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穴ぐら童子の想う夢

作者: 枯戸門徒

Attention!

・正しくない!

・読みづらい!


OK?

幼い頃、どうしてか横穴の中に暮らしていたと思い込んでいた。


取っ掛りは忘れたが、確かそんな話だったと思う。


「今2人が座ってる後ろの辺、そこに昔デカい穴があってな……」


私はソファに座る兄弟達に話した。

実際にそんな穴がある訳も無い(実際その場には“食器棚の後ろ”と言う空き空間しか無かった)、そんな事はわかりきっていたが、支離滅裂なのは益体ない話のお約束であった。


その証拠、心得たとさっきまで姦しかった姉妹達も笑う。


「いやいや、そっちの壁にデカい穴が空いてたんだよ」


私の座る正面の壁を指し、抉り掘り抜いたみたいな穴だったと“母”が笑う。


なるほど、空間に穴があると言うより余程しっくりくる。

私はふむと頷き、納得した。


その様子を見てはまた場が笑う。


ああそうだ、と“母”がおもむろに取り出した物に目が向いた。

くい、と意思表示をしてそれを受け取る。


鎖編みの縫い取られた黒丸石から始まり、ぐるりぐるりと石の周りを巻くように編まれた、何とも言えない長ったらしい飾り。


それが酷く懐かしくて、思わず巻き付く糸を指で繰り返しなぞった。


────“コレ”は、そう、この形は自分の作った物だ。


閃くような思いであった。

石は足元から拾い、糸は編めば出てきた。針は……そう、確か必要としなかった。


幼い日々、穴ぐらの中で手慰みと作った光景を思い出す。

あの時は確か、“世話人”が欲しいと言うからくれてやったのだったか。

お前にも幸運が来るといいな、と淡々に零して。


“世話人”は贄だった。

得体の知れぬ忌み子を世話する為に連れられた、幸薄い娘。

本人は言わなんだが、身綺麗にすれど飾り気のない姿に加え、名士が連れたてたその日にそう詰めているのを聞いた。“お前は贄だ”“図に乗るな”“アレの世話をさせる為だけに連れてきたのだ”と。

娘の前で虚勢は張れど、恐れはどうにも滲んでいた。


初の対面、格子と一面貼られた札の向こうで、娘はぱちりと瞬いた。



「どうして誰も教えもしない物を作れるんだって気味悪がっていたのに、その年から豊作になった途端でその飾りを崇めてたんだって」


まあそれは形も何も全くの別物なんだけどさ、と“母”が続ける。


そう言えば初めて作った時は名士が何やらをぶつぶつと言っていた。

1人だけ預かったのにどうして、だのやはり血が、だの。


顔を歪めて、まるで恐れ怖がるように。

ヒトの手慰みを見てぶつぶつ言うなど、なんども失礼な。

その様子を、私は冷めきって眺めていた。



弟妹達が興味を示したので渡してやる。


弟が眺める。


「ふーん……変な形だね」


妹が訊ねる。


「……これ、なんて言うの?」


「……かえる場所、だ」


ぽつり、言葉が落ちる。

何故この意味かなど知らぬ。くれてやった本人も分かっていなかっただろう。


『……これは、かえるばしょ、です』


そう言った“世話人”の真摯な表情だけをただ、顔も分からず覚えている。



「……壁の穴の中にこう、ちいまりと座っててさぁ……」


意識を戻せば、“母”が笑いながらその時の様子を表すように手を丸く動かしていた。


ちいまりとは何だ、と“母”を抗議に叩く振りをする。

ますますに場が笑い、話は逸れていった。



場が姦しくなってきた。

ほれ、話は終わりだと手を振って、子らを散らす。

残った“母”は静かに佇んでいる。


「……あの日」


言いかけて、ふと閉じる。

こちらをつと見るその眼差しが、焦がすように懐かしかった。


「ほんのいとけない(わらし)だったお主が、もう母だと言うのか。時も随分と過ぎたものだ」


「……そうですね、童子様」


童子様は、お変わりないですね。と“娘”が囁くのに顔を顰める。


「様など要らぬと、何度言えば。……全く、そこばかり変わらんで……」


「ええ、童子様。こればかりは譲れませぬ故」


飄々でなく真面目に返してくるのだから、全く閉口する。

はぁ、とひとつ息をつく。

“娘”が私をあの穴ぐらより連れ出して、短くない時が過ぎ────はて、どれ程であっただろうか。


「■■■、あの時、私をあの穴ぐらから連れ出した時からどれ程経った?」


「…………いいえ、■■■は存じ上げませぬ」


“娘”は薄く微笑んだ。

これより下は雰囲気など諸々ぶち壊す蛇足部です。大丈夫な方のみどうぞ。




……本当によろしいですか?


今回書きたかった物:さらっと人外

          曖昧な時間軸(そんな事やるから読みづらくなる!( `ω´ ))

          古めかしげな文体


・解説のような何か

今の話・思い出がごちゃごちゃしてるのは童子にとっての“つい先日”を入り交じって思い出してるって事で「小さい頃に穴ぐらで暮らしていた」は思い込みじゃなく実際に暮らしていたって言う事です、ハイ_(┐「ε:)_

ヤマなしオチなしイミなし!何処となくな奇妙さを感じてくれてりゃおk!


・人物

童子:視点主。あっちこっちに思考飛ばすな読みづらい( ˘ᾥ˘ )

記憶が薄れる程長く生きてるのか忘れる程の何かがあったのか、話してて秒で矛盾し出すからもう……

出なかった設定として、“忌み子”として親元を離され、当時の名士に預けられていた。地下の座敷牢(土床)にいた時は壁にぶち空いてた穴ぐら(やや高めの位置(腰ほどの高さ)に空いている。奥行き広)が定位置。

外見年齢は世話人のいた頃が5~7、現在は13~16。食べ物は食べようと思えば食べれる。手慰みの材料にした諸々は無自覚生成。

態々作ったのは世話人に渡した魔除けだけなので、童子から世話人への何かしらの情はあったと思われる。

世話人:しがない村娘だったのを当時の名士に連れてこられた。出なかった設定として、親を早くに亡くし(山中の事故と拗らせた風邪だが実はこれも怪異絡み)村内では孤立気味、幸薄く怪異に魅入られやすい(良く転んでヒトや物にぶつかるなど、人にはどんくさいとかそそっかしいようにしか見えない)体質だった。髪は編むほど長く(これも話には出ないが童子が編んだ事もある)、線の細く見えて肝の据わった女子(童子談)

童子の何を世話してたかって言ったら格子内の清掃とかかな……

“母”:兄弟達、姉妹達の母。童子と初めて会ったのは娘頃の年齢だった。夫は居ない(その場合子供達は養子)か死に別れている。

兄姉弟妹:“母”の子供達。出なかった設定として、(のんびり)(ずけずけ)(おっとり)と妹(甘えっ子)は双子。


・かえる場所(黒水晶の石編み飾り)

魔除けの護符(効力やや強)。これを渡されてから世話人(またはその血筋)が怪異絡みの事件に巻き込まれるのは減った。実際に世話人が言ったのは欲しいではなく“素敵ですね”。謎にそう言ったと思い込んじゃってるアレ。








────ああ、全く奇妙な夢だった。

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