20.じゃじゃ馬令嬢は最高の勲章を手に入れる
「ステラ!!」
「スー!!」
体勢を崩し力なくぐったりしているステラを見てダニーとジョシュアは血相を変えて言った。
「ステラ嬢!!」
アーノルドも血相を変えてステラへ言った。
「ステラ嬢!大丈夫か?!私の声が聞こえるか?!」
バスティンは血相を変えて必死にステラへ言った。
(クソッ!ステラ嬢の身体が熱い。恐らく熱があるのだろう。それもかりの高熱が、、。)
バスティンは表情を歪ませながらステラの体から伝わる熱を感じてそんな事を考えていた。
しかし、ステラは意識はあるものの意識が朦朧としているせいか応えることなくぐったりとしていた。
(これは夢じゃないよね、、?あたしの視界にいるのはバスティンで間違いないよね、、?意識が朦朧とするから別の人がバスティンに見えるとかじゃないよね?あたしの都合のいい妄想じゃないよね?)
ステラは意識が朦朧としてぐったりとしつつもそんな事を考えていた。
「ラスター公爵。ステラ嬢は左腕に傷を負っている。応急処置はしているが傷が深い為に熱が出ているのかもしれない。」
アーノルドが表情を歪ませながらバスティンへ説明した。
アーノルドの説明を聞いたバスティン達5人はゾッとした表情を浮かべた。
「熊の血痕と一緒にあった血痕はステラのものだったのか、、。」
ダニーは顔を真っ青にさせて呟いた。
「そんな、、。スーの血だったなんて、、。」
ジョシュアも顔を真っ青にさせて呟いた。
バッ!!
バスティンは急いでステラの左腕の洋服を捲り傷口を確認した。
「これは、、。」
バスティンはステラの左腕の傷口を見て表情を歪めて言った。
ステラの左腕の傷口は応急処置はされているものの化膿し始めていた。
(傷がかなり深いようだな。よくこんな傷を負ってここまで耐えたな、、。クソッ!私のせいだ。私のせいでステラ嬢にこんな傷を負わせてしまった。)
バスティンはステラの左腕の傷口を見て悔しそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「師匠!急いで本部のテントへ戻りましょう!殿下を一刻も早く両陛下の元へお連れしなければなりませんしこれ以上この気温の中ここへいては危険です。それにステラ嬢の負った傷が化膿し始めています。急ぎ適切な処置をしなければならない状態です。」
バスティンが真剣な表情でダニーへ言った。
「ステラの傷口が化膿し始めているだと?!、、くっ!一先ずすぐにここを離れて急ぎ本部へ戻ろう。」
ダニーはステラの傷口の事を聞いて血相を変えて声を張るもすぐに冷静になり言った。
「サティス殿は殿下を。ジョシュアはステラを馬に同乗させてくれ。雨の勢いがおさまっていないから私が先導する。スピードは落として進むが暗闇で何が起こるかわからない。殿下とステラをしっかり同乗させるのだ。バスティンとペーターは一足先に本部へ戻り状況を両陛下へ伝えてくれ。医師の手配もしておく様に。」
ダニーは素早く周りに指示を出した。
「「承知しました。」」
ジョシュア、ペーター、サティスが言った。
「師匠。ステラ嬢は私が馬へ同乗させます。私の代わりにジョシュアを行かせて下さい。」
バスティンはとても真剣な表情を浮かべてダニーへ申し出た。
「何?バスティンが?」
ダニーは眉をピクリと動かして言った。
「はい。」
バスティンが真剣に言った。
「、、。わかった。では、ジョシュアはペーターと急ぎ本部へ向かってくれ。」
ダニーは少し考える様に間を空けて言った。
「はい。」
ジョシュアも何故?という表情を浮かべるも一刻を争うので頷きながら言った。
(この状況で何故急にバスティンがそんな事を言うのかは分からないが今はそんな事を考えている暇はないな。)
ダニーはそんな事を考えていた。
そしてダニーの指示通りジョシュアとペーターは本部のテントへ急ぐ為に馬の速度を上げてダニー達より一足先に出発した。
ダニー達はジョシュア達より一足遅れて出発した。
ステラとアーノルドを乗せているバスティンとサティスは雨の降る中慎重に馬を走らせた。
ステラもアーノルドも体力の消耗が酷い為に体に力が入らいのかバスティンとサティスがしっかり二人の体を支えていないと落ちてしまいそうだった。
(助けが来て安心してしまったのか急に体の力が抜けていくようだ。自分が思う以上に体が悲鳴を上げていた様だな。ステラ嬢は大丈夫だろうか、、。このまま傷の状態が酷くなってしまったらどうしたらいいのだ。)
アーノルドはバスティンと共に馬へ乗るステラを力ない表情を浮かべて見ながらそんな事を考えていた。
(あぁ、、あたし今バスティンとまた馬に一緒に乗れてんだよね?現実だよね?これが現実ならバスティンには嫌われてなかったってこと?それならまた今までみたいにバスティンとまた普通に話せるんだよね?そうだとしたら今死んでも悔いはないわぁ。でも、本当どんどん意識が遠のくのがわかるぁ。やばぁ。)
ステラは意識が朦朧とする中バスティンの腕の中でそんな事を考えていた。
(ステラ嬢もう少しの辛抱だ。すぐに本部のテントへ到着する。到着するまでもう少しだけ耐えてくれ。)
バスティンはステラをギュッと抱き寄せながらそんな事を考えていた。
そして…
ダニー達一行が本部テントがある場所へと戻ってきた。
先に到着していたジョシュアとペーターは既にことの事情を両陛下へ報告をして医者の手配も行っていた。
他の騎士団の騎士たちもジョシュアとペーターの指示の下各自足早に行動していた。
本部のテントへ戻ってきたアーノルドとステラはそれぞれ救護テントへ運ばれ医師の診察を受けた。
アーノルドがいるテントでは……
「アーノルドの容態は?」
アーノルドがいる救護テントへやって来た皇帝であるアルゴンが皇室医師へと尋ねた。
「背中に軽い打撲が見られますがその他は特に目立った外傷などはございません。この気温の中低体温症にもなられていませんので命に別条はございません。ですが体力が低下サれている様ですので十分な休息をお取り頂くのがよいかと思います。疲労回復に効く温かいお茶を用意させて頂きます。冷えた体も温まるかと思いますので。」
医師がアルゴンへとアーノルドの状態を説明した。
「そうか、、。ご苦労だった。ではお茶の手配を頼む。」
アルゴンがホッとした表情を浮かべて医師へと言った。
「承知致しました。では、私はこれで失礼致します。」
医師が言った。
「あぁ。」
アルゴンが頷きながら言った。
「ステラ嬢の容態はどうなのだ?!」
医師がテントを出ようとした時アーノルドが慌てて医師へ言った。
「バートン公爵令嬢の診察は公爵家専属の医師が行っていますので容態が分かり次第お伝え致します。」
医師が言った。
「そうか、、。分かった。ではそうしてくれ。」
アーノルドは仕方ないという表情を浮かべて言った。
「承知致しました。では、失礼致します。」
医師はそう言うとテントから出ていった。
「アーノルド。後のことはこちらに任せておけばいいからあなたは休みないさい。」
皇后シャルルが心配そうに言った。
「はい。母上。」
アーノルドは頷きながら言った。
「ステラ嬢の元へとは後ほど私とシャルルで足を運ぼうと思っているからその際に私達もステラ嬢の様子を確認してくるからお前はしっかり体を休めろ。何があったかはまた落ち着いてから話を聞くとしよう。」
アルゴンが言った。
「承知しました父上。後のことは宜しくお願いします。」
アーノルドが言った。
「あぁ。」
アルゴンが頷きながら言った。
そして、アルゴンとシャルルはテントを後にした。
(ステラ嬢は大丈夫だろうか、、。)
アーノルドが不安そうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
その時…
「殿下にお会いしたいと言っているだろう!」
テントの外から男性が苛つきながら言っていた。
「申し訳ありませんが殿下にお会いする事は出来ません。」
テントの外を見張っていたサティスが冷静に男性へと言った。
「なんたと?!殿下が心配で来たというのに会えないだと?!」
男性が更に苛つきながら言った。
「はい。現在殿下はお休みになっておられますので両陛下と皇室医師以外はお会いする事はできません。ルノア男爵、男爵令嬢申し訳ありませんがお引取り下さい。」
サティスは淡々と言った。
(本当にどうかしているな。殿下が休んでいるという状況で訪ねてくるとは。)
サティスはそんな事を考えていた。
アーノルドの元へ訪れたのはルノア男爵とグレイスだった。
「私は本当に殿下の事が心配でたまらないのです。せめてお顔だけでも、、。」
グレイスはサティスへ涙を浮かべて言った。
「許可なくお入れする訳にはいきませんので。」
サティスは淡々と言った。
(この親子は何だ?殿下が休んでいるというのにどうしてもこうも図々しいんだ?)
サティスは内心苛つきながらそんな事を考えていた。
そんなテントの外のやり取りを中で聞いていたアーノルドは横たわっていた体を起こした。
『常に自分が国の皇太子だという自覚を持ち自分自身の言動には気をつけるべきです。』
その時、アーノルドの頭の中にステラの言葉が過ぎった。
ステラの言葉が頭を過ぎったアーノルドは何か考えた後に小さく頷いた。
そして…
バサッ…
アーノルドがテントから顔を覗かせた。
「殿下?!」
顔を覗かせたアーノルドを見たサティスは焦り言った。
「殿下、騒がしくしてしまい申し訳ありません。」
サティスは申し訳なさそうにアーノルドへ謝った。
「いや、大丈夫だ。」
アーノルドがサティスに優しく言った。
「殿下!お体の方は大丈夫なのですか?!殿下の行方がわからないと聞きとても心配していました。」
グレイスはアーノルドを見た瞬間サティスを軽く押しのけ涙を浮かべてアーノルドへ言った。
押しのけられたサティスは不快な表情を浮かべていた。
(本当にこの令嬢はなんなんだ?礼儀もろくに弁えず。なんと無礼な女なんだ?!)
サティスはグレイスを見て不快そうにそんな事を考えていた。
(グレイス嬢はこんなに周りを弁えない女性だっただろうか?私のことを心配してくれているのは分かるがテントまで押しかけてくるのは、、。)
アーノルドは複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。
(これも私の対応のせいなのだろうか。私自身はグレイス嬢を特別扱いしたつもりなどなかった。しかし、現にこうしてこの状況下だというのにテントまでお構いなしに訪れた2人を見ているとやはり私自身の言動のせいだと思い知らされるな、、。自分自身の言動には気をつけろか、、。確かにステラ嬢の言う通りだな。これからはこの国の皇太子としてきちんと自分の言動には気をつけねばならないな。)
アーノルドは複雑そうにそんな事を考えていた。
「グレイス嬢、ルノア男爵。申し訳ないが自分達のテントへ戻ってくれるか?サティスが言った様に今はこのテントは父上と母上と皇室医師以外は立ち入り禁止となっているのだ。」
アーノルドがグレイスとグレイスの後ろで苛立っていたルノア男爵へ言った。
「え、、?ですが殿下、私は殿下の事が、、。」
グレイスはアーノルドの言葉に戸惑いながら涙を浮かべて言った。
「殿下。娘も私も殿下の行方がわからないと聞いてからずっと殿下の身を案じていたのですよ?それなのに、、。」
ルノア男爵もアーノルドの言葉に戸惑い言った。
「、、心配をかけてすまなかったが私も少し休みたい。」
アーノルドは少し疲れた表情を浮かべて言った。
(はぁ、、。疲れるな。本当に少し横になった方がよさそうだな。本当に私のことを思うなら今訪ねてくるべきではなかったのではないか?)
アーノルドは疲れた表情を浮かべそんな事を考えていた。
「あぁ、、ルノア男爵。今後は父上や私の許可なく皇宮への出入りは避けてくれ。グレイス嬢もこちらからの連絡をしない限りは独断での皇宮訪問は控えてくれ。」
アーノルドが疲れた表情を浮かべてグレイスとルノア男爵へ言った。
「え?どうして、、。」
「何故急にその様なことを?!」
アーノルドの言葉を聞いたグレイスは驚いた表情を浮かべ言った。
ルノア男爵は戸惑いながら言った。
「よく考えてみたら私の言動は他の皇太子妃候補や貴族の者たちへしめしがつかなかったからだ。」
アーノルドが真剣な表情で言った。
「、、もしやステラ様に何か言われたのですか?殿下はステラ様と一緒におられたのですよね?」
グレイスが切ない表情を浮かべて言った。
「ステラ嬢は関係ない。それに彼女は皇太子妃候補から外れたのだから尚更彼女は関係ない。」
アーノルドはムッとした表情で言った。
(確かに彼女に自分自身の言動を気をつける様言われたがそれだけではない。きっかけはステラ嬢の言葉だったかもしれないが決めたのは私自身だ。それに、、ステラ嬢は皇太子妃候補ですらないのだ。私はもう一度彼女に候補になって欲しいと思っているが難しいだろうな。)
アーノルドは切ない表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「そうですか、、。」
グレイスは拳を静かに握りしめながら下を俯き言った。
「殿下はお休みになられますのでどうぞお引き取り下さい。」
サティスが淡々とグレイスとルノア男爵へ言った。
「分かりました、、。」
「分かった。」
グレイスは下を俯いたままで、ルノア男爵は不満気な表情を浮かべ言った。
「「失礼致します。」」
グレイスとルノア男爵が言った。
「あぁ。」
アーノルドはそう言うとテントを閉めて中へと戻った。
アーノルドが中へ戻るとグレイスはグッと唇を噛み締め悔しそうな表情を浮かべていた。
そんなグレイスをサティスは見逃さなかった。
(やはり彼女は、、。)
サティスはグレイスを見てそんな事を考えていた。
「グレイス行くぞ。」
ルノア男爵は苛ついた様にグレイスへ言った。
「はい。」
グレイスが返事をした。
そして二人はアーノルドのいるテントを後にした。
(はぁ、、。静かになったな。それにしても何故あの場所に熊が現れたのだ?狩猟大会の時期に熊が現れたことなどこれまで一度もなかったというのに。熊さえ現れなければこの様な事態になっていなかっただろう。)
アーノルドはベッドへ横になるとふとそんな事を考えていた。
(ステラ嬢は今頃きちんと診察を受けているだろうか、、。)
アーノルドはそんな事を考えていた。
その頃…
ステラはアーノルドとは別の救護テントで診察を終えていた。
ステラは意識が朦朧とするまま診察を受けた。
テント内にはダニー、ジョシュア、ミシェルがいた。
バスティンとペーターはテントの外で待機していた。
「一先ず診察はこれで終わりになります。」
ステラを診察したバートン公爵家専属の医師・ベインズがダニー達へ言った。
ダニーが狩猟大会初心者のステラの事を考えて何か怪我などを負った時の為に公爵家専属の医師ベインズを同伴させていた。
「それでステラ容態は?」
ダニーがベインズへ訪ねた。
「お父様、、。」
その時ステラが掠れた声で呟いた。
「ステラ!」
ステラの声を聞いたミシェルが慌てて言ってステラの元へと近づいた。
「お父様は、、?」
ステラが意識が朦朧しながらもミシェルへ言った。
「直ぐ側にいるわ。ダニー。ステラがダニーへ何か言いたそうなの。」
ミシェルは慌ててダニーへ言った。
「ステラ?!」
「スー!?!」
ミシェルの言葉にダニーとジョシュアが慌てて言うとステラの側へと言った。
「お父様、、。」
ステラが言った。
「何だ?!どうした?!どこか痛むのか?!」
ダニーが辛そうなステラを見て涙を浮かべて言った。
「私の、、乗っていた馬は、、どうなりましたか?」
ステラは一生懸命意識を保つようにダニーへ尋ねた。
「馬?あぁ、ステラの馬なら少し前にこの場へ戻ってきた様だ。」
ダニーは一瞬??という表情を浮かべるもすぐに言った。
「良かった、、。馬に私が獲った獲物が入った袋が繋いでありますので、、それをきちんと回収、、しておいて下さい、、。お願いします、、。」
ステラは意識が薄れゆく中でダニーへ言った。
「わ、分かった。すぐに回収するから心配するな。」
ダニーは慌てて言った。
(良かった、、。あたしのミンクは無事だったみたいだね、、。早くルイルイにお願いして加工してもらわないとなぁ、、。)
ステラはダニーの言葉を聞くと安心しながらそんな事を考えてそのまま意識を失った。
「ステラ!ステラ!」
「スー!しっかりして!」
意識を失ったステラを見たダニーとジョシュアは取り乱し大きな声をあげ言った。
「バスティン、、。」
ペーターが中のダニーとジョシュアの取り乱す声を聞き不安そうな表情でバスティンへ言った。
(中で何があった?!ステラ嬢はどうなった?!)
バスティンもダニー達の声を聞き心臓がバクバクいうのを感じて冷や汗を流しつつそんな事を考えていた。
「公爵様、ジョシュア様。ステラ様は高熱のせいで意識が遠のいた様ですので熱が下がれば目を覚まされるでしょうから落ち着いて下さい。」
ベインズは冷静にダニーとジョシュアへ言った。
(相変わらずステラ様の事になるとお二人は、、。しかし、今回はさすがにお二人が取り乱されるのは仕方ないのかもしれないな。)
ベインズはそんな事を考えていた。
「ベインズ!本当に熱が下がればステラは目が覚めるのだな?!自分の言ったことに命をかけることができるのだな?!」
ダニーは圧をかける様にベインズへ言った。
「はい。もちろんでございます。」
ベインズは慣れた態度で言った。
(公爵様は昔から変わらないな。ステラ様の事となるとすぐ私の命を引き合いになさる。こう何度も引き合いに出されると慣れたものだがね。まぁそれでも今回のステラ様を見た時は長年バートン公爵家に仕える私も驚いたな。まさかこんなに酷い怪我をされたとは、、。怪我もそうだがステラ様は幼い頃から熱というもの縁がない程風邪なども引かれないお方だっただけにこうも高熱に苦しんでおられる姿を見るのは私も辛くなるな。)
ベインズは複雑そうにそんな事を考えていた。
(中の様子がまったく分からない、、。ステラ嬢は大丈夫なのか?!)
バスティンは不安を募らせながら焦りそんな事を考えていた。
ペーターもバスティンを見て不安な表情を浮かべていた。
その時…
バサッ…
テントの中からミシェルが出てきた。
「夫人!」
バスティンがミシェルを見ると慌てて言った。
「夫人、、ステラ嬢は大丈夫なのでしょうか?」
バスティンが不安と焦りが混じる表情を浮かべてミシェルへ尋ねた。
(あぁ、、さっきのダニー達の焦った声が外まで聞こえていたのね。本当にあの2人は、、。)
ミシェルは苦笑いを浮かべながらそんな事を考えていた。
「えぇ。大丈夫ですよ。ただ今は高熱のせいで意識が飛んでしまいましたけど熱が下がれば目を覚ますでしょうとのことです。先程はステラの意識が飛んだのを見てダニーとジョシュアが取り乱してしまいまして。お二人もご存知でしょうけどあの2人はステラの事になると些細なことでも取り乱してしまいますからね。」
ミシェルが柔らかい表情を浮かべてバスティンとペーターへ説明した。
(意識が、、。よほど体が辛かったのだろうな。命に別状はないのだろうか?傷跡は残ってしまうのだろうか、、。早く目を覚ましてくれるといいが。)
バスティンはミシェルの言葉を聞きそんな事を考えていた。
「ステラ様の怪我は大丈夫なのでしょうか?」
ペーターが心配そうにミシェルへ尋ねた。
「一先ず傷の適切な処置はしてもらいました。ステラの容態や傷に関しての詳しい話はこれから聞くところです。話を聞いたら私は医師のベインズと共にステラを邸へ連れ帰ろうかと思っています。」
ミシェルが説明した。
「そうですか、、。」
ペーターが言った。
「そうだわ。ラスター公爵様。お礼が遅くなってしまいましたがステラを無事に馬に同乗し連れ帰って下さりありがとうございました。」
ミシェルが丁寧にバスティンへお礼を言った。
(ステラが誘拐された際も肝が冷えたけれど今回も正気を保つのが大変な程に肝が冷えたからラスター公爵がステラを同乗させている姿を見てホッとしたのよね、、。)
ミシェルはそんな事を考えていた。
「いえ、、。」
バスティンはミシェルの言葉に表情を歪めながらそれしか言えなかった。
(そもそもステラ嬢がこんなことになってしまったのは私のせいだ。夫人にお礼など言われる立場でも何でもない、、。)
バスティンは表情を歪めたままそんな事を考えていた。
「公爵様とペーター様は先に騎士団のテントへお戻り下さい。ダニーとジョシュアは医師からの話を聞き次第そちらに向かうと思いますので。」
ミシェルが言った。
「分かりました。では、先に行くと師匠たちにお伝え下さい。」
バスティンが頷きながら言った。
「分かりました。」
ミシェルが言った。
そして、バスティンとペーターはステラがいるテントを離れ騎士団のテントへ向かった。
「バスティン、、何かあったのか?ずっと様子がおかしいようだが。」
ペーターが騎士団のテントへ向かう途中にバスティンへ言った。
(バスティンらしくなく切羽詰まった表情をしているから何かあったのは間違いないと思うが。)
ペーターはそんな事を考えていた。
「、、落ち着いたら話すよ。一先ず今は狩猟大会を終わらせる事が優先だからな。」
バスティンが言った。
(バスティンが話してくれるまではこれ以上は聞かない方が良さそうだな。恐らくステラ嬢が絡んでそうだからな。)
ペーターは複雑そうにそんな事を考えていた。
「分かった。」
ペーターはそう言うとそれ以上はバスティンに問うことはなかった。
一方…
ステラがいるテントでは…
「ベインズ。それでステラの容態はどうなのだ?」
ダニーが真剣な表情でベインズへ尋ねた。
「ステラ様は腕の傷以外は目立った外傷はありませんでした。この様な気温が低い外にいたというのに低体温症の症状も見られませんでした。しかし、腕の傷は思いの外深い様です。しかし骨などに異常は見られません。ステラ様ご自身で薬草などを用いて応急処置はされていた様ですが傷が深いせいか化膿するのが早かったように思われます。化膿止めを打ちましたので熱はすぐに下がってくると思いますのでご安心下さい。気温が低い中に数時間おられた事で体力が低下していますがしっかり休養を取られたらすぐに体力は回復するかと思います。」
ベインズはダニー達へ説明した。
「そうか、、。とにかくステラはなるべく早く邸へ戻らせゆっくりと休養を取らせよう。化膿が酷くなる様なら化膿止めを頼む。傷の手当てもこまめにしてやってくれ。とにかくステラが少しでも辛くならない様にしてやってくれ、、。」
ダニーは少しホッとした表情を浮かべてベインズへ言った。
ジョシュアとミシェルもホッとした表情を浮かべていた。
「承知致しました、、。ですが公爵様。大変申し上げにくいのですが、、。」
ベインズは言いにくそうな表情を浮かべて言った。
「何だ?」
ダニーは眉間にしわを寄せながら言った。
「ステラ様の傷なのですが、、恐らく傷跡が残るかと思われます、、。」
ベインズは気まずそうな言いにくそうな表情で言った。
「なんだと?!」
ダニーが表情を歪めて言った。
「何という事だ、、。」
ジョシュアも表情を歪めて言った。
「そんな、、。傷跡が残ってしまうなんて、、。」
ミシェルはショックを隠しきれない表情で言った。
「どうしても残るというのか?」
ダニーは表情を歪ませたまま言った。
「恐らくは、、。綺麗に縫合はしましたが傷が深く大きい為薄くはなるものの傷跡が消える事はないかと思います。」
ベインズは苦渋の表情を浮かべて言った。
「そんな、、。」
ダニーは表情を歪ませたまま言った。
「出来るだけの事はするつもりではいます。」
ベインズが真剣な表情で言った。
「あぁ。頼む、、そうしてやってくれ。少しでも傷跡が残らない方法があるのであれば何でも協力するから方法があるならばその時はすぐに言ってくれ、、。」
ダニーは表情を歪めて言った。
「承知致しました。それでは私はステラ様を邸へ連れ帰る付き添いをする支度をしてまいります。」
ベインズは申し訳なさそうな表情を浮かべて言った。
「あぁ、分かった。」
ダニーが言った。
そしてベインズはテントを後にした。
「ステラが目を覚ましたら傷跡の事をなんて伝えたらいいのかしら、、。痛い思いまでした上に見える場所に傷跡が残るだなんて、、。」
ミシェルは涙を浮かべてステラの手を優しく握りながら言った。
「何故、、スーがこんな目に、、。」
ジョシュアは悔しそうな表情を浮かべて言った。
「クソッ!」
ダニーは悔しそうに表情を歪めなが自分の太もも思いり殴りながら言った。
「とにかく今はステラの怪我と体調が最優先だ。ミシェル、、私とジョシュアは狩猟大会の後処理がある上に今回の件で陛下とも話をする必要があるだろうから帰りが遅くなるだろう。君一人にステラを任せて申し訳ないが後は頼んだ。」
ダニーが申し訳なさそうな表情でミシェルへ言った。
「大丈夫よ。心配しないで。私がしっかりステラを連れ帰るから安心してちょうだい。ベインズも同行してくれるからステラの体調や怪我は彼がきっちりと診てくれるだろうから。ダニーとジョシュアはしっかりと仕事をしてきてちょうだい。」
ミシェルは優しく言った。
「あぁ、、ありがとう。」
ダニーはふっと笑みを浮かべて言った。
「ジョシュア。行くぞ。」
ダニーが言った。
「はい。」
ジョシュアは頷きながら言った。
そして、ダニーとジョシュアがテントを後にした。
ダニーとジョシュアがテントを離れるとミシェルがすぐにバートン公爵邸へ戻る支度を始めたのだった。
※
ダニーとジョシュアは騎士団のテントへ到着した。
「皆、集まってくれ!」
テントへ着くなりダニーが騎士たちへ言った。
ダニーの言葉で騎士たちが一斉に集まった。
「今回、予想外の事態が起きてしまった。殿下はご無事だったが事態を考えると狩猟大会を続ける事は難しいのではないかと思う。これから陛下の元へ行き陛下のご指示を聞いてくる。それまでは皆ここで待機しておいてくれ。」
ダニーが騎士たちへ言った。
「「はい。」」
騎士たちは頷きながら言った。
「皆は各自、各テントの警備ならびに狩猟での獲物の各管理。本部周辺に怪しい人影、危険な物がないかの再確認。各テントの人数確認などを速やかに行ってくれ。」
ダニーが騎士たちへ言った。
「「はい!」」
騎士たちが言った。
そして、ダニー含め騎士団の騎士たちへは各自の持ち場へそれぞれ移動し始めた。
「バスティン、ジョシュア、ペーターは私と共に陛下の元へと急ごう。」
ダニーがバスティン達へ言った。
「「はい。」」
3人は頷きながら言った。
そして、ダニー達4人は急ぎアルゴンのいるテントへと向かった。
(とても師匠とジョシュアにステラ嬢の事を聞ける状況ではないな。)
バスティンは歩きながら複雑そうにそんな事を考えていた。
(一先ず、落ち着いたらステラ嬢の状況を聞くとしよう。まずは狩猟大会を終わらせ事態を収集するのが先だな。)
バスティンはそんな事を考えていた。
そして、4人はアルゴンのテントへと到着した。
到着すると4人はすぐに中へと通された。
「皇帝陛下ならびに皇后陛下へご挨拶申し上げます。」
ダニーが姿勢を正して言った。
バスティン達3人も姿勢を正して礼をした。
「あぁ。それで現状況は?」
アルゴンがダニーへ尋ねた。
「はい。狩猟大会でこの様な出来事が起きた前例がないだけに参加者達は困惑を隠せない様です。殿下の容態も皆気になっている様です。我々もまだ今回の事態について詳しい事は把握していませんから一先ずは事態の収集がすべて終わってから参加者達へ通達をするという形をとるのが今の一番の最善策かと思われます。騎士たちに参加者達の各テントの人数確認や護衛を命じていますので後は陛下の判断にお任せ致します。」
ダニーが真剣な表情で説明した。
「そうか、、。一先ず狩猟大会は今の時点では続行は難しいと判断したので今年の狩猟大会は今の時点で終了すると参加者の皆に告げよう。狩猟大会で獲た獲物達の管理はしているのだな?」
アルゴンが困った表情を浮かべて苦渋の決断をして言った。
「はい。騎士たちに各参加者達の獲物は管理する様指示を出しましたのでご安心下さい。」
ダニーが言った。
「そうか。では、この後私が狩猟大会の終了宣言をしてこの場を収めよう。後日改めて狩猟大会の優勝者の発表を参加者達に通達して表彰式を行うとしよう。」
アルゴンが言った。
「承知しました。」
ダニーが言った。
「熊の出没の件については日を改め、皇太子とステラ嬢の体調の回復を見て聞き取りなどしてから貴族会議を行うとしよう。今は二人の体調回復が優先だからな。」
アルゴンが言った。
「承知しました。」
ダニーが頷きながら言った。
(あぁ、ステラはその後も意識が戻らないままなのだろうか?熱は下がり始めただろうか、、。)
ダニーはアルゴンと話をしている間も内心はステラの事が心配でステラのことばかり考えていた。
「では、この後狩猟大会の終了宣言を行うから準備に取り掛かってくれ。」
アルゴンがダニー達へ言った。
「「はい。」」
ダニー達が言った。
「あっ。バートン公爵は少し残ってくれ。話があるのでな。」
アルゴンがダニーへ言った。
「?はい。承知しました。」
ダニーが言った。
「お前たちは先に戻り準備にとりかかってくれ。」
ダニーがバスティン達へ言った。
「分かりました。」
バスティンが頷きながら言った。
(陛下の話とは何だろうか。ステラ嬢の事だろうか。)
バスティンはそんな事を考えていた。
「それでは私達はこれで失礼致します。」
バスティンが礼をしながらアルゴンとシャルルへ言った。
ジョシュアとペーターもバスティンと共に礼をした。
「あぁ。ご苦労だった。」
アルゴンがバスティンへ言った。
そして、バスティン達は3人はその場にダニーだけ残してテントを後にしたのだった。
「バートン公爵。ステラ嬢の容態はどうなのだ?」
アルゴンが険しい表情を浮かべて言った。
(ステラ嬢の元を訪ねてと思ったが先に公爵から容態を聞いておいた方がよさそうだな。アーノルドもステラ嬢の容態が気になっているようだしな。)
アルゴンはそんな事を考えていた。
「、、、。」
ダニーはアルゴンに尋ねられて唇を噛みながら苦渋の表情を浮かべた。
「どうしたのだ?!まさか、、おもわしくないのか?!」
アルゴンが焦った表情を浮かべて言った。
シャルルも焦った表情を浮かべていた。
「体調の方は幸い低体温症になどにならず体力の方は落ちているも命に別状はないとのことでした。外傷の方も腕の傷以外は特に目立った外傷はないとの事でした。腕の傷が思ったよりも深く化膿してしまった事で現在は高熱により意識がない状態ではありますが医師に化膿止めも打ってもらいましたので熱が下がり次第目覚めるとのことでした。」
ダニーは苦渋の表情を浮かべたまま説明した。
「そうか、、。一先ず命に別状がないのであれば良かったが熱で意識がないと心配だな。早く熱が下がり目を覚ましてくれるとよいがな、、。腕の傷はそれほど酷かったのか?」
アルゴンは複雑な表情を浮かべて言った。
シャルルはダニーの言葉を聞き心配そうな表情を浮かべていた。
(公爵は貴族一娘を溺愛していると有名だからこの度ステラ嬢がこの様なことになってしまい肝が冷えたであろうな、、。)
アルゴンは複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「傷は深く大きいそうで恐らく傷跡が残ってしまうだろうと医師から言われました、、。」
ダニーは苦渋な表情を浮かべて言った。
「な、なんだと?!傷跡が?!」
アルゴンは驚き言った。
「そんな、、。」
シャルルも驚き言った。
「それほどまでに酷い傷なのか?」
アルゴンは表情を歪めて言った。
「はい。熊に噛まれた傷ですので。骨に異常はみられなかった様ですが何ぶん力のある熊に噛まれたのです、、。傷は思った以上に酷いものでしたので、、。熊に噛まれながらも腕が無事なだけ良かったというべきなのでしょうが、、。」
ダニーは言葉を詰まらせながら言った。
ダニーの言葉聞きアルゴンとシャルルは苦渋な表情を浮かべていた。
「皇室が主催の狩猟大会で起きた事件だ。我々で力になれることがあるのであれば遠慮なく言ってくれ。」
アルゴンは複雑な表情を浮かべて言った。
「お心遣い感謝致します、、。」
ダニーは俯き気味に言った。
(必ず何故この時期にあんな場所に熊が現れたのか徹底的に調べてやる、、。私の大切なステラに一生の傷を負わせたのだからな。)
ダニーは拳をギュッと力強く握りながらそんな事を考えていたのだった。
その後、ダニーはアルゴンとシャルルにステラは既に邸へ帰宅する準備をしている事を伝えた。
そしてダニーはアルゴン達のテントを後にしてバスティン達に合流して狩猟大会終了に向けて的確かつ早急に動いた。
そして…
狩猟大会は微妙な空気が流れる中終了した。
残った騎士団の騎士たちは参加者達が帰った後に最後の片付けを行っていた。
「バスティン、。すまないが明日は私とジョシュアは休みを取らせてもらうことになった。明日はステラの側にいてやりたいからな。」
ダニーは複雑な表情を浮かべていた。
(ステラが目を覚ましたら腕の傷の痕が残ることを伝えなければならないからな。)
ダニーは辛そうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「分かりました。こちらの事は我々にお任せ下さい。」
バスティンが言った。
「あぁ、ありがとう。助かるよ。」
ダニーは辛そうな笑みを浮かべて言った。
「ステラ嬢の容態はどうなのですか?」
バスティンが言った。
「、、。今はまだ高熱のせいで意識をなくしたまま目覚めてはいない。しかし、化膿止めも打ったから明日にでも熱が下がり目を覚ますだろうとのことだ。体力は低下しているものの低体温症にもなっていなく腕の傷以外は目立った外傷などはないようだ。とにかく命に別状はないようだ。」
ダニーは辛そうな表情を浮かべて言った。
「そう、、ですか、、。」
バスティンは苦渋の表情を浮かべて言った。
(命に別状はない、、。良かった。しかし腕の傷は酷いようだな。)
バスティンは少しホッとしながら考えるもすぐに苦渋の表情を浮かべた。
「早く目を覚ましてくれるといいのだがな、、。何故ステラがこんな目にあわなければならないのか、、。」
ダニーは悔しそうな表情を浮かべて言った。
ダニーの言葉にバスティンは表情を歪めた。
(私があの時に、、。)
バスティンは表情を歪めてそんな事を考えていた。
「一先ず、明日は頼んだぞ。」
ダニーが言った。
「承知しました。」
バスティンが頷きながら言った。
この日、ステラは結局目を覚まさなかった。
※
翌日…
ステラは熱が下がったが夕方になっても一向に目を覚まさなかった。
「ベインズ!熱が下がったというのにステラは目を覚まさないではないか!」
ダニーが診察にきていたベインズに怒りに満ちた表情を浮かべて言った。
「公爵様、、落ち着いて下さい。心配しなくとも今日中にはお目覚めになると思いますから。診察をしましたが熱は平熱まで下がっていますし腕の傷口の方も化膿止めのお陰で今は落ち着いています。ステラ様は体力が低下していた事もあり見た目よりも体が疲れておいでなのです。今、ステラ様は意識を飛ばしているというよりは睡眠を取って体の回復を行っているとお考え下さい。」
ベインズは冷静にステラの状況を説明した。
「ダニー落ち着いて、、。きっとすぐに目を覚ますわよ。ベインズの言うようにきっとステラ自身で体力の回復をしているのよ。我が娘はお転婆だから人より体力を使っているから回復までには時間を要するのよ。ほら見て。昨日よりステラの顔色が良くなっているでしょう?」
ミシェルが冷静かつダニーを落ち着かせるように優しく微笑みながら言った。
(私も未だにステラが目を覚まさない事が不安でないといえば嘘になるけれどステラならきっとそのうち目を覚まして変わらない元気さを見せてくれるはずだわ。)
ミシェルはステラの顔を見ながらそんな事を考えていた。
「しかし、、。」
ダニーは切ない表情を浮かべてステラの顔を見て言った。
「ベインズ。もしも今日中にスーが目を覚まさなければどうなるかわかっていますよね?」
ジョシュアが圧をかけるかの様な目でベインズを見ながら言った。
「はい。ですが、ステラ様は必ずお目覚めになられますからご安心下さい。」
ベインズはジョシュアの圧のこもった目にも動揺することなく冷静に言った。
(まったく、、ジョシュア様は容姿もだが中身までまんま公爵様だな。ステラ様に対しての溺愛具合が年々増していっているな。)
ベインズは内心苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。
「分かりました。」
ジョシュアはグッと唇を噛み締めて言った。
「ステラ、、早く目を覚ましていつもの様に沢山元気に笑ってくれ、、。」
ダニーはステラの手を握りながら今にも泣きそうな表情を浮かべて言った。
「スー、、本当に早く目を覚ましてくれよ、、。」
ジョシュアもダニーと同じ様に今にも泣きそうな表情を浮かべて言った。
(ステラ、、。お父様とお兄様が泣いてしまいそうよ。2人が泣く前に早く目を覚ましてあげなさい、、。)
ミシェルはステラを見つめながらそんな事を考えていた。
同じ頃…
皇宮内ではアルゴンとシャルルがアーノルドの部屋へと訪れていた。
「アーノルド。その後体調はどうだ?」
アルゴンがベッドの上で座っているアーノルドへ尋ねた。
「昨日に比べて随分と体が楽になりました。この調子ならすぐに全回復できるかと思います。」
アーノルドは微笑みながら言った。
「そうか。それは何よりだな。しかし油断は禁物だ。全回復するまではゆっくりと休むのだぞ。」
アルゴンがホッとした表情を浮かべて言った。
「はい。ありがとうございます。」
アーノルドが微笑みながら言った。
「後で、温かいココアでも運ばせるわね。」
シャルルが優しく微笑みながら言った。
「ありがとうございます母上。」
アーノルドは微笑みながら言った。
「ところで、、ステラ嬢の様子はどうでしたか?」
アーノルドがアルゴンとシャルルへ尋ねた。
(昨日は結局皇宮へ戻ってきてからもステラ嬢の容態がどうなっているのか聞けなかったからな。)
アーノルドはそんな事を考えていた。
アーノルドの言葉にアルゴンとシャルルが一瞬戸惑った表情を浮かべた。
「ステラ嬢は傷口の化膿による高熱のせいで意識を飛ばしてしまった様だが医師の話によれば今日には熱が下がり目を覚ますだろうとのことだった。腕の傷以外に目立った外傷はなく低体温症などにもなっておらず命に別状はないとのことだ。」
アルゴンが説明した。
「そうですか、、。命に別状はないのですか。それは良かったです。」
アーノルドは心底ホッとした表情を浮かべて言った。
(良かった。最後にステラ嬢を見たときは意識が朦朧としていて焦ったが、、そうか。命に別状はないか。本当に良かった、、。)
アーノルドはそんな事を考えていた。
「それで腕の傷の方もきちんと治療を受けたのですよね?」
アーノルドがホッとした表情のまま言った。
「治療はきちんと受けたようだ。傷は深いものの骨などに異常はなかったそうだ。」
アルゴンが何かためるような言い方で言った。
「そうですか。」
アーノルドは少しホッとした表情を浮かべて言った。
(骨に異常などなくて良かった。あの鉄板の様なもののお陰だとステラ嬢は言っていたが本当にその通りだったみたいだな。あの鉄板がなければ間違いなく骨どころか腕が噛みちぎられていただろう。)
アーノルドはそんな事を考えていた。
「しかし、、。」
アルゴンは苦渋の表情を浮かべて言った。
「?しかし、、なんですか?」
アーノルドはアルゴンの表情を見て不安そうな表情を浮かべて言った。
「傷口が思いのほか深く大きい様で、、恐らく傷跡が残るだろうと医師から言われたようなのだ、、。」
アルゴンは言いにくそうに言った。
「傷跡が、、残る、、?」
アーノルドは衝撃を受けた表情で呟いた。
「そんな、、。私のせいだ、、。」
アーノルドは表情を歪めて言った。
「アーノルドのせいって。それはどういうことなの?!」
シャルルが慌てて言った。
「ステラ嬢の腕の傷はステラ嬢が私を庇い熊に噛みつかれたものなのです、、。」
アーノルドは表情を更ナに歪ませ言った。
「なんだと?!」
アルゴンが驚きのあまり声を上げて言った。
シャルルもアーノルドの言葉に衝撃を受けていた。
「私があの時もっとしっかり対応していればこの様な事にはならなかったのです、、。ステラ嬢は腕に傷を負った上に救出がくるまで我々が死なない様にと全力を尽くしてくれました。あの気温の中で私が低体温症にならならず死なずに済んだのもすべてステラ嬢のお陰なのです。だというのに、、ステラ嬢の腕に傷口が一生残るかもしれないなど、、。」
アーノルドは苦渋の表情を浮かべて拳を握り締めながら言った。
「まさか、、そんな事が起きていたとは、、。」
アルゴンは衝撃を受けたまま言った。
「アーノルドの命を救ってくれたというのにステラ嬢にそんな傷跡を負わせてしまうことになったなんて、、。」
シャルルは戸惑いと焦りの混じった表情を浮かべて言った。
「父上。すぐにステラ嬢の元を訪れたいです。」
アーノルドが咄嗟に言った。
「、、気持ちは分かるがステラ嬢の体調の事や傷跡の事を一番に考慮せねばならない。恐らくステラ嬢本人もまだ自分の腕の傷の痕が残るとは聞いていないかもしれない、、。きっと傷跡が残ると知ったらステラ嬢はショックで傷ついてしまうだろう。まずはステラ嬢の体調回復を待ち心情が落ち着いてからステラ嬢に会ったほうがいいのではないか?」
アルゴンが冷静に言った。
(居ても立っても居られないアーノルドの気持ちも分かるが今はまずステラ嬢の体調や気持ちを第一に優先してやらねば、、。バートン公爵達の心中を思うと何とも言えないしな。)
アルゴンはそんな事を考えていた。
「、、。そうですね、、。取り乱してしまい申し訳ありません、、。」
アーノルドはハッとなりグッと唇を噛み締めながら言った。
「いや、大丈夫だ。」
アルゴンは心配そうな表情を浮かべて言った。
「アーノルド、、。一先ず今はゆっくり休みなさい。いいわね?」
シャルルが心配そうな表情で言った。
「はい、、。」
アーノルドは力なく言った。
そして、その後アルゴンとシャルルがアーノルドの部屋を後にした。
(ステラ嬢、、。ステラ嬢の心情を思うと胸が張り裂けそうだ、、。見える場所に傷跡が残るなんて。これから一生その傷跡に苦しめられて生きていかなければならないだろう、、。)
アーノルドはベッドに寝転がり天井を見上げながら苦渋の表情を浮かべてそんな事を考えていた。
(私はステラ嬢にどう償えばいいのだろうか、、。)
アーノルドは更に苦渋の表情を浮かべて考えていたのだった…
※
ステラが目を覚まさないまま夜になった…
未だに目を覚まさないステラを前にダニーとジョシュアの不安は限界に近づいていた。
「ステラ、、お願いだ。そろそろ目を覚ましてくれ。」
「スー。そろそろ目を覚ましてくれないとおかしくなりそうだ、、。」
ダニーとジョシュアは不安でいっぱいの表情を浮かべて言った。
「ステラ、、。」
ミシェルも不安気な表情を浮かべて呟いた。
その時…
コンコンッ
ステラの部屋の扉が鳴った。
「ご主人様。ラスター公爵がお見えです。」
部屋の外からリサが言った。
「バスティンが?」
ダニーが言った。
「こんな時間にどうしたのでしょうか。何か問題でも起きたのではないですか?」
ジョシュアが眉をひそめながらダニーへ言った。
「あぁ。そうだな。一先ずバスティンに会おう。」
ダニーが頷きながら言った。
「はい。」
ジョシュアが頷きながら言った。
「ミシェル。我々はバスティンに会ってくるからステラを頼んだ。」
ダニーがミシェルへ言った。
「えぇ。」
ミシェルが頷きながら言った。
そして、ダニーとジョシュアはステラの部屋を後にしてバスティンの元へと向かった。
ダニーとジョシュアと入れ替りでリサがステラの部屋へと入ってきた。
「ステラ様はまだお目覚めになられませんか?」
リサは心配そうな表情を浮かべてミシェルへ尋ねた。
「えぇ、、。まだ目を覚ましてくれないわ。」
ミシェルは心配そうな表情で言った。
「そうですか、、。」
リサは心配そうな表情で言った。
(ステラ様、、早く目を覚まして下さい、、。いつもの様にお転婆な姿を早く見せて下さい、、。)
リサは目を覚まさないステラを見て泣きそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。
その時…
「んん、、、。」
ステラがゆっくりと目を開けながら声を漏らした。
「ステラ?!」
「ステラ様お目覚めですか?!」
ステラが目を覚ました事に気づいたミシェルとリサは驚き思わず声を大きくして言った。
「お母様?リサ?」
ステラは2人を見て言った。
「私の部屋、、?」
ステラはその場で周りを見渡して言った。
「そうよ。あなたの部屋よ。ステラは昨日狩猟大会中に意識が飛んでいたのよ。今の今まで目を覚まさないから皆とても心配したのよ。」
ミシェルが目に涙を浮かべて心から安堵した表情で言った。
「そうなのですか。ご心配をおかけして申し訳ありません、、。でも、もう大丈夫ですよ。」
ステラは申し訳なさそうに言うもすぐに微笑みながら言った。
「本当に目を覚ましてくれて良かったわ、、。本当にステラが怪我をおってぐったりしている姿を見てどれだけ肝が冷えたことか、、。」
ミシェルは涙を浮かべたままステラの手を優しく握りしめて言った。
「お母様、、。」
ステラは困った表情を浮かべて言った。
(だいぶ心配かけちゃったみたいだね。いつもは冷静なお母様がここまで取り乱すなんて。でも、あたし自身も今回は意識が朦朧としていくのを感じてヤバいかもって思ったくらいだもんね。)
ステラはそんな事を考えていた。
「本当にステラ様が目を覚まされて良かったです、、。」
リサは目に涙を浮かべて言った。
「リサ、、。心配かけてごめんね。」
ステラは困り笑みを浮かべて言った。
「お父様とお兄様は?」
ステラがミシェルへ尋ねた。
「あっ!そうだわ。ダニーとジョシュア、それにベインズにもステラが目を覚ました事を伝えたきゃいけないわ。」
ミシェルがハッとなり言った。
「リサ、ダニーとジョシュアとベインズを呼んできてちょうだい。」
ミシェルがリサへ言った。
「承知しました。あっ。ですが今ご主人様とジョシュア様はラスター公爵と、、。」
リサが頷きながら言うもハッと思いだして慌てて言った。
「え?!ラスター公爵が来てるのですか?!何故?!」
ステラは驚き言った。
(バスティンが来てるって?!何で?!何しに?!もしかしてあたしの心配して?!やっぱり昨日のは夢でも妄想でもなくて本物のバスティンだったんだ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「それが何故公爵様が訪問したかは私にも分からないのよ。ダニーとジョシュアも知らなかったみたいだしね。」
ミシェルは困った表情を浮かべて言った。
「ちょっとお父様達のところに行ってきます!」
ステラは慌てて起き上がり言った。
「ステラ!急に動いてはいけないわ!」
ミシェルは慌てて言った。
「ステラ様!ベインズ様の診察を受けてからではないと動いていけません。」
リサも慌てて言った。
「問題ありません。意識が飛んだお陰で十分体は休めましたので。」
ステラは自信満々に言った。
「何が問題ないの。問題おおありだわ。意味が分からない事を言わないでちょうだい。」
ミシェルは慌てて言った。
「腕の傷だって化膿止めは打ってもらっているけれど傷が深いのだなら大人しくしていなさい。私がダニー達のところに行ってくるから。」
ミシェルは困った表情を浮かべて言った。
(この子ったら目を覚ましたと思ったらまた無茶を言うんだから。)
ミシェルは困った表情のままそんな事を考えていた。
「傷ですか?あぁ、そういえば怪我をしてましたね。でも大丈夫です。これくらいの痛みは問題ありませんので。一先ずどうしても今公爵様に会わないといけませんので!」
ステラは自分の腕を見てきょとんとした顔をして言うとすぐに慌てて言った。
そして、ステラはベッドから出て寝巻きのままミシェルとリサを無視して急ぎ部屋を出た。
「ちょっと!ステラ!」
ミシェルはステラが瞬敏に部屋を出て行くのを見て慌てて言うとすぐにステラの後を追った。
(バスティンには今すぐ会って昨日の事を謝らないと。バスティンを嫌な気持ちにさせてしまったならちゃんと謝ってこれまでみたいにバスティンと会って話したいし見つめたいし気持ちを伝えたいもんね。)
ステラは部屋を飛び出し歩きながらそんな事を考えていたのだった…
その頃…
ダニーとジョシュアとバスティンはダニーの執務室で話をしていた。
「それでバスティン。急に訪ねてきたどうしたのだ?何か緊急事態でも起きたのか?」
ダニーが真剣な表情を浮かべてバスティンへ尋ねた。
「急な訪問申し訳ありません。しかし、どうしてもお伝えしたいことがあり訪問させて頂きました。」
バスティンは申し訳なさそうに頭を下げながら言った。
「その伝えたいこととは何なのだ?騎士団で何か問題でも?」
ダニーが言った。
「いえ。騎士団では何の問題もありません。今日伺ったのはステラ嬢に関しての話です。」
バスティンは真剣な表情で言った。
「何?!ステラに関する話だと?!」
ダニーは眉間にしわを寄せながら言った。
同じくジョシュアも眉間にしわを寄せた。
「はい、、。実はステラ嬢があの様な目に遭ったのは私のせいなのです、、。」
バスティンは表情を歪めながら言った。
(やはり師匠達には本当の事を私自身の口から話すべきだと思った。昨日、あの時私がステラ嬢にあんな態度を取らなければこんな事態にはならなかったのだから、、。)
バスティンは表情を歪めたままそんな事を考えていた。
「何?!お前のせいだと?!それはどういう意味だ?!」
ダニーが険しい表情を浮かべて言った。
「バスティン。内容によってはどうなるか分かってるんだよな?」
ジョシュアも険しい表情を浮かべて言った。
2人の言葉にバスティンはグッっと拳を握った。
そして…
「昨日、ステラ嬢がエリア外の場所へ行ってしまったのは私のせいなのです、、。」
バスティンは表情を歪めて言った。
「昨日、大会前にステラ嬢が私のテントへ訪れました。ステラ嬢はただ私に贈り物をする為にテントまで足を運んでくれただけだというのに私はその際に自分の感情に任せてステラ嬢の話も聞かずステラ嬢に対して失礼な物言いをした上にステラ嬢の手を振り払ってしまったのです、、。」
バスティンは苦渋の表情を浮かべて言った。
(あの時のステラ嬢の表情が脳裏に焼きついて離れない。)
バスティンはそんな事を考えていた。
「その際、ステラ嬢はとても驚き傷ついた表情を浮かべていました。ステラ嬢は何も悪くないのに賢明に笑顔を作り逆に私に謝りその場を去って行きました。私はすぐにステラ嬢に謝ろうとしましたが大会が始まってしまいステラ嬢と話をすることができませんでした。大会が始まりステラ嬢を探したのですが既に彼女は狩りに出ていました。恐らくステラ嬢は私の態度に傷ついたまま無我夢中で馬を走らせエリア外に出てしまったのだと思います。」
バスティンは更に苦渋の表情を浮かべて拳を強く握りしめながら言った。
「お前がステラにその様な態度を取らなければステラは傷つくこともなくエリア外に出ることもなかったと、、?極寒の中寒い思いせずに済み怪我をすることもなかったと、、?」
ダニーは額に血管を浮かせて怒りで方を小さく震わせながら言った。
「、、。はい。私があの時自分の勝手な感情を彼女にぶつけなければこの様な事態に彼女が遭遇する事はなかったでしょう、、。」
バスティンは更に苦渋の表情を浮かせて言った。
「ステラ嬢本人にはもちろんですが、、師匠や夫人、ジョシュアにも何とお詫びすればいいか、、。」
バスティンは苦渋の表情を浮かべたまま言った。
ガバッ!!
その時、ダニーが椅子から立ち上がりバスティンの目の前まで来てバスティンの胸ぐらを力強く掴んだ。
そして…
バキッ…
怒りが限界に達したダニーは物凄い力でバスティンの頬を殴りつけた。
バッ……!
物凄い力で殴られたバスティンは思わずバランスを崩し床へ転げた。
バスティンの頬は赤くなり口の端からは出血していた。
「お前のその勝手な感情とやらでステラがどれほど辛く痛い思いをしたかわかっているのか?!一歩間違えればステラは死んでいたのだぞ?!生きているから許されるなどと思うな!謝罪したからといって許されると思うな!」
ダニーは怒りに満ちた表情を浮かべてバスティンに怒鳴り言った。
「バスティン、、お前のせいでステラは今も目を覚まさないんだぞ?!」
ジョシュアは怒りで体を小さく震わせながらバスティンを睨みつけて言った。
「ステラは、、ステラの腕の傷は、、ステラの腕の傷は一生傷痕が残るのだぞ?!あんなに辛く痛い思いをした上に傷痕が残るのだぞ?!それも見える場所にだ、、。これからステラはその傷痕のせいで周りから冷ややかな目で見られ陰口を言われる事になるのだぞ?!何故ステラがその様な思いをせねばならないだ!」
ダニーは怒りとステラを思う気持ちで目に涙を浮かべてバスティンに怒鳴り言った。
「っ?!ステラ嬢の怪我の傷の傷痕が残る、、?」
バスティンは驚愕しながら言った。
(そんな、、。傷痕が残るだと?私は何てことをしてしまったのだ?ステラ嬢に私と同じ思いをさせてしまうというのか?傷痕のせいで世間から心無い事を言われるのか?ステラ嬢が、、?)
バスティンは唖然とした表情を浮かべてそんな事を考えていた。
その時…
バァァァン!!
急に執務室の部屋の扉が思い切り開いた。
ダニー達は思わず扉の方を見た。
扉を開けたのはステラだった。
「ス、、ステラ?!」
「スー?!」
ダニーとジョシュアはステラを見て驚いた表情を浮かべて言った。
バスティンもステラを見て驚いた表情を浮かべていた。
「ハァハァ、、ハァハァ、、。」
ステラは息を切らしていた。
「ステラ、、。目を覚ましたのか?」
ダニーはステラの姿を見て心から安堵した表情を浮かべて言った。
「本当にスーなんだね?」
ジョシュアも安堵した表情を浮かべて言った。
「ハァハァ、、。ステラ。部屋に戻るわよ。」
ステラの後を追ってきたミシェルがステラへ言った。
しかし、ステラはバスティンの姿を目にして足早にバスティンの元へと駆け寄った。
「ステラ嬢、、。」
バスティンが自分の元へとやって来たステラを見て呟いた。
ステラはバスティンの顔を見て表情を歪めた。
(バスティン血が出てる、、。)
ステラは表情を歪めたままそんな事を考えていた。
「ステラ!」
ダニーが慌ててステラの元へ駆け寄ろうとして言った。
その時…
「お父様、、公爵様を殴ったのですか、、?」
ステラが怒りのこもった表情でダニーへ言った。
「え?あ、、えっとだな、、それは、、。その、、。」
ダニーはステラの表情を見てぎょっとなり慌てて言った。
「では、お兄様ですか?」
ステラは怒りのこもった表情のままジョシュアに言った。
「い、いや、、。私ではない、、。」
ジョシュアは慌てて言った。
「ということはお父様が殴ったのですよね?」
ステラは目線をダニーへ戻し言った。
「ス、ステラ。これには訳があるのだ。バスティンがステラがこの様な目にあったのは自分のせいだと言ったのだ。」
ダニーは慌てて言った。
「だから殴ったのですか?」
ステラは眉間にしわを寄せながら言った。
「そうだ!バスティンが昨日ステラにあの様な態度を取らなければステラがこの様に辛く痛い思いをせずに済んだのだぞ?!そうしたら腕の傷痕が残る事もなかったのだぞ?!」
ダニーはムッとなりステラへ言った。
「父上!その話は、、。」
ジョシュアが思わず慌てて言った。
ジョシュアの言葉にダニーがハッとなり言った。
「私の腕の傷は傷痕が残るのですか、、?」
ステラは驚いた表情を浮かべてダニーへ言った。
「ステラそれは、、。」
ミシェルが慌てて言った。
ステラは自分の腕を見つめた。
(傷痕残っちゃうんだ、、。)
ステラは腕を見ながらそんな事を考えていた。
「ステラ嬢、、。」
バスティンがステラを見て苦渋の表情を浮かべて呟いた。
(自分の腕に傷痕が残るなどと聞いて動揺しない訳がないな。私はどれほど彼女を傷つけてしまったのだろうか、、。)
バスティンは苦渋の表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「ステラ、、心配することはない。私達が傷痕が残らない様にする方法をすぐに見つけてきてやるから、、大丈夫だ、、ステラ。」
ダニーは腕を見つめるステラを見て胸が苦しく辛くなりつつも優しい笑みを浮かべて言った。
「そうだよ。ステラは何も心配することないんだからね。」
ジョシュアもグッと涙を堪えながら優しく微笑み言った。
「ステラ嬢、、すまない、、。私のせいでその様な傷を負わせてしまい、、。」
バスティンは苦渋の表情を浮かべて言った。
「はい?私は別に心配とかはしていませんよ?それに傷痕が残らない様にする必要もありません。」
するとステラはパッと顔をあげてきょとんとした顔をしながら言った。
「何だと、、?」
ダニーは驚いた表情を浮かべて言った。
バスティン、ジョシュア、ミシェルも驚いた表情を浮かべていた。
「え?ですから傷痕は残っても構いません。もしかして、、傷痕が残る事を聞いて私がショックを受けていると思ってるんのですか?」
ステラは平然とした表情で言った。
「いや、、ステラ一体何を言うのだ?見える場所に大きな傷跡が残るのだぞ?その傷痕のせいで周りから何を言われるか、、。そんな無理してその様な事を言わなくていいのだぞ?」
ダニーは戸惑いと心配の入り混じった表情を浮かべて言った。
「無理などしていません。それに周りが何と言うと私が気にするとお思いですか?言いたい人達には勝手に言わせておけばいいのです。だって私にとってこの傷痕は勲章なのですから!」
ステラはドヤ顔を浮かべて自信満々に言った。
「勲章、、だと?!」
ダニーは驚いた表情を浮かべて言った。
「スー、何を言ってるんだ?」
ジョシュアは意味が分からいという表情を浮かべて言った。
「はい。だってこの傷痕の場所って公爵様の傷痕と同じ場所にあるでしょう?大好きな公爵様と同じ場所に傷跡があるって最高ではありませんか!お揃いですよ?お揃い!ですからこの傷痕は私にとって最高の勲章なのです!」
ステラは自信満々に笑みを浮かべて言った。
(前世ではバスティンの傷痕の話が出てくる度に自分も同じ様な傷痕があればバスティンの苦しみや辛さを分かち合う事ができるのにって思ってたけどまさかこんな奇跡みたいな事が起こるなんてね。)
ステラはルンルンでそんな事を考えていた。
(ステラは昔から突拍子もない言動をする子だったけどここまでだったとはね、、。我が娘ながら驚かせれるわ。普通の女の子なら下手をしたら一生外に出たくないという程ショックな事だというのにショックどころか笑顔を浮かべて堂々と勲章なんて言ってしまうんだなら。)
ステラの言葉を聞いたミシェルは呆れた笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
ステラの言葉を聞きダニーとジョシュアは唖然としていた。
(ハッ!ちょっと待って!あたしの馬鹿!昨日バスティンにあんな態度取られたばっかだっていうのにこんな大好きな〜とか言ったらヤバくない?!バスティンをまた不快にさせちゃったとか?!バスティンに昨日の事を謝る為にバスティンに会いに来たのに謝るどころかまたいつもの癖で余計な事言っちゃったよ、、。)
ステラはハッとなりぎょっとした表情を浮かべてそんな事を考えていた。
「あの、、公爵様、、私はまた昨日の様に公爵様を不快にさせてしまったでしょうか?そんなお揃いだとか勲章だとか言われても迷惑でしたよね、、。申し訳ありません。それから昨日の事もごめんなさい。どうして公爵様が不快な思いをしたのかは分からないままなのでよければその理由だけでも聞かせては頂けないでしょうか?」
ステラは恐る恐るバスティンへ言った。
ステラの言葉を聞いてバスティンは目を見開き唖然としていた。
(やっぱり黙ってるってことはそういうことよね?しくじったわぁ。これでバスティンに更に嫌われてしまったかも、、終わった、、。)
ステラはげんなりしながらそんな事を考えていた。
その時…
「プッ、、。」
バスティンが吹き出しながら言った。
「え?」
ステラが思わずバスティンを見て言った。
ダニー達もバスティンを見た。
「プハハハハ、、!」
バスティンが吹き出したかと思ったら声を出して笑ったのだった。
ステラはそんなバスティンを見て驚いた表情を浮かべてた。
もちろん、ステラだけではなくダニーとジョシュアとミシェルも驚いた表情を浮かべていた。
(バスティンが声を出して笑ってる、、。)
ステラはバスティンが笑うのを見ながら信じられないという表情を浮かべてそんな事を考えていた。
そして…ステラは同時に何故今この瞬間にカメラを持ってこなかったのかと恐ろしく後悔していたのは言うまでもなかったのだった。
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