとした表情でアーノルドへ言った。


その後はまた令嬢達はキラキラした表情を浮かべてアーノルドと話をしていたが。


(皆、あんな風にアーノルドに媚売って何が楽しいのやら。アーノルドはグレイスとのハッピーエンドが決まってるっていうのに。ご苦労なことよね。)


ステラはロミオを撫でながらチラリとアーノルド達を見て呆れつつ考えていた。


そこへ…


「ステラ嬢、、。ここよろしいかしら?」


ステラの元へシャルルがやってきてステラの目の前の席をさしながら言った。


「皇后様。はい。」


ステラは少し驚いた表情で頷きながら応えた。


「ありがとう。」


シャルルは笑顔でそう言うとステラの目の前へと座った。


(急に何?!どうして急に皇后が?!確かオンラブ内ではステラはアーノルドにばかり近づいて皇后と話してはなかった気がするけど。)


ステラは戸惑いながら考えていた。


「ステラ嬢、今日はお茶会楽しめているかしら?」


シャルルがステラへ言った。


「はい。皇后様。楽しませて頂いております。」


ステラは笑みを浮かべて言った。


「そう?それならばいいのだけれど。」


シャルルが言った。


「ロミオを乗せたままだと重くはないかしら?」


シャルルがステラの元に座るロミオを見て言った。


「実は、正直少し重たいのです、、。失礼かもしれませんがロミオは少し太りすぎです。きっと殿下がいい物を与えておいでなのでしょう。」


ステラはクスっと笑いながら言った。


「ふふふ。ステラ嬢もそう思うの?実は私もそう思っていたのよ。ロミオは随分とふくよかだと。」


シャルルはステラの言葉に思わず笑いながら言った。


(あ、皇后ってオンラブの話中に多くは出てこなかったけどイメージとしては少し怖いイメージがあったんだよね。性悪とかそんじゃくて単純に国の国母でありアーノルドの母だけに常に冷静なイメージがあったから。こんな風に笑う人なのね。)


ステラは笑うシャルルを見て少し驚きそんな事を考えていた。


「ロミオはもう少し運動して痩せた方がいいかもしれませんね。」


ステラはクスクス笑いながら言った。


「そうね。それがいいわね。でもロミオがここまでアーノルド以外に懐くなんて初めてだわ。ロミオったら私にも威嚇してくるのだから。」


シャルルはクスっと微笑みながら言うとロミオがステラに懐いてる事を驚きつつ言った。


「私も何故懐かれたかはよくわかりませんが。」


ステラは苦笑いを浮かべて言った。


(そういえば助けた時も特に威嚇された覚えはないなぁ。)


ステラはふと思い出しそんな事を考えていた。


「ロミオはステラ嬢に助けてもらったことをきっと感謝しているのね。」


シャルルは笑みを浮かべて言った。


「そう思ってくれているなら助けた甲斐がありました。」


ステラは笑みを浮かべて言った。


「でも、ロミオには私も感謝しないといけないですね。」


ステラはクスっと笑って言った。


「あらっ。どういうことなの?」


シャルルは不思議そうに言った。


「それはですね、、。」


ステラがにこりと微笑みながら言った。


(ロミオを助けたお陰で私はあの日前世から会いたくて会いたくてたまらなかったバスティンに会えたんだもんね。)


ステラはその日の事を思い出しながら思っていた。


「ロミオを助けた日にずっと…会いたいと思っていた人に会えたからです。」


ステラは嬉しそうに愛おしそうな笑みを浮かべて言った。


「そう。きっとステラ嬢にとって本当に会いたいと思っていた人なのね…。」


シャルルはステラの表情を見て一瞬驚くもすぐに優しい表情で言った。


(きっとステラ嬢にとってとても大切な人なのね。あんな笑顔を浮かべて話すなんて。)


シャルルはそんな事を考えていた。


「はい。」


ステラは嬉しそうに微笑みながら応えた。


そんなステラとシャルルのやり取りを見つめていたのはアーノルドだった。


(あの笑みは何なのだ?先程も同じ様に笑っていた。何故こんなにあの笑みが引っかかるのだろうか。)


アーノルドはステラの表情を見て考えていた。


そんなアーノルドをジッと見ていた人物がいた。


グレイスだった…


グレイスは何かを思う様な表情でアーノルドを見ていた。


そして、グレイスは視線の先をアーノルドからステラへと向けた。


そんな視線に何か感じたのかステラはふとグレイスを見た。


すると、グレイスがステラを睨んでいた。

だが、グレイスはステラと目が合うとすぐににこりと笑みを浮かべたのだった。


(はて?今グレイスが私の事睨んでなかった?気のせい?ヒロインのグレイスは人を睨んだりする様な子じゃなかったよね?ん〜気のせいかなぁ。)


ステラはグレイスの笑みを見た後にそんな事を考えていたのだった。



そして、ようやくステラの待ちに待った時がやってきた。


お茶会のお開きの時間だ。


「今日は皆さんのお陰で楽しい時間を過ごすことが出来ました。また機会があったらこの様な場を設けられたらいいなと思っています。」


シャルルが笑みを浮かべて令嬢達へ言った。


「私も楽しい時間を過ごす事ができた。令嬢達に感謝する。」


アーノルドは優しく微笑みながら言った。


アーノルドの笑みにお茶会の間終始虜になっていた令嬢達は最後の最後にアーノルドの笑みを見て表情をうっとりさせていたのだった。


もちろんステラを除いてだった…


(ま〜た主人公スマイル?最後の最後まで抜け目ないよね〜。)


ステラは半ば呆れ顔でそんな事を考えていた。


「皇后様、皇太子殿下。本日はお招き頂きありがとうございました。とても素敵な時間を過ごすことが出来ました。」


ステラがシャルルとアーノルドへ丁寧にお礼を言った。


続いて他の令嬢達もシャルルとアーノルドへお礼を言った。


そしてようやく解散となったのだった。



(よし!これでバスティンの元へ向かえる〜!!)


ステラは嬉しさのあまり顔をニヤつかせながら考えていた。


そしてステラは荷物を持って稽古場へ向かおうとしていた。


「ニャァァァ。」


ステラが稽古場へ向かおうとした時ロミオが鳴いた。


「あっ。」


ステラは自分の足元を見て声を漏らした。


(そうだった。ロミオがいたんだった、、。)


ステラは苦笑いを浮かべて考えていた。


ロミオは結局お茶会が終わるまでずっとステラの元を離れなかった。

ステラがシャルルとアーノルドへ挨拶をしている時も足元にいたのだった。


「ロミオ、こちらへ来い!」


アーノルドがロミオへ声をかけた。


「ニャァ、、。」


ロミオそっぽを向いて鳴いた。


(おいおい!ロミオ!飼い主を無視ですか?!)


ステラがロミオを見てゲッとした表情で考えていた。


「はぁ。ロミオ、殿下が呼んでるわよ?殿下の元へと行きなさい。」


ステラはその場にしゃがんでロミオの頭を撫でながら言った。


「ミャァ、、。」


ロミオは気持ちよさそうな声を出した。


(いやいや気持ちよくなるんじゃなくてアーノルドのところへ行きなさい!私は1秒でも早くバスティンの元へ行きたいのよ!)


ステラはロミオの反応に呆れた表情で考えていた。


「ロミオいい?ちゃ〜んということをきかないともぅ…撫で撫でしてあげないわよ?それでもいいの?」


ステラはロミオを撫でるのをやめて言った。


ステラの言葉を聞いたロミオが急に固まった。


「殿下の元へとちゃんといけるわね?」


ステラがロミオへ言った。


「ニャァ、、ニャ、、オ、、。」


ロミオは仕方ないといわんばかりに鳴いた。


「よし!偉いわね。さぁ殿下の元へ戻りなさい。またね!」


ステラはロミオの反応を見てクスと笑いながら頭を撫でて言った。


するとロミオはアーノルドの元へと戻った。


(ふふ。あんな素直に私の言うことを聞くなんて何だかロミオって本当にじゃじゃ丸みたいだなぁ。もしかしてじゃじゃ丸の生まれ変わりとか?!んなわけないか!)


ステラはロミオを見てそんな事を考えていた。


「ステラ嬢助かった。ありがとう。」


アーノルドがロミオを抱えるとステラへお礼を言った。


「いえ。」


ステラが言った。


「では私は用がございますのでこちらで失礼します。」


ステラはアーノルドへ言った。


「…あぁ。」


アーノルドはステラへ何か言いたそうな表情で言った。


ステラはアーノルドがそう言うとすぐに後ろを振り返り稽古場へと急いで向かった。


(時間ロスったわ。急がないと!)


ステラはそんな事を考えると自然と荷物を抱えたまま走り始めたのだった。


その姿をアーノルドが見ていたとも気づかずに…



「プハッ!令嬢があんなに思い切り走るとは。一体何をあんなに急いでいるのやら。」


アーノルドは走る姿のステラを見て思わず吹き出しながら言った。


「ハッ!こんなに心から笑ったのはいつぶりだろうか、、。」


アーノルドは複雑な笑みを浮かべて呟いた。


「本当に変わった令嬢だな。最初に会った時とはまるで印象が違うが見た目はとても美しいのにすぐ思ってる事が顔に出たり気性が荒いロミオを一瞬で手懐けたり人目を気にせず思いきり走っだり。あんな令嬢は初めた見たな、、。」


アーノルドはクスクス笑いながら呟いだった。


そんな風にアーノルドに見られていたなんて気にもしてないステラは全速力で稽古場へと走り向かっていた。


(バスティン〜今会いに行くわよ〜!!)


ステラは満面の笑みでそんな事を思いながら走っていたのだった……


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