23.じゃじゃ馬令嬢は違和感を覚える
23.じゃじゃ馬令嬢は違和感を覚える
ステラが《クイーン》の称号を授かって半月後…
ステラは首都の街へ訪れていた。
目的はインビンシブルに狩猟大会の獲物の加工をお願いしていたのだがその加工品が完成したと連絡を貰い受け取りに行く為だった。
(ようやく完成したよ〜。やっぱり動物の毛皮の加工だから結構時間かかったみたいだけどきっとルイルイだから早めに完成した方だよね。ルイルイに会うのは何だかんだで狩猟大会の日以来だなぁ。体調が回復してから一応手紙は送ったけど心配してるよねぇ)
ステラはインビンシブルに向かい歩きながらそんな事を考えていた。
そしてステラはインビンシブルに到着した。
カランカラン…
「やっほ〜ルイルイ!久しぶり〜!」
ステラが笑顔で店に入るとアルイへ言った。
「ステラ?!もう大丈夫なのか?!」
アルイは店に入ってきたステラを見て驚いた表情を浮かべて言った。
「うん。もう平気よ。ようやく首都に行ってもいいって許可がお父様から下りたからやっとルイルイに頼んでた物取りに来れたよ」
ステラは困り笑みを浮かべて言った。
(まったくお父様ときたら体調はとっくに回復してるってのになかなか外出させてくれなくてたまったもんじゃなかったんだよね。心配からなんだろうけどあまりにも期間が長すぎなのよ。あたしは1日でも早くルイルイが完成させてくれたものを取りに来たかったのに)
ステラは呆れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「言ってくれれば完成品をバートン公爵邸へ送ってやったのに」
アルイは困った表情を浮かべて言った。
「自分で受け取りに来たかったのよ」
ステラは笑顔で言った。
「まったく、、。狩猟大会の日以来ステラの容態が気になってたんだぞ?あの日ラスター団長がぐったりしたステラを抱えてるのを見てどれだけ肝が冷えたことか、、手紙で体調が回復したと言われても心配してたんぞ?」
アルイは心配気な表情を浮かべて言った。
(ステラのあんな姿を見た瞬間に恐怖で体が強張った。あんなにぐったりして真っ青で腕には血が滲んていて一瞬嫌な予感が頭を過ぎった程だなからな)
アルイは複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「心配かけてごめんね。でも私はこの通りもうピンピンしてるわ」
ステラはドヤ顔を浮かべて言った。
「あぁ、、そうみたいだな。元気そうで本当に良かったよ」
アルイはふっと笑みを浮かべて言った。
(本当に良かった)
アルイはそんな事を考えていた。
「腕の傷は大丈夫なのか?パッとしか見えなかったが腕に血が滲んでいただろう?」
アルイは表情を歪めて言った。
「あぁ、傷はほぼ治った感じだけど傷跡は残るみたい」
ステラはあっけらかんとした表情で言った。
「何だと?!傷跡が残るだと?!そんな見える場所にか?!」
アルイはステラの言葉に驚き思わず声を大きくして言った。
(今の季節は長袖を着ているが暖かくなると場所的に隠そうにも隠せないんだぞ?!そんな場所に一生残る傷跡が残ったのか?!)
アルイは驚愕しながらそんな事を考えていた。
「えぇそうよ」
ステラはアルイの表情に反してきょとんとした表情を浮かべて言った。
「そうよって、、その傷痕のせいで一生後ろ指さされることになるかもしれないんだぞ?!」
アルイはムッとした表情を浮かべて言った。
「別に構わないけど?後ろ指指したい人も陰口言いたい人も勝手に言わせておけばいいんだから。だって私はこの傷痕は最高の勲章だと思ってるから誰に何を言われてもどうでもいいわ」
ステラはドヤ顔で言った。
「勲章だって、、?」
アルイはステラの予想外すぎる言葉に思わず豆鉄砲をくらった様な表情を浮かべて言った。
「そうよ!あっ、別に殿下を庇って負った傷だからとかではないからそこは絶対に勘違いしないでね!」
ステラはハッとなり念を押すように言った。
「いや、そこは勘違いもなにもないさ、、」
アルイは更に口をぽかんと開けた表情で言った。
「それならいいわ。傷痕が残るって聞いた時に私は真っ先にこの傷痕は公爵様とお揃いになれた事の勲章だって思ったの。お揃いなんて軽々しく言うのはあれかもしれないけれど私に傷痕が残る事でこれからは公爵様一人周りからの心無い言葉に傷つかなくて済むって思ったの。公爵様はこまで傷痕のせいで心無い言葉を沢山浴びてきたでしょう?きっと口には出さないけど辛い思いを沢山してきたはずだわ。でもこれからは私が公爵様の隣にいる限りもう公爵様に辛い思いはさせないわ。きっと周りは女性である私に残った大きな傷痕を見て心無い言葉を言いながら哀れな目で見てくるでしょう?でも私はそんな言葉や視線を向けられても何とも思わないわ。言わせたい人達には勝手に言わせておけばいいわけだから。」
ステラは自信満々の表情を浮かべて言った。
(本当に前世で"オンラブ"を読んでる時からずっと思ってた。もしあの傷痕さえなければバスティンはきっとステラの提案に耳を貸して協力して処刑される事なく幸せに暮らせてたんじゃないかって、、だからあたしがステラになったからには絶対にこれ以上バスティンの陰口たたく人達を黙らせてやるんたから)
ステラは意気込むようにそんな事を考えていた。
「まぁ要するに公爵様がこれ以上傷つかない為に得た私の最高の勲章だってことよ」
ステラは満面の笑みで言った。
「ハハ、、本当にステラの発想には恐れ入るよ。国のどこ探したって傷痕が残る事に対してそんな風に自信満々に言う女はステラ以外いないだろうよ」
アルイはまいったと言わんばかりの困り笑みを浮かべて言った。
(それに自分の傷痕で相手を守ろうと迷いなく断言出来る女もな)
アルイはそんな事を考えていた。
「そうでしょうね!」
ステラはニヤリと笑みを浮かべて言った。
「だがバートン団長達はステラに傷痕が残ると聞いて気が気じゃなかっただろうな」
アルイは複雑な表情を浮かべて言った。
「気が気じゃないどころではなかったわよ、、本当に家族皆、、ううん、、私の侍女に公爵家の使用人達に公爵様や殿下、、更には両陛下までまるでお葬式みたいな表情しててたまらなかったわよ。当の本人である私が気にしてないって言ってるに」
ステラは呆れた様な困った様な表情を浮かべて言った。
(本当に皆心配性すぎるんだよねぇ)
ステラはそんな事を考えていた。
「いや、それが普通の反応だろう、、」
アルイは苦笑いを浮かべて言った。
「ハハハ、、そっか」
ステラはバツが悪そうに微笑みながら言った。
「あっ!それより完成品を見せてよ」
ステラはハッとなり言った。
「あぁそうだったな。これだよ」
アルイもハッとなり言うとステラへ箱を手渡した。
「ありがとう。開けてもいい?」
ステラは箱を受け取ると目を輝かせて言った。
「もちろんさ」
アルイは微笑みながら言った。
アルイがそう言うとステラは箱を開けて中身を確認した。
「うわぁぁぁぁ〜!」
ステラは中身を見るなり大興奮で言った。
「最高だわ!最高の仕上がりよ!私が想像してた通りの出来だわ!」
ステラは中身を手に取り目を輝かせながら見て言った。
「さすがルイルイね!」
ステラは満面の笑みを浮かべて言った。
そんなステラを見てアルイは優しく微笑んだ。
「まさか貴重はミンクに加えて熊までステラの戦利品になるとはな」
アルイが言った。
「熊はびっくりしたわよ!でも貰える物は貰っとけっていうじゃない?だからありがたく受け取ってこうして温かい熊の毛皮で作ったベストを作って貰う事が出来たんだからね」
ステラはご機嫌で言った。
「確かにな。眼帯と手袋は外側は毛皮で内側は劣化しにくい様にしっかりと強化した皮を使ったから長持ちするだろう」
アルイが説明した。
「もう本当にルイルイは天才ね!ルイルイ以外にこんな素敵なもの作れないわ!本当にありがとう!」
ステラは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて言った。
ドキッ…
「あぁ」
アルイは少し照れくさそうに微笑みながら言った。
(今の胸の高鳴りは何だ?まぁそれはいいとしてこれだけ喜んでくれたなら引き受けた甲斐があったな。ステラはいつだって嘘偽りなく俺を心から褒めてくれる唯一の女性だからな)
アルイは胸に高鳴りを感じつつその正体を気にせずそんな事を考えていた。
「それと狩猟大会の時に間に合わせて作ってくれた防具や小道具もありがとね。想像以上に大活躍だったわ。ルイルイが完璧な防具を作ってくれたお陰で今こうして私の腕が繋がってる様なものだからね。あの防具がなかったら今頃私の左腕はなかったもの」
ステラが笑顔で言った。
「本当にいつもありがとう。これよかったらもらって」
ステラは笑顔でそう言うと箱の中から加工品の一つを取り出してアルイに差し出した。
「これは?」
アルイは差し出された物を見て驚いた表情を浮かべて言った。
「ルイルイへの感謝の気持ちを込めたプレゼントよ」
ステラは笑顔で言った。
「俺に?ラスター団長へじゃなく?」
アルイは驚いた表情を浮かべたまま言った。
「これはルイルイへのプレゼントよ。ルイルイの負傷した方の足の膝に着用するものよ。古傷って寒い時期に疼いて痛くなるって言うでしょ?だからそれを着用したら古傷の部分を温かくしてくれるか傷の疼きも緩和されるはずよ。なんたって貴重動物のミンクの毛皮で作ってるんだから」
ステラは笑顔で言った。
「ありがとう、、こんな貴重な物を俺なんかに」
アルイは信じられないという表情を浮かべて言った。
「俺なんかじゃないでしょ?ルイルイはいつも最高の物を作ってくれてるんだから感謝してもしきれないくらいだもの」
ステラは微笑みながら言った。
「あっ!でもこれからも色々お願いするからその事前感謝も含めてだから」
ステラは笑いながら言った。
「そうかよ。分かったよ。これからも任せておけ。」
アルイはふっと笑みを浮かべて言った。
「とにかくありがとな」
アルイはふっと笑みを浮かべたまま言った。
「どういたしまして」
ステラは笑顔で言った。
(本当にステラは今まで俺に近づいてきた女とは大違いだな。アルイとして俺を見てくれる女は後にも先にステラだけかもしれないな、、)
アルイは胸が温かく締め付けられのを感じながらそんな事を考えていた。
「残りの頼まれていた物も別々の箱に入れてあるから一緒に持って帰るといい」
アルイが残りの二箱もステラの前に置いて言った。
「ありがとう。こっちはこの箱と一緒に持って買えるけど最後の一箱はバートン公爵邸に送ってもらえる?家族や邸の使用人達への贈り物だから」
ステラが置かれた二箱の中身を確認しながらアルイへ言った。
「こっちの箱だけ送っとけばいいんだな?分かった。もう一つの箱はどうするんだ?」
アルイが指示された箱を確認しながら言った。
「こっちのは今から孤児院へ持っていこうと思ってるのよ」
ステラが言った。
「孤児院へ?」
アルイは不思議そうに言った。
「えぇ。前に私が拉致?された時に一緒に捕まってた子の一人が孤児院の子だったのよ。だからその子に会いに行くのと一緒にこの加工品と肉をお土産に持っていこうと思ってね」
ステラが説明した。
(あの時は孤児院にいる子まで拉致するなんて本当に虫けらみたいな人達だなって腹立ったなぁ。そういえばあの男達ってどうなったんだろ?その後の話はそういえば聞いてないし聞けそうにもなかったよね)
ステラはそんな事を考えていた。
「そうだったのか。孤児院の子供達もきっと喜んでくれるだろうな」
アルイは頷きながら言った。
「そうだといいわね。ついでに子供達とも思い切り遊んでくるわ。回復後の体慣らしにもいいしね」
ステラは笑顔で言った。
「あんまりはしゃぎすぎるなよ」
アルイはふっと笑みを浮かべて言った。
「わかってるわよ」
ステラが頬を膨らませながら言った。
「あっ!そろそろ行くわね。公爵様と待ち合わせしてるから遅れたら悪いから」
ステラはハッとなり言った。
「ラスター団長も一緒に孤児院へ行くのか?」
アルイが複雑な表情を浮かべて言った。
「えぇ。このプレゼントを渡してから一緒に孤児院へ行く予定なの」
ステラは嬉しそうに頷きながら言った。
「そうか、、」
アルイは笑みを作りながら言った。
「実はね、、この度公爵様と恋人同士になったの!」
ステラは満面の笑みを浮かべて言った。
「恋人同士に、、?」
アルイは驚きと同時に胸がツキンっと痛むのを感じながら言った。
「そうなの。公爵様が私を1人の女性として好きだと言ってくれたのよ。私は夢じゃないかと思ったくらい信じられなかったけど夢じゃなかったのよ!ずっとずっと夢見てきた事が現実になったのよ。せっかく公爵様と両思いになれたのにお父様が色々と条件を出してきたものだからなかなか公爵様と出かけられなかったんだけどようやく今日予定が合って出かける事が出来たってわけよ」
ステラは嬉しそうに微笑みながら言った。
(ステラとラスター団長が恋人同士にか、、。ラスター団長がステラを好きになったか、、。そりぁそうだよな。あんなに真っ直ぐ気持ちを伝えられた上に相手はステラだ。好きにならない訳がないよな、、)
アルイは胸がツキンと痛むのを感じながらそんな事を考えていた。
「良かったな。ラスター団長を一途に想ってきたお陰だな。仲良くやるんだぞ」
アルイは笑みを作りながら言った。
「ありがとう」
ステラは笑顔で言った。
「あっ!本当にそろそろ行くね。また連絡するわね。今日はありがとう」
ステラはハッとなり言うと急ぎ足で出入り口へ向かった。
「あぁ。気をつけてな」
アルイは手を軽く振りながら言った。
そんなアルイにステラは笑顔で手を振りながら店を出ていった。
「ハハッ、、。まさかこの俺が誰かを想う日が来るとはな、、。それも叶わぬ相手に、、。こんな気持ちになるなら自分の気持ちに気づかなきゃ良かったな。だがたとえ叶わぬ想いだとしてもステラは俺を俺として見てくれた初めての女だ。俺に出来る事でステラが笑ってくれるならそれはそれで悪くないな、、」
アルイはステラからのプレゼントを見ながら切ない表情を浮かべて呟いたのだった。
※
ステラはインビンシブルを後にするとバスティンと待ち合わせ場所にしていた馬車を停めた場所へと足早に向かった。
(バスティンもう来ちゃってるかなぁ。バスティンを待たせる訳にはいかないよね。あぁ〜何だかんだでお久しぶりはバスティン。お父様が休養を無理強いしたせいで全然バスティンと会えなかったんだもんねぇ。あぁ〜早くバスティンに会ってバスティンを拝んでこのプレゼント渡したいなぁ〜)
ステラは待ち合わせ場所に向かいながらそんな事を考えていた。
そしてステラが待ち合わせ場所まで到着した。
「公爵様!」
ステラが先に到着していたバスティンを見るなり言った。
「お待たせして申し訳ありません」
ステラはバスティンの元まで駆け寄ると慌てて言った。
「私も今来たところだ。ステラ嬢は先に到着していた様だがどこか行っていたのか?」
バスティンが言った。
「インビンシブルに用があったもので少しだけ寄ってきたのです」
ステラが言った。
「アルイのところへ?」
バスティンが少し眉をひそめて言った。
(またアルイか、、。あの女嫌いのアルイがここまで頻繁にステラ嬢と会うとは。ステラ嬢はアルイに対して異性の感情は持っていないにしてもどうも気にくわない)
バスティンは内心は不機嫌にそんな事を考えていた。
「はい。ルイルイに作製依頼をしていて依頼した物が完成したと連絡を貰ったので今日受け取りに行って来たのです」
ステラは笑顔で言った。
(ふふふ。バスティンへのプレゼントだけどね。バスティン喜んでくれるかな)
ステラはそんな事を考えていた。
「アルイに何を依頼したのだ?」
バスティンは眉をひそめたまま言った。
「これです」
ステラはそう言うと笑顔で箱をバスティンへ差し出した。
「これは?」
バスティンが不思議そうに言った。
「公爵様への贈り物です」
ステラは満面の笑みで言った。
「私への贈り物?」
バスティンは少し驚いた表情を浮かべて言った。
(アルイに依頼していたのは私への贈り物だったのか。そうとも知らず私はまた勝手に嫉妬してしまったのか。よくないな)
バスティンは内心自分の心の狭さを感じながらそんな事を考えていた。
「はい!狩猟大会の表彰式で私の獲物は公爵様に贈ると言ったでしょう?言葉通り公爵様に贈りますね。何と言ってもこの贈り物を公爵様に贈りたくて狩猟大会に参加したのですから」
ステラはどや顔で自信満々に言った。
「私に贈る贈り物の為に狩猟大会へ参加しただと?!」
バスティンは驚いた表情を浮かべて言った。
「はい。あの時はそういう理由とは言えませんでしたけど今はもう隠す必要がありませんので」
ステラは笑いながら言った。
「その為にあんな目に、、」
バスティンは表情を暗くしながら言った。
「はい!そんな顔しないで下さい!とにかく開けてみて下さい」
ステラは困った表情で言うもすぐに目を輝かせて催促する様に言った。
「あ、あぁ」
バスティンは頷きながら言うと箱を開けて中身を見た。
「これは、、」
バスティンは箱の中身を見て驚いて言った。
「ミンクの毛皮を使った眼帯と手袋。それに熊の毛皮で作ったベストです。これからは更に寒さが増してくるでしょう?だから任務の時に少しでも公爵様が寒くない様にと。それに寒さで傷痕が少しでも疼かずに済むかなと思いまして」
ステラは満面の笑みで説明した。
("オンラブ"のストーリーだとアーノルドがミンクをGETするんだったけどあたしが横取りしたんだもんねぇ。やっぱりバスティンが着けるなら最高級の物じゃないとだしね)
ステラはルンルンでそんな事を考えていた。
「私の古傷が寒い時期になると疼事を何故知ってるのだ?」
バスティンは驚いた表情のまま言った。
「それはもちろん私が公爵様を大好きだからです!」
ステラは自信満々に笑顔を浮かべて言った。
(それもあるけど"オンラブ"で一瞬そんな描写があったんだよね)
ステラはそんな事を考えていた。
「そうか、、」
バスティンはフッと口角を上げて言った。
(私の事が大好きだからか、、。本当にステラ嬢には敵わないな)
バスティンはそんな事を考えていた。
「それでどうですか?気に入って頂けましたか?」
ステラは身を乗り出しながら真剣な表情を浮かべて言った。
「あぁ。もちろんだ。気に入ったよ」
バスティンはフッと優しい表情になり言った。
「良かったです。気に入ってもらえなかったらどうしようって内心ドキドキしてたので」
ステラはホッとすると笑みを浮かべて言った。
(良かったぁ。気に入ってもらえて。もし気に食わないなんて言われたらあたし半年は寝込んでたな)
ステラはそんな事を考えていた。
「そんなことはないさ。ステラ嬢からの贈り物なのだからな。ありがとう大切に使わせてもらうよ」
バスティンは優しく微笑みながら言った。
(バスティンの笑みの破壊力!毎回毎回破壊力が凄すぎて心臓何個あっても持たないよ。でも、バスティンがこんな風に色々表情を出してくれて嬉しいなぁ)
ステラはドキドキしながらそんな事を考えていた。
「はい」
ステラは嬉しそうに微笑みながら言った。
「、、良ければ今着けてもいいか?」
バスティンが言った。
「もちろんです」
ステラは笑顔で言った。
「そうか」
バスティンはホッとした表情を浮かべて言った。
そしてバスティンは今着けている眼帯と手袋を外してステラからの贈り物に着け替えた。
「凄くお似合いです!公爵様をイメージして作ってもらっただけあります。それで、、着け心地はどうですか?」
ステラが目を輝かせていうと真剣な表情になり言った。
(ちょっ!反則!バスティン素敵すぎる!今まで着けてた黒基調の物とはまた違ったダンディーさがたまらない。いい!良すぎる!グッジョブあたし!てか、バスティンなら何を着けようが着ようが何でも似合う100点満点)
ステラは自分が贈った物を着けてくれたバスティンを見て内心は悶絶しながらそんな事を考えていた。
「あぁ。いいな。それに本当に暖かいな」
バスティンは頷きながら優しい表情を浮かべて言った。
(何よりステラ嬢の気持ちが伝わってくる様だ、、)
バスティンはそんな事を考えていた。
「良かったです。頑張ってミンクを仕留めた甲斐がありました」
ステラは嬉しそうに言った。
「ベストの方は騎士団の任務の時にでも使って下さいね」
ステラは笑顔で言った。
「あぁ。本当にありがとう」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
「はい」
ステラは笑顔で言った。
「それでは孤児院へ向かうか?」
バスティンが言った。
「はい」
ステラは頷きながら言った。
そして2人は孤児院へ向かって歩き出した。
「久しぶりに会えたというのに行き先が大道芸でなく孤児院で申し訳ありません」
ステラは申し訳なさそうに言った。
「それは構わないさ。目的があって訪問するのだろう?」
バスティンが言った。
「はい」
ステラは頷きながら言った。
「それならば気にする事はない。それに2人で出かけるのならば行き先はどこでも構わないからな」
バスティンはふっと笑みをは浮かべて言った。
(バスティン優男!好き!こういう優しい所もあたしが好きになった理由の一つ。てか、マジでバスティンの笑みヤバい!毎回破壊力がありすぎてえらいことだわ)
ステラはドキドキしながらそんな事を考えていた。
「公爵様、、公爵様の笑みは破壊力が強すぎて心臓がいくつあっても足りません」
ステラは真剣な表情を浮かべて言った。
「ハハ!何だそれは」
バスティンが思わず笑みを溢して言った。
「だからそれですってば!」
ステラは頬を膨らませながら言った。
「ハハ!」
バスティンは笑った。
(不思議だな。ステラ嬢と一緒だと本当に自然に笑みが溢れてしまう)
バスティンはそんな事を考えていた。
カシャッ!
「フフ、、笑顔頂きました」
ステラがバスティンに瞬時にカメラを向けて写真を撮るとニヤリと笑みを浮かべて言った。
「おい!」
バスティンが思わず言った。
「前にちゃんと言ったでしょう?今度は絶対写真チャンスを逃さないと」
ステラはにんまりした笑みを浮かべて言った。
(あたしのオタク魂をなめてもらっちゃあ困るもんね。前にバスティンの笑顔撮れなくてどれほど悔やんだことか、、。あの日依頼常にカメラを持ち歩いてるからね。これからはどんどんあたしの部屋にバスティンの写真が増える予定だもんね♪)
ステラはニヤニヤしながらそんな事を考えていた。
(ステラ嬢のあの部屋にまた私の写真を飾るつもりなのだろうか)
バスティンはニヤニヤしているステラを見てそんな事を考えていた。
「本当にブレないな」
バスティンは呆れた表情を浮かべて言った。
「はい!もちろんです」
ステラはどや顔で言った。
「まったく、、」
バスティンは呆れた表情を浮かべて言った。
(だが嫌な気はしないから困るな)
バスティンはそんな事を考えていた。
「それで何故孤児院なのだ?」
バスティンがふと気になり言った。
「あぁそれは、、私が拉致された時に一緒に捕まってた子のうちの1人が孤児院の子だったんですよ。それでその後元気にしているのか様子を見に行きたかったのもありますが公爵様の物とは別にルイルイにお願いして加工品を作ってもらったんです。孤児院に寄付する用に。一緒にお肉も渡そうと思って」
ステラが説明した。
「あぁ確かにあの中に1人孤児院の子が居たな」
バスティンはその時の事を思い出した様に言った。
「師匠達から贈られた獲物を使ったのか?」
バスティンが言った。
「いいえ。お父様とお兄様から贈られた獲物達を使った加工品は2人への贈り物返しにします。その方が2人とも喜ぶしご機嫌取りにもなるでしょう?」
ステラはニコリと笑みを浮かべて言った。
「まぁ、、確かにそうだな」
バスティンは苦笑いを浮かべて言った。
「ふふ。なので殿下から贈られた獲物達を惜しみなく使わせて頂きました」
ステラはどや顔で言った。
「何?!殿下から贈られた獲物を使った物を孤児院へ寄付するのか?!」
バスティンは驚いた表情を浮かべて言った。
「はい」
ステラはきょとんとした顔で頷きながら言った。
「そ、そうか」
バスティンはステラの表情を見て少し驚いた表情を浮かべて言った。
(狩猟大会でこれまで殿下が令嬢に獲物を贈ったことがなく今回ステラ嬢に贈ったことでどれ程貴族達がざわついていたことか。それに殿下から獲物は贈られるという事がどれほど光栄なことか、、。今回贈る理由としては殿下を身を挺して守ったというていだったがあの時の殿下の表情を見る限りそれだけが理由とは言い難かった気がした。だが、その事をステラ嬢には何故だか言いたくないと思ってしまった)
バスティンはそんな事を考えていた。
(当の贈られた本人は殿下から贈られた事に対して特に何も思ってなさそうだということにホッとした自分がいる、、)
バスティンはそんな事を考えていた。
(ステラ嬢の事を好きだと気づいてから私は本当に器量が狭いと思い知らされるな)
バスティンは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。
「私は孤児院へ訪問するのは初めてなのですが公爵様は訪問された事はありますか?」
ステラがバスティンへ言った。
("オンラブ"の話中ではグレイスとアーノルドが2人で孤児院に行ってた場面はあったけどバスティンかま行って場面なんてなかったからね)
ステラはそんな事を考えていた。
「いや、、行ったことはない。私が訪問して子供達を怖がらせる訳にはいかないからな」
バスティンは平然とした表情で言った。
(最近はステラ嬢のお陰で帝都の街の人々の私に対する視線が変わったといってもごく一部に過ぎないからな)
バスティンはそんな事を考えていた。
「公爵様は怖くなんてありません!だからきっと大丈夫ですよ。きっと今日を境に孤児院の人達も子供達も公爵様が本当は素敵な人だって気づくはずですから」
ステラは笑顔で言った。
(そうよ。バスティンは皆が怯える様な存在じゃないもんね。国を守ってるし優しいし男らしいしでいいとこしかないんだから)
ステラはフンっと鼻を鳴らしながらそんな事を考えていた。
「不思議だな、、。ステラ嬢がそう言うと本当にそうなる様な気がするな」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
「その様な気がするのではなくそうなのですから!」
ステラはニカッと笑いながら言った。
「あっ、でもどうしましょう。公爵様が最高の男性だと気づいた子供達が公爵様に惚れてしまったら、、」
ステラはギョッとした表情を浮かべて言った。
(そんな事になったらえらいことだよ)
ステラはそんな事を考えていた。
「ハハ。そんな事を本気で言うのは君くらいだな」
バスティンはクスっと笑いながら言った。
「ちょっと笑い事ではありませんよ。私はいたって真剣なのですから」
ステラが頬をプクッと膨らませながら言った。
そんなステラを見てバスティンは穏やかな表情を浮かべていたのだった。
そしてしばらく歩くと2人は孤児院へと到着した。
(ここが"オンラブ"で登場した孤児院か。孤児院の描写もアーノルドとグレイスが主だったから所々しか描かれてなかったけどこんな感じだったんだね。想像してたより広い孤児院なんだね)
ステラは孤児院を見てそんな事を考えていた。
そして、2人は孤児院内へと入った行った。
「こんにちは。ごめんください」
ステラが孤児院へ入ると言った。
「はい、、こんにちは」
すると中から女性が現れ言った。
「突然の訪問申し訳ありません。私はバートン公爵家のステラ・バートンと申します」
ステラが女性へ丁寧に挨拶をした。
「私はラスター公爵家のバスティン・ラスターです」
バスティンも丁寧に挨拶した。
「バートン公爵令嬢様ですか。それに、、ラスター公爵様、、」
女性はステラを見て驚いた表情を浮かべて言うとバスティンの方をチラリと見ておどついた表情になり言った。
(何?バスティンを見るなりこの表情は、、今に見てなさい。バスティンにそんな態度を取ってた自分に恥ずかしくなるから)
ステラは女性の表情を見て不機嫌そうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
バスティンは慣れているといわんばかりに平然としていた。
「、、突然の訪問申し訳ありません。今日はメグに会いに来たのですがメグはいますか?」
ステラは一先ず平然とした態度で言った。
「あ、メグですか?メグなら中にいますからご案内致します」
女性が言った。
「ありがとうございます」
ステラは微笑みながら言った。
「あの、、メグが拉致事件に巻き込まれ際にバートン公爵令嬢様が助けてくれたとメグから聞きました。その際はメグを助けて頂きありがとうございます。お陰で今もこうして毎日を送ることができていますので」
女性が深々と頭を下げてステラへ言った。
「いえ。私は当然の事をしたまでですので気になさらないで下さい。それとこちらにいるラスター公爵様含め皇室騎士団の方々の助けがあったお陰でもありますから」
ステラはあえて言った。
「あっ、、。ラスター公爵様もその節はありがとうございました。メグから騎士団の方々がとても丁寧に対応して下さったと言っていました」
女性は少し戸惑いながらも深々と頭を下げながらバスティンへ言った。
「いえ。当然の事ですのでお気になさらず」
バスティンは淡々と言った。
「あ、申し遅れましたが私はここの孤児院の責任者のジョアンナと申します」
ジョアンナがハッとなり言った。
「ジョアンナさんですか。今日はメグに会うのと一緒に孤児院内を拝見させて頂いてもよろしいですか?」
ステラが言った。
「はい。もちろんです。ご自由にご覧下さい」
ジョアンナは微笑みながら言った。
「それと、、これをお受け取り下さい。肉を干した干し肉というものです。そのままでも食べれますし火を通すと柔らかくなりますので料理の具材にもお使い頂けると思いますので子供達へ食べさせてあげて下さい。干しているので暗い場所で保管すれば日持ちしますので。それとお菓子を作ってきたので子供達のおやつの時間にでも食べさせてあげて下さい」
ステラは袋に入った干し肉を微笑みながらジョアンナへ手渡し言った。
「こんなに沢山ありがとうございます。子供達もきっと喜びます。本当にありがとうございます」
ジョアンナは嬉しそうに微笑みながら言った。
「それなら良かったです」
ステラは微笑みながら言った。
「では、メグの所へ案内して頂けますか?」
ステラが言った。
「はい」
ジョアンナは頷きながら言った。
そして2人はジョアンナにメグがいる場所へと案内された。
「あっ、そうでした。本日は先客がいらっしゃるのですが大丈夫でしょうか?」
ジョアンナは歩きながらハッとなり言った。
「先客ですか?」
ステラが言った。
「はい。実は、、」
ジョアンナが言った。
ジョアンナがそう言うの同時にメグ達子供達が集まっていた中庭へと到着した。
「え?」
ステラは中庭にいた人物を見て思わず驚き声を漏らした。
「実は、、皇太子殿下とグレイス様が訪問されていまして、、」
と同時にジョアンナが言った。
(何であの2人がここいるわけ?!)
ステラは驚いた表情のままそんな事を考えていた。
「あの2人も訪問していたのだな」
バスティンが小声でステラへ言った。
「そのようですね、、」
ステラは苦笑いを浮かべて言った。
(最悪だわ、、)
ステラはそんな事を考えていた。
「ステラ様?!とラスター公爵様?!」
その時、メグがステラとバスティンに気づき言った。
メグの言葉にアーノルドとグレイスが反応した。
「ステラ嬢とラスター公爵?何故ここに、、」
アーノルドが驚いた表情を浮かべて言った。
グレイスも驚いた表情を浮かべていた。
「皇太子殿下にご挨拶申し上げます」
バスティンが即時にアーノルドへ言った。
「皇太子殿下にご挨拶申し上げます」
ステラはどうにか平然を装って言った。
(何このカオスなブッキングは、、てか、相変わらずアーノルドこないだ自分の行動を改めるだ何だかんだ言ってなかった?でもグレイスと一緒にここにいるってことは結局グレイスは特別ってことね。まぁあたしには関係ないけどさぁ、、って、待って!この状況思い出した!"オンラブ"のストーリーの1つじゃん。確か狩猟大会が終わってステラが狩猟大会で何故アーノルドは獲物をグレイスに渡したのかを聞こうとアーノルドの元を訪れるのにアーノルドはグレイスとこの孤児院を訪れて不在だったんだよね。グレイスがアーノルドから贈られた獲物の一部をこの孤児院へ寄付するんだったよね、、。グレイスはここ以外にも慈愛活動で回ってる場所にも寄付しててそれをアーノルドが感心して更にグレイスに惚れ込むんだったよね。でもこの頃からアーノルドはステラをこれまで以上に蔑ろにしたからステラはこの頃から本格的に悪女として頭角をあらわすんだっよね、、)
ステラはギョッとした表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「あ、あぁ」
アーノルドは驚いた表情のまま言った。
(何故ここに2人がいるのだ?)
アーノルドは戸惑いながらそんな事を考えていた。
「グレイス様もこんにちは」
ステラがグレイスの方を見て作り笑みを浮かべて言った。
(グレイスとこうしてまともに顔を合わすのはあのムカついたお茶会以来だなぁ)
ステラはそんな事を考えていた。
「ラスター公爵様、ステラ様にご挨拶申し上げます」
グレイスは少し気まずそうな表情を浮かべて言った。
「あぁ」
バスティンは淡々と言った。
「どうして2人がここへ?」
アーノルドがステラ達に言った。
「そちらにいるメグに会いに来たのです。公爵様は私がお誘いしました」
ステラは淡々と言った。
「そうなのか」
アーノルドが戸惑いながら言った。
「殿下とグレイス様が訪問されているとは知らず突然訪問して驚かせてしまい申し訳ありません。ですが私達の事はお気になさらずお2人は引き続きお過ごし下さい」
ステラはあえて笑みを浮かべて言った。
(遠回しにあたし達2人には構わないでってことよ?理解した?空気呼んでね。それにしてもあたしとしたことがまたも"オンラブ"のストーリーを忘れてるとは。も〜でも今のステラであるあたしには関係ないことだしあたしはバスティンと両思いになった事で頭いっぱいだったんだもん、、)
ステラは面倒臭そうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「、、分かった」
アーノルドは複雑な表情を浮かべて言った。
(ステラ嬢はこの状況を見て私がまたグレイス嬢を贔屓していると思っているのだろうか、、。今日ここへグレイス嬢と訪れたのは慈愛活動に力を入れて孤児院の事も詳しく知っている彼女に視察の付き合いをお願いしただけなのだがステラ嬢から見たらただ2人でここへ訪れているとだけ思うだろうな、、)
アーノルドは戸惑いながらそんな事を考えていた。
「それで体調の方はもう大丈夫なのか?」
アーノルドが心配そうな表情を浮かべて言った。
「はい。お陰様ですっかり回復しましたのでこうして外出も出来ていますので」
ステラは淡々と言った。
「そうか、、それならば良かった」
アーノルドはホッとした表情を浮かべて言った。
(本当に外出出来る程体調が回復して良かった。あれからステラ嬢は引き続き邸で療養していると聞いていたからまた体調が悪化したのかと心配していたからな。その後腕の傷の痛みはどうなのだろうか)
アーノルドはステラの腕をちらりと見ながらそんな事を考えていた。
「はい」
ステラは頷きながら言った。
「それでは私達はメグと話がありますので」
ステラが笑みを浮かべて言った。
(さっさと好きにさせてよね。そちらも好きにしたらいいし)
ステラはそんな事を考えていた。
「あ、あぁ」
アーノルドは慌てて言った。
(ステラ嬢は私とグレイス嬢が一緒にいる姿を見て呆れてしまったのだろうか)
アーノルドはそんな事を考えていた。
「メグー。元気にしていた?」
ステラはすぐに切り替えてメグの方へ向かって行って笑顔で言った。
バスティンもステラへついて行った。
「はい。お陰様でこれまで通り過ごしています」
メグは笑顔で言った。
「本当にその節はありがとうございました。ステラ様にもラスター公爵様にも感謝しかありません。先程皇太子殿下にもその節のお礼を言っていたところです」
メグは笑みを浮かべて言った。
「いいのよ。ああいう時は助け合いが大切だからね。それにあんな悪党達の好きにさせるなんて許せないでしょう?私は当然の行動をしたまでよ」
ステラは笑顔で言った。
「ステラ嬢の言う通りだ。我々も当然の事をしたまでだ。本当に無事に助ける事が出来て何よりだ」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
「ステラ様、、公爵様、、」
メグはジーンとなり言った。
(ラスター公爵様ってあの事件までは絶対に近づいたらいけないとか怖い人とか呪いが移るとか聞いてて怖かったけど噂とは全然違うって実際に見たり話してたら分かったわ。何よりもステラ様の公爵様に対する態度を見ていたら一目瞭然だもんね)
メグはバスティンの表情を見てそんな事を考えていた。
「メグが元気そうで良かったわ。ずっとメグに会いに来たいと思ってたんだけどなかなかタイミングが合わずだったのよ。でもこうして会いに来れて元気な姿を見て安心したわ。もしかしたらあの事件の事がトラウマになってないかと心配してたのよ」
ステラは困り笑みを浮かべて言った。
(私もそうだけどまだ年端も行かない子達があんな怖い思いをしたらどの時代だってトラウマになってもおかしくないもんね)
ステラはそんな事を考えていた。
「あの時は本当に怖くてたまらなかったけどステラ様のお陰でトラウマなどにはなっていません。あの時ステラ様の言葉を聞いて犯人達に一発づつおみまいしたお陰かもしれないです」
メグは笑いながら言った。
「本当?!それならやっぱりあの時はああして正解だったわね」
ステラはニカッと笑いながら言った。
「ステラ嬢まさか、、犯人達に手を出したのか?!」
バスティンが2人の会話を聞き驚き言った。
「あれ?犯人達から聞いてないですか?てっきりあの男達の事だがら告げ口したかと思っていたのに。告げ口されたところで正当防衛なので問題ないと思ってましたので」
ステラはきょとんとした表情で言った。
「いや、、聞いてない。聞いてないと言うより話せなかったという方が正しいだろう。あの男達を取り調べたのは団長とジョシュアだったからな」
バスティンは苦笑いを浮かべて言った。
「あぁ、、そう言ですか」
ステラは苦笑いを浮かべて言った。
(話す前にお父様達にボコボコにいかれたって訳ね。そりぁあの中の1人はあたしの事殴った上にあの男達があたしを拉致して監禁してたんだからまぁ、、そうなるか)
ステラは苦笑いを浮かべたままそんな事を考えていた。
「しかし、、あの状況で犯人達相手に手を出すとはもしも逆上してきたらどうするつもりだったのだ、、」
バスティンは呆れた表情を浮かべて言った。
(犯人達が逆上して命の危険に晒される事もあるというのに)
バスティンはそんな事を考えていた。
「そこは大丈夫ですよ!私を殴った男以外は気を失っていたしその私を殴った男も身動き1つ取るにも困難な状態にしてましたから」
ステラは自信満々に言った。
「まったく、、」
バスティンは呆れた表情を浮かべて言った。
「でも、本当にあの時にステラ様があの様な行動を取らせて貰ったことであの時の事がトラウマにならずに済んだのは事実ですから」
メグは困り笑みを浮かべて言った。
「ほらメグもこう言ってるでしょう?」
ステラは笑いながら言った。
「はぁ、、。だが次かはその様な危ない行動は控えるんだぞ?」
バスティンが諦めたように言った。
「分かりました」
ステラは真剣な表情で頷きながら言った。
(本当にわかってるんだろうか。本当にステラ嬢に何かあれば私は、、)
バスティンはステラを見てそんな事を考えていた。
そんなステラ達のやり取りを別の場所から見ていたのはアーノルドだった。
アーノルドはグレイスと共に別の子供達と過ごしていた。
(あのメグという子はあの拉致事件でステラ嬢と一緒に拉致されていた子だったのか。私が皇宮まで連れ帰ったがあの時の子だと気づかなかった。あの子からあの時のお礼を言われるまで私は気づかなかった。しかしステラ嬢はあの子がここの子だと知っていてこうして彼女を気遣い訪れた様だな。ステラ嬢は相手が孤児だろうが関係なく心からあの子を心配して来たのだろうな)
アーノルドはチラチラとステラ達の方を見ながらそんな事を考えていた。
(しかし何故ラスター公爵様が一緒なのだ?)
アーノルドは少し不満気な表情でそんな事を考えていた。
「殿下?」
その時アーノルドの横に座っていたグレイスがアーノルドへ声をかけた。
「ん?どうした?」
アーノルドがハッとなり言った。
「何だか上の空の様な表情をされてましたので何かあったのかと思いまして」
グレイスは心配気な表情を浮かべて言った。
「いや、、何ないさ」
アーノルドは微笑みながら誤魔化す様に言った。
「そうですか。それならいいのでふが」
グレイスはホッとした表情を浮かべて言った。
「今日は殿下から声をかけて頂いて本当に嬉しかったです。狩猟大会の日以来殿下にお会い出来ていませんでしたので」
グレイスは嬉しそうに優しい笑みを浮かべて言った。
「あぁ」
アーノルドは少し戸惑いながらも笑みを浮かべて言った。
「それにしてもまさかステラ様とラスター公爵様がいらっしゃるなんて驚きましたね」
グレイスが驚いた表情を浮かべて言った。
「あぁ、そうだな」
アーノルドは複雑な表情を浮かべて言った。
アーノルドはその後もステラを目で追ってしまっていた。
「そうだ。この間アンさんが孤児院へパンを持ってきてくれたんですよ。その時にステラ様と公爵様がお店へ来たと言っていました」
メグが思い出した様にステラへ言った。
「そうなのよ。アンさんも元気そうで安心したのよ」
ステラが笑顔で言った。
「あっ!そうだわ。私も今日はプレゼントを持ってきたのよ。1つは干し肉なんだけどそれはジョアンナさんに渡しておいたから孤児院の皆で食べてね」
ステラはハッとなり言った。
「本当ですか?ありがとうございます」
メグは嬉しそうに微笑みながら言った。
「プレゼントはもう1つあってこれなんだけど」
ステラはそう言うとメグに箱を手渡した。
「ありがとうございます」
メグはステラから箱を受け取ると笑顔で言った。
「これは、、?」
メグが箱の中を見て驚いた表情を浮かべて言った。
「動物の毛皮で作った手袋よ。孤児院の皆で使ってちょうだい。これから寒さがもっと厳しくなるでしょう?だから出かける時や遊ぶ時はこの手袋を着ければ手は冷たくなるのを防げるでしょう?」
ステラは笑顔で言った。
「ステラ様、、」
メグは感動した表情を浮かべて言った。
「こんな素敵な物を頂いてもいいんですか?」
メグが戸惑いながら言った。
「えぇもちろんよ。だってメグ達にプレゼントする為に作ってもらった物なんだから」
ステラは笑顔で言った。
「本当にありがとうございます。他の子達もきっと喜びます。毎年この時期は手がしもやけになってたので」
メグが嬉しそうに微笑みながら言った。
「いいのよ。喜んでもらえてよかったわ」
ステラが笑顔で言った。
「メグねえちゃんそれは何〜?」
そこへ6歳くらいの少女がやってきてメグへ言った。
「これは手袋よ。こちらのステラ様が皆にとプレゼントしてくれたのよ」
メグが少女へ笑顔で言った。
「手袋?あたしも着けてみてもいい?」
少女がワクワクした表情を浮かべて言った。
「いいわよ。着けてみるといいわ」
ステラが笑顔で少女へ言った。
「うん」
少女は笑顔で言うと手袋を着けてみた。
「うわぁ〜温かい」
少女は手袋を着けて笑顔で言った。
「そう?良かったわ」
ステラが笑顔で言った。
「ステラ様ありがとうございます」
少女が笑顔で言った。
「どういたしまして」
ステラは笑顔で言った。
「喜んでもらえて良かったな」
バスティンがステラへ言った。
「はい」
ステラは笑顔で頷きながら言った。
「ステラ様、一緒に遊びましょう」
少女が笑顔で言った。
「こら、カンナ。ステラ様に我儘言ってはだめよ」
メグが少女であるカンナへ慌てて言った。
「メグ構わないわ。プレゼントを渡した後は子供達と遊びたいって思ってたから」
ステラは笑顔で言った。
「ステラ様ありがとうございます」
メグは慌てて言った。
「カンナというのかしら?何をして遊ぶ?」
ステラはカンナへ優しく微笑みながら言った。
「う〜ん、、他の子達も誘って鬼ごっこがやりたいです」
カンナは少し考えてから笑顔で言った。
「鬼ごっこ?いいわね。楽しそうだわ」
ステラは笑顔で言った。
(鬼ごっこか。懐かしいなぁ。前世ではよく道場の子や近所の子達と暗くなるまで鬼ごっこやったなぁ)
ステラは昔の事を思いだしながらそんな事を考えていた。
「公爵様も一緒にやりませんか?」
ステラがバスティンへ言った。
「いや、私は見ているだけでいい」
バスティンは複雑な表情を浮かべて言った。
(きっと子供達が怖がるかもって配慮してやらないつもりなんだね、、どうしたら子供達と楽しく一緒に遊べるかしら)
ステラは複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「そうですか、、分かりました」
ステラは残念そうな表情を浮かべて言った。
(無理強いしても良くないしとりま鬼ごっこしながら子供達がバスティンの事をどうしたら怖がらずに済むか考えよう。メグもきっとバスティンの噂を聞いたことあっただろうにアンさん同様にバスティンへの態度を見ているときっとあの拉致事件をきっかけにバスティンへの見方が変わったんだよね)
ステラはそんな事を考えていた。
「では、鬼ごっこしましょうか。メグも一緒にやりましょう」
ステラは笑顔でカンナとメグへ言った。
「「はい」」
メグとカンナが笑顔で頷きながら言った。
鬼ごっこを始めようかとしていたその時…
ステラはふとグレイスを見た。
ちょうど手が泥まみれの4歳くらいの少年がグレイスに抱っこして欲しいとアピールしていた。
(えっ?)
ステラはその瞬間グレイスを見て驚いた表情を浮かべてそんな事を考えていた。
(今、、グレイスあの子が汚れているのを見て凄く嫌そうな顔してなかった?まるで汚いものを見るような目で、、。あたしの見間違い?積極的に慈愛活動をしているグレイスなら手が汚れてる子供に接するなんて当たり前のことだよね?ってことはやっぱりさっきの表情を見間違いかなぁ、、)
ステラは驚いた表情を浮かべたままそんな事を考えていた。
「ロム!」
10歳くらいの少女が慌てて手が汚れている少年ロムに声をかけた。
「ロム、、先に手を洗わないといけないわ、、」
少年が慌ててロムへ言うとロムの手を引こうとした。
「グレイス嬢どうかしたのか?」
その時アーノルドが心配そうな表情を浮かべて言った。
「い、いえ。何でもありません、、。さぁ、、おいで」
グレイスはハッとなり慌てて言うとすぐに優しい笑みを浮かべてロムへ言った。
「あ、ですがロムの手が、、」
少女が緊張した面持ちで言った。
「構わないわ、、」
グレイスは優しく微笑みながら言った。
そして、グレイスはロムを優しく抱き上げた。
「ロムは甘えん坊さんね」
グレイスがロムに優しく微笑みながら言った。
「まだまだ親に甘えたい時期だろうからね」
アーノルドがロムの頭を撫でながら複雑な表情を浮かべて言った。
「そうですね」
グレイスは切ない表情を浮かべて言った。
「グレイス嬢が積極的に色々な慈愛活動をしている事はきっと孤児院の子供達もそうだが色々な人の救いになっているのだろうな」
アーノルドがロムの頭を撫でたまま言った。
「私は少しでも苦しんでる方や寂しい思いをしている人達の力になれるのならと当たり前の事をしているまでです。ですが私の行動が少しでも力になれているのなら嬉しい限りです」
グレイスは優しく微笑みながら言った。
「私もこの国の皇太子としてグレイス嬢のそういった心意気を見習わなければならないな」
アーノルドは優しく微笑みながら言った。
(ステラ嬢の言っていた皇太子という自覚を持ち行動するというのはこういった慈愛活動も含まれているのかもしれないな。これまでは慈愛活動などあまり私は力を入れて来なかったからな、、。この国にはまだまだ孤児たちが沢山いるだろうし孤児たちが不安にならない国づくりを心がける事も私の仕事の1つだからな)
アーノルドはそんな事を考えていた。
「恐れ多いお言葉です。それに殿下は既に十分素晴らしくて素敵な方ですから」
グレイスははにかみながら笑みを浮かべて言った。
「そうか、、ありがとう」
アーノルドは優しい表情を浮かべて言った。
(何故だろう?好感を寄せていたグレイス嬢に嬉しい事を言われているのにこの複雑な気持ちは、、。何故だか上辺だけの言葉に感じてしまうし何よりステラ嬢に言われた言葉が頭に過る。ステラ嬢の態度はそっけないし厳しい事も言ってくるが本音でぶつかってきていると感じられる)
アーノルドはそんな事を考えていた。
(やっぱりいつものグレイスか、、。だけど何だろう?何かさっきの状況にすごい違和感を感じたんだよね。グレイスの一瞬浮かべた表情も気になるしロムって子がグレイスに近づいた瞬間のあの少女の態度も何か気になったんだよね、、。グレイスってこの孤児院には何度も慈愛活動として訪れてんだよね?"オンラブ"の話中でもここの孤児院へ結構訪れてるって描いてあった気がするしここにアーノルドと訪れた時のストーリーでは2人は子供達と楽しそうに過ごてる感じが描かれてたしなぁ、、)
ステラは微妙な違和感を感じつつそんな事を考えていた。
「ステラ様?」
するとカンナがステラへ声をかけた。
「あっ、ごめん。始めようか」
ステラがハッとなり慌てて言った。
「はい」
カンナが笑顔で言った。
(今はそんな事考えず子供達と思い切り遊ぼう)
ステラは気持ちを切り替えてそんな事を考えていた。
そして、ステラはメグやカンナ他の子供達数人を混じえて鬼ごっこを始めた。
ステラは鬼をかって出た。
ステラは思い切り走り子供達を追いかけた。
(た、楽しい〜)
ステラは全力で走りながらそんな事を考えていた。
「待て〜!!」
ステラは満面の笑みを浮かべて楽しそうに言いながら子供達を走り追いかけた。
「きゃぁぁ〜!!」
カンナが笑いながら言い走り逃げた。
「ステラ様早すぎます〜」
メグが慌てて言いながら走り逃げた。
他の子供達も楽しそうにしながら逃げ回っていた。
(本当に全力で走っているな。ステラ嬢は本当に常に何事も全力だな。貴族令嬢があんなに全力で走り鬼ごっこをするなどステラ嬢以外見たことないな。しかし、ステラ嬢も子供達も本当に楽しそうな表情をしているな)
そんな姿を端のほうで座って見ていたバスティンは優しい表情を浮かべてそんな事を考えていた。
ステラ達を見ていたのはバスティンだけではなかった。
(ステラ嬢がいるだけでこんなにも子供達の笑い声が響くとはな。子供達も本当楽しそうだが何よりもステラ嬢が楽しそうだ。貴族令嬢があんな全力で走り回るなどこれまで見たことなく驚きだがそれ以上に目が離せない。そういえば母上主催のお茶会で帰り際にステラ嬢が走って去っていた事があったな。あの姿を見て思わず笑ったな、、)
アーノルドは走り回るステラを見ながらフッと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
そんなアーノルドをグレイスが見ていた。
「、、、、」
グレイスは無言で目線をアーノルドからステラへ移してステラをじっと見ていた。
「何かあっちの方が楽しそう」
グレイスに抱っこされていたロムが鬼ごっこをしているステラ達を見て呟いた。
「僕、メグねえちゃんたちのところへ行ってくる」
ロムはそう言うとグレイスの腕を払いグレイスの膝から下りた。
「え?」
グレイスは慌てて言った。
「まだ絵本を読んでいないわよ?」
グレイスは慌ててロムへ言った。
「今は絵本よりあっちの方がいい」
ロムはそう言うとステラ達の方へ走って行った。
「私も行く〜」
するとアーノルドの横に座っていたロムと同じくらいの歳の少女が言うとステラ達の元へ走って行った。
「あっ、、」
グレイスが慌てて言った。
「せっかく殿下が絵本を読んであげようとしていたというのに、、」
グレイスは不満気な表情を浮かべて呟いた。
「グレイス嬢いいのだ。絵本より鬼ごっこの方がいいのだろう。私は気にしないから大丈夫だ。子供達が楽しめるのが一番だからな。こうして楽しそうにしている子供達を見ているのも悪くないしな」
アーノルドは優しく笑みを浮かべて言った。
「ですが、、。せっかく殿下が足を運んで下さったというのに、、」
グレイスは戸惑いながら言った。
「問題ないさ」
アーノルドはステラ達の元へ走り行く子供達を優しい表情で見ながら言った。
「ステラ嬢には子供達を引き付ける何かがあるのだろう」
アーノルドはステラを見ながら優しく微笑みながら言った。
(あんなに全力で遊んでいる姿を見たら子供でなくてもあちらへ行きたいと思うだろう)
アーノルドはそんな事を考えていた。
「、、まだわ、、」
グレイスはステラを見ながら呟いた。
「?何か言ったか?」
アーノルドがグレイスへ言った。
「いえ、、」
グレイスは微笑みながら言った。
その後、結局子供達全員が鬼ごっこに参加した。
その後、1時間程鬼ごっこを続けたのだった。
鬼ごっこを終えると子供達は泥まみれになっていた。
もちろんステラも走り回って足を始めスカートの裾の部分も泥まみれになっていた。
「ステラ様次は何して遊びますか?」
カンナがステラのスカートを泥まみれの手で引っ張りながら言った。
「カンナ!」
するとメグが慌てて言った。
「ステラ様申し訳ありません。カンナが汚れた手でスカートを掴んでしまいまして、、」
メグが表情を強張らせながらステラへ言った。
「別に構わないわよ?鬼ごっこでスカートは汚れてしまったし今日は皆と思い切り遊ぼうと思って汚れてもいいスカートを履いてきたしね。そんなスカートが泥で汚れたくらいでそんなに緊張しなくてもいいわよ」
スカートはあっけらかんとして言った。
「え?ですけど、、」
メグは戸惑いながら言った。
「本当に気にする必要なんてないわ。子供は遊んだら汚れるものなんだからそんな事で怒るなんてないわよ。私なんてお母様の療養に付き合って領地を離てる時なんて毎日泥まみれなったり傷作って侍女やお母様を困らせてたんだから」
ステラは平然と笑いながら言った。
(あの時は前世の記憶を思い出したのもあるけどステラ自体元々活溌な子だったみたいだしね。あの頃はリサが毎日げっそりしてたっけなぁ)
ステラはその時の事を思い出しながらそんな事を考えていた。
「そうですか、、」
メグはホッとした表情を浮かべて言った。
他の歳の大きめの子達もメグ同様ホッとした表情を浮かべていた。
(どうしたんだろう、、。こんな事でこんなに緊張して謝るなんて。子供が汚れるなんて当たり前なんだしこんな謝る必要なんてないのに。まるで誰かに怒られたことがあるみたいだね)
ステラは不思議に思いながらそんな事を考えていた。
「誰かにその程度の事で怒られたことでもあるの?」
ステラがメグに言った。
「い、いえ、、そういう訳ではありません」
メグは慌てて言った。
「そう、、」
ステラが言った。
(この反応は誰かに怒られたんだね。ジョアンナさんとか?いや、ジョアンナさんは子供の面倒見てて汚れるなんて日常茶飯事だろうからないか。だとしたら誰に怒られるわけ?)
ステラは更に不思議に思いながらそんな事を考えていた。
「汚れたついでに泥だんご作りでもしない?」
ステラは笑顔で子供達へ言った。
「泥だんご作りですか?」
メグが戸惑いながら言った。
「えぇ。誰が一番綺麗な泥だんごを作れるか勝負しましょう」
ステラは笑顔で言った。
「うん!やりたい!楽しそう」
ロムが笑顔で言った。
「私も作りたいです」
カンナも笑顔で言った。
「よし!決まりね!皆で勝負しましょう!」
ステラは笑顔で言った。
「公爵様も一緒に作りますか?」
ステラは座っていたバスティンへ言った。
「いや、私はここで見ているよ」
バスティンが言った。
「そうですか、、」
ステラは残念そうに言った。
(バスティンと子供達が仲良くなれるチャンスだと思ったんだけどなぁ)
ステラは残念そうにそんな事を考えていた。
そしてステラと子供達は泥だんごを作り始めた。
ステラも子供達も泥だらけになりながら泥団子をワイワイしながら作っていた。
泥団子を作った後はドッジボールをし始めた。
すると子供が投げたボールが近くにあった木に引っかかってしまった。
「あ、ボールが、、」
ロムが木の上のボールを見て泣きそうな表情で言った。
「ロム大丈夫よ。私がすぐに取ってきてあげるから」
ステラは笑顔でそう言うと木に登ろうとスカートの裾をまくり始めた。
「なっ!」
そんな姿を見ていた座っていたアーノルドが慌てて言うとステラの元へ急ぎ向かおうと立ち上がった。
「殿下?」
グレイスが急に立ち上がったアーノルドへ慌てて言った。
(あんな格好で木を登るつもりなのか?)
アーノルドは慌ててそんな事を考えていた。
その時…
ガバッ!
座っていたバスティンが木の下へやって来てロムを肩車した。
「ほら、これでボールまで手が届いて取れるだろう?」
バスティンは肩車をしたロムへ言った。
急に肩車をされたロムは驚き固まっていた。
しかし…
「うん!」
ロムは笑顔で言った。
そしてロムはバスティンに肩車されたまま木の上のボールを取った。
ロムがボールを取ったのを確認するとバスティンはそっとロムを下ろした。
「おじちゃんありがとう」
ロムが嬉しそうにバスティンへ言った。
「あぁ」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
「公爵様ありがとうございます」
ステラは満面の笑みで嬉しそうにバスティンへ言った。
「あぁ。ステラ嬢はすぐに木登りしようとするのはやめるように。得意なのは知っているが万が一怪我でもしたら大変だからな」
バスティンが言った。
「はい。やっぱり本当に公爵様は優しいですね」
ステラは嬉しくなって笑顔で言った。
「何を言っているんだ」
バスティンは満更でもない表情で言った。
「公爵様ありがとうございます」
メグがバスティンへ言った。
「あぁ」
バスティンが頷きながら言った。
「では、私はまた座っているから」
バスティンがステラへ言った。
その時…
「おじちゃん!もっと高いやつやって〜」
ロムが嬉しそうに言った。
「私もして欲しい」
カンナも目を輝かせて言った。
「しかし、、」
バスティンは戸惑いながら言った。
「公爵様。ご迷惑でなければお願いしてもよろしいですか?子供達も望んでいますし私達は公爵様が噂の様な方ではないとわかっていますので」
メグが笑顔で言った。
メグの言葉にバスティンは驚いた表情を浮かべた。
「メグ、、」
ステラはメグの言葉を聞いて目頭が熱くなりがら言った。
「ほら、公爵様!メグもこう言ってるんですから。ね?」
ステラは笑顔で言った。
「、、あぁ」
バスティンは優しい笑みを浮かべて言った。
そして、バスティンは小さな子供達を順番に肩車し始めた。
子供達は余程楽しかったのか何度も何度もバスティンに肩車をお願いしたのだった。
(良かったぁ〜。子供達がバスティンを怖がらずにあんなに楽しそうにバスティンと遊んでるよぉ。本当に良かったよ、、)
ステラは目頭を熱くしながらバスティンと子供達を見ながらそんな事を考えていた。
(それにしてももしあたしとバスティンの間に子供が生まれたらこんな感じで我が子とバスティンが遊ぶんだろうなと思うと妄想が広がるなぁ)
ステラはニヤリと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
その後、バスティンは何度も子供達を肩車してあげていた。
そんな姿を微笑ましく見ていたステラの元にメグがやってきた。
「ステラ様。ジョアンナさんが温かい飲み物を用意したのでステラ様と公爵様によろしければどうぞとのことです」
メグがステラの元へ来て言った。
「う〜ん、、そうね。沢山遊んだし休憩しましょうか」
ステラは少し考えてから笑顔で言った。
「はい」
メグは笑顔で言った。
「殿下とグレイス様は先に中へ入られてジョアンナさんと話をされています」
メグが言った。
「そうなのね」
ステラが言った。
(あの2人いつの間にかいなくなったと思ったら早々に中に入ってたんだね。そのまま帰ってくれても良かったのに。その足で街ブラデートでもしたらいいのに)
ステラはそんな事を考えていた。
「公爵様〜!子供達〜ジョアンナさんが温かい飲み物を用意してくれたみたきだから中に入りましょう」
ステラがバスティンと子供達の元へ駆け寄り言った。
「「はぁ〜い」」
子供達が言った。
「公爵様お疲れ様です。子供達の相手をずっとしていて疲れたでしょう?」
ステラはバスティンにタオルを渡しながら言った。
「いや、大丈夫だ。とても楽しかったよ。この様に子供達と触れ合う事などこれまでなかったからな」
バスティンはステラからタオルを受け取り汗を拭きながら言った。
(バスティン、、)
ステラは胸が締め付けられながらそんな事を考えていた。
「公爵様と子供達が遊ぶ姿を見ていたら将来私達の子供が産まれたらこんな感じなのだろうなと思いました」
ステラは嬉しそうに微笑みながら言った。
「いくらなんでも気が早すぎるだろう」
バスティンはギョッとした表情を浮かべて言った。
「ふふ。でも否定はしないんですね」
ステラはニヤニヤしながら言った。
「?!、、まったく、、」
バスティンはゔっという表情を浮かべて言った。
「まぁ、、そんな未来も悪くないと思ったんだ」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
(私がそんな事を考えるなんてな、、。これまでは子供どころか結婚も一生する事がないだろうと思っていたからな、、本当にステラ嬢と一緒だと前向きな考えが頭を過ることが増えたな)
バスティンは満更でもないという表情でそんな事を考えていた。
「私、頑張って公爵様の子を野球チームが出来るくらい産みますね」
ステラは鼻を鳴らしながら興奮気味に言った。
(バスティンとの未来、、。あたしがずっと想像妄想していた事よ。バスティンがあたしとの未来を考えてくれてるってことだよね?!きゃぁぁぁ〜嬉しすぎてもう夢じゃないかって疑うレベルじゃん。それにバスティンとの子供、、子作り、、ギャァァァァー!これ以上妄想するのはまずいわ。また鼻血が出かねないわ)
ステラは興奮気味にそんな事を考えていた。
「なっ!そんな事を軽々言うものではないぞ。それに野球チームとは何だ」
バスティンはギョッとした表情を浮かべて言った。
「あっ、それは気にしないで下さい。とにかく沢山子供を産みますねってことですよ。公爵様との子供なら何人でも産める気がしますから」
ステラは満面の笑みを浮かべて言った。
「分かった、、分かったからこの話は終わりだ。さぁ子供達の手を洗ってやらないと」
バスティンは少し慌てながら言った。
「はい」
ステラはくすくす笑いながら言った。
(バスティン照れてるの?!かわいすぎるんだけど。でも、バスティンとの子供なら本当に喜んで沢山産むもんねぇ♡)
ステラはそんな事を考えていた。
「さぁ皆手を綺麗に洗ってから中に入りましょうね」
ステラは笑顔で子供達へ言った。
「「はぁぁ〜い」」
子供は笑顔で言った。
「おじさん抱っこ」
ロムがバスティンへ手を出しながら言った。
「あぁ」
バスティンは優しい笑みを浮かべて頷きながら言いうとロムを抱きかかえた。
ロムはバスティンに抱きかかえられて嬉しそうにしていた。
他の小さな子供達はステラと手を繋いで手洗い場まで向かった。
手を洗い終わるとステラ達は食堂へ移動した。
「さぁ皆席へ座りなさい」
ジョアンナが子供達へ言った。
「「はぁぁ〜い」」
子供が言うと皆一斉に席へついた。
食堂にはアーノルドとグレイスが先に座っていた。
(あぁ、、やっぱりこの2人はいるんだね。ジョアンナさんとの話が終わったなら帰ればいいのに。って思うけど確か"オンラブ"のこの場面では2人は子供達との時間を楽しむんだったよね。アーノルドは子供達と楽しそうにしているグレイスに見惚れるんだったよね。本当にどこのストーリー展開でもアーノルドとグレイスの場面てお花畑展開ばっかだわ。アーノルドの行動1つ1つがステラを傷つけてたっていうのに、、)
ステラはアーノルドとグレイスを見てそんな事を考えていた。
そして、ステラとバスティン、アーノルドとグレイスも子供達と一緒にジョアンナが入れてくれた温かいココアを飲んだ。
「このココアとても美味しいですね」
ステラはココアを一口飲むと笑顔でジョアンナへ言った。
(前世を思い出す懐かしい味だなぁ。まだパパとママが生きてた時に冬になるとよく牛乳たっぷりの甘いココアを淹れてくれてたんだよね)
ステラは前世の頃を思い出し懐かしみながらそんな事を考えていた。
「こちらは本日殿下が持ってきて下さったココアなのですよ」
ジョアンナは微笑みながら言った。
(え?!アーノルドが?!うわぁ、、マジか、、)
ステラは内心苦手いを浮かべてそんな事を考えていた。
「そうでしたか、、」
ステラは引きつり笑顔を浮かべて言った。
「子供だけではなくステラ嬢にも喜んでもらえて良かったよ。このココアは私が一番気に入っているココアなのだ。それを子供達にも飲んで欲しいと持参したのだが持ってきて正解だったよ」
アーノルドは嬉しそうに笑みを浮かべて言った。
(ステラ嬢が私の持ってきたココアを飲み美味しいと言ってくれるのがこんなに嬉しいとはな)
アーノルドは嬉しそうな表情を浮かべたままそんな事を考えていた。
「そうですか、、」
ステラは笑みを引きつらせつつ言った。
(持ってきたのアーノルドかい!)
ステラはそんな事を考えていた。
「本当に美味しいココアです。今でに飲んだココアの中で一番美味しいココアです」
グレイスは優しい笑みを浮かべて言った。
「それは良かった」
アーノルドは優しい表情で言った。
(まぁまぁあんな眩しい笑顔浮かべちゃって、、。ココアは美味しいけどさすがに今まで一番飲んだ中でって盛りすぎでしょ。まぁグレイスは本気でそう思ってんのかもしんないけどね。アーノルドも満更でもない顔してるし)
ステラはアーノルドとグレイスのやり取りを見ながら呆れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「殿下、失礼ですがそちらのハンカチは刺繍入りなのですか?とても綺麗な刺繍ですね」
メグがアーノルドが口を拭くのに胸ポケットから出したハンカチを見て目を輝かせて言った。
「これかい?あぁ、刺繍入りのハンカチなんだ。こちらにいるグレイス嬢が贈ってくれたものだ」
アーノルドは優しい表情を浮かべてメグへ説明した。
(あぁ、あのハンカチ、、。狩猟大会の時にアーノルドがグレイスから貰ったハンカチをあたしの腕の傷を覆うのに貸してくれたやつね。一応あれからリサに血を綺麗に落としてもらってからアーノルドに返したんだったよね。人から、、それもグレイスからの贈り物を血だらけにしたとはいえ返さない訳にはいかなかったもんね、、。血は綺麗に落ちたけど人の傷の手当てしたハンカチを日頃から持ち歩いてるなんてよほどグレイスからの贈り物が嬉しかったんだろうね)
ステラはハンカチを見ながらそんな事を考えていた。
「殿下、、そのハンカチを使って下さってるんですね。嬉しいです」
グレイスは満面の笑みを浮かべて嬉しそうに言った。
「あぁ」
アーノルドは頷きながら言った。
(グレイス嬢から贈ってもらった物だがこれはあの狩猟大会の日にステラ嬢の傷の手当てに使ったが律儀にハンカチを綺麗にして返してくれた物だからな、、不思議とハンカチを選ぶ時にこのハンカチを選んでしまいがちだからな)
アーノルドはハンカチを見ながら優しい表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「グレイス様は刺繍が得意なのですね」
メグがグレイスへ言った。
「えぇ。刺繍は幼い頃から好きでしていたから」
グレイスは優しい笑みを浮かべて言った。
「そうなのですね」
メグはどこか寂しげな表情を浮かべて言った。
「君は刺繍に興味があるのかい?」
アーノルドがメグへ言った。
「、、はい。ですが刺繍する機会がないので未だに刺繍というものをした事がないのです」
メグは困り笑みを浮かべて言った。
「そうなのか、、」
アーノルドは複雑な表情を浮かべて言った。
(刺繍は主に貴族令嬢達が当たり前にしているものだと思っていたが、、そうか、、。当たり前にできない者たちもこうして沢山いるのか、、)
アーノルドは複雑な表情を浮かべて言った。
そして…
「そうだ。すぐに刺繍セットを一式用意させるからこの機会に今からやってみるのはどうだ?刺繍が得意なグレイス嬢もいるのだからグレイス嬢から基本的な刺繍のやり方を教わるといい」
アーノルドは閃いた様に微笑みながら言った。
「え?!本当ですか?!」
メグは目を輝かせて言った。
「あぁ」
アーノルドは微笑みながら頷きながら言った。
「ですが、、殿下、、もうすぐお帰りになる時間ではないのですか?」
グレイスは慌てて言った。
「今日はここへ訪問する為に1日の予定を空けておいたから時間は気にせずともいいのだ」
アーノルドは微笑みながら言った。
「だからグレイス嬢が刺繍をおしえてやってくれ」
アーノルドは微笑みながら言った。
「はい、、。分かりました、、」
グレイスはどこかぎこちない笑みを浮かべて言った。
「メグ良かったわね」
ステラは笑顔でメグへ言った。
「はい」
メグは嬉しそうに言った。
(メグは刺繍に興味があったのね。次にここへ来る時は刺繍道具を調達してから来ようっと)
ステラはそんな事を考えていた。
その後、アーノルドがすぐに孤児院の外で待機していた護衛の者に刺繍道具を手配させた。
15分ほどで刺繍道具が届いた。
(さすがは皇太子。刺繍道具くらいなら簡単に用意できるんだねぇ。護衛の人たちもご苦労様だね。ん?あれ?そういえば今日はサティスの姿が見えないなぁ。近衛騎士なのにいないとかいいわけ?さぼりかなんか?アーノルドとグレイスが一緒にいるのを見るのが辛くて?)
ステラは疑問にそんな事を考えていた。
刺繍道具が届くと早速アーノルドがグレイスに刺繍を教える様に言った。
グレイスはメグの横に座り刺繍を教え始めた。
グレイスは優しくメグに1からゆっくり刺繍を教えていった。
(やっぱりこう見るとヒロインオーラがあるよねぇ、、。心優しきヒロインって感じのオーラ的な?)
ステラは刺繍を教えるグレイスを見ながらそんな事を考えていた。
「おじさん、おじさんは騎士さんなの?」
ココアを飲み終わったロムがバスティンの元へやってきてバスティンへ言った。
「あぁ」
バスティンは頷きながら言った。
「メグおねえちゃんの言ったとおりだ!ねぇおじさん、僕と戦いごっこしようよ」
ロムが目を輝かせて言った。
「ロムは剣が好きなのか?」
バスティンが優しい表情を浮かべて言った。
「うん!メグねえちゃんが読んでくれた絵本を見て好きになったの」
ロムは嬉しそうに言った。
「そうか、、。では、戦いごっこではなく剣の振り方を教えてやろう」
バスティンが優しく言った。
「本当?!やったぁ〜」
ロムは嬉しそうに言った。
(ふふ。ロムったらすっかりバスティンに懐いちゃって。可愛いわね)
ステラはバスティンとロムのやり取りを見て微笑ましくそんな事を考えていた。
「ステラ嬢、私はあちらで少しロムに剣の振り方を教えてくる」
バスティンがステラへ言った。
「はい。分かりました」
ステラは笑顔で頷きながら言った。
そして、バスティンとロムは食堂の片隅へと向かってバスティンが即席で作った新聞紙の剣を使いロムに剣の振り方を教え始めた。
(あぁ〜あの光景が本当に幸せすぎる光景だなぁ。子供は正直だっていうけどその通りだね。子供達にはバスティンが噂の様な人じゃないって本能でわかってるんだよ)
ステラは優しい表情を浮かべてバスティンを見てそんな事を考えていた。
ロムが剣の振り方を教わっていたらそれ見ていた他の子供達も興味津々にバスティン達の元へ集まっていた。
バスティンはそれぞれの子供達に新聞紙の剣を作って渡し皆に優しく教えていた。
(バスティンまじで天使かよ!いやあれはもはや神の域だね!拝みたくなるレベルの眼福光景)
ステラは幸せそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
そんなステラをアーノルドがじっと見ていた。
(ステラ嬢は公爵を見る時はいつもあの様に優しい表情を浮かべているな、、。私には見せない表情を、、)
アーノルドは胸がチクリと痛むのを感じつつそんな事を考えていた。
(私にもあんな風に優しい笑みを向けて欲しいし見せて欲しい、、日に日にそんな気持ちが強くなるのは何故なのだろうか、、)
アーノルドは切ない表情を浮かべてそんな事を考えていた。
そんなアーノルドをじっと見つめていたのはグレイスだった。
グレイスはアーノルドを見て視線をステラへと移した。
「グレイス様これで合っていますか?」
するとメグがグレイスへ声をかけた。
「ん?どこかしら?」
グレイスは笑みを浮かべて言った。
「ここです」
メグが刺繍をした部分を指差して言った。
「あぁ、、ここはこうするんだとさっき教えたはずだけど?」
グレイスは困った表情を浮かべて言った。
「先程から同じミスを何度もしているわね、、」
グレイスは刺繍箇所を見ながら言った。
「あ、申し訳ありません、、」
メグはしゅんとした表情で言った。
その時…
「そのやり方だと初心者のメグには難しいでしょう?」
ステラがグレイスとメグへ言った。
「はい?」
グレイスが困った表情を浮かべて言った。
「どうしたのだ?」
アーノルドが会話に入ってきて言った。
「いえ、、私がメグに教えていたらステラ様が急にやり方が難しいのではないかと仰られたので、、」
グレイスは戸惑った表情を浮かべて言った。
「ステラ嬢どういうことだ?」
アーノルドが不思議そうに言った。
「先程、少し2人会話が、、メグが同じミスをしていると耳に入ったのでチラッとやり方を見ていたのですがグレイス様が教えてらっしゃっるやり方ですと初心者のメグはミスして当然かと思いまして」
ステラが淡々と説明した。
「その様な言い方はあんまりではありませんか?」
グレイスが悲しそうな表情を浮かべて言った。
(ったく、、グレイスと会話するだけであたし何もしてないに悪役令嬢になってる雰囲気になるのなんで?)
ステラはそんな事を考えていた。
「本当の事を言ったまでです。初心者ならばミスをして当然ですけどよりミスを少なくして分かりやすく教えてあげた方がメグも感覚を早く掴める様になると思いますから」
ステラは淡々と言った。
「メグ、それを貸してくれる?」
ステラが言った。
「は、はい」
メグは戸惑いながら言うと手に持っていた刺繍枠をステラへ渡した。
(え?何かのやり方、、)
ステラは手渡された刺繍枠を見て戸惑いながらそんな事を考えていた。
「、、メグ。新しい布をもらってもいい?」
ステラが言った。
「あ、はい」
メグは頷きながら言うと新しい布をステラへ手渡した。
「ありがとう」
ステラは優しく微笑みながら言った。
「メグ、良く見ててね。糸を通した針をこんな感じでここから刺して抜くでしょ?次にこんな風にこう針を刺すと、、ほら!簡単でしょ?これを何度か繰り返したら形の軸ができるわ」
ステラはゆっくり刺繍をしながらメグに教えながら言った。
「一度やってみて」
ステラは優しく言った。
「はい」
メグは笑顔で言った。
そしてメグはステラに言われた通りに刺繍の針を刺し進めた。
「わぁ!ステラ様、できました。こんな感じでいいんですよね?」
メグは目を輝かせて嬉しそうに言いながら刺繍をステラへ見せた。
「ええ。上手だわ」
ステラは笑顔で言った。
「今の様に針を刺し進めて色を変えたい時には糸を変えて同じ様に進めればいいわ。初めてだから簡単な柄がいいと思うわ」
ステラは笑顔で言った。
「はい!ありがとうございます」
メグは嬉しそうに言った。
グレイスはそんな2人のやり取りを見て俯き気味にグッと唇を噛み締め拳をギュッと握り締めていた。
「ステラ様も刺繍が得意なのですね」
メグが笑顔で言った。
「ん〜刺繍が得意というよりは裁縫が出来るって感じなのよ」
ステラが言った。
「もしかして狩猟大会で公爵様に刺繍入りのハンカチを渡されたのですか?」
メグは目を輝かせて言った。
(?!ステラ嬢は公爵に刺繍入りのハンカチを渡したのか?!)
アーノルドがメグの言葉を聞き戸惑いの表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「いいえ。刺繍入りのハンカチを渡したのはお父様とお兄様だけなのよ」
ステラは困り笑みを浮かべて言った。
「そうなのですか」
メグは残念そうに言った。
(そうか、、。公爵にハンカチを渡した訳ではないのだな、、)
アーノルドは安堵した表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「その代わりに公爵様には特別にとっておきの物を渡したのよ」
ステラは小声でメグに耳打ちした。
メグはステラの言葉を聞きパァっと笑みを浮かべた。
「何を渡しのかまた教えて下さいね」
メグは嬉しそうな笑みを浮かべて小声でステラへ耳打ちした。
「ええ」
ステラが笑顔で言った。
(こうして歳が近い子とこんな話するの楽しいなぁ)
ステラは嬉しそうにそんな事を考えていた。
(何だ?ステラ嬢は彼女に何を耳打ちしたのだらうか、、)
アーノルドは戸惑い気味にそんな事を考えていた。
「私の教え方が良くなかったみたいでごめんなさいね、、」
グレイスは申し訳なさそうな表情を浮かべてメグへ言った。
「い、いえ、、。私の覚えが悪かったので、、」
メグは緊張した表情を浮かべて戸惑いながら言った。
「グレイス嬢、そんなに思い詰める必要はない。教えてやってくれと言い出したのは私なのだから。それにグレイス嬢は十分上手く教えていたとも」
アーノルドが心配そうな表情を浮かべて言った。
「殿下、、」
グレイスは安堵した表情を浮かべて言った。
(何このお花畑劇場は、、)
ステラはアーノルドとグレイスのやり取りを見て呆れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。
(それよりグレイスって本当に刺繍が得意なのかなぁ?さっきグレイスが教えてたやり方って見たことない縫い方だったんだよねぇ、、。あんなやり方じゃメグが分かるわけないよね。あたしがステラに転生してから貴族令嬢だし刺繍をお母様から習ったけど前世ではした事ないけど恐らくやり方は大体同じはずだからさっきのグレイスのやり方は明らかに違うと思うんだよね、、)
ステラは悩みながらそんな事を考えていた。
(何か、、グレイスって)
ステラは更にそんな事を考えていた。
その時…
「そろそろおやつの時間にしましょ
う」
ジョアンナが皆へ声をかけた。
「わ〜い!おやつだ〜」
「は〜い」
「やった〜」
子供達が嬉しそうに言った。
「今日のおやつはステラ様が持ってきて下さったお菓子なので皆ステラ様にお礼を言ってから食べてね」
ジョアンナが笑顔で子供達へ言った。
「「ステラ様ありがとうございます」」
子供達は笑顔で言った。
「どういたしまして。沢山あるから皆で喧嘩せず食べてね」
ステラは笑顔で言った。
「「はい」」
子供達は頷きながら言った。
「では、いただきましょう」
ジョアンナが笑顔で言った。
「「いただきます」」
子供達が笑顔で言った。
子供達は椅子へ座ると一斉に沢山あるお菓子を手に取り食べ始めた。
「これ凄く美味しい〜」
「本当だねぇ。このクッキーもさくさくで美味しいよ」
「こっちのはふわふわで甘くて美味し」
子供達はお菓子を頬張りながら嬉しそうに笑みを浮かべて言った。
(子供達が喜んでくれて良かったなぁ。昨日からリサや料理人達と一緒に沢山仕込んだかいがあったなぁ)
ステラは子供達を見て微笑みながらそんな事を考えていた。
「このお菓子は変な臭いもしないし食べても気持ち悪くならないね」
「本当だね」
「しっー。そんな事を言ったらだめよ」
その時…数人の子供達がコソっとお菓子を食べながら言った。
(え?どういうこと?)
ステラは子供達の小さな声が聞こえていて驚いた表情でそんな事を考えていた。
バスティンとアーノルドとグレイスにはどうやら聞こえていないようだった。
こそこそと話していた子供達は何事もなかったかの様にお菓子を食べていた。
(さっきの会話ってどういう意味だったの?お菓子食べて気持ち悪くってやばくない?腐ってたとかじゃないの?もしさっきの会話が本当の事だったら聞き流していい内容じゃないよね?でも、、子供達はお菓子を出されても特に躊躇している様子はなかったよね。う〜ん、、お菓子を食べて食あたりか何かになった話だったのかなぁ、、)
ステラは1人悩みながらそんな事を考えていた。
(とりあえず後でさりげなくメグに聞いてみようかな)
ステラはそんな事を考えていた。
「公爵様様も召し上がられますか?」
そしてステラは笑顔でバスティンへ言った。
「あぁ。1つよばれよう」
バスティンが頷きながら言った。
するとステラは嬉しそうにお皿にお菓子を置いてバスティンへ差し出した。
「ありがとう」
バスティンが言った。
「うまいな、、」
バスティンがお菓子を口にすると言った。
「本当ですか?良かったです」
ステラは嬉しそうに言った。
(お菓子を食べてる姿すらも尊いとかバスティン罪すぎるわ)
ステラはにまにましながらそんな事を考えていた。
(本当にステラ嬢は料理もそうだがお菓子を作るのも上手だな。今日持ってきたお菓子も昨日から仕込んでいたんだろうな。侍女や料理人達がステラ嬢に振り回される姿が目に浮かぶな。我が邸ではドンクとハナがステラ嬢と楽しく料理していたのが懐かしく思うな)
バスティンはステラを見て優しい表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「次は公爵様だけにお菓子沢山作ってきますね。愛情たっぷりのやつです」
ステラはニヤニヤしながらバスティンに小声で耳打ちした。
「何だそれは、、」
バスティンは呆れた笑みを浮かべるも満更でもなさそうに言った。
(こんな一言で嬉しくなるとはな)
バスティンはそんな事を考えていた。
(ラスター公爵はいつからあの様な表情をする様になったのだ?普段は無表情で恐れられているというのに、、。それに以前より2人の仲が深まった様に見えるのは気のせいだろうか、、。何故かあの2人の仲の良さそうな雰囲気が気に食わない)
アーノルドが目の前に座るステラとアーノルドを見て不満気にそんな事を考えていた。
「ステラ嬢。よければ私も頂いてもいいかな?」
アーノルドが戸惑いながら言った。
(ちょっと!今、バスティンといい感じの雰囲気だったのに入ってこないでよまったく。そっちはそっちで仲良くやってたらいいのに何でこっちに割り込んでくるわけ?!)
ステラは内心は不満に思いつつしそんな事を考えていた。
「構いませんよ。お好きな物をお食べ下さい」
ステラは嫌な表情が出そうなのをグッと堪えて言った。
(皇太子相手に駄目なんて言えないもんね、、。本当は嫌だけど)
ステラはそんな事を考えていた。
「そうか。ありがとう」
アーノルドは嬉しそうに笑みを浮かべて言った。
「グレイス嬢もいただくかい?」
アーノルドが言った。
「え?あぁ、、」
グレイスは戸惑いながら言った。
「ステラ様、、私も頂いてもよろしいでしょうか?」
グレイスは戸惑った表情を浮かべてステラへ言った。
「、、どうぞ」
ステラは作り笑みを浮かべて言った。
(本当は嫌だけどね。バスティンを悪くいう人にあげるお菓子なんてないって話だけどここで断ったらそれはそれで面倒臭いもんね。ていうか何でグレイスがあたしに対してあんなおどつくわけ?あたしが怒ったのはグレイスがバスティンを侮辱したからな訳でおどつかれる意味が分かんない。まるであたしが悪もんみたいじゃん)
ステラは内心は不満気にそんな事を考えていた。
「ありがとうございます、、」
グレイスはホッとした笑みを浮かべて言った。
そしてアーノルドとグレイスはそれぞれお菓子をお皿に取った。
アーノルドはフィナンシェとクッキー、グレイスはレモンタルトをお皿に取った。
「このレモンタルトはどちらのお店のものですか?」
グレイスが自分のお皿のレモンタルトを見てステラへ言った。
「はい?」
ステラが首を傾げて言った。
(急に何?どういう意味?)
ステラはそんな事を考えていた。
「あ、いえ、、そのあまり見かけない形のレモンタルトだったものですからどこのお店で購入されたのか気になったので、、」
グレイスは慌てて言った。
「このレモンタルトというより私が今日持ってきたお菓子は全て私が作ったものです」
ステラは淡々と言った。
「これを全てステラ嬢が作ったのか?」
アーノルドがステラの言葉を聞き驚いた表情を浮かべて話に割って入ってきた。
「そうですけど?」
ステラは頷きながら言った。
「こんなに色々な種類のお菓子を作れるのだな。凄いな、、」
アーノルドは驚きと感心の混じった表情を浮かべて言った。
(確かにステラ嬢は狩猟大会の時も魚を手際よく焼いていたし寮母としても働いていたんだったな。あの様に手際がいいならお菓子を作る事も容易いのだろうな。貴族令嬢がお菓子作りか、、令嬢達はお茶会などでどこの製菓店が有名かや高級感があるかなどの話をしているのを聞いたことあるがお菓子を自分で手作りするなどという話しはこれまで聞いたことがなかったな)
アーノルドはそんな事を考えていた。
(そんな凄い事でもないけどねぇ。でもまぁ、貴族の令嬢がお菓子作りなんてしないから驚くのも無理ないのかなぁ。でもアーノルドはあたしが寮母とかやってたのも知ってるんだからあたしが料理出来ても驚くことではないだろうに。それに今は貴族令嬢だけどあたし前世では一般人だしねぇ)
ステラはそんな事を考えていた。
「とんでもありません」
ステラは淡々と言った。
「本当に凄いです。私なんていつもこちらに伺う時は我が家が贔屓にしている製菓店のお菓子を持参するものですから手作りでお菓子を作られて持ってこられるなんて本当に凄いです」
グレイスは優しい笑みを浮かべて言った。
(???何だろうこの感じ。何か褒めてる様で軽くディスってない?まるで自分は貴族が使ってるお店の高級お菓子を持ってきてるのにあなたは手作り?みたいな何かトゲがある様に聞こえるのはあたしだけ?)
ステラはグレイスの言葉に軽い違和感を覚えながらそんな事を考えていた。
(それに"オンラブ"だとグレイスは手作りのお菓子やパンを慈愛活動時に持参して子供達に手渡したり炊き出しみたいなものにも参加して率先して料理を手伝ってたよね?でも今のグレイスの話だとグレイスはいつも製菓店のお菓子を持参してるってことよね?料理はおろかお菓子作ったりしないってこと?)
ステラは更にそんな事を考えていた。
すると…
「グレイス嬢どうかしたのか?」
急にアーノルドが慌ててグレイスに言った。
ステラはハッとなりグレイスを見るとグレイスは何故か怯えた様な表情を浮かべて体を小さく震わせていた。
(何?!急にどうしたわけ?!)
ステラはそんなグレイスを見て戸惑いながらそんな事を考えていた。
「あ、あの、、ラスター公爵様、、私何かしてしまったでしょうか?」
グレイスは今にも泣きそうな声でバスティンに向かって言った。
(え?)
ステラはそんな事を思うとバスティンを見た。
バスティンがグレイスを険しい表情で見ていた。
(え?ちょっ、バスティン急にどうしたの?!)
ステラはバスティンの表情を見て慌ててそんな事を考えていた。
すると…
「ラスター公爵。何故グレイス嬢をその様な目で睨みつけるのだ?!」
アーノルドがムッとした表情を浮かべてバスティンへ言った。
(ちょっと!あんたは黙っててよ。それに何で理由も何も聞かずにバスティンにそんな物言いしてんのよ)
ステラはイラッとしながらアーノルドを見た。
「別に睨んだ覚えはありません。私は元々こういう目つきなものですから」
バスティンは淡々とアーノルドへ言った。
「しかし、グレイス嬢が怖がっているだろう?」
アーノルドは更にムッとした表情を浮かべて言った。
「何故ルノア男爵令嬢が怯えているのか私には理解しがたいですね。私はただルノア男爵令嬢と一瞬目が合っただけなのですがね」
バスティンは更に淡々と言った。
「ただ目が合ったというだけでここまで怯えるというのか?」
アーノルドがムッとしたまま言った。
「殿下、、私は大丈夫ですのでその辺でおやめ下さい、、」
グレイスはアーノルドの服の裾をギュッと持ちながら泣きそうな表情を浮かべて言った。
「しかし、、」
アーノルドは戸惑いながら言った。
「本当に大丈夫ですので、、」
グレイスは泣きそうな表情をしながらアーノルドの服の袖をギュッと持って切実に言った。
(ていうか、、本当に何のつもり?!確かにバスティンがグレイスを睨んでた様に見えたけど理由もなくバスティンがそんな風に相手を見るわけないっての。たとえ睨んだとしてもそんな怯える程じゃないでしょうに)
ステラは苛つきを必死で抑えながらそんな事を考えていた。
(はっ、、。もしかしてわざとアーノルドの前でバスティンに睨まれるアピールした?怯えて泣きそうな態度をして?そこまでバスティンの事を侮辱したいの?)
ステラは最悪の気分になりながらそんな事を考えていた。
("オンラブ"で何故バスティンがステラの提案にのったのかわかった気がするわ。元々平民だったとはいえれっきとしたラスター公爵家の血を継いだ人よ?なのにグレイスはどうしてもバスティンを毛嫌いするわけ?!自分がヒロインだったら結果がどうであれ許されるとでも?あからさまにこんな事されたらそりぁバスティンはグレイスに不快感しか持たないわけだわ、、たとえ先に死が待ってたとしてもグレイスを亡き者にしたかったというわけね、、)
ステラは更に最悪な気分になりながらそんな事を考えていた。
(本当に今作者にSNSでコメント送れるなら"クソ野郎"って送ってやりたい気持ちだわぁ。いくらグレイスがヒロインだからってここまでバスティンを侮辱する設定にしたなんて、、)
ステラは更にそんな事を考えていた。
(たとえ今のステラであるあたしがアーノルドを好きじゃないとしてもグレイスとは一生わかり合えないね。グレイスの暗殺なんてこれっぽっちも考えてないしそんな気すらないけどあたしの大切なバスティンの事をそんな風に侮辱する事だけは許すことはできないわ。あれだけ次はないって伝えたっていうのに)
ステラは今にも爆発しそうな感情をグッと抑えながらそんな事を考えていた。
(バスティンがこんな扱い受けて黙ってる訳にはいかないけど、、だけどここは、、)
ステラはグッと唇を噛み締めてそんな事を考えていた。
そして…
「殿下、、今私の表情はどのような表情ですか、、?」
ステラがアーノルドを見ながら言った。
アーノルドはステラに言われてステラの顔を見てゾッとした。
「あ、、ス、ステラ嬢、、」
アーノルドは戸惑いながら言った。
「相手を睨みつけるというのは今私が浮かべている表情の事を言うのです」
ステラは目線をそらすことなくアーノルドを見ながら言った。
(相手が皇太子だから睨みつけないとでも?!ふざけないで!皇太子だろうが神だろうがバスティンの為なら皇太子睨んだ罪があるって言われても喜んで受けるって話よ)
ステラは苛立ちを隠しもせずそんな事を考えていた。
「ですから公爵様がグレイス様を睨んだというのは語弊があるかと思いますが?」
ステラは苛つきを抑えながら淡々とアーノルドへ言った。
「それは、、しかしグレイス嬢が酷く怯えていたから、、」
アーノルドは慌てて言った。
「怯えていたというだけで公爵様に否があると仰るわけですか?」
ステラは苛立ちが限界寸前まできていたが必死に堪えながら言った。
(はぁ?!はぁ?!本当何なの?!マジで意味分からんない。なんでバスティンが悪者になるわけ?!マジでアーノルドの目は節穴だね。さすがは腹黒ペテン師野郎だわ。そんなにグレイスが大事なら2人で勝手にどっかで2人で愛でも何でもはぐくみぁいいじゃん。本当に主人公もヒロインもクソ食らえだわ)
ステラは必死に怒りを堪えながらそんな事を考えていた。
「それは、、」
アーノルドは焦りながら言った。
「、、もう結構です。殿下もグレイス様も以前私が言った言葉を理解して下さっていなかったのですね、、」
ステラは呆れた笑みを浮かべて言った。
(次にバスティンを侮辱したら許さないってね、、)
ステラはそんな事を考えていた。
「ステラ嬢!」
アーノルドはハッとなり慌てて言った。
(私はまた同じことをしてしまったのか?!先程ステラ嬢と公爵が仲睦ましくしているのを見て気に食わなかったのもありつい勢いあまってしまった、、)
アーノルドは焦った表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「ステラ様、、私はそんなつもりは、、」
グレイスは泣きそうな表情で慌てて言った。
(またそうやって泣けばいいって?そんなつもりはない?ハッ!本当にこの2人ってお花畑な頭してるわ。本当にこの2人には関わりたくないわ。それにこれ以上バスティンとグレイスと鉢合わせになるのは避けた方がよさげだしね。このままだといくらあたしがシナリオ変えたって何かバスティンの死亡フラグ立ちそうで怖いもんね)
ステラは悔しさと怒りの混じった感情を覚えつつそんな事を考えていた。
(それにこれ以上2人と話してると怒りが爆発しそうだしね。そうしたら子供達を怖がらせちゃうもんね)
ステラは困った表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「公爵様、、私達はそろそろ失礼しましょう」
ステラがグッと唇を噛み締めながら言った。
「、、あぁ。わかった。そうしよう」
バスティンはすぐに頷きながら言った。
「皆、私と公爵様は今日はこの辺で帰ることにするわね」
ステラが残念そうな表情でお菓子を食べていた子供達へ言った。
「もう帰られるのですか?!」
メグが残念そうに言った。
「もっと一緒に遊びたかったのに〜」
「次はたかいたかい遊びしてほしかったな〜」
ロムとカンナも残念そうに言った。
他の子供達も残念そうにメグ達に同感した。
「ごめんね、、次も絶対公爵様と来るからね」
ステラは申し訳なさそうに言うもすぐに笑顔になり言った。
(本当はあたしだってまだ子供達と遊びたいけどこれ以上ここにいたらアーノルドやグレイスに悪態つきそうだしそうなったら子供達に怖い思いさせてしまうもんね、、)
ステラはグッと拳しを握り悔しそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
するとバスティンがそっとステラの拳に自分の手を被せた。
ステラはバッとバスティンの顔を見た。
するとバスティンは小さく頷いた。
まるでステラの気持ちが分かると言わんばかりに。
(バスティン、、)
ステラはそんなバスティンを見て思わず泣いてしまいそうになりながらそんな事を考えていた。
「次に来た訪れた際にはもっと私の相手をしてくれるか?」
バスティンは優しい表情を浮かべて子供達へ言った。
「もちろんだよ〜」
「次はもっと沢山遊ぼうねおじさん!」
「うんうん!絶対だよ」
子供達は嬉しそうに笑いながら言った。
「あぁ」
バスティンは優しい表情で頷きながら言った。
(そうよ!バスティンの事をちゃんと分かってくれる人がこんなに居るんだからそれでいいのよ!アーノルドやグレイスみたいな人なんてほっとけばいいんだよ!バスティンにはバスティンの事をちゃんと分かってくれる人達がいればそれほど嬉しいことないもんね)
ステラは子供達の反応を見て嬉しくなりそんな事を考えていた。
(子供は正直だって言うしこうやって子供達が嘘のない笑顔でバスティンに好意を示してくれてるのを見れてるだけでこっちも嬉しくなるしね)
ステラは更にそんな事を考えていた。
「ステラ様、今日はありがとうございました。会えて嬉しかったですし色々とプレゼントもしてもらえて嬉しかったです」
メグがステラへ笑顔で言った。
「私もよ。贈り物も喜んでもらえて良かったわ。ここへも訪問するけどアンさん達のお茶会の計画も立てましょうね」
ステラは笑顔で言った。
「はい!是非!」
メグは笑顔で言った。
「ジョアンナさん、私達は今日はこの辺で失礼いたします」
ステラがジョアンナへ言った。
「あ、はい。それでは出口までお送り致します」
ジョアンナはステラ達大人のやり取りに気づいていたからか慌てて言った。
「ありがとうございます」
ステラは笑みを浮かべて言った。
(ジョアンナさんはあたし達のやり取りを見てたっぽいね。顔が気まずそうだわ、、。何か悪いことしちゃったなぁ)
ステラはそんな事を考えていた。
「殿下、グレイス様。私達はこれで失礼致しますのでお2人はどうぞ引き続き子供達との時間をご堪能下さい」
ステラは礼をしながら淡々と言った。
「ステラ嬢と共に失礼します」
バスティンも礼をしながら淡々と言った。
「あっ、、あぁ」
アーノルドは戸惑いを隠せないまま言った。
「あの、、私は、、」
グレイスは戸惑いながら慌てて言った。
「では、、失礼致します」
ステラはそんなグレイスなど気にする事もなく言った。
「公爵様行きましょう」
ステラが笑みを浮かべてバスティンへ言った。
「あぁ」
バスティンは頷きながら言った。
「ステラ様、おじちゃんバイバイ〜」
「またね〜」
子供達が名残り惜しそうにステラとバスティンへ言った。
「えぇ。またね」
ステラは名残り惜しそうに笑みを浮かべて言った。
「では、また」
バスティンは優しく言った。
そして、ステラとバスティンはジョアンナと共に出口へ向かった。
「ステラ様、公爵様本日は本当にありがとうございました。沢山贈り物も頂いた上に子供達と沢山遊んでいただいて、、。子供達がとても喜んでいました」
ジョアンナが嬉しそうに笑顔で言った。
「それに、、公爵様には大変失礼な態度をとってしまい心からお詫び申し上げます、、。耳でしか聞いたことない噂ばかり信じて失礼な態度をとってしまいました。しかし、実際に公爵様と子供達の遊ぶ姿を見て噂などは噂にすぎないと実感しました。子供というのは、、特に小さな子達は何も考えず本能で行動します。その子供達が何の迷いも怯えもなく公爵様と遊ぶ姿を見たら自分が恥ずかしく思えました。本当に申し訳ありませんでした、、。そして子供達と遊んで頂きありがとうございました。子供達はすっかり公爵様の虜になったようです」
ジョアンナは申し訳なさそうにバスティンに言うも最後は笑顔を浮かべて言った。
「ジョアンナさん、、」
ステラが言った。
「謝る必要などありません。こうして子供達と触れ合える時間を頂いた事を私も感謝してますので」
バスティンが優しい表情を浮かべて言った。
(公爵様はこうして優しい表情が出来る方なのね。本当に何故根拠のない噂ばかり信じていたのかしら)
ジョアンナは改めて自分を恥じながらそんな事を考えていた。
「そう言って頂きありがとうございます」
ジョアンナは笑顔で言った。
「またお伺いしても?」
バスティンが言った。
「もちろんです」
ジョアンナは笑顔で言った。
「ありがとうございます」
バスティンが言った。
「また時間を見つけてお伺いしますね」
ステラは笑顔で言った。
「はい。お待ちしております。お気をつけてお帰り下さい」
ジョアンナが笑顔で言った。
「はい」
ステラは頷きながら言った。
そして、ステラとバスティンは馬車を停めている場所まで歩き始めた。
「ステラ様にラスター団長?」
その時誰かがステラ達に声をかけた。
「サティス様?」
ステラが言った。
声をかけてきたのはサティスだった。
「お2人も孤児院へ訪問されていたのですか?」
サティスが驚いた表情を浮かべて言った。
「はい。それよりサティス様は今までどちらに?他の護衛の方はいましたがサティス様がいらっしゃらなかっので」
ステラが言った。
「実は、、今日は街へ出向くという事で殿下からグンダリルについて調べる様に言われていたのです。私を襲った暴漢達は平民の男たちでしたので首都の街でグンダリルが密かに出回ってないかなのどを調べていたのです」
サティスが真剣な表情を浮かべて少し声を音量を落として言った。
「え?!」
ステラが驚き言った。
バスティンも驚いた表情を浮かべていた。
(バスティンの表情を見る限りアーノルドの独断で騎士団にもこの事は話がおりてきてなかったみたいだね)
ステラはチラッとバスティンを見ながらそんな事を考えていた。
「それで何かわかったのですか?」
ステラが真剣な表情を浮かべて言った。
「こちらではあまり話さない方がよろしいかと思いますので後日バートン団長やラスター団長含めてお話させていただく形になると思います」
サティスは真剣な表情を浮かべて言った。
「そうですか、、」
ステラは頷きながら言った。
(こんな言い方するっとは何かしら収穫があったってことかな)
ステラはそんな事を考えていた。
「お2人はお帰りになるのですか?」
サティスが言った。
「はい。ですが、殿下とグレイス様はまだ孤児院にいらっしゃいますよ」
ステラは複雑な表情を浮かべて言った。
「そうですか、、」
サティスは残念そうな表情を浮かべて言った。
(せっかくステラ様に会えたのにもう帰るんだな)
サティスはそんな事を考えていた。
「では、私達は失礼しますね」
ステラが言った。
(これ以上サティスと話すこともないしサティスも早くグレイスがいる孤児院に戻りたいだろうしね)
ステラはそんな事を考えていた。
「あ、はい。お気をつけてお帰り下さい」
サティスは慌てて言った。
「ありがとうございます。では、、」
ステラが言うと2人はまた歩き出したのだった。
(それにしても今日はアーノルドとグレイスのせいで最後の最後で嫌な気持ちになっちゃったなぁ、、)
ステラは不満気な表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「公爵様、、今日はご一緒してもらったのにこんな形で帰ることになって申し訳ありませんでした」
ステラは申し訳なさそうに言った。
「いや、気にすることはない。あの状況では帰るのが一番だっただろう。あれ以上あの場にいればルノア男爵令嬢がまたおかしな行動をしていただろうしな」
バスティンが平然と言った。
「グレイス様のせいで公爵様が嫌な思いされたでしょう、、?」
ステラは悲しそうな表情を浮かべて言った。
「いや、あの程度の事何も思わないからステラ嬢が気を病む事ではない。それよりも彼女はステラ嬢に皮肉交じりな言葉を発していた。それに腹が立ってしまったのだ。きっと彼女はステラ嬢に嫉妬したのだろう」
バスティンは不快な表情を浮かべて言った。
「グレイス様が私に嫉妬ですか?」
ステラは驚いた表情を浮かべて言った。
(グレイスがあたしに嫉妬?ヒロインのグレイスが?"オンラブ"では嫉妬してたのはステラの方なのに)
ステラはそんな事を考えていた。
「あぁ。手作りのお菓子を持ってきた事に殿下が感心されていたからそれが嫌だったのではないかと私は思ったがな」
バスティンは淡々と言った。
「私は殿下の事にミリも好意を頂いていないのに?」
ステラが言った。
「ステラ嬢がそう思っていても人間の嫉妬というのは小さな事から出てくるものだからな」
バスティンが複雑な表情を浮かべて言った。
(実際に私もアルイに嫉妬したしな、、。女はより嫉妬深いのは私は義母の存在を見てきたからよく知っているしな)
バスティンはそんな事を考えていた。
「私に嫉妬なんてしても無駄だというのに、、」
ステラは困った表情で言った。
(でも、ヒロインのグレイスは人に嫉妬なんてしない女性だったよね)
ステラはそんな事を考えていた。
「まぁ、、とにかくだ。今日は最後はこんな形になってしまったがステラ嬢のお陰で楽しい1日になったよ」
バスティンが優しい表情を浮かべて言った。
「本当ですか?」
ステラが言った。
「あぁ。子供達とあの様に触れ合うのは初めてだったからな。実際に触れ合ってみたら悪くなかった、、というよりとても楽しかったし我々騎士団の力が役に立ってこうして子供達の笑顔を守れていると思うと嬉しくなったのだ」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
(バスティン、、。今までクソみたいな噂のせいで心無い事を沢山言われてきたけどこうやってバスティン本人からこんな言葉を聞けるなんて嬉しくてたまらないよ)
ステラは目頭が熱くなるのを感じつつそんな事を考えていた。
「私もとても嬉しかったです。アンさん達親子もそうでしたが子供達もジョアンナさんも公爵様が本当はどんな人かというのを知ってくれて本当に本当に嬉しかったです」
ステラは満面の笑みで言った。
「ステラ嬢のお陰だ、、ありがとう」
バスティンは笑みを浮かべて言った。
「私は何もしてません。ただただ公爵様が優しい人だというのが溢れ出てただけですよ」
ステラは嬉しそうに笑いながら言った。
(いや、本当にステラ嬢がいなければ今の私はいないのだからな、、)
バスティンは優しい表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「これからもっともっと公爵様が優しくて男らしく最高の体つきでかっこよくて色気があって何をしても罪になるくらい最高で尊い存在だということを皆知っていくに違いありません」
ステラは満面の笑みを浮かべて言った。
「まったく、、言い方が相変わらずだな」
バスティンはクスっと笑いながら言った。
「私はこれからも変わらず公爵様の最高さを世に広めていく所存です」
ステラは嬉しそうに言った。
(もちろんバスティンに色目を使ってくる女性達は蹴り飛ばすけどねぇ〜♪)
ステラはそんな事を考えていた。
「楽しみだな」
バスティンは優しい表情を浮かべて言った。
「期待しておいて下さい」
ステラは笑いながら言った。
その後、2人は馬車乗り帰宅した。
ステラは夜…この日撮影したバスティンの写真を現像して1人ニヤニヤしながら眺めつつアルバムに入れていた。
「あぁ〜今日もバスティンの写真が増えた増えた」
ステラはニヤニヤしながら呟いた。
「今日も、、今日とてバスティン最高」
ステラは更に言った。
「やっぱりバスティンがこの世で一番最高の男だよね♡」
ステラは写真のバスティンを触りながら言った。
「そんなバスティンを侮辱するアーノルドとグレイスはマジで敵認定だわ」
ステラはイラッとしながら言った。
「、、それにしても今日のグレイスって凄い違和感感じたんだよね、、」
ステラは眉をひそめながら呟いた。
("オンラブ"のグレイスはヒロインだけに本当に心がきれいで純粋で元奴隷のサティスにも隔たりなく接し慈愛活動に熱を入れているいわば聖女並の女性なんだよね。実際お茶会で初めてグレイスに遭遇した時もヒロイン感が滲み出てたもんね。だけど、、今日のグレイスは何て言えばいいかわかないけど違和感や疑念を感じる事が多かったんだよね)
ステラは悩みながらそんな事を考えていた。
(ロムがグレイスに抱っこってやった時に浮かべたあの何か冷たい感じの表情が頭から離れないんだよね、、。本当に一瞬だったけどあれは嫌悪や軽蔑するような表情の様に見えたんだよね。刺繍の時もそうだったしあたしに皮肉交じりの言葉言ったのもグレイスらしくないというか何というか、、)
ステラは更に悩みながらそんな事を考えていた。
(そもそも誰にも理由隔たりなく接する人が何でバスティンに対してだけあんなに頑なに見下すんだろう、、。もしグレイスがバスティンを見下す様な事なんてしなかったらバスティンがステラに賛同して処刑される事はなかったわけだもんね、、)
ステラは更にそんな事を考えていた。
「あぁ〜今日は色々ありすぎてもうキャパオーバーかも、、。グレイスに違和感を感じたっていってもあたしの見間違いや感じ違いってこともあるわけだしね。あたしがバスティンを侮辱するグレイスに対していい印象を持ってないからそう感じるだけとも言い切れないしね」
ステラは疲れた表情を浮かべて言った。
「とりま考えるのやめて今日の尊いバスティンを思い出しながら気持ちを浄めて寝るに限るよね〜」
ステラは気持ちを切り替えて言った。
「今日もバスティンが優しい表情を浮かべてくれて嬉しかったな〜。あたしが上手くシナリオ無視してバスティンの幸せだけを願って生活してる成果が出たって実感できるもんね〜」
ステラはニヤリとしながら言った。
そして、ステラはいつの間にか眠りについていたのだった…
この日、ステラはグレイスに初めて違和感を覚えたのだった…
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