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11.じゃじゃ馬令嬢は推しのいる騎士団のお手伝いをすることになりました

「今日から皇室騎士団の1ヶ月間寮母をさせて頂く事になりました。ステラ・バートンと申します。初めての事なので足りないところなど沢山あるとは思いますが精一杯やらせて頂きますのでよろしくお願い致します。」


ステラは満面の笑みで言った。


「「よろしくお願いします!」」


騎士たちが一斉に言った。


この日からステラは皇室騎士団の騎士寮で一ヶ月間働く事になったのだ。


何故ステラが騎士寮で働く事になったかというと…

それは…ステラがバスティンから騎士寮の寮母が不在だと聞いた日の夜の事だった……



〜回想〜


バートン公爵邸では…



「お父様、お兄様お帰りなさい!」


ステラが満面の笑みを浮かべてダニーとジョシュアを出迎えた。


「ステラ〜!ただいま!何だ…わざわざ出迎えてくれたのか?」


ダニーはステラが出迎えてくれた事が嬉しくてデレデレした笑みを浮かべて言った。


「はい!」


ステラは笑顔で応えた。


「スー…ただいま。スーが出迎えてくれたから疲れが一気に吹き飛んだよ。」


ジョシュアもダニーに負けない程のデレデレの笑みを浮かべて言った。


「お帰りなさいお兄様。」


ステラは笑顔で言った。


(二人とも…こんなに嬉しそうにしてるのに申し訳ないけど…あたしは下心モリモリで出迎えたんだよね…。ハハハ…。)


ステラは内心苦笑いを浮かべて考えていた。


「さぁ…ステラすぐに着替えてくるから食事にしよう!」


ダニーが嬉しそうに言った。


「私もすぐに着替えてくるよ。」


ジョシュアも嬉しそうに言った。


「お父様…お兄様…食事の前にお二人にお話があるのです…。」


ステラは真剣な表情で言った。


「話…?」


ダニーが言った。


「はい。」


ステラは頷きながら言った。


「分かった…。では…着替えてくるから居間で待っていなさい。」


ダニーが言った。


「はい。」


ステラは笑顔で言った。


そして…その後ステラが居間で待っていると着替えてきたダニーとジョシュア…一緒にミシェルがやって来た。

ステラはミシェルにも一緒に話を聞いてほしいとお願いしていたのだった。


「それで…話とは一体何なのだ?」


ダニーがソファーへ座るとステラへ尋ねた。


「はい…。実は…お父様に折り入ってお願いがあります。」


ステラは意を決して言った。


「お願い?そんなにかしこまってお願いとはなんだ?」


ダニーが不思議そうに言った。


ミシェルとジョシュアを不思議そうな表情を浮かべていた。


「お願いとは…私を一ヶ月間皇室騎士団の騎士寮の寮母として働かせて下さい!!」


ステラは頭を下げながら言った。


「なんだと?!寮母だと?!」


ダニーはステラの言葉に驚き言った。


「はい。」


ステラは頷きながら言った。


(バスティンの毎日拝めるチャンスを逃す訳にはいかないからね!)


ステラはそんな事を考えていた。


「ダメだ…。」


ダニーはかしこまった表情で言った。


「何故ですか?」


ステラは強気に言った。


「騎士寮など…目をギラつかせた男たちだらけだ。そんな場所へステラを働かせるなどありえんことだ。」


ダニーはムスっとして言った。


「私も父上の意見に同感だ。あんな男だらけの場所へステラを行かせるなんて危険すぎるからな。」


ジョシュアもムスっして頷きながら言った。


「バートン公爵家の娘に何かやましい事をしようと考える命知らずな騎士が騎士団にいるのですか?」


ステラは思わず苦笑いを浮かべて言った。


(あれだけ娘&妹バカを丸出しにしてるんだから…あたしが寮母になったってあたしに手出ししようなんて思う人なんているわけないじゃん…。そんな事したらお父様とお兄様に殺されることくらい皆わかってるでしょうに…。)


ステラはそんな事を考えていた。


「それは…いるはずがないだろう!我々騎士団の騎士は愚か者ではないからな!」


ダニーは自信満々に言った。


「それならば私が寮母として働いても問題ないでしょう?」


ステラが笑顔で言った。


「それは…そうだが…。だがしかし…そうだとしてもやはりステラを寮母として働かせるなどだめだ。」


ダニーはグッと折れそうになるも首を振りなりながらビシッと言った。


「何故…その様に頭ごなしに反対されるのですか…?私はただ…今日皇宮で騎士団の方達が大変そうにしているのを見て…バートン公爵家…皇室騎士団第一部隊の団長の娘として…副団長の妹として少しでも役に立てるならと思っただけだというのに…。」


ステラは薄っすら涙を浮かべて切実に言った。


「あわわぁ…ス…ステラ…そ…そんな悲しそうな顔をしないでくれ…。」


「そ…そうだよ…スーそんな泣きそうな顔をしないでくれ…。」


ダニーとジョシュアがおどおどしながら言った。


(こういう時にこの二人にはステラの泣き演技がきくのよね〜。ちょっとずるいとは思うけどこうでもしないと二人とも…ずっと許可してくれなさそうだからね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「二人とも…いいのではないですか?ステラに騎士寮の寮母をやらせてみても…。期間も一ヶ月とそんなに長くないのだから。ステラにとってもいい経験にもなるでしょうし…ステラもこうして本気で考えた上でお願いしてるようだし…それに…ステラが寮母の仕事をしたら毎日外でもステラに会えるし…昼食もステラの手作りのものが食べられるよ?」


ステラ達3人の話を横で聞いていたミシェルがやれやれと言った表情でおどついているダニーとジョシュアへ言った。


「確かに…一ヶ月間家だけでなく仕事中にもステラに会えるな…。それに加えてステラの手作りの食事まで…。家族でのピクニック以外でステラの手作りのものが食べれる…。」


ダニーがミシェルの言葉を聞いてハッとなり呟いた。


「毎日…仕事をしててもスーに会える…。」


ジョシュアもダニーと同じ様な表情で呟いた。


(お母様グッジョブ!!ありがとう〜!さすがお母様!)


ステラはそんな事を考えながら目を輝かせてミシェルを見た。


ミシェルはそんなステラを見て頷きながらにこりと微笑んだ。


「よし…ステラ。騎士寮の寮母の件…許可しよう。明日にでも陛下へ話を通してくるとしう。」


ダニーはニヤけるのを必死で堪える様な表情で言った。


「お父様…ありがとうございます。よろしくお願いします。」


ステラは嬉しそうに言った。


(よっしゃぁ〜!!これであとは陛下の許可をもらったらばっちりだね!ふふふ…これで毎日バスティンを拝める〜。)


ステラはルンルンでそんな事を考えていた。


〜回想終了〜


(想像より早く陛下の許可が下りたのはラッキーだったなぁ。きっとお父様の事だからあたしの為ってより自分の欲の為に何が何でも早急に許可を取ってもらったんだろうな…。1日でも早くあたしが寮母として働きだしたらお父様とお兄様に昼間も会えるんだから…。お父様のことだから許可をもらいにいったに最終的にはまた親ばかトークでもして陛下が話を聞くのが面倒臭くなってさっさと許可したんだろうけど…。でも…お父様の親ばかぶりもたまには役に立つもんだよね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「と…いう訳で…今日から一ヶ月間我が娘のステラが寮母として働く事になった。初めての事で分からない事も多くあるだろうから皆でステラが分からない事は教えてやるように…。わかったか?!」


ダニーが騎士たちへ言った。


「「はい!!」」


騎士たちは一斉に言った。


「これは…言われなくとも分かっていると思うが…間違えても私の娘に変な気を起こさない様に…。」


ダニーは鬼の面相で圧のこもったトーンの声で騎士たちへ念を押すように言った。

ダニーの横ではジョシュアが無言の圧を騎士たちにかけていた。


「「はい!!」」


騎士たちはダニーとジョシュアを見てゾッとした表情で言った。


(ハハハ…。)


そんな二人を見てステラは苦笑いを浮かべていた。


「まさか…ステラ様が寮母として働くなんてな…。寮母は料理、洗濯、掃除…その他にも沢山の雑用をこなさないといけないが…大丈夫なのだろうか…。」


ペーターが心配そうな表情でバスティンへ言った。


「まったく…また突拍子もない行動をしたものだな…。」


バスティンが言った。


(先日…寮母が不在という話をしたが…まさかステラ嬢自ら寮母として働くと言い出すとはな…。まったく…。)


バスティンはフッと笑みを浮かべる様な表情でそんな事を考えていた。


「…そう言う割には…何だか嬉しそうじゃないか?」


ペーターはニヤりとしてバスティンへ言った。


「何?!私が嬉しそうだと?!バカも休み休み言え。私はただ相変わらずな行動に呆れているだけだ。」


バスティンはペーターに言われてぶっきらぼうに言った。


「はいはい…。そうだな。でも…これから騎士団が賑やかになりそうだ。騎士たちもこれで安心して稽古に打ち込めるだろうからな。」


ペーターはくすくす笑いながら言った。


「確かに…騎士たちが稽古に打ち込めるのは助かる話だな。」


バスティンが言った。


「それでは…稽古に戻れ!」


ダニーが言った。


「「はい!!」」


「ステラへ寮を案内せねばな…。案内は…。」


ダニーが考える様に言った。


「お父様…寮への案内はラスター公爵様にお願いしたいのですが。」


ステラがダニーへ言った。


「バスティンに?!ダメだ!バ…バスティンは第二部隊の団長だから色々とやることがあるからステラを案内している時間などない。」


ダニーがギョっとした表情で言った。


(やはり…バスティンに案内してきて欲しいと言ってきたか。)


ダニーはそんな事を考えていた。


「そ…そうだよ。バスティンは忙しいから代わりに私が案内しよう!」


ジョシュアが慌ててステラへ言った。


(バスティンとスーを二人きりにはさせないぞ…。)


ジョシュアはそんな事を考えていた。


「そうですか…。ですが…それは公爵様本人に聞いてみなければわかりませんよね?」


ステラは微笑みながらダニーとジョシュアへ言った。


「そ…それは…。」


ダニーがグッと微妙な表情を浮かべて言った。


そしてステラはちょうどステラ達のところへやってきたバスティンへ声をかけた。


「公爵様…いえ…第二部隊のラスター団長!もし…よろしければ寮の中を案内して頂きたいのですが…。」


ステラが真剣な表情でバスティンへ言った。


(バスティン…お願いよ!うん…と頷いて!バスティン以外の案内なんていらないんだから!お願い!お願い!お願い!あたしにバスティンと二人になる時間を恵んで〜!)


ステラは目力を込めてバスティンへテレパシーでも送る様に見つめながらそんな事を考えていた。


(バスティン…!空気を読め!ここは案内できないと断れ!)


ダニーは口元をピクつかせながら念のこもった表情でバスティンを見ながらそんな事を考えていた。


(バスティン…ここはスーの案内は私に譲るべきだろ?わかるよな?)


ジョシュアもダニー同様にグッと念をこめた様な表情でバスティンを見ながらそんな事を考えていた。


(3人とも…自分の感情を隠すことなく全面に出しているところが…さすが親子というべきか…。ステラ嬢は首を縦に振れと言わんばかりの表情…師匠とジョシュアは首を横に振れと言わんばかりの表情だな…。)


バスティンはステラ達3人を見てそんな事を考えていた。


「……。わかった。では…私が案内しよう。」


バスティンがステラへ言った。


ステラ WIN!!  

ダニー&ジョシュア LOSE!!



「本当ですか?!わ〜い!やった〜!ありがとうございます!」


ステラは嬉しそうに微笑みながらバスティンへ言った。


(やったぁ〜!バスティンにあたしの愛のテレパシーが通じたんだぁ〜!バスティンと二人きりになれる!)


ステラは興奮気味にそんな事を考えていた。


「バスティン…!お前!」


ダニーがギョっとした表情でバスティンへ言った。


「さぁ…ステラ嬢行くなら行こう。」


バスティンはダニーをスルーして言った。


「おい!バスティン!」


ダニーがそんなバスティンへ言った。


「バートン団長…ジョシュア…案内はバスティンに任せて我々は稽古へ向かいましょう。ねぇ?さぁさぁ!」


見かねたペーターがダニーとジョシュアをなだめる様に言った。


「ペーターお前は黙っていろ!私は絶対に許さん……って…おい!ステラとバスティンはどこへ行ったんだ?!」


ダニーがペーターに言うと先程までそこにいたステラとバスティンの姿がなく驚き言った。


「先程まですぐそばにいましたが…まさか…!!」


ジョシュアがハッとなり言った。


「ステラ〜!!!」


「ス〜〜!!」


ダニーとジョシュアはステラ達が隙を見てその場から足早に立ち去ったのを知り嘆く様に言った。


その後…ペーターと共に稽古へ向かったダニーとジョシュアがまるで鬱憤をはらすかの様に騎士たちと打ち合いをしたのだった。



その頃…ステラとバスティンは…


二人で騎士寮へと来ていた。


「あの状況で逃げてきてよかったのか?」


バスティンが呆れたようにステラへ言った。


「はい。あのままあの場にいても埒が明かないですからね…。」


ステラが苦笑いを浮かべて言った。


(あぁなるとお父様もお兄様も噺が長くなるし絶対引かないから逃げるが勝ちなんだよね。)


ステラはそんな事を考えていた。


「確かに…埒が明かないのは間違いなかっただろう…。」


バスティンが飽きれたで言った。


(師匠とバスティンはステラ嬢のことになるといつもああなるからな…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「それより…案内を引き受けてくれてありがとうございます。」


ステラは嬉しそうにバスティンへ言った。


「コホンッ…あぁ。まぁ…今日はたまたま特に急ぎの用事がなかったからな。」


バスティンは咳払いをしながら言った。


(グファッ!!ツンデレバスティンいただきました〜!!)


ステラはそんなバスティンを見て内心鼻血が出そうなのを抑えつつそんな事を悶々と考えていた。


「そんな事より…何故騎士寮の寮母の仕事など引き受けたのだ?貴族の令嬢などに務まる程簡単な仕事ではないんだぞ?」


バスティンがステラへ言った。


「それは承知の上です。ですが…少しでも騎士団の皆さんの力になりたいと思ったのです。騎士の皆さんは毎日稽古や任務で忙しくされている上に毎日の料理、洗濯、掃除…。それでは疲れが取れません。なので私が寮母の仕事をする事で本当の寮母さんが戻ってこられるまでは騎士寮の皆さんの負担を少しでも減らせる事ができたらと思ったのです…。」


ステラは真剣な表情で言った。


「それに…私はこう見えても料理、洗濯、掃除に雑用をこなせる自信があるのです!」


ステラは自信満々にドヤ顔で言い切った。


(相変わらず…どこから湧いてくるのか分からない自信だな…。)


バスティンはステラの言葉にフッと口角を上げてそんな事を考えていた。


「今、微笑みましたよね?!」


そんなバスティンを見てステラが目を輝かせて言った。


「何を言っているのだ?私は微笑んでなどいないが?」


バスティンは真顔で言った。


「絶対…微笑みましたよ!こうして公爵様の口角が上がりました。」


ステラは自分の口で再現しながら言った。


「何だ…その顔は…。」


バスティンは呆れつつ言った。


「何だって…。」


ステラは少しムスっとした表情で言った。


「……それよりも…私が寮母をしている間は公爵様のお宅へ伺う事が難しくなってしまいましたので申し訳ないです…。私が行けないときっと寂しいと思うとおもいますが…。」


ステラは残念そうな表情で言ったを


「さ…寂しいなど思ってなどないぞ?!」


バスティンはステラの言葉に少し慌てた表情で言った。


「はい?寂しいと思うというのはドンクさんとハナさんの事だったのですが…。」


ステラは首を傾げながら言った。


「っっ!!」


バスティンはステラの言葉を聞き思わず失言したと思った様な表情を浮かべてた。


「もしかして…公爵様も私がラスター公爵邸を訪れる事が出来なくなる事を寂しいと思ってくれているのですか?」


ステラは何故かワクワクした様な表情を浮かべて言った。


「そ…そんな訳がないだろう!むしろ…清々している。」


バスティンはツーンとして言った。


(そうだ!毎日うるさいステラ嬢が来ないことはいいことだ!これで静かな朝を過ごせるのだからな!決して寂しいなど思ってはいない。)


バスティンは自分に言い聞かせる様にそんな事を考えていた。


「ふふふ…では…そういう事にしておきますね!」


ステラは嬉しそうにニヤニヤしながら言った。


(バスティンが…あたしがバスティンの家に行けないことを寂しく思ってくれてる…。あんな風に言ってるけどね…。バスティンに少しでもあたしの思いが伝わってるって思っても…いいんだよね?)


ステラは胸がジーンとなるのを感じながらそんな事を考えていた。


「お…おい!」


バスティンがそんなステラにムスっとして言った。


「あ〜ここが騎士寮なのですね!」


ステラはそんなバスティンなんてお構いなしと言わんばかりの表情で到着した寮を見て言った。


(まったく…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「あぁ。ここが我々皇室騎士団の騎士寮だ。ここへ第一部…第二部部隊の独身の者が住んでいる。主には平民出身の者が多く住んでいる。準貴族の者も数名住んでいる。現在は50名程の者がいる。」


バスティンがステラへ説明した。


「立派な騎士寮ですね。住んでいる方達と人数は把握しました。」


ステラは頷きながら言った。


「簡単に寮の中を案内する。聞きたいことなどがあればその都度聞いてくれて構わない。」


バスティンが言った。


「はい。分かりました。」


ステラは頷きながら言った。


そして…その後ステラはバスティンに寮内や洗濯物を干す場所…ゴミ置き場など寮母が知っておくべき場所の案内をしてもらったり注意事項や決まり事なども教えてもらった。


「これで…一通り必要な場所は以上だ。何か聞いておきたいことはあるか?」


バスティンが一通りの案内を終えてステラへ言った。


「はい!公爵様の団長室はどちらになりますか?」


ステラは真剣な表情でバスティンへ尋ねた。


「私の?何故だ?」


バスティンが言った。


「毎日…団長室にお花を飾りたいので。」


ステラは笑顔で言った。


「花?」


バスティンが言った。


「はい。ラスター公爵邸を訪れる事が難しい間は団長室へ毎日お花を飾ろうと思いまして…。ダメですか…?」


ステラは目を輝かせて言った。


「………好きにすればいい…。私の団長室はここの3階だ…。」


バスティンは少し間を空けてからそっぽを向きながら言った。


「わ〜い!!ありがとうございます!」


ステラはとても嬉しそうにバスティンの手を取り言った。


(よっしゃ〜!これで毎日バスティンを拝める上に花も渡せる〜!!あぁ〜最高すぎて夢じゃないかって怖くなるわぁ。ここからはあたしのオンラブ(バスティンとあたしのハッピーラブエンド)のシナリオをじゃんじゃん進めていくんだから。)


ステラは嬉しそうにそんな事を考えていた。


「すぐ手を握るのをどうにかしないか!」


バスティンはバッと手を離しながら言った。


「え〜…だって好きな相手の手なんですがら目の前にあればつい触りたくなるじゃないですか!」


ステラはどや顔で言った。


(この娘は…まったく好きという簡単に発するのだから…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「むやみに…好き…などという言葉を口にするのはやめた方がいい…。後に後悔することになるやもしれないからな…。」


バスティンはどこか寂しそうな表情で言ったを


(ステラ嬢も…私を好きというのも…一時的なものではないとは言い切れないというのに…。)


バスティンは胸がチクり痛むのを感じながらそんな事を考えていた。


「…案内も終わったし私はそろそろ稽古場に戻る…。また何か分からない事があれば稽古場まで来るといい…。」


バスティンがステラに背を向けながら素っ気なさそうに言った。


(自分で言っておいて…私は何を残念がっているのだ…。しっかりしろ。)


バスティンは自分に言い聞かせる様に言った。


そしてバスティンは稽古場の方へと歩き出した。


(まさか…バスティンにはまだあたしの気持ちが本気だって伝わってないってこと…?だからあんな言葉を?!こりぁ大変だ〜!!あたしの気持ちが本気だって事を今まで以上に言葉にした方がいいかもしんないなぁ〜!)


ステラはバスティンの言葉を聞きそんな事を考えていた。


そして…


「公爵様〜!案内ありがとうございました!今日も公爵様が大好きです!!寮母になろうと思った時に公爵様に今まで以上に毎日会えるかもという下心があるくらい大好きです!!今日も稽古頑張って下さいね〜!!」


ステラは稽古場へ足早に歩いていくバスティンへ笑顔を浮かべて大声で言った。


だが…バスティンは振り返る事なく歩いていった。


(バスティン歩くの早すぎ…。聞こえなかったのかなぁ…。まぁいいっか!これからは毎日バスティンに気持ちを言葉にして伝えていけばいいんだしねぇ。さっ!それじゃあ早速寮母としての仕事を始めますか!)


ステラは何ともポジティブにそんな事を考えながら寮の中へと入っていったのだった。


一方のバスティンは…


(あんなに大声で自分の気持ちを恥ずかしげもなく言う令嬢など…どこの国を探してもいないぞ…。それも…寮母になったのは下心まであったとばか正直に…。まったく…。だが…ステラ嬢らしいといえばらしいな…。それに…何故だか嫌な気持ちにはならないな…。)


バスティンは稽古場へ向かい歩きながらフッと笑みを溢しながら考えていたのだった。





ステラが寮母として働きだして半月が経った。


ステラが寮母として働くと決まった当初は騎士団皆が寮母など務められのだろうかという不安を抱いていたが…そんな不安など打ち消す様にステラは毎日清々しく手際よく弱音なども一切吐かず寮母として働いた。

ダニーとジョシュアはステラを心配していたが今では毎日誇らしげに騎士たちへステラの話をしたり昼食も誰よりも先に食べに食堂へ通っていた。


ステラが作る料理は騎士達が皆太鼓判を押す程大人気だった。


ステラは前世の知識を生かして栄養バランスをしっかりと考えた上で料理を作っていた。

ステラは前世で道場を営む祖父と暮らしていたので道場に通う者たちの食事を何年も作っていた経験がこの寮母の仕事に役立ったのだ。

炊き出しの経験もあったので量をたくさん作ることにも慣れていたのだった。


それはもちろん掃除…洗濯…雑用も同じだった。

広い寮を掃除するのも道場を掃除していたステラには苦にもならなかったし…洗濯も前世では武道着を手洗いしていたのでお手の物だった。


ステラはそんな寮母の仕事が毎日楽しくて仕方なかった。


寮母として2週間が経過したこともあり料理や洗濯の間に時間の余裕すらできていた。


ステラの1日の日課の1つは騎士たちの朝食後に毎日バスティンのいる第二部隊の団長室へ一輪の花を届ける事だった。


バスティンはステラが花を届けにきても相変わらずの真顔だったが花は毎日机に飾っていた。

そんなバスティンを見てステラは毎日幸せだった。


この日もステラはバスティンへ花を一輪届ける日課を終えて洗濯物を干していた。


「あぁ〜今朝のバスティンもかっこよかったわ〜♡毎日相変わらずのお硬い表情だけど毎日渡した花は飾ってくれるんだよねぇ〜。それに…バスティンがあたしの作ったご飯を食べてる姿がまたたまんないんだよね…。あたしの作ったご飯を食べるバスティン…それを見つめるあたし…あぁ〜なんだか新婚さんみたいでたまんないよ〜!」


ステラは洗濯物を干しながら1人ニヤニヤして悶絶しながら独り言を言っていた。


そして…ステラは洗濯物を干し終わると近く木の陰へ座った。


「ふぁ〜〜ん〜〜!」


ステラは体を伸ばしながら言った。


「もう寮母として働きだして2週間か…。あと3週間とそこらで寮母さんが戻ってくるんだよね…。あとそれだけしか寮母の仕事出来ないのかぁ…。毎日バスティンを拝めなくなるのが辛すぎる…。」


ステラはそんな事を呟いた。


「ここがオンラブの世界だなんて思えないくらい…いい感じにシナリオ変えてバスティンと過ごせてるのになぁ…。」


ステラは空を見上げながら呟いた。


「でもいい感じにシナリオを変えてるから…今後あたしとバスティンが処刑される事はないから安心していいんだよね…。アーノルドとグレイスにはどうぞお好きにチョメチョメしながら仲良くしてくださいって感じで二人に興味ないけど…何故かふとした時に不安になるのは何でだろう…。」


ステラはそんな事を呟いた。


「オンラブのストーリーの内容はストーリー通りに進んでるから?アーノルドの誕生日パーティー…皇后様のお茶会…アーノルドとステラが会っているところにグレイス参戦…この3つの流れはストーリーと同じ進み方だった。あたしがバスティンと出会った時期やバスティンに対する行動はすべて独断でシナリオ通りじゃないけど他の内容はストーリー通りに進んでるからいずれは処刑の内容が訪れるってこと?ううん…大丈夫…。あたしがアーノルドに興味なくてグレイスにも嫉妬してないしてないわけだし処刑される様な事はしてないんだもん。」


ステラは自分に言い聞かせる様に呟いた。


「だけど…内容がストーリー通りに進んでるんだとしたら皇后のお茶会の次は…狩猟大会…。オンラブの世界に転生してからはバスティンを幸せにすることばかり考えてきたけど…これからはストーリーの内容がストーリー通りに進んでいってる事も肝に銘じとかないとけない気もするな…。」


ステラは真剣な表情で呟いた。


「ふぁぁぁ〜…。それにしても今日は天気がいいからポカポカして眠くなるなぁ〜。でも寝てしまったら昼食準備出来ないからな〜………。」


ステラはポカポカ陽気を感じながら呟いた。


そして…ステラはポカポカ陽気の気持ちよさに負けてゆっくり瞼を閉じたのだった。


「プハッ……!」


ステラは誰かのその声でハッと目を開けた。


そして…目の前の人物を見て驚いた。


「え…?殿下?!」


ステラは目の前に立っていたアーノルドへ驚き言った。


「あ…皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」


ステラは慌てて立ち上がりアーノルドへ挨拶をした。


「あぁ…。」


アーノルドは何故かクスりと笑みを浮かべて言った。


(ちょっと…何でこんなとこにアーノルドがいるわけ?!それも何でちょっと笑ってんの?!はぁ…?!)


ステラは内心アーノルドにそんな事を思っていた。


「ふふ……コホンッ…。ステラ嬢はここで何を?」


アーノルドが笑み溢すと誤魔化す様に咳払いをして言った。


「洗濯物を干していました。」


ステラはどこか不機嫌そうに言った。


(おい!マジで何なの?!何でちょっと笑ってんの?!何か腹立つわー。)


ステラはそんな事を考えていた。


「洗濯物…?あぁ…そういえばステラ嬢は今騎士寮で寮母をしているのだったな。」


アーノルドはあっ…と思い出した様に言った。


「はい。」


ステラは淡々と言った。


「そうか…。寮母の仕事など大変だろう?」


アーノルドが心配そうな表情で言った。


「いえ…。とてもやり甲斐がありますので大変ではありません。騎士の皆さんのお役にもたてますし。」


ステラは更に淡々と言った。


(それに加えてバスティンにも毎日会えるんだからこれ以上最高の仕事ってないもんねぇ。それよりマジで早くいなくなってほしいんだけど…。マジで何でいるわけ?)


ステラはそんな事を考えていた。


「そう…か…。素晴らしい心構えだな。」


アーノルドはどこか切ない表情で言った。


(ステラ嬢は…何故…私の前ではこんなにも素っ気ないのか…。ラスター公爵の前だとあの様に嬉しそうに笑っていたのに…。)


アーノルドはグッと拳を握りしめながら考えていた。


(っ…?!私は今何を考えていたのだ…。)


アーノルドはハッとなりそんな事を考えていた。


「ありがとうございます。」


ステラが言った。


「あぁ…そうだ。今度狩猟大会があるのは知っているかい?」


アーノルドは優しく微笑みを浮かべて言った。


「はい。」


ステラは淡々と頷きながら言った。


「それで…その狩猟大会なのだがよかったら…。」


アーノルドは少し言いづらそうに言った。


そんなアーノルドをステラが??という表情で見ていた。


「私が……。」


アーノルドがそう言おうとした時…


「ステラ嬢!!」


そこへバスティンがやって来てステラへ言った。


「え?!公爵様?!」


ステラは突然の事に驚き言った。


「殿下…?皇太子殿下にご挨拶申し上げます…。」


バスティンはアーノルドを見て挨拶をした。


(何故…ここへ殿下が…?)


バスティンはそんな事を考えていた。


「あぁ。」


アーノルドは不機嫌そうに言った。


(ラスター公爵…タイミングが悪いな…。)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「何故…公爵がここへ?」


アーノルドが不機嫌そうにバスティンへ言った。


「バートン団長がステラ嬢を探しておられてましたので私もステラ嬢を探しにここへやって来たのです。」


バスティンが言った。


「そうなのか…。」


アーノルドが言った。


「はい。それと…先程ステラ嬢を探している際にルノア男爵のご令嬢が殿下を探しておられる様でした。」


バスティンが言った。


「グレイス嬢が…?」


アーノルドがハッとなり言った。


「はい。」


バスティンが言った。


(そうだ…。グレイス嬢の事をすっかり忘れていた。今日はグレイス嬢が訪ねてくる日だというに廊下の窓からここにいるステラ嬢が見えて急ぎこの場所へ来てしまったからグレイス嬢が私が居ない事で私を探していたのだな。)


アーノルドは渋い表情をしてそんな事を考えていた。


「殿下…グレイス様が殿下をお探しなのでしたら早くグレイス様の元へ行ってあげて下さい。」


ステラがバスティンとアーノルドの会話を聞いて言った。


(これまたグレイスナイスタイミング〜!さぁさぁ…さっさと愛おしのマイハニーの元へ行きなさい行きなさい!)


ステラはそんな事を考えていた。


「え?あぁ…そう…だな。そうすることにしよう…。」


アーノルドは残念そうなどこか悲しそうな表情でステラへ言った。


「はい。」


ステラが言った。


バスティンがアーノルドの表情をじっと見ていた。


そしてアーノルドは名残惜しそうな表情でその場から離れたのだった。


(ステラ嬢に…狩猟大会の時にハンカチへ刺繍してくれないか…と伝えたかったが…。)


アーノルドはそんな事を考えながらグレイスの元へと向かったのだった。


そして…アーノルドが去りステラとバスティンの2人きりになった。


「公爵様…お父様が私を探しているというのは…どんな理由ででしょうか…?」


ステラは気まずい表情でバスティンへ言った。


「いや…あれは嘘だ…。」


バスティンは気まずそうに言った。


「はい?」


ステラは驚き言った。


「いや…ステラ嬢を探していたのは本当だ。食品の仕入れ業者が来ていたが仕入れ確認をしてもらおうと思ったら寮にステラ嬢の姿が見えないから探していたんだ。だが…師匠が探していたというのは嘘だ。」


バスティンはバツの悪そうな表情で言った。


「なぜ…その様な嘘を?」


ステラが戸惑いながら言った。


「それは…ステラ嬢が何だかあの空気が癒そうに見えたからだ。」


バスティンが言った。


(私も何故…自分があんな事言ったのかはわからない…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「公爵様が…私の事を気にしてくれて…。」


ステラはバスティンの言葉を聞いて感動した表情で言った。


(バスティンが…私の事を思ってくれてあんな嘘をついてくれた…。嬉しい…。嬉しすぎてやばい…。)


ステラはそんな事を考えていた。


「べ…別に気にした訳でもない!」


バスティンはバツが悪そうに言った。


そんなバスティンを見てステラはニヤつきが止まらなかった。


「…?ステラ嬢…少し目を瞑ってくれ。目の上に何かついているぞ…。」


バスティンはそんなステラを見てバツが悪そうにしていたがふとステラの目元に何かついているのに気づき言った。


「え?何だろう…。」


ステラはバスティンに言われて??という表情を浮かべて言いながら目をそっと閉じた。


(寝てる間に何か汚れでもついたのかな…。)


ステラは目を瞑りながらそんな事を考えていた。


すると…


「ブハッ…!!」


目の前のバスティンが思わず笑った。


ステラはバスティンが笑った事でバッと目を開けた。


「今…笑いましたよね?!」


ステラは目を見開いて言った。


「……いや…笑ってなどいない。」


バスティンは下を向いて言った。


「いいえ!絶対に笑いました!笑っていないというなら私の目を見て言って下さい!」


ステラはフンっと鼻を鳴らす様に言った。


そして…バスティンが少し間を空けてから顔を上げてステラを見た。


顔を上げたバスティンは真顔だった。


(ちょっと…!何このバスティンのかっこよさの破壊力!!目を見てって言ったのはあたしだけど…いざ見られると破壊力すごすぎて直視できない!)


ステラはバスティンが顔を上げた瞬間内心はドキドキが止まらずそんな事を考えていた。

そしてステラは思わず下を向いた。


すると…


「グ……フッ……ハハハハハ!」


眼の前のバスティンが急に大笑いをした。


ステラはそれを聞いてバッと顔を上げた。

するとそこには笑っているバスティンがいた。


「笑ってる…。」


ステラは笑うバスティンを見てボソリと呟いた。


(オンラブの話中に出てくるバスティンは大きな傷と闇を負っているキャラだったからこんな風に笑った顔を見せることは一度もなかった…。その上ステラに協力して最終的に死んでしまった…。あたしは前世でオンラブを読んで何度も一度いいからバスティンの笑顔が見たいと思ったし…見せてくれなかった作者に激おこメールを送った。オンラブの世界に転生してからは絶対にバスティンを笑顔にするって決めてた…。バスティンが笑顔になり幸せになる為なら何だってするって決めてた…。オンラブの小説通りに笑顔なんてまったく見せなかったあのバスティンが…笑ってる…。作り笑いでもない本当の笑顔…。)


ステラはバスティンの笑顔を見てそんな事を考えていた。

そして…無意識にステラの目からは涙が溢れていた。


「ククク…あぁ。笑ったよ…。どうやら私の負けの様だ…。さすがに…これは…。」


バスティンは笑いを堪えられないといった様子で言おうとしたその時…バスティンは眼の前のステラを見てハッとなった。


「ス…ステラ嬢…どうした?!何故泣いているのだ?!」


バスティンはステラの目から涙が流れているのを見て慌てて言った。


「うわぁぁぁぁ〜〜〜ん!!」


すると…ステラがたかが外れた様に泣き出した。


そんなステラにバスティンは戸惑った。


「ステラ嬢どうした?!」


バスティンが戸惑いながら再度ステラへ言った。


(一体…何故…急に泣き出すのだ…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「だって…だって……バスティンが笑ったのが嬉しくて…。嬉し泣きです。ずっと…ずっとバスティンの笑顔が見たい…笑顔にさせたいと思ったので…うわぁぁぁぁ〜〜ん!バスティンが笑ったよ〜嬉しすぎてどうしたらいいかわかりませ〜ん!!」


ステラは泣きじゃくりながらバスティンへ言った。


(私が…笑っただけで嬉し泣きだと?こんな泣きじゃくりほどに…?)


バスティンはステラの言葉を聞いて何故だかとても温かすぎて泣きたくなる様な感情に襲われながら考えていた。


バスティンは泣いてるステラを見てやれやれといった表情を浮かべながらそっと右手でステラの涙を拭いた。


「まったく…そんな事で泣くとは…。」


バスティンは優しい表情を浮かべながらステラへ言った。


(相変わらず…無我夢中な時は私の名前を気づかず呼ぶんだな…。だが…これまで私の為にこの様に嬉しいも悲しいも泣いてくれた者がいただろうか…。いや…いないな…。初めて会った時はこの真っすぐさが心地悪くて仕方なかったというのに…今では心地悪いどころかどこか心地がいいと思う自分がいるな…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


「ピグっ!!」


ステラは涙を拭きながら優しい表情を浮かべるバスティンを見て思わず息をのみ涙もピタリと止まった。


急に涙が止まり固まったステラをバスティンは不思議そうに見た。


「公爵様…その表情は反則です…。そんな表情で涙をぬぐわれたら涙どころか心臓まで止まってしまいそうな程です…。好きが溢れてしまいます。」


ステラは頭を抱えながら言った。


(もう…今日のバスティンやばすぎ!顔面破壊力やばすぎ!マジで今の表情は反則中の反則!キュン死する。それにバスティンの手があたしの頬触れた。今日マジで顔洗えない。好き…バスティン大好き。今日好き度更に上がったわ…。)


ステラは悶々しながらそんな事を考えていた。


「表情が反則とは意味がわからないが…。」


バスティンは苦笑いを浮かべて言った。


「公爵様もいつかその意味がわかる時がくる…はずです!多分…。」


ステラは誤魔化し笑いを浮かべて言った。


「なんだそれは。」


バスティンが言った。


「それよりも…公爵様は何故急に笑ったのですか?」


ステラはふと疑問に思いバスティンへ尋ねた。


「それはだな……。」


バスティンは少し言いにくそうに言いながら自分の目元をトントンと指さした。


ステラはそんなバスティンを見て??という表情を浮かべたが突然何かを思い出した様にハッとなった。


そして…


「あ…あぁ…あわわわ…あわあぁ…。」


ステラは急に顔を赤らめながら慌てた様子で声にならない声を漏らした。


(ぎゃぁぁぁあーー!あたしとした事がしくじったー!!今日は試しに万が一寮母の仕事をしている最中に眠くなってしまったらの時の為に前世で流行ってた落書きメイクをしてきたんだったぁ!前世で授業中に万が一寝てしまっても瞼に目の絵を書いておくと目を閉じても起きている様に見えるあのメイクをよりにもよってバスティンに見られるなんてー!恥ずかしすぎて穴があったら入りたいわぁー!)


ステラは恥ずかしそうに顔を手で覆って考えていた。


「何故…あのようなものを瞼に描いたのだ?」


バスティンは笑いを堪える様な表情でステラへ尋ねた。


「ハハ…それは…。」


ステラは苦笑いを浮かべて言うと落書きメイクをした経緯をバスティンへ説明した。


「そういう事だったのか…。私はてっきり令嬢達の間で流行っている化粧なのだとばかり思っていた。下を向いているのにこちらを見ている様に見えたと思ったら笑いが堪えられなくなった。」


バスティンがステラの説明を聞き納得した様に言った。


「まさか…公爵様に見られるなんて…。でも…恥ずかしい姿を見られたのは複雑ですけど…そのお陰で見たかったものが見れたので…結果よかったです!」


ステラはニカッと笑いがら言った。


(本当に前向きに物事を考える娘だな…。)


バスティンはそんな事を考えていた。


(ちょっと待ってよ…。もしかして…アーノルドにも落書きメイク見られたってこと?!だから…何か吹き出したみたいな声出してたわけ?!うわっ…!何かアーノルドに見られて笑われたと思うとムカつくなぁ。まぁ…でもあたしのそんな姿見たらますますあたしの事を変な人だって思って貰えるしいっか!)


ステラはふとそんな事を考えていた。


「今後は…そんなものを描いて誤魔化さなくても休みたい時は寮の寮母室で休むといい。誰もステラ嬢が眠ってすまっても文句は言わないだろうからな。」


バスティンが言った。


「わかりました。」


ステラは頷きながら言った。


「さて…そろそろ戻ろないと本当に師匠がステラ嬢が居ないと騒ぎだすぞ。」


バスティンが言った。


「そうですね…。では戻りましょう。」


ステラが頷きながら言った。


「あぁ。」


バスティンが言った。


そして…二人は騎士寮へと戻ったのだった。



この日…ステラはバスティンの手が触れた頬をかたくなに洗いたくないと侍女のリサに食い下がったけどあっさりリサに却下されてきれいさっぱり洗われたのち…ベッドに入ってもバスティンの笑顔と優しい表情を思いだして悶々しすぎてなかなか眠りにつけなかったのは言うまでもなかったのだった………



ステラが寮母として騎士寮で働くのは残り半月となった…


ご覧頂きありがとうございます★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


↓↓↓↓


ヤンデレ公爵令息の溺愛ストーカー日記♡転生令嬢の破滅回避生存日記☆(※不定期更新)



俺様王子の"ミイラ取りがミイラになった"お話♡(※不定期更新)


悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!(※不定期更新)




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