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4.じゃじゃ馬令嬢は改めて推しを愛し幸せにすると誓う

ラスター公爵邸から戻ってきたステラは自室で今後どうやってバスティンを幸せにするかを1人考えていた。


「あぁ…今日のバスティンも最高に素敵だったなぁ〜。私の行動には相当驚いて呆れてたみたいだけどね。」


ステラは1人ニヤニヤしながら言った。


「まぁ…バスティンが呆れようが突き放そうが無視しようが私は引き下がるつもりはないけどね〜。」


ステラはニヤリとしながら呟いた。


(それにしても…ラスター公爵邸はオンラブの話中で読み想像していたよりもコミカライズでチラリと出てきた時よりも遥かに陰気臭い邸だったよね…。国の大ニ公爵家の一つだというのに庭は廃れ果ててたし邸内も何だか心なしか薄暗かったし…使用人も小説通り執事のドンクとメイドのハナしかいなかったもんね…。)


ステラは急に難しい表情になりラスター公爵邸を思い出しながら考えていた。


(まぁ…でも…それも仕方ないか…。)


ステラは眉をひそめながら考えていた。


オンラブの小説内容だと…


バスティンは7歳の時にラスター公爵家の養子として公爵家に入った。

ラスター公爵家には男児がおらず一人娘のユナしかいなかった為に前公爵のファルコは帝都の街で自分に似た子を見つけて公爵家の養子としてバスティンを迎え入れた。


でも…前公爵夫人のジュナはファルコがバスティンを養子として迎え入れることを反対したけどファルコが反対を無視してバスティンを養子にした。

ジュナはバスティンが娼婦の子だというのが納得いかなかった。

でも…ジュナは公爵家にやってきたバスティンを見て更に嫌悪した。

その理由は…

バスティンは誰がどう見ても他人とは思えない程ファルコに似ている…というレベルではなくむしろファルコとバスティンは瓜二つだった。

あまりにも瓜二つな二人を見たジュナは一瞬で察した。

それは…バスティンは間違いなくファルコの実子だという事を。

ジュナはファルコをとても愛していた為ファルコが自分以外の…それも娼婦と関係を持っていた事実に腸が煮えくり返っていた。

しかし…ファルコは断固としてその事実は認めなかった。


バスティンは父親を知らないまま育ち母親には愛される事なく育てられた。

バスティンは貴族の養子として公爵家へ入った事で母親と暮らすよりはまともな生活が出来ると思っていた。

しかし…ラスター公爵家の嫡男として公爵家に養子に入ったが公爵家での扱いは酷いものだった…。


ファルコは公爵家の後継者としてとても厳しくバスティンを躾けた。

少しでも出来ないとなるとバスティンに手をあげて怒りを露わにしていた。


ジュナはバスティンを酷く憎み毎日虐待をしていた。

ユナもジュナと一緒にあざ笑う様にバスティンへ虐待を行っていた。


そんな二人の虐待を知っていてもファルコは止めるどころか見てみぬふりをしていた。


バスティンはそんな生活を10歳になるまでの3年間耐え続けた。


バスティンが10歳になった年にファルコに連れられて皇宮へ行った時のことだった。


バスティンは皇帝とファルコが話をしている間一人で待たされていた。


そこへたまたま通りかかった皇室騎士団の団長をしていたダニーとダニーについてきていたジョシュアと出会ったのだった。


それからバスティンの事情を察したダニーがバスティンに剣術を教えた事がきっかけでバスティンは騎士団へと入団した。



バスティンは剣の腕を凄まじい勢いで上げていきわずか17歳で皇室騎士団第2部隊の団長に任命された。


ダニーの計らいもあり入団当初からラスター公爵家を出て騎士団の騎士寮へと入居していたバスティンは騎士団第2部隊の団長に任命された事をファルコへと直接報告する為に数年ぶりに公爵邸へと足を運んだ。


しかし…

悲劇はその時に起きたのだった。

バスティンはただ報告する為だけに帰ったのがそれすらも良く思わなかったジュナがファルコが帰宅する前にバスティンの飲み物へと毒を盛ったのだった。

そしてバスティンはジュナが雇った者により毒で苦しむまま山へ放り出されたのだった。


ジュナはファルコにバスティンは結局来なかったという嘘を信じ約束をすっぽかしたと思ったバスティンへ怒りを露わにするだけだった。


バスティンは山の中で何時間も毒に苦しんだ。

そしてあまりの苦しさにもがきながら自分はもう死ぬなどと思いながら気を失ったのだった…


しかし…

バスティンは死ななかった。

バスティンが山へ放り出された翌日…バスティンが無断で騎士団の稽古を休んだ事をダニーが不審に思い前日にラスター公爵邸へ行くと聞いていたのを思い出し嫌な予感がしてジョシュアを連れてラスター公爵邸へ向かった。

その途中の山道で倒れているバスティンを見つけ急ぎバートン公爵邸へ連れて帰りバスティンを医者にみせて処置したのだった。


そのお陰でどうにか一命は取止めたが毒によって左目…その回り…左手の甲から肘の辺りまで皮膚が溶け爛れていたのだった。


バスティンは目を覚まし自分のそんな姿を見て怒りと憎しみが込み上げてきた。

ダニーとジョシュアはそんなバスティンの怒りをどうにか鎮めていた。

しかし…バスティンはラスター公爵家の人々を決して許すつもりはなかった。

体調が回復したら必ず自分への行動の罪を償わせてやると思っていたのだった。


しかし…

そんなバスティンの思いとは裏腹にバスティンがあと数日で動いても大丈夫だとなった日にダニーからファルコ、ジュナ、ユナの訃報が告げられた。

3人は公爵邸に帰る途中事故に遭い亡くなったとの事だった。


バスティンは突然の出来事に悲しみよりも悔しさだけが残ったのだった。


その後、バスティンは回復したがただれた皮膚は醜い痕として残った。

バスティンは左目には眼帯を…

左手には手袋をはめた。

そして…その後皇宮へと行き正式にバスティンがラスター公爵家の当主として認められ新たな公爵としての命を受けたのだった。


ラスター公爵家の当主となったバスティンは当主の仕事をしながら第2部隊の団長しての仕事もこなした。


そして…皇帝の命令により第2部隊の団長として長年に渡り地方での任務を全うしていたのだった。



ーー「そして…地方での任務を終えて帝都に戻ってきて今に至るのよね…。」


ステラはオンラブの小説内容を思い出して振り返ったのちに言った。


グスっ…

グスっ…


「本当に…オンラブを何度読んでもバスティンの今までの人生が私の胸を痛めたのよね…。どうしてバスティンばかりこんな辛く悲しい目に遭わないといけないのかって…。」


ステラはオンラブの小説内容を思いだし思わず涙ぐみながら胸を痛めて言った。


「グス…でも…大丈夫よバスティン…。これからの人生はそんなづらい過去さえ忘れてしまうくらいに私が最高に幸せだと思えるくらいバスティンを愛して幸せにしてあげるから!」


ステラは鼻水をすすりながら拳をギュッと握りながら言った。


「よし!バスティンにも堂々と宣言した事だしここからが私の本領発揮というわけね!オタクの本気とバスティンへの本気の愛を十分味わってもらいますか!」


ステラは自信満々にニヤリとしながら言った。


「じゃぁ…早速行動しますか!」


ステラは気合いを入れて言った。


「リサー!」


ステラは部屋の外にいるリサへ声をかけた。


コンコンッ…


ガチャ…


「ステラ様お呼びですか?」


リサが扉をノックして扉を開けてステラへ言った。


「うん!手紙を書きたいから用意してくれる?」


「はい。分かりました。」


ステラがリサへお願いするとリサが頷きながら応えた。


そしてリサが手紙を書く用意をしてくれるとステラは手際よく2通の手紙を書き終えた。


「リサ…この手紙を公爵様と公爵家の執事のドンクさん宛に出してくれる?」


「え?執事の方にもですか?」


ステラが手紙に封をするとリサへ手渡したながら言った。

リサは送り相手に驚き言った。


「ええ。ドンクさんもでいいのよ!」


「??分かりました。」


ステラはニヤリとしながら応えるとそんなステラを見てリサは??となるも応えて手紙を出しに行ったのだった。


(ドンクさんはバスティンの事を大切に思っている執事だからきっと手紙の内容を読んで協力してくれるよね。)


ステラは確信したかの様な表情で考えていた。


ラスター公爵家の執事のドンクとメイドのハナはファルコ達が生きてる時からラスター公爵家に仕えていた使用人で唯一バスティンの事を心から心配していた二人だった。

バスティンがファルコから体罰を受けてジュナとユナから虐待を受けていた時もドンクとハナはこっそりとバスティンの怪我の手当をしたり食事を与えていた。

自分が当主になった際に使用人は全て解雇したが自分に味方して心配してくれていた二人をバスティンは今でも使用人して雇っていたのだった。


(そんな二人だからこそ今日の私の態度で私のバスティンに対する思いは嘘ではないとすぐに理解してくれたんだもんね!)


ステラはにこにこしながら考えていた。


実は…ステラはバスティンの執務室から出て馬車までの道のりでドンクとハナと話をしていたのだった。



………ドンク「あ…あの…失礼ながら旦那様の事を本気で想っておられるのでしょうか。」


ハナ「…………。」


ドンクは少し不安気な表情でステラへ尋ねた。

一緒にいたハナも不安気な表情で聞き耳を立てていた。


ステラ「はい。もちろんです。」


ステラは満面の笑みで言った。


ステラ「あ…でも…公爵様を大切に思われているお二人からしたら急に現れた私が言っても信じられませんよね…。」


ステラは困った表情でドンクとハナヘ言った。


ドンク「あ…それは…。」


ドンクはステラの言葉に気まずそうに言った。


ステラ「でも…心配しないでください!お二人にもこれからの私の行動を見て私の気持ちが本物だと知ってくださればいいのですから!」


ステラは満面の笑みでドンクへ言った。


ステラ「それに…言葉でどれほど公爵様の事を想っているのか表すのであれば…毎日公爵様のお顔を拝みたいですし…欲を言えば寝顔も拝みたいです…毎日公爵様のお疲れをマッサージをして癒やしてあげたいですし…あっ!決して公爵様の体にただ触れたいだけなんて下心はないですよ?!いや…ないと言えば嘘になりますか…決して襲ったりはしません!とにかく公爵様の為に常に全力を尽くしたいのです!そして…いずれは公爵様と恋人になり夫婦となり死ぬまで公爵様に幸せだと思って貰えればいいなと思っているほど公爵様が大好きで仕方ないのです。後にも先にも公爵様以外にこれほどまで好きになれる人なんて現れないと言い切れます!」


ステラは惚れた様に言ったと思ったら急に何かを想像している様にニヤニヤして言ったかと思えば自分で言って自分で照れてしどろもどろしたと思えばとてつもなく幸せそうな表情を浮べて言った。


そんなステラを見たドンクとハナは二人で顔を見合わせた。


ドンク「……ご令嬢のお気持ちは十分伝わりました。」


ハナ「はい…。私も同じでございます。」


ドンクとハナは嬉しそうな笑みを浮べてステラへ言った。


ステラ「え?もうですか?!」


ステラは思わず驚き言った。


そんなステラにドンクとハナは笑顔で頷いた。


(そんなに早く信用できる要素どっかにあったわけ?!)


ステラはあまりに早くドンクとハナが自分の思いがどれ程が伝わったので若干混乱気味に考えていた。


ドンク「はい。今後…我々で力になれる事がありましたらお申し付け下さいませ。」


ハナ「私達ならばきっとご令嬢のお力になれると思いますので。」


ドンクとハナは微笑みながらステラへ言った。


ステラ「そうですか…?では…その時は是非よろしくお願いします!」


ステラは二人の言ってる事に嘘偽りないと理解し笑顔で応えた。


(とりあえずドンクさんに手紙が届いたらハナさんと手紙に書いてあるものを用意してくれて段取りもしてくれるはずだからあとは…明日私が公爵邸に行けばOKだよね!)


ステラはニヤニヤしながら考えていた。


そして…

ステラは早速明日の為の支度にとりかかったのだった…




ラスター公爵邸にステラからの手紙が届いた。


ドンクはバスティン宛の手紙をバスティンへ渡した。

そして自分宛の手紙はバスティンに見つからない様にハナと共に読んだ。


ドンクとハナは手紙を読み終えると二人で顔を見合わせて頷いた。

そして…

ステラからの手紙に書いてあったものを用意する為に準備し始めたのだった。


同じ頃バスティンは…

執務室でステラからの手紙を読んでいた。


「まったく、、本当に何なのだ。」


バスティンは手紙を読み思わず疲れた表現で呟いた。


「どうしたんだ?ステラ様からの手紙だろ?」


ペーターがバスティンを見て言った。


「あぁ、、。令嬢が明日も会いに行くから待っていて下さいねと。本気で毎日ここへ来るつもりなのか?はぁ、、。本当に何なのだ。」


バスティンは困り果てた表現でペーターへ言った。


「ハハハ、、。先程ここへ訪れたばかりなのにもう手紙を?何とも律儀じゃないか。それにバスティンだって彼女が本気な事はわかっているだろ?」


ペーターは思わず笑いを溢しながら言った。


「はぁ、、。本気だからこそ戸惑うところだな。だが…今は本気だとしてもすぐに諦めるだろう。師匠の娘だから邪険にもできないから令嬢が自分の行動に飽きるまでは我慢するさ。」


バスティンはため息混じりに言った。


「まぁ、もっと気楽に考えてもいいんじゃないのか?」


ペーターはバスティンの表情を見て苦笑いを浮べて言った。


(あの様子だと諦める事なんてないんじゃないかと思うがまぁそれは言わないでおくか。)


ペーターは苦笑いを浮べて考えていた。


「まったく他人事だと思って、、。」


バスティンはムスっとしてペーターへ言った。


「ハハハ、、。あ、それより今日から1週間ここで世話になるがよろしくな。」


ペーターがハッとなりバスティンへ言った。


「あぁ。客間をハナに頼んで掃除してもらったからそこを使ってくれ。」


「あぁ。ありがとう。助かるよ。」


バスティンがペーターへ言うとペーターはバスティンへお礼を言った。




そして…

翌日…


ラスター公爵邸では…


バスティンはいつもと同じ時間に起床し着替えを済ませて朝食を摂るために食堂へと向かった。


「おはよう!バスティン!」


バスティンが食堂へ着くと先にペーターがいてバスティンへ挨拶をした。


「あぁ。おはよう。」


バスティンがペーターへ言った。


バスティンが椅子へ座るとドンクがやってきた。


「旦那様、ペーター様おはようございます。お食事の方を運んでもよろしいですか?」


ドンクがバスティンとペーターへと言った。


「あぁ。頼む。」


「ドンクありがとう。お願いするよ。」


バスティンとペーターがドンクへ言った。


「かしこまりました。すぐにご用意致します。今朝の新聞はそちらへ置いておきました。」


ドンクがバスティンとペーターへ言った。


「あぁ。ありがとう。」


バスティンがドンクへ言った。


ドンクがその場を離れるとバスティンとペーターは新聞を手に取り読み始めた。


「バスティン、一昨日の事件が載ってるぞ。」


「ん?あぁ。そうだな。だが、我々が捕まえた奴は主犯格ではないだろう。恐らく主犯格は別にいるだろう、、。」


「あぁ。そうだろうな。バートン団長にも事件の事は伝えてあるから第一部隊の方にも話は耳に入っていないるだろう。」


「そうか。」


バスティンとペーターが新聞を読みながら一昨日帝都の街で起きた事件について険しい表情で話をしていた。


二人が話している最中に朝食が運ばれてきた。


バスティンとペーターの前に食事が並べられた。


バスティンの前にコーヒーカップがそっと置かれた。


「コーヒーをおつぎ致しますね。」


新聞を読んでいたバスティンに向かって女性が言った。


「あぁ。お願いするよ。」


「はい。」


バスティンはそう言われて新聞に目を向けたまま応えると女性は応えた。


そしてバスティンのカップにコーヒーが注がれた。


バスティンはカップを持ち新聞を見ながらコーヒーを一口飲んだ。


「?!!」


コーヒーを一口飲んだところでバスティンが何かおかしいと思いコーヒーを注いでくれた女性の方をバッと見た。


「あっ!公爵様おはようございます!」


バスティンが見た先には何とメイド服を着用したステラがにこにことして立っていて笑顔でバスティンへ挨拶をした。


「な、なっ何故令嬢がここへ?!」


目の前にステラがいることに訳が分からず驚きが隠せないバスティンはステラへ言った。


「公爵様に朝食をお作りして朝から美味しものを食べて頂く為ですけど?」


ステラはケロっとした表情で応えた。


(バスティンを幸せにするその①朝ごはんは元気の源!美味し朝食を作り食べてもらいしっかりと胃袋を満たしてもらい1日のエネルギーチャージをしてもう事!!前世でよくじーちゃんが言ってたもんね。朝食は毎朝抜かずしっかり食べる事…と!)


ステラはバスティンに言いながらそんな事を考えていた。


「為ですけど?って。そうではなくて何故朝から令嬢がここにいるんだ?!と聞いていのだ!私は許可した覚えはないんだぞ?!」


バスティンは少し声をあげて言った。


「昨日、今日も伺うと手紙をお出ししましたよね?それにドンクさんからも朝食作りのお手伝いを申し出たところ快よく了承して頂けましたので。そうですよね?ドンクさん?ハナさん?」


ステラはケロっとバスティンへ言うとドンクとハナの方を向いて笑顔で尋ねた。


「はい。ステラ様が旦那様の事を考えて献立を立てて下さると仰っいましたし旦那様の師匠であるバートン公爵様のご令嬢のお言葉をお断りするのは失礼だと思いましたし何よりも私もハナもいい歳でございます。ですので正直なところステラ様がお手伝いして下さるのはとてもありがたいことでしたので、、。」


ドンクは微笑みながらまるで打ち合わせでもしたかの様にすらすらとバスティンへ言った。


「ドンクの言うとおりでございます。実際にステラ様のお作りなる朝食は素晴らしいものでしたしステラ様のお陰で余裕を持って朝の支度が出来とても助かりました。」


ハナも微笑みながらバスティンへ言った。


ステラ、ドンク、ハナの話を聞いたバスティンは予想外の事態に唖然としていた。


「ブハッ!」


ペーターがその場の状況に我慢出来ず思わず吹き出した。


「ハハハ、、!もう我慢できない、、ハハ。」


ペーターがお腹を抱えて笑いながら言った。


「あ、ペーター様おはようございます。」


そんなペーターを見てステラがペーターへ言った。


「あ、おはようございます。ステラ様。」


ペーターは笑いを堪えながらステラへ言った。


「はぁ、ペーター一先ず笑うのはやめろ。そしてドンク、ハナ、、お前達はいつの間に令嬢と名前を呼び合う仲になり私の許可なく令嬢を邸に入れて好き勝手させたのだ?!」


バスティンはため息をつきながらペーターに言うとドンクとハナを睨みながら強めに言った。


(ドンクもハナも私が昔から勝手に人を邸に入れるのを嫌だと知っておきながらまんまと令嬢の口車に乗せられてこの様な事をするとは。毒でも盛られたらどうするつよりなのだ。)


バスティンは表情を歪めながらグッと拳を握り考えていた。


「分かった。」


ペーターは口元を押さえて頷きながら応えた。


バスティンに言われたドンクとハナは戸惑った表情をしていた。


「公爵様、全て私が勝手に行動してドンクさんとハナさんにお願いして協力してもらった事です。ですので、どうかお二人をお叱りになるのはやめて頂きたいです。」


ステラは戸惑うドンクとハナを見てバスティンへ言った。


「ハッ。身勝手な行動だとは認めるのだな。それならば二度とこの様な行動はしないでくれ!」


バスティンはステラの言葉を聞き吐き捨てる様に言った。


(これで諦めるだろう。)


バスティンは考えていた。


「それは出来ません!」


ステラはバスティンの予想を反した事を言った。


「何だと?!」


バスティンが思わず表情を歪ませて言った。


「私は一度決めた事に対して公爵様に何も伝わらないまま諦めるなどできません!」


ステラはドーンとした態度で言いきった。


「なっ、、!」


バスティンは言った。


「ですが、公爵様を朝から不快にさせてしまった事は事実です。」


ステラがバスティンへ言った。


「ならば、、。」


バスティンが言った。


「ですので、、一度期限を決めるというのはどうでしょうか?」


ステラがバスティンへ言った。


「期限、、だと?!」


バスティンがステラへ言った。


「はい。出来る事なら一生公爵様に私の想いを言葉と行動で示していきたいと思っていますが一先ず、、半年、、半年の間で私の想いが公爵様に届かなければその後は一切公爵様には私的に会いに来る事をきっぱりとやめたいと思います。この条件でどうでしょうか?!」


ステラは真剣な表情でバスティンへ言った。


(あれだけ啖呵を切っておいて急に半年だと?!やはり令嬢の本気など暇つぶしのお遊び程度だということだな。はぁ、、まぁ半年で私の気持ちが変わることはないだろうし半年経てばきっぱりとこういう事はやめるというのであれば私は助かるからな。)


バスティンはステラの言葉を聞いてそんな事を考えていた。


「、、、。分かった。その条件を飲もう。だが…本当に半年経っても何も変わらなければ必ず今後一切この様な行動はしないでらおう。それでいいな?」


バスティンは真剣な表情でステラへ言った。


「はい。分かりました。女に二言はありません!」


ステラは頷きながら言った。


「そのかわり、、。」


ステラがバスティンへ言った。


「そのかわり、、なんだ?」


バスティンがステラへ言った。


「この半年間は私の行動にもう文句は言わないで下さいね?!いいですか?」


ステラはバスティンの顔の前に自分の顔を近づけ念を押す様に言った。


「なっ!ちかっ!わ、分かった。分かったから離れろ!」


バスティンは急にステラの顔が近づいた事に動揺して慌てて応えるとステラの体を離した。


「言いましたね!絶対ですよ!はい!指切りしましょう!!」


ステラはバスティンの言葉を聞き嬉しそうに満面の笑みで言うとあえて左手の小指をバスティンに差し出した。


「あぁ。分かった。それでその小指は何だ?」


バスティンは半ば諦めた様に応えるとステラの差し出した小指を見て言った。


「指切りですよ!指切り!さぁ、左手の小指を出して下さい!」


ステラは小指をバスティンに突き出しながらバスティンにも小指を出すように言った。


バスティンは訳も分からず一先ずステラに言われた通りに左手の小指を差し出そうとした。


しかし…その時バスティンはハッとなった。


バスティンは左手に手袋をしていた事を忘れていた。


(手袋をしていた事をすっかり忘れていたっ。)


バスティンは左手を見て一瞬表情を歪めて思っていた。


そして、左手を引っ込めようとしたその時…


ステラがバスティンの左手を躊躇する事なく優しく掴みバスティンの左手の小指と自分の小指を絡めた。


そしてステラはとても優しく穏やかな表情をしていた。


バスティンはそんなステラの行動に驚いた表情をした。


(この令嬢は私の左手を見ても怖がらないのか?)


バスティンは指を絡めるステラを見て思っていた。


ステラは絡めた指をじっと見つめていた。


ドクン…

ドクン…


(バスティンの指、、バスティンの指、、バスティンの指の温もりが伝わってくる、、本物のバスティンの指、、。)


ステラは絡めた指を見ながら内心は尋常なく悶絶していたのだった…


その時…


ツーーー…


「おい!令嬢!鼻っっ!」


「えっ?鼻、、?」


「鼻血が出てるぞ!」


「えっ?鼻血、、?#&%∆×÷、、、!」


ステラの鼻から鼻血が垂れた…

それを見たバスティンが慌ててステラに言うとステラは鼻血に気づき声にならない声を出した。


そして、バスティンが目の前にあったナフキンでステラの鼻を押さえた。

ステラはナフキンで止血をした。


そしてしばらしくして鼻血が止まった。


「大丈夫なのか?」


「はい。失礼しました、、。」


バスティンがステラへ言うとステラは恥しそうに言った。


(アァーーー!バスティンの前で鼻血を出すなんてなんたる失態。己を呪いたい、、。)


ステラは恥しさのあまりそんな事を考えていた。


「いきなり鼻血を出すとは、、。」


バスティンが言った。


「申し訳ありません、、。公爵様の手に触れたと思ったらつい興奮して、、あっ、いえ、つい嬉しくなってしまい鼻血が、、。」


ステラは恥しすぎて苦笑いを浮かべわて言った。


「?!!」


バスティンはステラの言葉に驚いた。


(私の手に触れて嬉しいだと、、?)


バスティンは考えていた。


「さぁ、気を取り直して指切りげんまんっ!嘘ついたら針千本のーます、、指っ切った!」


ステラが恥ずかしいのを誤魔化す様に手を動かしながら言うとバスティンの指を離した。


「これで指切り完了です!指切りをしたんですからこれから嘘はダメですよ!」


ステラがバスティンへ言った。


「わっ、わかっている。」


バスティンが言った。


そんなバスティンを見てステラはクスっと笑った。


「さぁ!話はついたので朝食にしましょう!食事が少し冷めてしまったので温め直してきますね!」


ステラは笑顔で言うとバスティンとペーターの食事をドンクとハナと共に温め直しにキッチンへと向かった。



「バスティン…これから半年はステラ様から逃げれないな!」


ペーターがくすくす笑いながらバスティンへ言った。


「うるさい。あのままでは令嬢は一歩も引かなさそうだったからな。まぁ、半年の辛抱だ。」


バスティンが呆れた表情でペーターへ言った。


「クククク、、。」


ペーターはただ笑っていたのだった。


その後…

食事を温め直して貰ったバスティンとペーターは朝食を摂り始めた。


バスティンは毒を盛られて以降ドンクとハナ、ダニーとジョシュアとペーターが作った料理以外は皇宮のものですら口にしない程の徹底ぶりだったがこの日数年ぶりに他の人が作る料理を口にしたのだった。

最初は躊躇していたがペーターが美味しい美味しいと食べているのを見て思い切ってステラの作った食事を口にした。


(うまい、、。)


バスティンは食事を一口食べて思った。


温め直した食事を出された際にステラが…


「この朝食のほとんどは私の愛情と優しさが入っています♡」


なんてことを言っていたのを思い出したバスティンは心做しか胸に温かいものを感じた気がしながら食事を続けたのだった…


(良かった。バスティン食べてくれてる!これを期に誰かに作ってもらう食事は温かく美味しものだと感じてくれる様になるといいな。そしていつか私もバスティンと一緒に食事ができるといいなぁ〜。それにバスティン本人は気づいてない様だけどいつの間にか私にタメ口になってるんだよね。ふふ、無意識にタメ口になるくらいは不信感は減ったかな?)


ステラは食事をしているバスティンを愛おしそうに見つめながらそんな事を考えていたのだった…



それから…

ステラはほぼ毎日の様にラスター公爵邸に通った。


朝食はもちろん…

少しでも公爵邸を明るくしようと屋敷内に花を飾ったりカーテンを明るい色の物に変えたり…

荒れ放題だった庭の手入れをドンクとハナに手伝ってもらいながらしたり…

お茶時間にはステラが作ったお茶菓子と美味しお茶を入れたり…

時にはこっそりバスティンの執務姿や剣の稽古をする姿を覗いてデレデレして悶絶したり…

それがバレてバスティンにガミガミ言われてもそれすらも嬉しくてニヤニヤしてバスティンを呆れさせたり…

庭の木に登り気の手入れをしている姿をペーターに見られてペーターをあたふたさせり…

こっそり自分の写真をバスティンの寝室に置いたのがバレたり…


とにかくステラはバスティンが日頃からの少しでも幸せだと感じてくれたらいいなと思い奮闘していた。


バスティンもいつの間にかステラの行動にも慣れてステラが公爵邸に居るのが当たり前になっていた。


ステラは毎日にこにこ笑顔で暇さえあればバスティンへ"好き"という言葉を惜しみなく口にしていた。

初めはその言葉も鬱陶しく思っていたバスティンも時間が経つにつれて悪い気持ちにならなくなっていた。


ステラがラスター公爵邸に通い始めて6日程経った頃…


バスティンが昼前に執務を終わらせて自室に戻り出かける為の着替えをしようと部屋へ向かっている途中に客間から話し声がするのでそっと客間の報へ向かい少し開いている扉の隙間から中を覗いた。


中にはステラとペーターがいて二人が笑いながら話をしていた。


(あの二人、、いつの間にあの様に仲良くなったのだ?)


バスティンは二人の姿を見てモヤっとしたものを感じつつそんな事を考えていた。


「ハハハ、、。しかし、本当にステラ様は何事にも全力なのですね。先日ステラ様が木に登られているのを見て驚きましたがステラ様は怖いものなどないのですか?」


ペーターがステラとの会話が楽しくて笑いながらステラへと言った。


「怖いものですか?ん〜そうですね、、。強いて言うのであれは、、公爵様が傷つかれる事ですかね。」


ステラはん〜と考えながら応えた。


「バスティンが傷つくことですか?」


ペーターは不思議そうに言った。


「はい。ペーター様もご存知かと思いますが公爵様は世間ではあまりよく言われてないでしょう?それも公爵様の事を何も知らないくせに勝手な噂ばかり。たとえその噂が事実でないとしても噂というのは一人歩きしてその噂が公爵様の耳に入り公爵様が傷つく事になります、、。私はそんな他人の身勝手は噂のせいで公爵様がこれ以上傷つくのが怖いのです、、。」


ステラは悲しく苦しそうな表情でペーターへ言った。


(オンラブの話中でもバスティンは世間でありもしない噂を流さ…挙げ句にはファルコ達の事故はバスティンが仕組んだものではないのかとも言われていた。毒もファルコ達を陥れる為の自作自演じゃないかと、、。)


ステラはそんな事を考えていた。


「確かに人の噂というものは時に人をとても傷つけてしまうものです。ステラ様はバスティンの左目の眼帯と左手の手袋の意味を知っておられるのですよね?」


「はい。知っています。昔父から聞いたことがありましたので、、。」


ペーターがステラへ思い切って聞くとステラは頷きながら応えた。


(ペーターの奴余計な事を。やはり令嬢も傷痕の事を知っていたのだな、、。ハッ!令嬢は私の傷痕に同情でもするつもりか。)


バスティンは二人の話を聞きそんな事を考えていた。


「ステラ様はその、、バスティンの傷痕を恐ろしいとは思わないのですか?」


ペーターがステラへ思い切って尋ねた。


「いいえ。その様な事を思ったことなど一度もありません。むしろ公爵様の傷痕には感謝したいくらいです。」


ステラは首を振りながら真剣な表情でペーターへ言った。


(っ?!)


バスティンはその場を立ち去ろうとした時ステラの言葉を聞いて思わず振り返り驚いた表情を浮かべた。


「感謝ですか?」


ペーターは予想外のステラの言葉に驚き言った。


「はい。公爵様は毒を盛られて生死を彷徨ったとお聞きしました。ですが、一命を取り留められました。傷痕が残り公爵様は私が想像もできない程傷つき辛い思いをされたと思います。ですが公爵様の傷痕は私にとっては公爵様が毒に打ち勝ち生き延びた証なのです。公爵様が毒に打ち勝つ事が出来ず命を落としていたなら私は公爵様と出会う事も出来ず公爵様を好きになり幸せにする事もできなかったのです。ですから公爵様の傷痕には公爵様を生かせてくれてありがとう。お陰で私は公爵様と出会う事が出来ましたと感謝しています。」


ステラは途中胸が苦しくなるのを感じながらペーターに説明するも最後は偽りのない満面の笑みで言った。


「ステラ様は本当にバスティンの事を心から大切に思ってくださっているのですね。」


ペーターはステラの言葉を聞き胸が熱くなるものを感じながら嬉しそうに笑みを浮べて言った。


「もちろんです!」


ステラは笑顔で言ったのだった。


(、、、、。)


そんな二人の会話を聞いていたバスティンはそっとその場を離れて自室へ向かった。

自室へ向かうバスティンの口角は心做しか上がっている様だった…


その後…

バスティンとペーターは宮殿に用があるからと出かけていった。


二人が出かけた後…ステラとハナが庭の手入れをしていた。

ステラがそろそろ帰る時間になったと思った時…

突然スコールの様な雨が降り出した。

ステラとハナは急ぎ邸内に入った。


「物凄いスコールですね、、。」


「そうですね。突然降ってきたので驚きました。雨が止むまで帰れそうにないですね。」


「そのようですね。雨が止むまでは留まっておいて下さい。」


「はい。ありがとうございます。」


ハナが窓から外を見てステラへ言った。

ステラも窓の外を見ながら応えた。

ステラはこの雨では馬車を出せないと思い言うとハナは優しくステラへ言った。

ステラも優しく応えた。


しかし、しばらくしても雨は激しく降り続けた。


(バスティンとペーター様はこの雨の中帰って来て大丈夫なのかな。途中で事故なんかに遭わないといいんだけど、、。)


ステラは窓の外の激しく降る雨を見ながら考えていた。


その時だった…


ラスター公爵邸に馬車が到着した。


(バスティン?!)


ステラは馬車が到着したのを見て急いでタオルを持って玄関先へ向かった。


バンッ!!


すると勢いよく玄関の扉が開いた。


「公爵様!ペーター様!」


ステラは外からびしょ濡れで帰ってきたバスティンとペーターを見て慌てて言うと二人へ駆け寄った。


「ドンクさん!ハナさん!すぐにお風呂の準備をお願いします!」


ステラはステラと同じ様に玄関先に来ていた二人へ急ぎ言った。


「はい。かしこまりました。」


ドンクが応えるとドンクとハナは急ぎお風呂の支度をしに走った。


「公爵様、ペーター様大丈夫ですか?一先上着を脱ぎずタオルで体を拭いてください!」


ステラは慌てて二人へタオルを渡して言った。


「ステラ様ありがとうございます。助かります。」


ペーターは上着を脱ぎステラからタオルを受け取りながら言った。


「令嬢すまないな。助かるよ。」


バスティンも上着を脱ぐとステラからタオルを受け取り言った。


「いえ。それよりも風邪でも引いたらいけませんので早くお風呂へ、、、、。」


ステラが二人に言う途中で急に固まってバスティンの方を見ていた。


「あっ、、。」


そしてステラが思わず声を漏らした。


バスティンとペーターは何事思いステラの視線の先を見た。

ステラの視線の先には服が雨に濡れて体が透けていたバスティンの体の無数の酷い傷があった。


ペーターはハッとなった。


「公爵様、、その傷は、、

。」


ステラが声を震わせながらバスティン言った。


「見るな!!」


その時、バスティンが物凄い剣幕でステラへ怒鳴った。


そしてそのままバスティンは自室へと足早へ向かった。


バスティンに怒鳴られたステラはとても悲しい表情を浮べていた。


「ステラ様、、。」


ペーターはつかさずステラへ駆け寄り声をかけた。


「、、。私は大丈夫ですのでペーター様も急ぎお風呂へお入り下さい、、。」


ステラは下を向いたままペーターへ言った。


「っ、、。分かりました、、。」


ペーターは下を向いたままのステラの表情が分からずそれ以上何も言えないと思い応えると客間へと向かったのだった…。


そして、ステラはその場に立ち尽くした…


バスティンは自室に戻ると乱暴に扉を開け閉めた。


そして…

バスティンの脳裏にバスティンの体の傷痕を見たときのステラの表情を歪ませた顔が浮かんだ。


「クソっ!!」


バスティンは悔しそうな表情で思い切り壁を叩きつけて言った。



その後…

ステラは客間で1人座っていた。


そこへステラを気にした風呂上がりのペーターがやってきてステラの向かい側に座った。


「ステラ様先程は、、。」


ペーターは気を使いながらステラへ言った。


「ペーター様、公爵様の体にあった無数の傷は…戦いの時のものですか?それとも、、。」


ステラは今にも泣いてしまいそうな顔でペーターへ尋ねた。


「あ、それは、、。」


ペーターはとても気まずそうに言った。


そして、しばらくその場に沈黙が続いた。


そして…


「バスティンの体の傷は、、戦いのものもありますが大きな酷い傷痕は元公爵様と義母である元公爵夫人から体罰や虐待を受けた時にできたものです、、。左腕の肘から下にかけての傷痕は毒に侵された時のものです。」


ペーターは悩んだ末にステラへと話した。


ペーターの言葉を聞いたステラは何ともいえない気持ちになり表情を歪ませた。


そして、自然とステラの目から大粒の涙が溢れた。


その時…


「ペーター、、余計な話はするなと前々から言っていたのを忘れたか?」


二人の元へ風呂を済ませたバスティンがやって来てペーターへ低い声で言った。


「あ、バスティン。それは、、。」


ペーターは急に現れたバスティンに驚き戸惑い言った。


そしてバスティンは涙を流すステラの方を見た。


「令嬢、、私は同情はいらない、、。」


バスティンは冷たくステラへ言った。


すると…


「うわぁぁぁぁ〜〜〜んんん!うわぁぁぁぁ〜〜〜んん!」


ステラが突然大声で泣き出した。


いきなり大泣きし始めたステラにバスティンとペーターは驚き固まった。


「ス、ステラ様?!」


ペーターは大泣きするステラに慌てて言った。


すると…

ステラは立ち上がりバスティンの前まで歩いた。


そして、バスティンの洋服の裾をチョコんと摘んだ。


「令嬢、、?なんの真似だ?」


バスティンはステラを見下ろし言った。


「うわぁぁぁぁ〜〜〜んん!」


するとステラがまた大泣きし始めた。


そんなステラにバスティンはギョっとなった。


「グスッ。ごめんなさい、、。グスッ、、。」


ステラは涙を止めようも止まらないままバスティンへ言った。


「何故令嬢があやまるのだ?同情したことを謝ってるのか?それなら謝る必要などない!」


バスティンが不快な表情でステラへ言った。


「グスッ、、ち、違います、、。グスッ。もっと、、もっと、、私が早く公爵様に出会えてたら公爵様が辛い時に側にいて守ってあげることができたのに、、。そんな酷い傷作らせりしなかったのに公爵様が辛くて痛い思いをしてる時に…側にいてあげられなくてごめんなさい、、。ごめんなさい、、。グスッ、、。」


ステラは泣きながらも必死でバスティンの洋服の裾を掴みながら言った。


「、、、、。」


バスティンはステラの思いもよらない言葉に言葉を失った…。


「グスッ。これからは私が近くで公爵様を守ってあげます、、。グスッ…そして誰よりも公爵様を幸せにしてあげます。もう誰にもあなたの事を傷つけさせたりしません、、。」


ステラは更に強くバスティンの洋服の裾を握りながら言った。


(私は、バスティンの事わかっていた様で何もわかってなかったんだ。オンラブの話中の話だけ読んで勝手にバスティンを理解した気でいただけなんだ。バスティンは…私が思っていたよりもずっと、、ずっと闇が深くて傷ついてたんだ。)


ステラは胸を痛めながら考えていた。


「うわぁぁぁぁ〜〜ん!うわぁぁぁぁ〜〜ん!」


ステラはまた大泣きし始めた。


(バスティンごめんね、、。あたなの本当の痛みに気づけなくて。私決めたよ。私が絶対に本当に誰よりもバスティンを幸せにしてあげるから。バスティンが傷つく暇なんてないくらいだからね。)


ステラは今まで以上に改めてバスティンを幸せにしたいと心に強く決めたのだった………

ご覧頂きありがとうございます★


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