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19.じゃじゃ馬令嬢は推しの助けを信じたい

サブーーン……


ブクブク……

ブクブク……


(やっぱり、、崖の下は水だった。でも、、結構深い川か湖っぽいな、、。早く水上に出なきゃ、、。)


ステラは崖から飛び降りた先が水だったことを確信しながらそんな事を考えていた。


そして、ステラは力を振り絞って賢明に水上に向かって泳いだ。


バサッ……!


「プハッ!ハァハァハァ、、。」


ステラが水上へ顔を出すと息を整えた。


「ハァハァ、、。ゔゔぅぅ、、寒っ、、!」


ステラは息が落ち着くと同時に物凄い寒気が襲ってきて言った。


(こんな寒い日に水に飛び込むとか自殺行為いいとこだよね、、。でも、熊に襲われて死ぬよりはましか、、。)


ステラは苦笑いを浮かべて考えていた。


(?!てか、アーノルドは?!崖から降りる時はアーノルドの体を掴んでたけど途中で嫌だったのか無意識に手を離しちゃったんだった、、。やば、、。アーノルドはどこ?!)


ステラはハッとなり慌てて辺りを見渡しながら考えていた。


ザバッ!


「ブハッ、、!ハァハァハァ、、。」


その時、アーノルドが水上に顔を出し息を整えた。


「殿下!!」


ステラがホッとした表情を浮かべて言った。


(危なき。生きてて良かったわぁ。あたしが半ば強引に崖の下に道連れにしたからここで死なれたら後味悪かったし、、最悪皇太子を死に追いやった罪で処刑されてたわぁ。)


ステラはホッとしながらそんな事を考えていた。


「殿下!大丈夫ですか?!」


ステラが声を大きくして言った。


「ハァハァ、、。あぁ、、。どうにかな。」


アーノルドが言った。


「ハァハァ、、。ステラ嬢は?」


アーノルドが大きな声を出し言った。


「私も大丈夫です。一先ずここから出ましょう!」


ステラが大きな声で言った。


「そうだな。分かった。」


アーノルドが言った。


そして、2人は水の中から出た。


(ここは川みたいね。それも深いところと浅いところのある川、、。あたし達が落ちた場所が深いところで幸いだったわ。浅いとこだったら確実に死んでたわぁ。)


ステラは川を見ながら苦笑いを浮かべて考えていた。


そして、ステラは辺りを見渡した。


「あっ!」


ステラは何かを見つけて言った。


「殿下。あそこに小さな洞窟の様な穴があります。一先ずあそこに行きましょう。」


ステラがアーノルドへ言った。


「ん?あぁ。それよりステラ嬢の熊に噛みつかれた傷を処置しなければ、、。」


アーノルドはとても心配そうな表情で言った。


(洋服で噛まれた部分がどうなっているかわからないが熊に噛みつかれて出血していたのだ、、。恐らく傷は酷いはずだし下手したら骨まで砕けている可能性もある、、。本当は痛みで耐えられないだろうに、、。)


アーノルドはステラの破れた左腕の洋服を見ながら考えていた。


「そんな事はあとでいいですからとにかく穴へ向かいましょう。」


ステラは淡々と言った。


「しかし、、!」


アーノルドは慌てて言った。


「私がいいと言っているのです。早く穴に向かいますよ!」


ステラは少し苛立った様子で言った。


「わ、分かった、、。」


アーノルドは仕方なく頷きながら言った。


そして、ステラとアーノルドは小さな洞窟の様な穴へと歩いた。


(ここならさほど狭くもなく寒さも凌げて暖をとることもできそうね。)


ステラは穴の中を見渡しながら考えていた。


「殿下はこちらで休んでいて下さい。この中だと寒さもしのげると思いますので。」


ステラが穴の中を指さしながら言った。


「ステラ嬢はどうするのだ?!君の方こそ腕の応急処置をしなければならないだろう!」


アーノルドが少し声を張りながら言った。


(何?!こんな必死になって。)


ステラはそんな事を考えていた。


「私の事は心配いりません。応急処置もすぐには必要ありませんからご心配なく。」


ステラは淡々と言った。


「何を言っているのだ?!熊に噛みつかれて出血したのだぞ?!」


アーノルドは怒りを覚えた表情を浮かべて言った。


(ステラ嬢は一体何を考えているのだ?!私の事より自分の怪我の事を優先するべきだろう?!私が皇太子だから怪我まで我慢して私を優先するのか?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「私が皇太子だからといって気など使う必要などない。」


アーノルドは強めに言った。


「いえ!決して皇太子殿下だから気を使っているわけではありませんから!そこは勘違いなさらないで下さい!」


ステラは真剣な表情はっきりきっぱり言い切った。


(アーノルドのやつ何言ってんの?あたしがたかが皇太子だからって理由で敬って気を使ってるって思ったわけ?!冗談じゃないわぁ。そんなことあるわけないじゃん。単純に火を起こす為の木を拾いに行こうとしてアーノルドが足手まといだと思ってここにいろって言っただけなんだけど。)


ステラは少し呆れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「なに?!」


アーノルドはステラの予想外の言葉に呆気にとられながら言った。


「ですから、私が殿下にこちらで休んで下さいと言ったのは皇太子というお立場だから言ったのではなく火を起こす為に一人で身軽に木を拾ってこようと思ったのでただ殿下にここにいて下さいと言っただけです。」


ステラは"一人で"と"身軽に"という言葉を強調しながら言った。


「それに、、私が熊に噛みつかれた傷も殿下が心配する程のものではありません。何故なら、、。」


ステラは呆れた表情を浮かべて言うとジャケットを脱ぎシャツの袖を捲った。


カチャンッッ!!


ステラがシャツの袖を捲くると同時に何かが地面へ落ちた。


「これは、、。」


アーノルドが落ちたものを見て驚いた表情を浮かべて言った。


ステラのシャツの中から落ちたのは薄い鉄板の様な物だった。


「これは、私があらかじめ両腕のシャツの中に入れていた防御用の鉄板です。薄いですが丈夫なものです。鉄板の上から熊が噛みついてきたので幸い肉がえぐれたり骨が砕けたりなどはしていません。噛みつかれた勢いで鉄板が変形してそのせいで鉄板が少し皮膚に食い込んだ為に出血しただけです。」


ステラは冷静に腕の傷を見せながらアーノルドに説明した。


(ルイルイにお願いしてて本当に良かったわぁ。稽古してる中で狩猟初心者のあたしには狩猟は経験者より危険があると思って前世の剣道の知識活かして腕と腰回り用の胴もどきみたいなのをルイルイに作って貰える様に頼んでたんだよねぇ。今日に間に合わせてもらえる様にお願いしてたしこれ装着してて良かったわぁ。これなかったら完全に腕千切れてたよね?ちょっと怪我しただけ済んで助かったよ。こわぁ〜。)


ステラはそんな事を考えていた。


(一体この令嬢はどこまで驚く事をするのだ、、?)


アーノルドはステラの説明を聞き驚きを隠せずそんな事を考えていた。


「しかし、、怪我をしたことには変わりはないだろう?まずは怪我の応急処置を、、!」


アーノルドは驚きながらも焦り言った。


(どう見ても軽症ではない。鉄板が皮膚に食い込んだのだぞ?応急処置をしなければ悪化しては大変だ、、。それに間違いなく痛いはずだ、、。)


アーノルドはステラの傷を見てそんな事を考えていた。


「いえ。まずは木を集める事が優先です。」


ステラはきっぱり言った。


「木など応急処置の後でもいいだろう!」


アーノルドはムッとしながら言った。


(何故その様に頑ななのだ?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


(本当にこの人って頭空っぽすぎない?!この状況を理解してないわけ?!本当にイライラするんだけど!)


ステラは呆れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「はぁ、、。殿下。いいですか?2、3時間後には日が暮れます。日が暮れれば今よりも更に気温が下がりますし一瞬で辺りは暗くなります。そうなる前に木を集めて火を起こさなければどうなるかお分かりになりませんか?!私達は間違いなく凍え死にますよ?!」


ステラは呆れた表情を浮かべてため息混じりに言った。


(本当にオンラブの主人公の脳内どうなってるわけ?!あたしよりこの世界に生きてるっていうのに!それに崖から飛び降りた時点で死ぬの覚悟してたけど生きてたんだしこんなとこで死んでたまるかって話なわけよ。絶対凍え死んだりなんかしない。生きてバスティンに謝るんだもん。謝ってあたしの何がバスティンをそんなに不快にさせてしまったかを聞くんだもん!)


ステラはそんな事を考えていた。


(確かに、、。ステラ嬢の言っている事は正しい。毎年この狩猟大会が開かれる時期は一気に気温が下がり夜は更に気温が下がる。この状況下で火がなければステラ嬢の言う通り我々は凍え死んでしまう、、。)


アーノルドはハッとなりそんな事を考えていた。


「、、。分かった。先に木を集めるとしよう、、。」


アーノルドは苦渋の表情を浮かべて言った。


「そのかわり、、木を集め火を起こした後はステラ嬢の傷の手当てをするからな。」


アーノルドは真剣な表情で言った。


「はぁ、、。分かりました。」


ステラは面倒臭そうな表情を浮かべてため息を混じえて言った。


(ステラ嬢は何故あからさまに面倒臭そうにするのだ?やはり、、あのお茶会の事を怒っているのだろうか、、。)


アーノルドは胸がズキンッと痛むのを感じながらそんな事を考えていた。


「では、行ってきます。」


ステラは淡々と言った。


「私も一緒に行こう。」


アーノルドは慌てて言った。


「、、。では、私はあちら側に行くので殿下はあちらへ。」


ステラが指さしながら言った。


(アーノルドと一緒に行動するのはまっぴらごめんだけど木を集めてくれるなら多いにこしたことないもんね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「、、。あぁ。分かった。」


アーノルドは戸惑い気味に言った。


(私と一緒なのは嫌なのか、、。)


アーノルドは切ない表情を浮かべてそんな事を考えていた。


ステラはそんなアーノルドの表情など見るわけもなく足早に木を集めに行った。

アーノルドはそんなステラの背中を見ながら切ない表情を浮かべ自分はステラとは逆の方へ木を集めに歩き出したのだった。


木を集めてに出てから10分後…


「まぁ、これくらいあれば当分の間はは持つはずです。」


ステラが集めてきた木を見て言った。


(最悪、助けが来るまで時間がかかるかもしんないしね。さすがにアーノルドが行方不明になったとなればサティス達が気づくだろうしそうなれば助けがアーノルドを探しに来るはずだもんね。それがいつになるかは分かんないけどね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「それとこれを。何か食べないと体力が落ちてしまうので。」


ステラがジャケットの内ポケットからドライフルーツの入った袋ををアーノルドに見せながら言った。


(小腹が空いたらと思ってドライフルーツ持ってきてて良かったわぁ。水に濡れて若干しなってるけど食べれそうだもんね。あたしだけ食べていくら嫌いでも皇太子のアーノルドにあげないわけにはいかないもんね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「あっ!それと殿下水筒をお持ちですか?」


ステラが言った。


「え?あぁ。水筒などどうするのだ?」


アーノルドはそう言うと自分の水筒をステラへ見せた。


「川で水筒に水を入れてきます。見たところ川の水は飲んでも問題なさそうでしたので。」


ステラが淡々と言った。


(ついでに魚も何匹か収穫してこよっと。浅いところに魚がちらほらいたの見たしね。川魚だし食べれるかは不明だけど小説の世界だし恐らく食べれるはず。食べれる物はとにかく確保しとないとだもんね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「それならば私も共に行こう。」


アーノルドが慌てて言った。


(ステラ嬢一人で行かせる訳にはちかない。狩猟場でないとはいえ何が襲ってくるかわからないからな。しかし、ステラ嬢は怪我を負っているというのに何故ここまで冷静でいられるのだ?普通の令嬢なら泣いて嘆くだろうに、、。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「お好きにしてください、、。」


ステラは面倒臭そうに言った。


(もう、いちいちアーノルドと話すのも面倒になってきたわ。さっさと調達できるものは調達して火を起こさやきゃね。)


ステラは面倒臭そうにそんな事を考えていた。


そして、ステラとアーノルドは自分達が落ちた川へと向かった。

川に着くとお互い水筒に水を入れた。


「ステラ嬢。早く穴へ戻り傷の手当てを。」


アーノルドがステラへ言った。


「ステラ嬢!何をしているのだ?!」


アーノルドがステラの行動を見て驚愕して言った。


ステラはまさに今、川に入ろうとしていた。


「何って魚を捕るんですけど?」


ステラは面倒臭そうに言った。


(いちいちうるさいんだよなぁ。)


ステラはそんな事を考えていた。


「魚だと?!」


アーノルドは驚きながら言った。


(竿もなしに魚を捕るだと?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


そして、ステラはそんな驚くアーノルドなどお構いなしに川に入っていった。


(くぅ〜!!冷たっ!!)


ステラは水の冷たさに表情を歪めながら考えていた。


(だけどそんな事言ってらんないよね。)


ステラはグッと歯を食いしばってそんな事を考えていた。


「ステラ嬢!危険だ!魚なら私が!」


アーノルドが川へ入ったステラを見て慌てて言った。


その時…


バシャッッ!


(よし!)


ステラは全神経を集中させながら目を光らせると水へ手を突っ込み魚を捕らえたのを確信して考えていた。


バシャッ!


ピチピチッ…!!


ステラが水から手を出すと手にはしっかり捕らえられた魚の姿があった。


(一匹GET!!)


ステラは満足気な表情を浮かべ魚を見て言った。


そして、ステラは魚を思い切りアーノルドの方へ向かって投げた。


「殿下、手が空いているならそこの麻袋の中に魚入れてもらえます?」


ステラは淡々と言った。


「え?あっ、あぁ。」


アーノルドは一瞬の出来事に呆気にとられながら言った。


そして、慌ててピチピチ動く魚を持ち麻袋の中へと入れた。


それを見たステラは次々に魚を手掴みで捕らえてアーノルドの方へ向かって投げた。


(良かった〜。前世では子供の頃からよくじーちゃんとキャンプ行ってて何か知らないけど食べる魚は川で手掴みで調達してたんだよねぇ。まさかあの時の手掴み技がこんなとこで役に立つとはね!)


ステラは魚を手掴みしながらそんな事を考えていた。


(一体、彼女は何なのだ?!魚を手掴みで捕る令嬢など聞いた事がないぞ?!しかも左腕を負傷しているというのにあの的確な動き、、。本当に彼女には驚かされる事ばかりだ。)


アーノルドは魚を捕るステラを見てそんな事を考えていた。


(よし!こんくらいあればお腹は満たされるでしょう!)


ステラは捕った魚の数を見て考えていた。


そして、ステラは川からあがった。


「殿下、早く穴に戻りましょう。」


ステラがアーノルドへ淡々と言った。


「あっ、あぁ。」


アーノルドは慌てて言った。


穴へ戻る途中ステラは割りと丈夫そうな大きな葉が目に入ったので何枚か収穫した。


(これは何かと役に立ちそうだね。)


ステラは葉を見てそんな事を考えていた。


そして、ステラとアーノルドは穴へと戻ってきた。


(早く火を起こして服を乾かさやきゃだね。)


ステラは急に寒さをがっつり感じながらそんな事を考えていた。


そして…


ステラは穴の中にあった大きめの石を手際よく拾い輪を作るとその中に集めてきた木を入れた。そしてジャケットのドライフルーツの入っていた逆側の内ポケットから布の巻物のようなものを取り出した。


そして、紐を解き広げてその中からナイフと棒のようなものを取り出した。


「それは何なのだ?」


アーノルドが不思議そうに言った。


「見ていたらわかりますよ。」


ステラは淡々と言った。


そして…


ステラはナイフで木を少し削ぎ取ると削ぎった木くずを集めた木の上へ乗せた。

そして、ステラはナイフを木くずに近づけると棒のようなものでナイフを思い切り擦った。


すると…

ナイフから火花が出た。

その火花が見事に木くずに飛び移ると木くずが燃え始めた。


(よし。ばっちりにね!後は上手く木に火を移して燃やせばOKだね。鉄板盾と一緒にサバイバルグッズ的なものも作ってもらえる様にお願いしてて良かったぁ。狩猟大会なんて初めてだったから念のために色々と用意しておくべきだって思ってたけどこんなに全部役に立つわねぇ。まぁ、前世でのキャンプスキルも相まってるけどね。)


ステラは火がついた木くずを見ながらそんな事を考えていた。


「これは凄いな、、。」


アーノルドは驚いた表情を浮かべて呟いた。


(ステラ嬢は一体どこまで私を驚かすのだろうか。こんなに何もかも冷静に手際よくこなせるとは、、。確かバートン公爵家は騎士家系だが女性であるステラ嬢がここまで騎士がする様な事までできるとはな、、。)


アーノルドはどこか感心した様にそんな事を考えていた。


そして、ステラは更に手際よく木に火を移して焚き火が完成した。


(これでよし!)


ステラは頷きながら考えていた。


「一先ず焚き火はこれで大丈夫そうです。」


ステラが淡々とアーノルドへ言った。


「あ、あぁ。ありがとう。助かったよ、、。」


アーノルドは驚いたまま言った。


そして…


ステラは洋服を脱ぎ始めた。


「ステラ嬢!な、何をしているのだ?!何故、洋服を脱ぐのだ?!」


アーノルドは洋服を脱ぎ始めるステラを見て大慌てで言った。


「何故って濡れた洋服を乾かすからに決まっているでしょう?」


ステラは呆れた表情を浮かべて言った。


(この気温の中で濡れたままの服着てたら死ぬってわからないの?!)


ステラは呆れた表情のままそんな事を考えていた。


「いや、確かに濡れたままではよくないが婚約や結婚の約束もしていない男女がここで洋服を脱ぐというのは、、!」


アーノルドは焦り慌てて言った。


(いくらなんでもそれはますいだろ、、。)


アーノルドは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「私だって本音を言ったら洋服を殿下の前で脱ぎたくありませんし、殿下の裸だって見たいとも思っていません!しかし、このまま濡れた洋服を聞いていても体温が奪われ命の危険に晒されるだけです。生きる為には背に腹は代えられません!」


ステラは不服そうな表情を浮かべてスパッと言った。


(はいはい!自分の裸はグレイスだけのものってか?!ハッ!そんなんこっちだって同じだっつーの!バスティンの前だって服なんて脱いだことないのに何が悲しくてアーノルドの前で脱がなきゃいけないわけ?!こんな状況じゃなけりぁこっちから願い下げって話だよ!)


ステラは不満気な表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「な、な、な、何もそこまで言えとは、、!」


アーノルドはあまりにもステラがはっきりと言うのでモヤモヤしたものを感じつつ慌てて言った。


(そこまではっきり言えとは言っていないだろう?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「はいはい!では、殿下は脱ぎたくないのであればどうぞご勝手にして下さい。私はこんなところで死ぬわけにはいきませんのでさっさと洋服を乾かしますので。」


ステラはそんなアーノルドなどどうでもいいといわんばかりに言うと洋服を脱ぎ下着姿になった。


(オンラブの小説の作者の趣味か知らないけどこの世界の下着ってカップ付きキャミとパンツが一体化したボディランジェリーが主流だから変に露出多くないし助かったわぁ。これなら下着っていうよりは水着に近い感覚だしね。これは水着!って思えば案外平気かも。見せる初めての相手がバスティンじゃないのが気に食わないけどね。)


ステラはそんな事を考えていた。


そして、ステラは脱いだ洋服を焚き火の前に乾きやすい位置に置いた。


(焚き火にしたばっかだし火の威力も強いしすぐ乾きそうね。)


ステラは焚き火の火加減を見てそんな事を考えていた。


ドクンッ…。

ドクンッ…。


ステラが平然とした態度で手際よく行動していると戸惑っていたアーノルドの心臓が大きな音を立てていた。


(ステラ嬢、、。普段は割りと控えめで露出の少ないドレスを着ているからわからなかったが、、彼女はその、、何というか、、とても線が細いのに出るとこがしっかり出ているというか、、。ハッ!私は一体何を考えているのだ!目のやり場に困る、、。しかし、あの様に華奢なのに怖いもの知らずとは、、。)


アーノルドは一人おどおどしながらそんな事を考えていた。


そんなアーノルドの事など眼中にいといわんばかりにステラは自分の腕の傷の手当てをしようと周りを見渡してきれいめ平な石と長細い石を見つけて木を集めた時に一緒に採って来た薬草を手に取った。


そして、ジャケットのポケットに入れていたハンカチを取り出した。


(え?あれ?!ここに入れてたバスティンへマスコットキーホルダーがなくなってる!)


ステラはハンカチを取ったと同時にマスコットキーホルダーがないことに気づき慌ててそんな事を考えていた。


そして、他のポケットもくまなく探した。


(やっぱりないわ、、。)


ステラは落ち込んだ表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「ステラ嬢どうかしたのか?!」


アーノルドが様子がおかしいステラを見て言った。


「いえ、、。何でもありません、、。」


ステラは言った。


(きっと熊に追いかけられてる時にでも落としちゃったか川に落ちた時にポッケから出て流されちゃったに違いなわ、、。バスティンに渡すこともできずなくしてしまうとか本当に今日はとことんついてないことばっかだなぁ。)


ステラは落ち込み気味にそんな事を考えていた。


(ステラ嬢の様子があきらかにおかしくなった、、。何かあったに違いないが話してはくれなさそうだな、、。)


アーノルドは胸がズキっと痛むのを感じつつそんな事を考えていた。


(でも、今は落ち込んでる場合じゃないよね。一先ず傷の手当てが先だよね。)


ステラは自分に言い聞かせる様に考えていた。


そして、ステラは見つけた石の上に薬草を置いて長細い石を使い薬草をすり潰し始めた。

ステラは傷口に水筒の水を少しかけ洗い流すとすり潰した薬草を傷口へ丁寧に置いた。

そして、その上からハンカチを巻こうとしていた。


「私が巻こう。」


片手でハンカチを巻くのに苦戦していたステラを見てアーノルドがステラの前まで来て言った。


「あぁ、ありがとうございます。」


ステラがアーノルドを見て言った。


「ステラ嬢は怪我の手当ても手際がいいし薬草にも詳しいのだな。」


アーノルドがハンカチを巻きながら言った。


「そうですね。母が療養に行く前は兄が怪我をしたらいつも私が手当てしていましたし薬草については母の療養先へ同行した際に学びましたから。」


ステラは淡々と言った。


(まぁ、前世の記憶を思い出してからは手当ての仕方も薬草の勉強も将来バスティンに嫁ぐ時の為にさらに熱心に力入れて学んたからね。)


ステラはそんな事を考えていた。


(ステラ嬢は本当に私が思っている以上に優秀で勇敢なのだろう。傷跡が残るかもしれない程の怪我を負ったのに騒ぐこともなく冷静なのだからな。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「よし。巻けたぞ。」


アーノルドが言った。


「ありがとうございます。助かりました。」


ステラが言った。


「あぁ。」


アーノルドが言った。


(とにかく傷の手当てができて良かった、、。)


アーノルドはホッとした表情を浮かべて考えていた。


「あれ?それよりいつの間に洋服を脱がれたのですか?きちんと濡れた洋服は乾かしてますか?」


ステラは平然とした表情で言った。


(まったく、、。ついさっきまでウダウダうるさかったのに結局アーノルドも生きる為には背に腹は代えられないってわけね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「あっ、あぁ。きちんと焚き火の前で乾かしている、、。」


アーノルドは何故か戸惑いながら言った。


(この距離だとステラ嬢の豊満なむ、胸が見えそうだ、、。って、それより私はとっくに洋服を脱いでいたぞ?先程どうしたと?と声をかけていた時もすでに洋服は脱いで下着姿になっていたのだぞ?それなのに今気づいたのか?!)


アーノルドは何故か苛立ちを覚えつつそんな事を考えていた。


(私はステラ嬢の行動一つ一つに感情が忙しいというのにステラ嬢は私が下着姿でも何とも思わないのだな、、。別にそんな事など気にする必要などないのに何故ステラ嬢が私の事を気にしない事がこんなに寂しく腹立たしいのだ?)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「そうでしたか。」


ステラは焚き火の方を見ながら頷き言った。


その時、、


ピカッ…!

ゴロゴロ……ゴロゴロ…!


雷が鳴った。


「雨が降りそうだな、、。」


アーノルドが雷を聞き空を見上げて言った。


「そうみたいですね、、。」


ステラも空を見ながら言った。


(この状況で雨?!本当に勘弁してほしいわ、、。どこまでついてないわけ?!まぁ、今生きてる事に関しては最強についてると思うけども、、。)


ステラは肩を落としながらそんな事を考えていた。


(ていうか、、よく考えたらオンラブの狩猟大会でこんなストーリー展開なんてなかったよね?!本当だったら今頃はアーノルドが獲物をグレイスに渡してるんだもんね、、。あたしがアーノルドが捕るはずだったミンクを横取りしたから展開が変わったとか?!いやいや、そんな理由で小説通りに進んでる部分の展開が変わったりしないよね?はぁ、、。じゃぁこの状況は誘拐事件に続いてまたも予想外の展開ってわけね、、。いくらシナリオ変えたいとはいえこんな展開いらないんだけど〜。)


ステラはそんな事を考えていた。


(ていうか、あたしのミンクどうなった?!あの馬っころはあの後無事に逃げて人気のある場所に戻ったのか?!馬っころに繋いでた袋の中に大切なミンクが入ってんのにさぁ。)


ステラは更に肩を落としながらそんな事を考えていたのだった。




ステラとアーノルドがそんなトラブルに巻き込まれている頃…


(ステラ嬢は一体どこにいるのだ?!いつまで経ってもステラ嬢に遭遇できないではないか!どこかで落ち込んでるに違いない。)


バスティンは焦りの表情を浮かべてそんな事を考えながら辺りを見回していた。


すると…


カンカンカンカンッ!!

カンカンカンカンッ!!


狩猟大会をしている森に鐘が鳴り響いた。


(緊急招集の鐘?!何かトラブルが発生したのか?!)


バスティンは鐘の音を聞きそんな事を考えていた。


そして、本部テントのある場所へと急ぎ向かった。


(緊急招集ならば狩猟をしている者達が本部へ戻るだろうからそこでステラ嬢の様子を伺うとしよう。)


バスティンは馬を走らせながらそんな事を考えていた。


そして、バスティンが本部のテントがある場所へ到着した。


「師匠!ジョシュア!ペーター!」


バスティンはダニー達の姿を見つけて声をかけた。


「バスティン戻ったか。」


ダニーがバスティンへ言った。


「はい。鐘がなるなど何があったのですか?」


バスティンがダニーへ言った。


「どうやら殿下の姿がどこにもないらしくてな、、。数時間前に護衛たちを残し殿下お一人でどこかへ行かれたようなのだがそれ以降姿が見えなくなったようだ。護衛達が周辺を探したが殿下が見当たらず本部へ一度戻ってみたがやはり殿下の姿はなく鐘を鳴らした様だ。」


ダニーが深刻そうに言った。


「殿下が?しかし、殿下は狩猟大会への参加は初めてではないはずですし姿が見えないということは、、。」


バスティンが深刻そうに言った。


「あぁ、、。何者かに襲撃を受けた可能性があるという事だ、、。」


ダニーが深刻そうに言った。


「そうだとしたら大問題です、、。」


バスティンが深刻そうに言った。


「あぁ。一先ず殿下の近衛騎士と我々騎士団でこれからすぐに殿下の捜索を行うことになったからすぐに支度をしてくれ。」


ダニーが言った。


「承知しました。」


バスティンが頷きながら言った。


「ところでステラ嬢の姿が見えませんがもう戻っているのですか?」


バスティンがダニーへ言った。


「ん?あぁ恐らくミシェルの所に戻っているのだろう。」


ダニーが言った。


「そうですか。」


バスティンが言った。


(ステラ嬢と話をするのはこの件が片付いてからになりそうだな、、。)


バスティンはそんな事を考えていた。


そして、その後バスティン達は支度を整えサティスの元へと集まった。


すると…


「どういうことなのですか?殿下の行方がわからないというのは!」


グレイスが血相を変えてサティスに問いただしていた。


「ルノア男爵令嬢落ち着いて下さい。まだ殿下の行方がわからないとは決まっていません!」


サティスは血相を変えているグレイスに落ち着いて言った。


(今は一刻を争うというのにこんな時にわざわざ説明しろだと?)


サティスは内心苛立ちを覚えつつ考えていた。


「では、何故緊急招集の鐘が鳴ったのですか?きちんと説明して頂けますか?!」


グレイスが必死にサティスへ言った。


「サティス殿、どうしたのだ?」


ダニーがサティスとグレイスのやり取りを見て声をかけた。


「バートン団長、、。こちらのルノア男爵令嬢が今の状況を説明して欲しいとのことでして。」


サティスは少し面倒臭そうな表情を浮かべて言った。


(この令嬢が例の令嬢か、、。いくらサティス殿が爵位もない元・他国の奴隷だったとはいえ今は殿下の近衛騎士だ。そんな彼に男爵令嬢ごときがこの様にわきまえもなく話かけるとは、、。)


ダニーがサティスの話を聞きグレイスを見て考えていた。


「ルノア男爵令嬢、、。今は令嬢に構っている時間などないのだ。我々は陛下の命を受け一刻も早く森へ駆り出さなければならない。これ以上のサティス殿を困らせるな。」


ダニーは淡々と冷ややかにグレイスへ言った。


グレイスはダニーの冷ややかさに思わずビクッとなった。


「も、申し訳ありません、、。殿下のお姿が見えないというお話を耳にしたものですから、、。私はただ殿下の事がとても心配になりましたので、、。」


グレイスは声を震わせながら言った。


「そうか。それならば陛下からのお言葉があるまで大人しく待っているといい。」


ダニーは更に淡々と言った。


「、、はい。分かりました、、。」


グレイスは俯き気味に言った。


(殿下は一体こんなわきまえも知らない娘のどこがいいのだろうか、、。まったく理解できんな。ステラも嫌になるわけだな。)


ダニーはそんな事を考えていた。


(この令嬢は自分の立場というものをあまり理解していないようだな。この令嬢が以前ステラ嬢が言っていた茶会の際に私を侮辱した者だろう、、。)


バスティンはグレイスを見てそんな事を考えていた。


「サティス殿。すぐに出発しよう。案内を頼む。」


ダニーがサティスへ言った。


「承知しました。」


サティスが頷きながら言った。


そして、バスティン達はサティスに案内されながら森へと入っていった。




バスティン達はサティスの案内でサティスがアーノルドと別れた場所へ到着した。


「ここで殿下が一人になりたいと仰られて私と他の護衛達と別れました。」


サティスがバスティン達へ言った。


(あの時、無理にでも殿下に付き添っていたらこんな事にはならなかった、、。完全に俺のせいだ、、。)


サティスは悔しそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「周辺の捜索はして何か変わった点はなかったのだな?」


ダニーがサティスへ言った。


「はい。馬の蹄の跡も途中で消えてしまっていました。」


サティスが言った。


「そうか、、。殿下は狩猟大会には何年も参加されている。道に迷われる事はまずないだろうな、、。」


ダニーが言った。


「はい。狩猟大会のエリアは毎年変わりありませんから道に迷うという事はまず考えられません。」


バスティンが言った。


(となると、やはり最悪の事態ということか、、。)

 

ダニーは険しい表情を浮かべて考えていた。


(殿下にもしもの事があれば俺は、、。)


サティスは表情を歪めてそんな事を考えていた。


「父上。一先ずまだ捜索していない場所がありますからそちらを捜索してみましょう。もしかしたら何らかのトラブルに巻き込まれ怪我などされて身動きが取れないという状況に殿下が陥っている可能性もありますから。」


ジョシュアが冷静に言った。


「そうだな。」


ダニーが頷きながら言った。


「捜索していない場所となるとエリア外の場所だけですね。」


ペーターが言った。


「あぁ。殿下が自らエリア外に行かれるとは考えにくいが念のために行ってみよう。」


ダニーが言った。


「「はい。」」


バスティン達が言った。


そして、バスティン達はサティスがアーノルドと別れた場所から離れたエリア外へ向かった。


「馬の蹄跡を見つけました!ここです!」


エリア外付近にやってくるとジョシュアが馬の蹄跡を発見して言った。


「これは、、馬の蹄の跡と熊?の足跡か?」


ダニーが馬の蹄跡と共にあった動物の足跡を見て言った。


「熊ですか?!ですが、今の時期に熊が現れるなどこれまでの狩猟大会ではありませんでした。」


バスティンが驚き言った。


「あぁ。しかし、この足跡はどう見ても熊のものだ。」


ダニーが深刻そうな表情を浮かべて言った。


「では、この馬の蹄跡は殿下の馬のものと?」


バスティンが深刻そうに言った。


「あくまで可能性だが、、その線が濃厚そうだな、、。」


ダニーは深刻そうに言った。


「バートン団長、足跡を追ってみましょう。」


サティスが真剣な表情でダニーへ言った。


「あぁ。」


ダニーが頷きながら言った。


そして、ダニー達は足跡を辿り進んだ。


「これは!」


ダニーが何かを見つけて驚き言った。


「血痕だ。」


ダニーが地面に落ちてた血を目にして言った。


その血痕を見てその場にいた者たちは息を飲み最悪な事態を思い浮かべた。


(殿下が何者かに襲撃された可能性は低くなったがその代わり熊に襲撃された可能性が濃厚になった、、。)


ダニーは表情を歪めて血痕を見つめてそんな事を考えていた。


「師匠!あそこを!」


その時、バスティンが少し離れた場所を指さしながらダニーへ言った。


「あれは!」


ダニーがバスティンの指差す方を見て驚き言った。


ダニー達の目に映ったのは倒れている大きな熊の姿だった。


ダニー達は急ぎ熊の倒れている場所へ向かった。


「これは一体どういうことだ?」


熊の元へと到着したらダニーが周りの状況を見て驚愕しながら言った。


「熊はすでに死んでいるようです。」


ジョシュアが熊に近づき熊の生死を確認して言った。


「殿下ー!!殿下ー!!いらっしゃいましたら返事をしてください!」


サティスが大きな声で言った。


しかし、シーンと何の反応もなかった。


「バートン団長、これを!」


サティスが何かに気づきダニーへ言った。


「それは殿下の剣ではないか?!」


ダニーはサティスが発見した剣を見て驚き言った。


「ここに殿下がいたことは間違いなさそうですね。」


バスティンが深刻そうに言った。


「あぁ。そのようだな。」


ダニーも深刻そうに言った。


「この倒れている木も恐らくは熊の仕業でしょう。」


ペーターが木の折れた部分を見て言った。


「しかし、何故この時期に熊が現れるのだ?!熊はとっくに冬眠期間に入っているはずだ。それに、、見たところ左後ろ足に矢が刺さっている。先程の血痕は恐らく熊のものだろう。」


ダニーが熊を見ながら言った。


(何だ?この違和感と嫌な予感は、、。)


バスティンが熊に刺さった矢を見て急に嫌な予感がしてそんな事を考えていた。


「サティス殿、、。殿下は弓を持っていたか?」


バスティンは嫌な予感のしたままサティスへ尋ねた。


「いえ。殿下は剣だけをお持ちでした。こちらの剣は間違いなく殿下のものですが矢の方は、、。」


サティスが首を横に振りながら言った。


「どういうことだ?!では、この矢は一体、、。」


ダニーが目を細めながら言った。


(よく見たら人の足跡らしきものが2つある、、。)


バスティンは地面を見て更に嫌な予感を募らせながらそんな事を考えていた。


「父上!これを見て下さい!」


熊の状態を見ていたジョシュアが慌てた声でダニーへ言った。


「どうした?!」


ダニーが慌ててジョシュアの元へ行き言った。


「熊に刺さっていたこの短剣を見て下さい、、。」


ジョシュアは表情を強張らせながら手に持った短剣をダニーへ見せながら言った。


「この短剣は、、ステラの短剣か、、?!」


ダニーは短剣を見て表情を歪ませながら言った。


「何ですって?!ステラ様の短剣?!」


ダニーとジョシュアの会話を聞いていたペーターが驚き言った。


(ステラ嬢の短剣だと?!では、やはりあの矢は、、。)


バスティンがペーターの言葉を聞き表情を歪ませそんな事を考えていた。


そして、バスティンとペーターとサティスはダニーとジョシュアのいる熊の前方へ集まった。


(?!これは、、。)


バスティンが地面に落ちていたステラ作のマスコットキーホルダーを拾い驚愕した表情で考えていた。


「この短剣が熊に刺さっているということは、、ステラもこの場へいて熊の襲撃に遭ったということなのか、、?」


ダニーは表情を歪ませながら短剣を見て呟いた。


「、、恐らくその可能性が高いと考えられます。」


ペーターが言いにくそうに表情を強張らせて言った。


「そして、、こちらの血痕は恐らく短剣を刺された際の熊のものの様ですがこちらの血痕は恐らく人間のものだと思われます、、。」


ペーターが地面に残る血痕を指さしながら言った。


「その血痕は殿下もしくはステラ嬢のものだということか?」


バスティンが表情を歪めて言った。


「あぁ、、恐らくその可能性が高い。それに、、崖の手前の足跡の方向が、、。」


ペーターは渋い表情を浮かべて言った。


「そんな、、。ステラ、、。」


ダニーが信じられないという表情で言った。


「スー、、。」


ジョシュアもダニーと同じ表情で言った。


(そんな、、。嘘だろう、、。)


バスティンはマスコットキーホルダーを握りしめながら表情を歪ませ考えていた。


「殿下、、。そんなまさか、、。」


サティスが顔を真っ青にしながら言った。


(バートン令嬢まで、、。俺は命の恩人に何の恩返しも出来ていないのに、、。)


サティスは歯を食いしばりながらそんな事を考えていた。


(私があの時、、自分の感情をあの様な形でステラ嬢にぶつけなければこんな事にはならず今頃狩猟しながら笑顔を浮かべていただろう、、。私のせいだ、、。私のせいでステラ嬢がこの様な場所へ足を運んでしまったのだ、、。)


バスティンはグッと地面の土を握りしめ悔しさをあらわにしながら考えていた。


「バートン団長。聞こえますか?崖の下から微かに水の音が聞こえます。」


ペーターがハッとなり慌ててダニーへ言った。


「何?」


ダニーは力なく言った。


「崖はかなり高い様で崖下までは目視出来ませんが水の音が微かに聞こえたということは崖下は川か湖なのではないでしょうか?その事に気づいた上で崖から飛び降り熊の襲撃からま逃れたということはないでしょうか?」


ペーターがある仮説を伝えた。


「では、ステラも殿下も生きているかもしれないということか?」


ダニーは目を見開きながら言った。


「あくまで私の仮説に過ぎませんが、、。」


ペーターは困った表情を浮かべて言った。


「父上!きっと生きていますよ!スーならばきっと!」


ジョシュアが目を見開きながらダニーへ言った。


「、、そうだな!我が娘のステラがこの様な事で死ぬわけがないな!」


ダニーは頷きながら言った。


「私もそう思います。ですのですぐに本部へ戻り地図を確認して殿下とステラ嬢の救出へ向かいましょう。」


バスティンが真剣な表情を浮かべて言った。


(そうだ。ステラ嬢はきっとどこかで助けを待っているはずだ。必ず見つけて助けなければ。そして、、あの時の事をステラ嬢に謝るのだ。)


バスティンは拳を握りしめて真剣な表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「あぁ。そうしよう。もうすぐ日が落ちる。それに一雨きそうだ、、。私は陛下に事の事情を説明し救出許可をもらい熊の回収は他の騎士に任せよう。お前たち急ぎ救出の支度をするのだ!もし、殿下とステラが川か湖に落ちたのであればこの気温の中で衣服が濡れている状態で外にいるのは危険だ。一刻も早く2人見つけ出すのだ!」


ダニーが力強く言った。


「「はい。」」


バスティン達が力強く頷きながら言った。


「サティス殿もいいか?!」


ダニーが何か考え込んでいたサティスへ言った。


「は、はい!」


サティスは慌てて力強く言った。


(熊から臭うこの臭いは、、。)


サティスはダニーへ応えながらも熊をじっと見てそんな事を考えていた。


そして、その後ダニー達は本部へ急ぎ戻り周りの混乱を避けるために内密に皇帝へステラとアーノルドの救出許可を得てステラ達が熊に襲撃された現場の熊やアーノルドの剣などの回収を他の騎士たちへと任す様に指示をし自分達は地図を見て崖下にある場所の位置を把握した。

ダニーとジョシュアは出発前にミシェルにステラの状況の話をした。

ミシェルは衝撃を受けたが気をしっかりと持ち本部で待っていると二人へ伝えた。


その間に雨が降ってきた。


「雨が強いが周りの変化を敏感に感じ取りながら視界が悪いのにも気をつけながら2人を必ず救出するぞ!」


ダニーがバスティン達へ言った。


「「はい!」」


バスティン達が頷きながら言った。


そして、ダニー、ジョシュア、バスティン、ペーター、サティスの5人はステラとアーノルドの救出へと向かった。


(ステラ嬢。待っていろ!必ず私達が助けてやる!)


バスティンは馬を走らせながらそんな事を考えていたのだった。




その頃…


ステラとアーノルドは乾いた洋服を来て捕った魚を木に刺し焼いて食べていた。


(やっぱり食べれる魚だったね。見た目は違えど味は鮎みたいな感じだね。塩や醤油とかないから味気ないけどねぇ。まぁ、食べれるだけありがたいよね。)


ステラは魚を頬張りながらそんな事を考えていた。


(ステラ嬢は魚まで焼けるのか?!一体普段どの様な事をしたらここまで何でも出来るのだ?!本当に貴族令嬢なのか?!)


アーノルドはステラが焼いてくれた魚を食べながらそんな事を考えていた。


(それにしても今回のこれもオンラブ内の話中に出てこない想定外の事だから先が読めなくて困ったもんだよね、、。)


ステラは魚を食べながらそんな事を考えていた。


(それに、、あの熊から香った匂い、、。前にルイルイとサティスを殴る蹴るしてたあの男たちからも微かに同じ匂いがしたんだよねぇ。でも、何で熊とあの男たちから同じ匂いが?)


ステラは悩みながらそんな事を考えていた。


(たまたま?ん〜でもたまたまにしては鼻につく匂いだったよね、、。)


ステラは更に考えていた。


(それに何かあの匂いどこかで嗅いだことあるんだよね、、。どこだったかなぁ、、。全然思い出せないんだよね。)


ステラは頭を悩ましながらそんな事を考えていた。


(ていうか、あの熊どうなったんだろう。あたしが顔横に短剣さしたけど痛がるけど死にそうにはなかったもんね、、。上手く急所狙えなかったけど首付近を刺したから出血結構あると思うから息絶えそうだけど、、。)


ステラはふと熊の事を考えていた。


「、、ラ嬢、、。ステラ嬢!」


ステラが考え事をしているとアーノルドが何度も声をかけてきた。


「何ですか?!今、考え事をしているので少し静かにしてもらっててもいいですか?!」


ステラはイラっとしながら言った。


(今はアーノルドと話してる暇なんてないってのに。考える事沢山なんだなら。熊の事や匂いのこともそうだけどこの雨だといくらあたしとアーノルドがいなくなったことにお父様達が気づいたとてすぐには救出に来れない可能性があるしね、、。というかそれ以前にあたしらが居ない事に気づいてなかったらまずくない?まぁ雨も降ってるしそれはないか。)


ステラはそんな事を考えていた。


「なっ!」


アーノルドがギョッとした表情を浮かべて言った。


「いくら何でもそんな言い方はないのではないのか?!」


アーノルドはムッとした表情で言った。


(いくら考え事をしていたとはいえそんな言い方、、。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「殿下が自分が皇太子だからといって気を使う必要ないと仰ってませんでしたか?」


ステラは淡々と言った。


(こんな状況でいちいち言い方なんて気をつけてられるかっての。)


ステラはそんな事を考えていた。


「そ、それはそうだが。だが、しかし!」


アーノルドは戸惑い気味に言った。


「それならばグダグダ言うのはやめてください!」


ステラはきっぱり言った。


(主人公だからって誰もが敬ってくれるって思ったら大違いだからね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「グダグダなど!、、。私の事を怒っているからその様な態度なのか?」


アーノルドはムッとして言うもすぐに言いにくそうに言った。


「怒っているとは?」


ステラが首を傾げながら言った。


「だから、、お茶会での出来事の事だ、、。あの日は本当にすまなかった。今日まで謝る機会がなかったがあの日の自分の行動を反省しているのだ、、。」


アーノルドは胸がツキンッと痛むのを感じつつ戸惑いながら言った。


(自分から言っておいて何だがステラ嬢に直接何を言われるか怖いいな、、。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「、、。お茶会の後すぐは怒りでどうにかなりそうでした。ですが今は、、。」


ステラは淡々と言った。


(もしかして、今は許してくれているのか、、?)


アーノルドは期待を胸にそんな事を考えていた。


「はっきりと言わせて頂くのであれば怒りを通り越して呆れています。それに今更謝られところで殿下の行動がなかったことにはなりませんから。」


ステラは淡々と言った。


(まぁ、怒りも残ってるけどね。それに許すつもりもないし。)


ステラはそんな事を考えていた。


「え?あぁ、、。そうか、、。」


アーノルドは切ない表情を浮かべて言った。


(私は何を期待していたのだ?呆れているか、、。ある意味怒っているいるよりもダメージが大きいかもしれないな、、。)


アーノルドは胸がズキっと痛くなるのを感じながらそんな事を考えていた。


「それで、、皇太子妃候補から抜けると申し出たのか?」


アーノルドは切ない笑みを浮かべて言った。


「あくまでお茶会での出来事がありタイミングが良かったので申し出たのがお茶会の翌日だっただけでお茶会が理由で皇太子妃候補からの脱退を申し出たのでありません。」


ステラが淡々と言った。


(もう何なら最初っから皇太子妃候補なんて願い下げだったし。オンラブのストーリーの流れと家族の事を考えてで候補に残ってただけだしね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「お茶会での事が原因でないなら皇太子妃候補を断る理由は何なのだ?!」


アーノルドが驚き言った。


(それ以外にも理由があるのか?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「そもそも私は皇太子妃になりたいなど考えた事はありません。私が皇太子妃候補に上がったのは家柄が理由だったでしょうし。私から父に頼んで皇太子妃候補にして欲しいなど一言も言ってませんから。これまで候補に残っていたのは家の事を考えていたからです。ですが、今回のお茶会の事があり自分の本音を家族に話したところあっさりと私の気持ちを尊重してくれると言ってもらえたのでこのタイミングだったのです。」


ステラは淡々と説明した。


(皇太子妃になりなかったのはあくまでオンラブの中のステラであたしじゃないからねぇ。)


ステラはそんな事を考えていた。


「皇太子妃に、、なりたくなかったのか、、。」


アーノルドが唖然とした表情で言った。


(そもそも皇太子妃になりたいとも考えてなかったのだな、、。その事が何故こんなにもショックなのだろうか、、。)


アーノルドは切ない表情でそんな事を考えていた。


「はい。それにたとえ私が皇太子妃になりたいと思っていてもすでに皇太子妃になる方は決まっていますよね?」


ステラが言った。


「私が決めていると言いたいのか?」


アーノルドが言った。


「?はい。殿下は既に数いる皇太子妃候補の中からグレイス様を皇太子妃にするとお決めですよね?」


ステラが言った。


(何?白々しい言い方しちゃって。)


ステラは呆れた表情でそんな事を考えていた。


「いや、それはまだ決まっていない。」


アーノルドは慌てて言った。


「はい?決めていないのにグレイス様に対してあの様な待遇をなされているのですか?!」


ステラは眉間にシワを寄せて言った。


(はぁ?はぁ?)


ステラはそんな事を考えていた。


「あの様な待遇とは?」


アーノルドが戸惑いながら言った。


(うわぁ!これはヤバいわ。あれだけあからさまにグレイス贔屓しててそんな気ないとでも言いたいわけ?!何なの!本当にこの男!主人公は何でもありなわけ?!)


ステラは苛立ちを覚えつつそんな事を考えていた。


「グレイス様を皇宮にお呼びになったり、お二人で出かけられたり、極めつけはお茶会でのグレイス様の席を上座になされてましたよね?それだけでも十分グレイス様贔屓の対応です。お茶会の際はグレイス様より爵位の高い家のご令嬢達がほとんどだったにも関わらずグレイス様の席は公爵家である私の向かいでした。誰が見てもあり得ない配置でしたが殿下はそれについて何も触れられませんでした。触れられないという事は殿下がグレイス様を皇太子妃にとお決めになったと言っている様なものです。あれでは他の候補のご令嬢達の面子が丸潰れです。」


ステラは苛立ちながら言った。


「確かにグレイス嬢とは個人的に出かけたり皇宮にも招いてはいるがほれはグレイス嬢が力を入れている慈愛活動について話を聞く事が主であるし、お茶会の席もかしこまったつもりはないのだ!」


アーノルドは慌てて言った。


(この男は思ってる以上に頭弱すぎるわ。本当に天然たらしなの?!自分の行動に無責任すぎじゃない?!)


ステラはアーノルドの言葉を聞き呆れた表情でそんな事を考えていた。


「殿下がその様な認識でも周りから見たら違います。実際にルノア男爵は自分は将来の皇后の父にでもなかったかの様な振る舞いをしていると父から聞きました。まだ決定してもいないのにルノア男爵がその様な態度を取っているのに殿下が何も指摘されないということは周りの貴族からしたら殿下はグレイス嬢を皇太子妃にと決めていると思われても仕方ありませんよ?」


ステラが呆れた表情を浮かべて言った。


「す、すまない!まさか、私の行動でその様な事になっているなど思いもせず、、。」


アーノルドは慌てて言った。


(周りがそう思っているのであればステラ嬢もきっと皆と同じ様に思っていたのだろう。私がグレイス嬢を皇太子妃に決めていると、、。)


アーノルドは戸惑いつつそんな事を考えていた。


「別に私に謝って頂かなくても結構です。私は別にどなたが皇太子妃になられても構いませんから。国の為にきちんと国母としての役目を全うしてくださるのであれば。それに謝るくらいでしたら常に自分が国の皇太子だという自覚を持ち自分自身の言動には気をつけるべきです。」


ステラがはっきり言った。


(オンラブではアーノルドが真実の愛を見つけて〜っていう流れだったからアーノルドの性格まで詳しくは書かれてなかったけどこんなろくでもない性格だったの?!本当にただただ顔だけいいキャーキャー言われるだけの主人公じゃん!本当にオンラブのステラはこんなやつのどこが良かったわけ?!聞いてるだけでもイライラしかしないってのに。)


ステラは苛立ちながらそんな事を考えていた。


「今後は、、自分の言動を気をつける様にするよ、、。」


アーノルドは複雑な表情を浮かべて言った。


「そうされた方が殿下の為でもあるかと思います。」


ステラは淡々と言った。


(好きにしたらいいわ。あたしには関係ないし。)


ステラがそんな事を考えていた。


その後、2人の間に沈黙が続いた。


(あぁ、いつまでここにいたらいいのかなぁ、、。)


ステラは雨が降る外を見ながら考えていた。


(しかもアーノルドと2人きりって、、。嫌すぎてストレスでハゲそうだよ。)


ステラは嫌そうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。


(さすがにもうあたし達が居ない事に皆気づいてくれてるよね?きっと騎士団の捜索になるよね?)


ステラはそんな事を考えていた。


(バスティン、、今頃どうしてるかなぁ?あたしがいなくなった事心配してくれてるかなぁ?あたしの事お父様と一緒に探しに来てくれるかなぁ?)


ステラは切ない表情を浮かべてそんな事を考えていた。


(バスティン、、やっぱりまだあたしの事怒ってるのかなぁ、、。顔合わせたらそっぽ向かれて避けられるのかなぁ、、。)


ステラはまた涙が出てきそうになりながらそんな事を考えていた。


「ズビッ、、。」


ステラは涙を堪えようと鼻をすすった。


「ステラ嬢、、寒いのか?」


アーノルドがステラの鼻をすする音を聞き心配そうな表情で声をかけた。


「大丈夫です、、。」


ステラは俯いたまま言った。


「もしかして、、泣いているのか?!」


アーノルドがステラの表情を見て慌てて言った。


「もしかして傷が痛むのか?!」


アーノルドが更に慌てて言った。


(傷が痛いくらいで泣くか!バスティンに嫌われたかもしれないと思うと堪えても涙が出そうになるだけよ!ほっといて!)


ステラはそんな事を考えていた。


「大丈夫ですからお気になさらず。」


ステラは淡々と言った。


「しかし、、。」


アーノルドは心配そうに言った。


(何故、泣いているのだ?どこか痛むのか?寒いのか?心細いのか?君が泣いているのを見ると気になり心配でどうしたらいいのかわからないのだ。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「、、。もしかして、、何かあったのか?あの場所にいたのは何かあったからではないのか?」


アーノルドが心配そうに言った。


(何で普段はまともな行動しないくせにそんな事に変に勘が働くわけ?!)


ステラはそんな事を考えていた。


「殿下には関係ありません。私の問題ですので。」


ステラは淡々と言った。


(私は話す価値もないということか、、。)


アーノルドは切ない表情を浮かべて言った。


(私はステラ嬢に何もしてやれないのか?)


アーノルドは胸がズキズキ痛むのを感じつつそんな事を考えていた。


(あーあ。バスティンに嫌われたかもしれないってのにまだバスティンなら絶対助けにきてくれるんじゃないかって信じたいなんてさ、、。)


ステラはうずくまりながらそんな事を考えていた。


(信じるくらいなら許されるよね?)


ステラはそんな事を考えていた。


(あぁ、、でも実際に助けに来てくれた人達の中にバスティンがいたとしてもどんな顔してバスティンに会えばいいかわかんないしまた避けられたりしたら耐えられないかもしんないなぁ、、。)


ステラは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。



その頃…

バスティン達5人はステラとアーノルドのいる穴の近くまで来ていた。


「どうだ?周りに人気はあるか?!」


ダニーが皆へ言った。


「雨が強く視界が悪いのもありますし人気も感じられません。」


ジョシュアが悔しそうに言った。


「もう少し先の方へ進んでみよう。」


ダニーが悔しそうな表情で言った。


「ここからは更に道が狭く視界も悪くなりそうだから皆気をつけて進む様に!」


ダニーが言った。


「「はい!」」


バスティン達が言った。


(クソッ!ステラ嬢一体どこにいるのだ?!こんなに探しているのにまったく人気を感じない事に焦りと不安が募り仕方ない、、。頼む!どうか無事でいてくれ!)


バスティンは悔しそうにそんな事を考えていた。


その時…


「師匠!あそこを!灯りが見えます!」


バスティンが遠くの方に微かな灯りが見え慌ててダニーへ言った。


「あれは!すぐにあそこへ急ごう!」


ダニーが慌てて言った。


「「はい。」」


バスティン達が言った。


そして、ダニー達は灯りが見える方へ急いだ。




「今頃、本部のテントは大騒ぎなのだろうな、、。」


アーノルドが雨が振るのを見ながら呟いた。


(サティスは今頃自分の事を責めていないといいが、、。私がサティス達へ待てと伝えたのだからな。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「そうでしょうね、、。殿下が行方不明状態なのですから、、。」


ステラが呟いた。


(てゆうか、あの時何でアーノルドはあんなとこにいたの?狩猟エリアからは離れた場所だったはずだけど、、。)


ステラはふとそんな事を考えていた。


「殿下は何故あの場所へいたのですか?あの場は狩猟エリアからは離れていたはずですけど、、。」


ステラがふと気になったのでアーノルドへ尋ねた。


「え?それはその、、だな、、。」


アーノルドは少し戸惑いながら言った。


(まさかステラ嬢にお茶会での事を謝りたくて探していたなど言えるわけがない。)


アーノルドは戸惑いながらそんな事を考えていた。


(何戸惑ってんの?)


ステラは戸惑うアーノルドを見てそんな事を考えていた。


「まさか、迷われたのですか?!よく考えてみればサティス様や他の護衛の方の姿が見えませんでしたし。」


ステラがハッとなり言った。


(きっとそうだわ。迷ったなんて恥ずかしいから戸惑ってたんだわ。)


ステラはそんな事を考えていた。


「いや、それは、、その、、。」


アーノルドは更に戸惑いながら言った。


(迷子になるわけはないだろう、、。狩猟大会に何度も参加しているのだから、、。)


アーノルドは戸惑いながらそんな事を考えていた。


(あぁ、やっぱりこの反応は迷ったんだね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「殿下、迷ってしまったのはいいとして熊のいるところで無闇に声をあげるのは次回から気をつけた方がいいかと思います。」


ステラがスパッと言った。


(アーノルドがあたしの名前呼ばなきゃ熊は確実にあのスピードだとあのまま崖に落ちたはずなんだから。)


ステラがそんな事を考えていた。


「別に迷ったわけでは、、!それに私が声をあげたのはステラ嬢が熊に襲われていたから咄嗟に!」


アーノルドは慌てて言った。


(ステラ嬢を探していた時にステラ嬢が熊に襲われているのを見てどれだけ肝が冷えたことか、、。気づけば思わず声が出ていたのだ、、。)


アーノルドがそんな事を考えていた。


「咄嗟にですか?!次からは声を咄嗟に出すのはおやめ下さいね?!きちんと状況判断をした方が身のためかと思いますので。あの時殿下が声をあげたので熊の意識が私から殿下に向いてしまった事で熊を崖下へ落とす作戦が失敗に終わってしまったのですから!」


ステラはズバッと言った。


(かりにも皇太子なんだから熊の扱い知ってるでしょうに、、。)


ステラは呆れた表情でそんな事を考えていた。


「なっ!私のせいだと言うのか?!私はステラ嬢が危険だと思い助けたのだぞ?!もう少し言い方というものがあるのではないか?!」


アーノルドはステラの言葉を聞きムッとしながら言った。


「言い方ですか?!言わないといけないことをはっきり言わずに相手が皇太子殿下だからというだけで気を使った言葉を使い言えと?!そんな言い方をしたって重要な事は伝えられないでしょう?」


ステラもムッとしながら言った。


(誰も助けてくれなんて頼んでないけど?!いや、むしろ余計な事してくれたんだよ?!それを言い方?!はぁ?!)


ステラは苛立ちながらそんな事を考えていた。


「重要な事を伝えるのにも伝え方というものがあるだろう?」


アーノルドはムッしたまま言った。


(もう少し優しく言ってくれてもいいのではないのか?!)


アーノルドは不満気にそんな事を考えていた。


「私はこの様な時ははっきりと伝えるタイプなのです!それがたとえ皇太子殿下であってもです!」


ステラはツーンとしながら言った。


(タイプだと!?本当にこんな言い方をする令嬢などこれまで一人もいなかったぞ?!皆、私に気を使い優しく丁寧な、、。)


アーノルドは不満気にそんな事を考えていた。


(何より私も令嬢達に対してこの様に声をあげて言ったことも、、。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


(、、、、。しかし、父上と母上以外の人間にここまで感情をあらわにした事があっただろうか、、。)


アーノルドはふとそんな事を考えていた。


(私は皇太子という立場にありいつも笑みを浮かべて周りにも当たり障りない程度の対応してきた。それは周りの者も私にその様に接してきたのもある、、。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


(しかし、ステラ嬢は、、。)


アーノルドはそんな事を考えてながらステラ嬢をチラりと見た。


「ステラ嬢?大丈夫か?汗が凄いぞ、、?」


アーノルドはチラりと見たステラが汗をかいているのを見て慌てて言うと胸ポケットに入っていたハンカチをステラへ差し出した。


「?大丈夫です、、。それよりその刺繍入りのハンカチはご令嬢に頂いたものでは?せっかく頂いたものを他の人に差し出すのはよくないですよ、、。」


ステラはアーノルドが差し出したハンカチを見て言った。


「いや、しかし、、。」


アーノルドは心配そうに言った。


(焚き火があるのに寒いとも感じるこの状況でそんなに汗をかくのはおかしくないか?今はハンカチのことなど気にしている場合では、、。)


アーノルドは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「受け取ったのであれば刺繍をしてくれたご令嬢の気持ちを粗末にしてはいけません、、。まったくもう、、。」


ステラは少し疲れた表情を浮かべて言った。


(そのハンカチはグレイスからもらったんでしょう?オンラブで何度も見た刺繍だからわかるっての。)


ステラはそんな事を考えていた。


(てか、本当にどうしたんだろう、、。身体が暑い様な寒い様な、、。確かに汗が噴出る感覚がある気がするなぁ。これってまずい感じ?なのかなぁ、、。)


ステラは自分の身体がおかしいことを感じつつそんな事を考えていた。


「ステラ嬢本当に大丈夫なのか?」


アーノルドはそんなステラを見て心配そうに言った。


「はい、、。本当に大丈夫ですから、、。」


ステラは返事をするのも面倒そうに言った。


その時だった…


「ステラ!!殿下!!」


ダニーが穴の中にいたステラとアーノルドの姿を見つけて血相変えて言った。


「バートン公爵?!」


アーノルドがダニーの姿を見て驚き言った。


「お父様、、?」


ステラはダニーの姿を見て安堵した表情を浮かべて言った。


(良かったぁ〜。お父様ならあたしがいたくなったら絶対見つけてくれるって思ってたよ〜、、。)


ステラは安堵したままそんな事を考えていた。


「スー!!」


「殿下!!ご無事ですか?!」


「殿下!ステラ様!」


ダニーの後からジョシュアとサティスとペーターも穴の中へとやって来て血相を変えて言った。


(バスティンは、、いないっぽいね、、。バスティンも来てくれるって信じたかったけど、、来てないって事はやっぱりあたし本当に嫌われちゃったんだね、、。いざそれを目の当たりするときっつ、、。)


ステラはバスティンの姿が見えない事に落胆しながらそんな事を考えていた。


(あっ、、。ヤバっ、、。何か身体が熱くて本当にまずいかんじな気がする、、。)


ステラは身体が熱っぽく感じながらそんな事を考えていた。


そして…

ステラが熱で朦朧としてきて座っていられなくなり体制を崩しかけたその時…


(ヤバっ、、。倒れる、、。)


ステラはそう思った。


「ステラ嬢!」


その時、瞬時にバスティンがステラの身体を誰よりも早く支えて血相を変えてステラへ言った。


(バスティン、、?あぁ、、バスティンだ、、。)


ステラは意識が朦朧とする中でバスティンを見てホッとした様にそんな事を考えていたのだった………

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俺様王子の"ミイラ取りがミイラになった"お話♡


ヤンデレ公爵令息の溺愛ストーカー日記♡転生令嬢の破滅回避生存日記☆(※不定期更新)



後がない極悪令嬢☆やられっぱなしなんて性に合いません!自分の力で生き残ってみせます!!

〜どうやら今回がラストループの様ですが何だか周りが私に執着してきます〜(※不定期更新)



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