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13.じゃじゃ馬令嬢予期せぬ事件に巻き込まれる

この日…ステラは寮母の仕事終わりに帰りに帝都の街へと寄り道していた。


ステラが街へ来た目的は自分専用の包丁と乾燥肉とドライフルーツを購入する為だった。


ステラは目的の物を購入すると一人ルンルン気分で馬車へと向い歩いていた。


(寮母の仕事を始めてからより料理が楽しくなってマイ包丁が欲しいと思ってたからなかなかいい包丁がGETできて良かったぁ〜!!これで更に美味しいものを作ってバスティンに…あぁ…騎士団の騎士たちに美味しい料理を振る舞うぞ〜!!)


ステラはルンルンでそんな事を考えていた。


(包丁にステラって名前入れたかったのにこの世界の金物屋にそんな技術なくて残念だったなぁ…。あっ!もしかしたらルイルイなら入れる事できそうじゃない?!)


ステラはピーンとひらめいた表情で考えていた。


(うん!とりまインビンシブルに寄って聞いてみよ〜っと!)


ステラはそんな事を考えると歩く方向を変えてインビンシブルに向かった。



カランカランッ…


「やっほー!ルイルイ!って…お客さんいたのね。」


ステラは店の扉を開けるなり笑顔でアルイへ言ったが他の客がいたことに気づき申し訳なさそうに言った。


「いや…構わないがどうしたんだ?!まだ頼まれてたものは出来てないぞ?」


アルイはステラの突然の訪問に驚いた表情で言った。


「え…?ここに女…?!」


先客の男性がステラを見て驚いた表情で思わず言った。


(ハハハ…そりぁそういう反応よね。だってルイルイ究極の女嫌いだもんね。)


ステラは男性を見てそんな事を考えていた。


「驚くのも無理ないだろうな…。それで何の用だ?」


アルイは苦笑いを浮かべて男性に言うとステラに尋ねた。


「私の用事は後でいいから先にそちらの男性の方を優先してちょうだい。」


ステラが言った。


「いや…俺の用はもう終わったからお嬢さんどうぞ。」


男性は愛想良くステラへ言った。


「そうなのですか?ありがとうございます。」


ステラは笑みを浮かべ男性へ言った。


「それで?今日はどうしたんだ?」


アルイがステラへ尋ねた。


「うん…。ルイルイってこの包丁の横の方に小さく私の名前を彫ったりとか出来る?」


ステラが包丁を取り出して見せて言った。


「ルイルイ?!」


男性客が思わず大声で言った。


「うるさいぞ!!」


アルイは男性客へムスッとして言った。


(まぁ…正直な反応よね…。女嫌いのルイルイが女のあたしを店に入れて話してるのに加えてルイルイなんて呼ばせてるんだから。)


ステラはそんな事を考えていた。


「あぁ。名前を掘るくらいならできるぞ。」


アルイがステラへ言った。


(ビンゴ!!やっぱりね!ルイルイなら出来ると思ったんだよね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「本当に?!では…お願いしてもいい?」


ステラは目を輝かせて言った。


「あぁ…構わない。」


アルイは頷きながら言った。


「ありがとう!助かるわ!」


ステラは嬉しそうに言った。


「あぁ…。」


アルイはフッと笑みを浮かべて言った。


そんなアルイを男性客が目を点にしながら見ていた。


「では…完成したら手紙でも送って知らせてね!取りに来るから!」


ステラが言った。


「わかったよ。」


アルイは頷きながら言った。


「じゃぁ…私はそろそろ行くわね!馬車を待たせてるから!」


ステラが言った。


「あぁ。気をつけてな。」


アルイが言った。


「えぇ。ありがとう。」


ステラはそう言うと颯爽に店を後にした。


ステラが店を出ると男性客がアルイにステラのあれやこれやを聞いてきたのは言うまでもなかった。




ステラはインビンシブルを出ると馬車へ元へと急いだ。


ステラが足早に歩いていると…


"助けて…!"


微かだったがステラの耳へそう聞こえた。


ステラはバッと近くを見渡した。


(何…?!今助けってって聞こえなかった?!)


ステラは周りを見渡しながら考えていた。


しかし…周りを見渡しても特に変わった様子をなかった。


(気の所為だっのかなぁ…。)


ステラはそんな事を考えるとまた歩き出そうとした。


その時…


"いや…離して…"


ステラの耳にそう聞こえた。


(やっぱり聞き間違いじゃない!)


ステラはそう考えながら声が聞こえたであろう方向を見渡した。


(どこから聞こえたわけ?!)


ステラはそんな事を考えながら更に目を凝らして見渡した。


(どこから聞こえたの?!)


ステラはそんな事を考えていたその時…人っ子一人入るのがぎりぎりな建物と建物の間の隙間を見つけた。


ステラは直ぐ様その隙間えと走り隙間の中へ入った。


(狭っ!!良かった〜寮母の仕事用の動きやすい服で来て。ドレスとかなら絶対途中っでつっかえてたわ…。)


ステラはそんな事を考えながら隙間を進み歩いた。


そしてステラは隙間を抜け切った。


すると…抜けた先には男二人が女性を抱きかかえている姿があった。


「ちょっと!あんた達何してるの?!」


ステラが男たちへ言った。


(やっぱりさっきの声は聞き間違いなんかじゃなかった。こいつら何者?!)


ステラは男二人を見てそんな事を考えていた。


「何だお前は!」


男の一人がステラへ怒鳴り言った。


「あんたらには関係ないでしょ!その女性を離しなさい!どう見ても知り合いとかじゃなさそうだしね。」


ステラは男達を睨みつけながら言った。


(どう見ても誘拐じゃん。)


ステラはそんな事を考えていた。


その時…


ステラは後ろから気配がして咄嗟に振り向いた。


ゴンッ…!!


ステラが振り向くともう一人男がいてステラの頭を鈍器な様なもので殴りつけた。


(しまった…。)


ステラは殴られ意識が薄れていく中でそんな事を考えていた。


そして…ステラはその場へ倒れ込んだのだった。


「この女も連れていくぞ!」


ステラを殴った男が他の男たちへ言った。


「あぁ。」


一人の男が応えるとステラを抱きかかえたのだった。




カランカラン…!


「アルイ!」


インビンシブルについ先程までいた男性客が戻ってきてアルイへ言った。


「何だよ…。帰ったんじゃなかったのか?」


アルイが面倒臭そうに言った。


ステラが帰ったあとにアルイへあれこれ聞いてくる男性客をアルイはすぐに追い出したのだった。

それなのにまた戻ってきたのだった。


「さっきのお嬢さんだが…何か狭い狭い人一人通れるか通れないかの場所を一人入っていたのを偶然見たんだ。あの辺は最近人が行方不明になる事件が起こってる場所の近くだろ?あのお嬢さんあんな場所へ何の用があるか知らないが危なくないか?アルイの知り合いのお嬢さんだろうから一応言いに来てみたんだよ。」


男性客が心配げな表情でアルイへ説明した。


男性客が帰る方向がたまたまステラが歩いている方向だったのでステラが隙間へ入るところを見たようだった。


「なんだって?!それは本当か?!」


アルイは男性客の話を聞いて表情を歪ませ言った。


(あの辺はこいつが言う様に最近人が数人…それも女性ばかりが行方不明になっている場所の近くだ。皇室騎士団もその事件の事を調べてる様だからそれなりの事件なんだろう…。ステラが何故そんな場面に行ったかわからんが嫌な予感がするな…。いくらステラが強いとはいえな…。)


アルイは目を細めながらそんな事を考えていた。


「わかった。教えてくれて助かった。」


アルイは男性客へ言った。


「あ…あぁ。」


男性客が言った。


そしてアルイは店を閉めステラが通ったであろう場所の反対側の道からその場所へ急ぎ行った。


「はぁ…はぁ…。ステラの奴…いないな。」


アルイはその辺りを探しながら呟いた。


その時…


「あれは…。」


アルイの目に何かが入り言った。


アルイが目にしたのはヘアゴムだった。


「これは…確かステラが髪をくくっていたゴムだ…。」


アルイはゴムを見て呟いた。


「これがここに落ちてるいるということは…。まずいな…。」


アルイは表情を歪ませて呟いた。


そして…アルイはヘアゴムを持って急ぎ馬を借り皇宮へと急いだ。


アルイは足を負傷してからは前ほど馬を早く走らせることが出来なかったがそれでも全速力で皇宮へ向かった。


(この時間ならまだバートン団長も副団長も皇宮にいるはずだ…。早くこの事を伝えなければ。)


アルイはそんな事を考えながらひたすら馬を走らせた。


そして…皇宮へ着くとすぐに騎士団の第一部隊の団長室へと通された。


アルイは元皇室騎士団の団員であった上に現在は騎士団へ武器や防具を収めている事もありすぐに皇宮へ入る許可がおりたのだった。


コンコンッ!


「団長…アルイが急ぎ伝えたい事があるとのことでこちらへ来ています。」


騎士の一人が団長室の扉を叩き言った。


「アルイが?入れ。」


ダニーは不思議そうな表情を浮かべ扉の向こうの騎士に言った。


「失礼します。」


アルイはそう言うと足早に部屋に入った。


団長室にはジョシュアもいた。


「アルイどうしたの?今日は特に武器の納品とかないだろう?」


ジョシュアが不思議そうな表情で言った。


「今日は急ぎお二方にお伝えするべき事があり急遽伺わせて頂きました…。」


アルイは真剣な表情で言った。


「なんだ?」


ダニーが言った。


「実は…団長の娘さんが誘拐された様なのです…。」


アルイはとても言いにくそうに言った。


「何だと?!」


「なんだって?!」


ダニーとジョシュアが同時に立ち上がり言った。


「それはどういうことだ?!」


ダニーが怒りの表情をあらわにして言った。


ジョシュアも怒りの表情に溢れていた。


「それが…。」


アルイは二人に事情を説明した。


ダンッ!!


「何ということだ…。ステラ…。」


ダニーは怒りのこもった表情で机を叩き言った。


「ジョシュア…すぐに…ステラを探し出しに行くぞ。」


ダニーがジョシュアへ言った。


「はい。」


ジョシュアは頷きながら言った。


「アルイ…何故お前がステラと知り合ったかはまた問うとしよう…。一先ずステラのゴムを見つけた場所へ案内しろ。」


ダニーは今にもブチ切れそうな怒りの表情でいった。


「はい…。」


アルイは気まずそうな表情で言った。


そしてダニーとジョシュアとアルイは物凄い勢いで部屋から出た。


それと同時にバスティンとペーターも第二部隊の団長室から出てきた。


「師匠…。そんな面相して何かあったのですか?」


バスティンがダニーの表情を見て言った。


(団員が何かやらかしたのか…?)


バスティンはそんな事を考えていた。


「ステラが誘拐された様だ…。」


ダニーは拳を握りしめ額に血管を浮かせながら言った。


「ステラ嬢が?!」


バスティンは思わず声を大きくして言った。


横にいたペーターも驚いた表情を浮かべていた。


(まさか…。ステラ嬢が誘拐されただと…?)


バスティンは一瞬頭が真っ白になった。


ほんの数時間前まで寮母として働いていたステラが誘拐されたなど信じがたかった。


「どうやら…例の事件に巻き込まれた様だ。」


ダニーは表情を歪めながら言った。


「なんですって?!例の事件に?!では…ステラ嬢はただ誘拐されたわけではないということになりますよ?!」


バスティンが表情を歪めダニーへ言った。


「分かっている…。だからこれからすぐにステラを探しに行く。悪いがお前もペーターも…それから第二部隊の団員数名を連れてステラの捜索を手伝ってくれ。」


ダニーは騎士団の団長としてではなく父親としての表情を浮かべてバスティンへ言った。


「分かりました。すぐに準備致します。」


バスティンが頷きながら言った。


「助かる…。私はこの件を一旦陛下にお伝えしてからすぐに行くから門で待っていてくれ。」


ダニーがバスティンへ言った。


「分かりました。」


バスティンが言った。


そして…その後すぐに捜索にあたる物を引き連れバスティンとジョシュア達は門に集まった。


「ところで…何故ここへアルイが?今日は特に納品日ではなかったよな?」


ペーターがふとその場にアルイがいることを不思議に思い言った。


「あぁ…まぁ…また後でお話します…。」


アルイは気まずそうに言った。


「??わかったよ。」


ペーターは不思議そうにしながら言った。


(ステラ嬢が例の事件に巻き込まれたのだとしたら…誘拐されただけではなく…。)


バスティンはそんな事を考えていたら胸がギューっと締め付けられのを感じた。


"公爵様!"


"バスティン!"


"バスティン…愛してる!"


バスティンの頭の中にステラの笑顔とステラの声が浮かんだ。


(もしも…ステラ嬢に何かあれば…私は…。)


バスティンはそんな事を考えていると急に恐怖な様な感情に襲われた。


「待たせたな!」


バスティンがそんな事を考えているとダニーがやって来て言った。


「父上!…?皇太子殿下?!」


ジョシュアがダニーへ言うとダニーの後ろからアーノルドが見えて驚

き言った。


「皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」


バスティンがアーノルドへ言った。


「「ご挨拶申し上げます。」」


バスティンに続いてその場にいた騎士たちが言った。


「あぁ。」


アーノルドが言った。


「失礼ながら…何故殿下が団長と?」


バスティンがアーノルドへ尋ねた。


「たまたまバートン団長が父上へ話をしているのを聞いてな。私も力になりたいと思い同行させてもらうことにしたのだ。父上の許可も得ている。それに…もしもステラ嬢が例の事件に巻き込まれてしまっているのが事実なら皇太子として放っておくわけにはいかないからな。」


アーノルドが言った。


(たまたま父上達の話を聞いた時に体が勝手に動き父上にバートン公爵達に同行する許可を願い出ていた。ステラ嬢が誘拐されたと聞いた時にいてもたってもいられなくなった。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「そうですか…。」


バスティンはどこか不服そうな表情を浮かべ言った。


(何だこの気持ちは…。殿下がわざわざ協力してくれると言っているのにありがたいとは全く思わない…。むしろ…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「一先ず…一刻を争う事態ですのでステラがいなくなった場所へ急ぎ向かいましょう。」


ダニーは深刻な表情でアーノルドへ言った。


「わかった。その場へ急ごう。」


アーノルドは頷きながら言った。


「アルイ!案内してくれ!」


ダニーがアルイへ言った。


「承知しました。」


アルイが頷きながら言った。


そして…バスティン達は急ぎステラが居なくなったと思われる場所へ急ぎ向かった。




その頃ステラは…


「んん……。」


気を失っていたステラが目を覚まして声を漏らした。


「ここは…?っ…!痛っ…!」


ステラは薄っらと目を開け周りを見渡し言うと頭に痛みを感じ言った。


(あぁ…そうだった。あの時後ろから男たちの仲間に殴られて気を失ったんだった…。あたしとした事が油断してしまったわ。それよりここはどこなわけ?それに手を縛られちゃってるわ…。)


ステラは思い出しながら考えていた。


ステラは視野が戻ってきて改めて周りを見渡した。


「え?!」


ステラは自分の目にした光景に思わず声を出した。


そこにはステラと同じく手を縛られた10人以上女性達がいた。


(どういうこと?!あの男たちに拉致られたのってあの抱えられた子とあたし以外にもこんなにいたわけ?!)


ステラは女性達を見て戸惑いつつ考えていた。


「あなた達…大丈夫?」


ステラは女性達に声をかけた。


女性達は皆絶望した表情を浮かべていた。


「私達も…きっと…順番に…どこか知らない人のところへ売られるのよ…。前にここにいた子たちと同じように…。」


一人の女性が体を震わせ怯えた表情で言った。


「あれ…?あなた…あの時景品を交換してくれた方よね?」


ステラはその女性を見て驚いた表情で言った。


「え…?あ…あなたは…バートン公爵家のステラ様…。」


女性も驚いた表情を浮かべて言った。


周りの女性達もステラが貴族の令嬢と聞いてどうしてそんな人が?と言わんばかりの驚いた表情を浮かべていた。


「えぇ。覚えていてくれてありがとう。それより…さっき言ってた話を詳しく聞かせてもらってもいいかしら?」


ステラは女性へ言った。


女性はステラの言葉に頷くと話を始めた。


女性の話によると…


その場にいた女性達は皆拉致され連れてこられて閉じ込められているということ。

女性達の年齢が13歳から20歳までなこと。

毎日、数人の女性がどこかへ売り飛ばされる為に連れて行かれるということだった。


「なんてことなの…。最低な事をする奴らね…。」


ステラは女性の話を聞き怒りに満ちた表情で言った。


(本当にどこの世界にもクズ野郎がいるわけね。連れて行かれた女性達は恐らくどこかの貴族に情婦として売られたか…もしくは…闇オークションに出されるかってとこなのかな…。)


ステラはそんな事を考えていた。


(オンラブの話中にこんな事件なんて書かれてなったよね?予想外の事で先が読めないんだけど…。)


ステラは悩ましい表情でそんな事を考えていた。


「今日はまだ誰も連れて行かれていないので…もしかしたら…私が連れて行かれるかもしれません…。どうしたらいいのか…わかりません…。とても…怖いです…。きっと家族も私が急に居なくなり…とても心配していると思います…。一体どうしたら…。」


女性はしくしく泣きながら言った。


周りの女性達も恐怖からしくしくと泣き始めた。


(今日はまだ誰もか…。ってことはこれから男たちがここへやって来るってことだよね…。)


ステラは女性の話を聞きそんな事を考えていた。


「いつもここへは何人の男たちがやってくるよ?ここがどこだかは分からないわよね?」


ステラは女性へ尋ねた。


「グスッ…。ここへはいつも同じ男たちが2人やってきて選んだ女性を連れて行きます。ですが…他にも2人別の男たちがいるのを一度だけ見ました…。ここがどこだかはわかりません…。」


女性はステラへ説明した。


「全部で5人か…。」


ステラは女性の話を聞き呟いた。


(5人ならあたし一人でも余裕ね…。さっきは不意をつかれてしまったけど今度はそういう訳にはいかないからね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「早く…ここから出たい…。」


「私も…早く出たい…。」


「誰か…助けに来てほしい…。」


女性達は泣きながら呟いた。


「……皆よく聞いてちょうだい!残念ながら助けが来るなんて保証はないわ。それに助けなんて待っていたら今日また誰かが連れて行かれるかもしれないわ…。だから…助けを待つのではなく私達でここから出るのよ!」


ステラはニヤリと笑みを浮かべて言った。


「え…?私達でここから…ですか?」


女性は呆気にとられた表情で言った。


周りの女性達もステラの言葉に呆気にとられていた。


「えぇ…そうよ。私がいるから大丈夫よ!あんなクズ男たちに痛い目を見させてやるわ!あなた達もあの男たちに痛い目に遭わせてやるといいわ!」


ステラは自信満々に笑顔で言った。


「……分かりました…。ステラ様に協力します。」


女性はステラの自信満々な態度にどこか信頼できるものを感じて決心した表情で言った。


周りの女性達も皆頷いた。


「ありがとう!感謝するわ!では…まずは縛られてるこの縄をどうにかしないとね…。」


ステラはそう言うと左足でスカートをめくり上げた。


「申し訳ないのだけれど…この右股のナイフを取ってもらえる?」


ステラはスカートをめくって露わになった右股を見せながら女性へ言った。


「は…はい!」


女性はステラの行動に呆気を取られながらも慌てて応えて縛られている手でどうにかステラの右股からナイフを取った。


(まぁ…驚くよね。貴族の令嬢が太ももにナイフ隠してんだから。でも…包丁と一緒に護身にちょうど良さげなナイフがあったからGETしといて良かったわ〜!)


ステラはそんな事を考えていた。


「ありがとう!」


ステラは女性へ言うとナイフを持ち上手く手を縛っていたロープを切った。


そして…ステラは他の女性達の縄もナイフで切った。


「男たちがいつ来るか分からないから今のうちにこれを皆で分け合って食べて。」


ステラは自分と一緒に投げられていた鞄の中から街で買った干し肉とドライフルーツを取り出して女性たちへ差し出した。


(良かったわ〜!食べれるもの買ってて。それにしてもナイフもそうだけど鞄まで一緒にここに投げるってあの男たちの無能すぎじゃない?バカすぎて逆に助かったけどね。でも…そんな無能な奴らにしてやられたなんて余計に腹立ってきたわ。絶対ボコボコにしてやろ。)


ステラはそんな事を考えていた。


「いいのですか?ありがとう…ございます。ここへ連れて来られてからまともな物を食べていなかったので…。」


女性が頭を下げながら言った。


「ありがとうございます…。」


「本当に…ありがとうございます。」


他の女性達も嬉しそうにステラへ言った。


「いいのよ!」


ステラが笑顔で言った。


「皆…食べながらよく聞いてね。今からここを出る為の流れを説明するから。」


ステラは女性達へ真剣な表情で言った。


女性達はステラの言葉に真剣な表情で頷いた。


ステラの考えた流れはこうだった……


・男たちがきたら皆手を縛られてるふりをする。


・ステラが自ら自分を連れていけと名乗り出る。


・男たちに連れて行かれ瞬間を狙いステラが男たちを打ち負かす。


・閉じ込められてる場所から上手く出ることが出来たら外にいるであろう残りの男たちの相手をステラがする。


・その間に他の女性達で男たちを縛るロープを見つけ火を起こせそうなものを見つけること。


だった。


「何故…火を起こせそうなものなのですか?」


女性が不思議そうにステラへ尋ねた。


「それは…この場所を気付いてもら為よ。私達がここがどこだか分からないのであればこの場所を誰かに気付いてもらえばいいの。何かを燃やせば煙で火事だと思い誰かしら来るはずだから…。」


ステラが女性達へ説明した。


(まぁ…誰かというかお父様とお兄様なんだけどね…。きっと今頃あたしが帰宅してない事をお母様か誰かから聞いてるだろうからあの二人なら血まなこになってあたしの事探すだろうならね…。お父様達が来てくれたらついでにこの事件もどうにかしてくれそうだしね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「なるほど…。」


女性が感心した表情で言った。


他の女性達も同じような表情で頷きながら感心していた。


するとそこへ…


コツコツ……

コツコツ……


男たちのものと思われる足音が聞こえた。


ステラ達はその足音を聞いて急いで食べ物を鞄に戻し手を縛られている様に見せかけ座った。



キィーーー…ガチャ…!


男たちがステラ達が閉じ込められている部屋の鍵を開けて鉄扉を開けた。


「さぁ〜…今日は誰を連れて行こうか…。」


男の一人がニヤニヤしながらステラ達を見て言った。


「そんなに怯えることはないさ…。これからは素晴らしい場所へ行くんだからな…。」


もう一人の男がニヤニヤしながら言った。


(はっ…。このゴミクズ野郎。今のうちにせいぜい戯言言えばいいわ!)


ステラは男たちを睨みつけながら考えていた。


そして…


「そんなに素晴らしい場所なら私を連れて行ってよ。」


ステラが男たちへ言った。


「ん?あぁ…お前か…。自ら名乗り出とは…。まぁ…お前はかなりの上玉だからより素敵な場所へ行けるだろうな…。よし…一人目はお前にしよう…。」


男の一人がステラを見てニヤニヤしながら言った。


そして…


「さぁ…立て…。」


男がステラの腕を掴みそう言った瞬間……


ゴキッ!!


ステラは急に立ち上がりステラの腕を掴む男の顎に思い切り膝蹴りした。


「グファッッッ……!」


男は鈍い声を出した。


そんな男にお構いなしのステラは床に膝をついていた男の首元めがけて思い切りかかと落としを食らわせた。


「ゴフッッ…!」


男は更に鈍い声をあげてその場に倒れ込み気を失った。


「クソッ!このアマ…!」


もう一人の男がその様子を見て怒りを露わにした表情でステラへ襲いかかってきた。


そんな男をステラは一瞬で男に回し技をかけて後ろから思い切り首を絞め上げて気絶させ返り討ちにした。


(ふんっ!合気道全国1位のあたしを舐めるからよ!このゴミクズ野郎。)


ステラは倒れている男たちを見下しながらそんな事を考えていた。


パチパチパチ!!


すると…その光景を目の当たりにした女性達がステラの行動に感激した表情を浮かべて拍手した。


「す…すごすぎます…。あんな大男たちを一瞬で…。」


女性は感激した表情で言った。


「ハハハ…大したことないわよ。それより一先ずこの男たちの手足を縛って急ぎましょう。」


ステラは苦笑いを浮かべて言うとすぐに真剣な表情になり女性達へ言った。


女性達は一斉に頷いた。


そして…ステラ達は自分達が縛られていたロープを使い男たちの手足をこれでもかという程きつく縛り上げた。


そして…ステラ達は鉄扉を開けその場を抜け出した。


抜け出すとすぐに別の男たち3人がいた。


(あ…!あいつじゃん!)


ステラは自分を殴った男を見てすぐに気づいた。


「な…お前達…!」


ステラを殴った男がステラ達を見て表情を歪めて言った。


その時…


ステラは勢いよく男達に近づきてまずは一番端にいた男に飛び蹴りを食らわした。


「グファッッッ…!」


蹴られた男は鈍い声を出してその場に倒れ込み気を失った。


(弱っ!)


ステラは蹴り一発で気絶した男を見てそんな事を考えていた。


「このクソ…アマ…!」


ステラを殴った男が怒りを露わにした表情で言った。


「ここは私一人で十分だからあなた達は早く例のものを探してちょうだい!」


ステラは余裕な表情で女性達へ言った。


女性達はステラの言葉に頷ずくとロープと火を起こせそうなものを手分けして探し始めた。


「おい!女達を捕まえろ!」


ステラを殴った男がもう一人の男へ怒りに任せて言った。


「あぁ!」


もう一人の男が頷きながら言った。


「行かせないわよ…。」


ステラは女性達を捕まえに行こうとした男へ言うと側に落ちていた鉄パイプを手に取った。


「ハハハ…そんな物で俺を倒そうってか?笑わせるな!」


男の一人が笑いながらステラへ言った。


そんな男を見てステラはニヤリと笑みを浮かべると勢い良く男に鉄パイプを振りかざした。


「グアッッッ!!」


ステラの鉄パイプが見事にみぞおちに入った男は表情を歪めて鈍い声を上げた。


そんな男にステラはトドメの一発を首の後ろにおみまいした。


「ングッワッ…!」


男は何とも言えない鈍い声を上げてその場に泡を吹いて倒れ込み気を失った。


「良かったわね…。少しでも笑える余裕があって…。」


ステラは泡を吹いてる男に吐き捨てる様に言った。


(あたしの前世での剣道の腕前知らないあんたはついてなかったね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「てめぇ…!」


ステラを殴った男がステラの方を睨みつけ言った。


「ステラ様!例のもの見つけました!」


そこへ女性達が戻って来てステラへ言った。


「ありがとう!ご苦労さま!」


ステラは笑顔で女性達へ言った。


「さぁ…準備は整ったし最後にあなたをこてんぱんにするとしますか…。」


ステラはニヤリと微笑みながら最後の男へ言った。


(あんただけは気絶させずにおくわ。あたしを殴った仕返しはちゃんとしなきゃだもんね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「クソッ…!なめやがって…。」


ステラを殴った男は怒りを露わにした表情で言うと短剣を取り出し勢いよくステラへ襲いかかってきた。


そんな男にステラはニヤりと笑みを浮かべた。

そして…腰を低くして男の短剣をかわして同時に鉄パイプで男の脛を殴った。


脛を殴られた男はその場に勢い良く倒れ込んだ。


「うわぁぁぁぁーー!!」


男は脛を押さえ痛みで表情を歪めて叫びながらのたうち回っていた。


「弁慶の泣き所よ…。」


ステラはそんな男を見てクスりと笑いながら呟いた。


そしてステラはのたうち回る男に更に追い打ちをかける様に股間を思い切り蹴り上げた。


「グワァァァーー!」


男は何とも言えない表情を浮かべて言った。


「さっ…今のうちよ。ロープを。」


ステラは女性達へ言った。


そしてステラは気絶してる男たちを含めて5人の男たちをロープで身動き取れない様に縛り上げ口にはロープで猿ぐつわをした。


女性達も手伝って一部の場所に男たちを集めた。


そしてステラは火を起こす物を持ってその場所から階段を登り更にあった扉を開けて外へ出た。


(あたしらがいたとこ地下だったんだね…。)


ステラは扉を開けて出るとそんな事を考えていた。


(ここは見るからに使われてない倉庫的な場所っぽいなぁ。)


ステラは周りを見渡しながら言った。


(とりま火を起こせそうなところを見つけなきゃね。)


ステラはそんな事を考えると更に外へ出た。


するとそこへわらがたくさん積んである荷台があった。


(この荷台であたし達を運んで来たわけね…。てことは…あたしが襲われた場所から少し距離があるってことか…。でも帝都のどこかであるのは間違いなさそうだよね。こんな荷台で帝都を出るなんて不可能だし。)


ステラは荷台を見てそんな事を考えていた。


そして…


(まぁ…とりま火を起こせそうなものがあるわけだしこのわらを燃やそう!これなら煙も沢山出そうだしね!火事にならない程度にしなきゃだよね。)


ステラはそんな事を考えていた。


そして…周りに火が燃え移らない様に調整してわらに火をつけた。


「よし…あとはこの煙に誰か気付いてくれたらOK!まぁ…一番いいのはお父様達が見つけてくれることなんだけどね…。」


ステラは呟いた。


そして急いで地下に戻った。


「例の作業は完璧だからここへ誰か来るのは時間の問題よ。」


ステラは地下へ戻ると女性達へ笑顔で言った。


ステラの言葉を聞き女性達は安堵した表情を浮かべた。


「さてと…あなたには聞きたいことがあるわ…。だけど…その前に…。」


ステラは唯一意識のあるステラを殴った男の前に立ち言った。


「まずは…あなた達。この男たちを一発づつ思い切り好きなように殴りなさい。この男たちのせいで酷い目に遭ったんだからそれくらいしてもバチは当たらないわ!」


ステラは満面の笑みで女性達へ言った。


ステラの言葉に女性達は最初は戸惑うもステラと景品を交換した女性が意を決して前に出た。


そして…気絶してる男たちから順に顔を殴り始めた。

他の女性達もその光景を見て次々と男たちへ制裁を加えたのだった。


意識がある男も身動きを封じられている為にやられる一方だった。

女性達はどこかすっきりした表情を浮かべていた。


「さぁ…それでは…話を聞かせてもらおうかしら…。」


ステラはそう言うと意識のある男の猿ぐつわを取り外した。


「このクソアマっ!」


男は物凄い剣幕でステラを睨みつけ言った。


「まだ威勢よく出来る力残ってたのね…。さすがは一応…この中のボス的存在?だけあるわね…。」


ステラは淡々と言った。


「で…あなた達は誰の指示でこんなことを?」


ステラは男を冷たい表情を浮かべ見て言った。


「っ?!な…何のことだ!」


男は一瞬動揺した表情を浮かべるもすぐにしらを切る表情で怒鳴り言った。


「………。」


ステラはそんな男を黙って見ていた。


そして…


ゴソゴソ…


ステラは黙って男の胸元へ手を入れた。


「な…何しやがる!」


男がステラの行動に動揺しながら言った。


「これ…自害する為の毒でしょう…?こんな物をあなた達程度の人が手に入れるなんて不可能よ…。こんな高価な物を手に入れる事が出来るのはそれ相応の身分の人だけよ…。」


ステラは男の胸元から取り出した小さな袋を男に見せながら淡々と言った。


「何故…そのことを…。」


男はステラの言葉に思わず反応してしまった。


(うっそ!まさか…カマかけてみただけなのにあさっり吐いたし…。前世で観たアメリカの映画っぽく言ってみただけなのにまさか本当に身分高い人…ん…貴族が絡んでるってこと?!)


ステラは男の反応を見てそんな事を考えていた。


「まぁ…今ここで白状しなくてもこれから拷問でも受けたら嫌でも吐かないといけなくなるし別にこれ以上言わなくてもいいわ。それはあたしの仕事じゃないしね…。それよりも…。」


ステラはあっけらかんとした表情で言った。


そして…目に入った近くにあった鍋を手に取った。

そして…その鍋でステラは思い切り男のおでこを殴りつけた。


バコーーーン!!


「グファッッッ!」


男は声を上げてその場に倒れた。


「クソ…。何するんだ…。」


男は苛つきながらステラへ言った。


「え?私を殴った仕返しだけど?!」


ステラは笑顔で男へ言った。


そして…ステラは男へ近づき男の耳元へ顔を近づけた。


「これだけで済まないわよ…。私が誰だか教えてあげましょうか?私の名前はステラ・バートン。バートン公爵令嬢であり皇室騎士団第一部隊団長であるバートン団長の娘よ…。いくらあなたでもバートン団長を知らない訳ないわよね?だから…あなたが私を殴ったとお父様が知ったらあなたはどうなるかしらね…。」


ステラは男にそっと小声で耳打ちした。


男はステラの言葉を聞くやいなや顔を真っ青にさせた。


(何か…あたし悪役令嬢っぽくない?!って…一応ステラは悪役令嬢だった。笑)


ステラは顔を真っ青にして怯えた表情をしている男を見てそんな事を考えていた。




同じ頃…

まったく手がかりが掴めず焦りを見せていたバスティンやダニー達は更に捜索の範囲を広げようとしていたその時…


「師匠!あれは?!」


バスティンが遠くからえらく煙が上がっているのを見てダニーへ言った。


「火事か?!」


ダニーが煙を見て言った。


「もし…火事なのであれば犠牲者が出る前にどうにかしなければなりません…。」


バスティンが深刻な表情で言った。


「あぁ…。しかし…ステラが…。」


ダニーは困惑した表情で言った。


「……師匠…。もしステラ嬢が師匠が自分を優先して火事の現場に犠牲者が出たと聞いたらきっと師匠を軽蔑するのでは?」


バスティンは少し考えてからダニーへ言った。


(師匠の気持ちはわかる…。一刻も早くステラ嬢を見つけなければ取り返しのつかない事になるかもしれない…。しかし…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「………。そうだな…。きっとステラはそんな事をしたら私と二度と口を聞いてくれなくなるだろうな…。よし!一先ずは煙が出ている方に向かうぞ!」


ダニーはふっと困り笑みを浮かべて言うとすぐに真剣な表情になり言った。


「殿下…一旦ステラの捜索を止めあの煙が出ている場所へ向かい犠牲者がいないかを確認してすぐに消火します。」


ダニーがアーノルドへ言った。


「なんだと?!ステラ嬢の捜索を一旦やめるだと?!」


アーノルドはダニーの言葉に苛つきを覚えつつ言った。


(ステラ嬢の捜索は一刻を争うのだぞ?!)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「はい!国民を守るのも我々の仕事ですから!」


ダニーは真剣な表情で言った。


「っ…!わ…わかった。」


アーノルドは真剣なダニーの表情にそれ以上何も言えず了承した。


そして…バスティンとダニー達は急ぎ煙が出ている場所へ向かった。


バスティン達がいた場所から15分程馬を走らせた場所から煙が上がっていた。


煙が上がっていた場所は人気の少ない沢山の路地を通り抜けたところだった。


「荷台が燃えている様だ!すぐに消火だ!」


その場へ着くなりダニーが指示を出した。


すると…バスティン達は急ぎ火を消した。


「ぼやだった様ですね…。人が巻き込まれた様子はなさそうですね。」


バスティンが消火した荷台を見て言った。


「あぁ…。ここは倉庫か何かの様だな。一応中に人が居ないか確認してみておこう。」


ダニーが言った。


「はい。」


バスティンが頷きながら言った。


「殿下…どうやらただのボヤの様です。しかし…念のために小屋の中に人が居ないか確認してまいります。」


ダニーがアーノルドへ言った。


「あぁ。」


アーノルドが頷きながら言った。


そして…バスティンとダニー達は小屋の中へ入った。


「誰もいない様だな。ここは使われていないのだろう…。」


ダニーが周りを見渡し言った。


「その様ですね。」


バスティンも周りを見渡しながら言った。


「誰かいないか?!」


ジョシュアが念のために言った。


すると…


どこからか声が聞こえてきた。


「父上…どこからか声が聞こえた様ですが…。」


ジョシュアが言った。


「あぁ。確かに聞こえたな。一体どこからだ…。」


ダニーが言った。


「師匠…あれを。」


バスティンが床にある扉を見つけダニーへ言った。


「扉?この小屋は地下があるのか。」


ダニーはそう言うと床の扉に手をかけ開けた。


「誰かいるのか?!」


ダニーが扉を開けて言った。


「お父様?!」


地下からステラがダニーの声に気づき言った。


「ステラなのか?!」


ダニーがステラの声を聞き大声で言った。


「え?!スーなんですか?!」


ジョシュアが思わず大声ダニーへ言った。


「お兄様?!」


ステラがジョシュアの声を聞いて言った。


「そこで待っていろ!すぐに行く!」


ダニーが血相を変えて言うと地下へ急いだ。


ジョシュアもダニーの後へ続いて地下へ言った。


「中にステラ嬢がいただと?!」


中に入ってきたアーノルドが焦った表情でその場にいたバスティンへ尋ねた。


「はい…。その様です。」


バスティンが頷きながら言った。


「何故…こんなところに…。」


アーノルドが言った。


(ステラ嬢…無事だったんだな…。)


バスティンは自分でも驚く程に安堵した表情でそんな事を考えていた。


「ステラ!」


地下へやって来たダニーがステラの姿を見つけて叫んだ。


「スーー!」


ジョシュアも続けて叫んだ。


「お父様、お兄様!」


ステラが笑顔で2人へ言った。


「ステラ!」


「スー!」


ダニーとジョシュアは急ぎステラの元へ駆け寄ると思い切りステラを抱きしめた。


「ステラ…心配したんだぞ…。ステラが居なくなったと聞いて私がどれだけ生きた心地がしなかったか…。」


ダニーが半泣きでステラを抱きしめながら言った。


「本当だよ…。私は頭が真っ白になりおかしくなるかと思ったよ…。」


ジョシュアも半泣きになりながらステラを抱きしめて言った。


「心配かけてごめんなさい…。私も予想外だったので…。」


ステラは二人をなだめる様に言った。


「それで…予想外の事とは何だ?」


ダニーがステラへ尋ねた。


「それは…まぁ…あそこの男たちと女性達を見たら大体見当はつきますよね?」


ステラは苦笑いを浮かべて後ろを指さして言った。


ステラに言われたダニーとジョシュアはステラの指差す方を見た。


そして…ダニーとジョシュアはお互い見合って真剣な表情で頷いた。


「大体の事は理解した。それより…ステラ体は大丈夫なのか?怪我はないのか?」


ダニーが心配そうに言った。


「はい。私は大丈夫です。それより彼女達の保護を早くお願いします。1週間以上ここへ閉じ込められている女性達もいる様ですので…。」


ステラは女性達を指差しながら言った。


「彼女達の保護は私が引き受けよう…。」


そこへアーノルドがやってきてステラへ言った。


(え?!何でここにアーノルドがいるわけ?!)


ステラはアーノルド見て思わず呆気に取られた表情で考えていた。


「皇太子殿下にご挨拶申し上げます…。」


ステラは秒で表情を変えてアーノルドへ挨拶をした。


後ろにいた女性達もアーノルドへ向けて頭を下げた。


「あぁ。ステラ嬢…無事で何よりだ…。彼女達の保護は皇宮で受け持とう。彼女達から聞かなければならない話もあるしな。」


アーノルドがステラへ言った。


(ステラ嬢…無事だったのだな…。本当に良かった…。)


アーノルドは心からそう思った。


「…殿下のご配慮感謝致します…。」


ステラは丁寧に礼をしてアーノルドへ言った。


(いや…だ!か!ら!何であんたがここにいるんだって話よ!まぁ…でもとりま彼女達の保護をしてくれるならありがたいわね。男たちを殴って少しはスッキリしたとは思うけどやっぱり精神的に堪えてるだろうからね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「ステラ嬢も…一先ず私と共に皇宮へ戻ろう。君も皇医に診てもらうといい。」


アーノルドが優しい表情で言った。


(元気そうだが心配だからな…。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


(うわ!出た!ペテン師笑顔!うざっ!あんたと戻るなんてありえない!)


ステラはそんな事を考えていた。


「恐縮ですが…私は父に今回の事でお話がございますので皇宮には父と兄と共に戻ろうと思います。」


ステラは丁寧にアーノルドを断った。


「しかし…。」


アーノルドは戸惑いながら言った。


「殿下…ステラ嬢は我々騎士団が責任を持って皇宮へお連れしますのでご心配されませんよう。」


そこへバスティンがやって来てアーノルドへ言った。


(え…?バスティン…?)


ステラは目の前のバスティンを見て信じられないという表情で考えていた。


「……わかった。では…ステラ嬢は騎士団に任せるとしよう…。」


アーノルドは残念そうな表情で言った。


(あまりしつこくするとステラ嬢は嫌がるだろうからな…。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「ステラ嬢…大丈夫か?」


バスティンがステラへ声をかけた。


「…………。」


ステラは黙っていた。


「ステラ嬢?」


バスティンはそんなステラへ再度声をかけた。


すると…ステラはその場で体をふらつかせた。


そんなステラを見てアーノルドが慌ててステラを支えようとしたその時…

アーノルドの横を素早く通り過ぎバスティンがステラの体を支えた。


「ステラ嬢!大丈夫か?」


バスティンが慌ててステラへ言った。


「ステラ!」


「スー!」


ダニーとジョシュアが血相を変えてステラへ言った。


「大丈夫です…。少し…ふらついただけですので…。」


ステラはバスティンへ言った。


(バスティン!バスティン!バスティン!バスティンの腕の中!いただきました!アーノルドが手を出してきたらから邪魔するな!って思ったけど計画通りバスティンが支えてくれた。)


ステラは内心は悶々しながら考えていた。


「公爵様…申し訳ありませんが…皇宮まで連れ帰ってもらってもよろしいでしょうか?」


ステラはニヤニヤを隠しきれない表情でバスティンへ言った。


(この娘…わざとか…?まったく…。)


バスティンはステラの表情を見て呆れつつそんな事を考えていた。


しかし…


「あぁ。わかった。私が連れ帰ろう。」


バスティンが言った。


(よっしゃぁー!)


ステラは内心ガッポーズをしていた。


「ありがとう…ございます。」


ステラは更にニヤつきを隠せないまま言った。


「ステラ!バスティンではなく私が!」


ダニーが慌てて言った。


「お父様…お兄様…。どうやら私が立ちくらみをした原因はそこの一人だけ意識がある男に頭を殴られたからの様です…。」


ステラは自分の額の傷をダニーとジョシュアに見せながら言うとステラを殴った男を指さした。


「なん…だと?!ステラを殴った…だと?!」


「お前ごときが…スーの頭を?!」


ステラの言葉を聞いたダニーとジョシュアは一瞬にして表情を変え怒りに満ちた表情で男を見て言った。


そんな二人を見て男は恐怖で体を震わせた。


「バスティン…。ステラを無事に皇宮へ連れ帰っておいてくれ…。私とジョシュアは後でこの男たちを連れ帰るから…。」


ダニーは額に血管を浮かせながらバスティンへ言った。


「承知しました。」


バスティンは呆れた表情で言った。


(ご愁傷さま!)


ステラは男に向かってあっかんべーをしながら考えていた。


「では…。」


バスティンがそう言うとステラを抱き抱えた。


「キャッ!こ…公爵様?!」


ステラは驚いた表情でバスティンへ言った。


「立ちくらみがするなら歩くのが辛いだろう。馬まで連れて行ってやろう。」


バスティンが言った。


「あ…ありがとうございます…。」


ステラはニヤつきながら言った。


(死ぬ!死ぬ!いや…死ねない!バスティンにお姫様抱っこされてる!前世で死ぬ程夢みたお姫様だっこ。何度もバスティンにお姫様抱っこしてもらう妄想した。でも…これは紛れもない現実!バスティン暖かい!たくましい!素敵すぎる!好きすぎる!何かオンラブの中にこんな事件の話なんて書かれてなかくて予想外だったけど結果…ラッキーステラじゃん!最高!あんな男たちに捕まってテンションマイナスだったけどこれでプラスマイナスプラス!大プラス!!)


ステラは内心は大興奮でそんな事を考えていた。


すると…


ツー……


ステラの鼻から鼻血が垂れた。


「ステラ嬢…鼻血が出ているぞ。」


バスティンが慌てて言った。


「え?また…?!」


ステラはバスティンに言われると慌てて手で鼻を押さえながら言った。


「つい…お姫様抱っこをされて興奮してしまい…。」


ステラはポロリと本音を呟いた。


(まったく…こんな時でも変わらずなのだな…。)


バスティンはそんなステラを見てフッと笑みを浮かべつつ考えていた。


そんな二人のやり取りを見ていたアーノルドは複雑そうな表情をしていた。


(あの二人…。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


そしてステラはバスティンに抱き抱えられたまま小屋の外を出た。


「あっ!」


外へ出たステラが外にいた人物を見て驚き言った。


「え?どうしてここに?!」


ステラが驚き言った。


外にいた人物とはアルイだった。


「アルイと知り合いなのか?」


バスティンがステラへ尋ねた。


(何故…二人は知り合いなのだ?二人に接点などないはずだ…。何よりアルイは女性を毛嫌いしているはずだが…。)


バスティンは何故だかいい気がしないままそんな事を考えていた。


「まぁ…はい。」


ステラは苦笑いを浮かべて言った。


(あぁ…ルイルイと知り合いなのがこんなに早くバレるとは…。まぁ…別にバレても問題ないか!)


ステラは苦笑いしたまま考えていたがすぐに開き直る様に考えていた。


「………。まぁ…今は二人が知り合いという事より皇宮に戻るのが先だ。二人の話はまた師匠も交えて話を聞くとしよう…。」


バスティンはアルイをチラりと見て言った。


バスティンにそう言われたアルイは苦笑いを浮かべていた。


(ルイルイと知り合いってバレたの…何かまずかったのかなぁ…。)


ステラはアルイの表情を見てそんな事を考えていた。


そしてステラはバスティンの馬へと乗せられた。

ステラを乗せるとバスティンも馬へと乗った。


「ゆっくり進むが落ちない様にしっかり手綱を掴んでおいてくれ。」


バスティンがステラへ言った。


「分かりました…。」


ステラは頷きながら言った。


(死んでも離すもんですか!このラッキーチャンス二人で仲良く馬乗りの機会をものにしたんだからどんだけ馬が加速してもしがみついてやるんだから!あぁ…バスティンがぴったり私にくっついてる…。死ぬ…温かい…いい匂い…好き…今すぐ振り返って抱きしめたい…。)


ステラは表情をニヤつかせるのを必死に堪えつつ考えていた。


(……ステラ嬢…君が無事で本当に良かった。)


バスティンは自分の目の前に座るステラを見てそんな事を考えていた。


「あの女性達はどうやって皇宮へ?」


ステラがバスティンへ尋ねた。


「応援を手配したからすぐに彼女達を乗せる馬車が到着するだろう。彼女達は随分体力が落ちているだろうから馬に同乗させるのは危険だからな。」


バスティンが説明した。


「私は同乗させても大丈夫なくらい体力があると?」


ステラがバスティンへ言った。


「ステラ嬢も彼女達と共に馬車に乗りたいならそれでも構わないが。」


バスティンが淡々と言った。


「いいえ!私ほど体力がある女性はこの帝国にいないと思います。」


ステラは自信満々に言った。


(こんなラッキーチャンス逃して馬車に乗るなんてありえない!)


ステラはそんな事を考えていた。


「そうか…。」


バスティンが言った。


「はい!」


ステラはどや顔で言った。


「さぁ…そろそろ出発するからしっかり乗っておくんだぞ。」


バスティンが言った。


「分かりました!」


ステラが言った。


そんなステラを見てバスティンはフッと笑みを浮かべたのだった。


(まったく…分かりやすい娘だ…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「はぁぁ!」


そしてバスティンは馬を出発させたのだった………


ご覧頂きありがとうございます★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


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悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!(※不定期更新)



俺様王子の"ミイラ取りがミイラになった"お話♡


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