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第6話 悪友、時々女神。

「よ、洸! また同じクラスで嬉しいぜ!」

「お前も一緒だったのか、湊」

「ひどい言い草だな、生涯の親友に対して。鷲見ばっかり見てるから気づかねーんだよ」

「女漁りが趣味のお前に言われるとは思わなかったよ」

「趣味じゃねーよ、生き甲斐だ!」

「なお悪いわ!」


 始業式終了後、教室に戻っている時に話しかけてきたのは小さい頃からの腐れ縁である友人、みなと。ちなみに湊というのが名字なのか、はたまた名前なのかは誰も知らない。

 サラサラの茶髪にジャ○ーズ系の造形と外面は文句なしなのだが、天は二物を与えずというか、女好きという性格のせいで主に女子からの評判がすこぶる悪い。

 ……これはまた『ザ・悪友』って感じのキャラクターだこと。


「しっかし相変わらず唯ちゃんともラブラブみたいだし、二階堂は言わずもがなだし、選り取り見取りだよな」

「どこぞの女神と同じこと言ってんじゃねえよ」

「は? 女神?」

「……失言だ、忘れてくれ」

『やーい、口に出してやんの! ばーかばーか!』


 くっ、水を得た魚みたいに生き生きしやがって。


「あ、もしかして水無瀬先輩のことか? 確かにあの人は女神って呼ばれていても違和感ないな」

「あーそうそう」


 勝手に納得してくれた湊には生返事をする。

 だって、物凄く気になる言葉があったから。


『なになに? 何が気になるの?』


 攻略キャラなんだけれどさ、既に妹、幼馴染、委員長って出てきてるじゃん?


『まあそうね』


 今、水無瀬先輩って人が出てきたんだけれど、この人の立場は?


『もちろん、攻略キャラよ!』


 ……もう一ついいかな? 攻略キャラ、あと何人?


『ん~後輩キャラと、合法ロリ先生と、あと隠しキャラが……』


 そこは『君のような勘のいいガキは嫌いだよ』だろうが!

 ……じゃなくて! 明らかに詰め込みすぎだろ! ルート多すぎてげんなりするぞ! 二作品に……もとい、二世界に分けるなりしろよ!


『そうは言われましても~私はこの世界の神じゃありませんし~』


 あ、こいつ開き直って意趣返ししてきやがった。

 ちっちぇえな。


『ちっちゃくないよ!』


 イエス! アスミス!

 じゃなくて! 真面目な話、キャラ数の調整は出来ないのかよ?


『どうして? 多ければ多いほどいいんじゃないの?」


 確かに、好意を向けられて嬉しくない訳がない。それが様々な属性持ちで、全員美少女なんて夢のようなシチュエーションだ。


『そうでしょうよ。だったら何も問題ないじゃない。女の子の誘惑に、ずぶずぶに溺れてしまえばいいじゃない!』


 いや、それじゃダメなんだ。


『どうして?』


 だって、だってさ……、俺は引きこもりの童貞なんだぜ?


『……はい?』


 もう本当に勘弁してくださいお願いします。今までに出てきた三人だけでも可愛すぎて理性ドロドロに溶けそうなのに、これ以上萌えるキャラクターを増やされたらもうどうなるかわからないって言うか、手当たり次第に襲ってバッドエンド一直線って言うか、まあそんな感じで誰も得しない展開しか待ち受けていないのでどうかお願いします、神様仏様女神様!


『……出会って以来、最長の台詞を最速で言われると物凄く真に迫るわね』


 真に迫るってか真なんだって。

 モテモテ主人公生活って、想像以上に耐えがたいんだって。

 個別ルート入るまでの共通ルートで昇天しちゃいそうなんだって。


『ギャルゲーマスターのあなたでも?』


 ギャルゲーマスターの俺でも! そんな呼び方したことも、されたこともないけれど!


『そこまで深刻なのね……。わかったわ、難しいかもしれないけれど、ちょっと干渉してみる』


 ありがとう。お前、今までで一番女神してるぜ!

 それにしても世界に干渉って、とんでもなく大変な作業なんじゃなかろうか。

 世界を書き換えようとする女神と、修正しようとする世界の神の、それはそれは凄まじい攻防が繰り広げられちゃったりするのだろうか。


『……さて、それじゃあ一丁気合い入れてやりますか』


 そう意気込む女神。やはり、相当に困難な戦いが――


『プルルルルッ……』


 ん? 何故か呼び出し音が聞こえるんだが? 俺の携帯……じゃないよな。


『あっ、もしもし神? ちょー久しぶり、元気してた?』


 待て待て待て待て! 俺は今何を聞かされている? そしてお前は今何をしている⁉


『そうそう、神の世界攻略中なんだけどさ~、ちょい修正して欲しくて……オッケー? サンキュ、マジ助かるわ』


 それに口調! 古いギャルみたくなってるぞ! そんなキャラじゃなかっただろ!


『うんうん、なんかあったらまた連絡すっから! じゃね~』


 ブツリ、と通話が終了した音がする。ついでに俺の血管が切れた音も。


『安心してください、世界への干渉は成功しましたよ。ひとまずはこれ以上攻略キャラが増えることはありません』


 なにを今更、改まって、女神の体裁を、威厳を、保とうとしてるんだよ! 手遅れだよ‼ 何もかも聞こえてたわ‼


『えっ、もしかしてミュートにし忘れてた?』


 ミュートって言っちゃったよ⁉ やっぱマイクなんじゃねーか! 女神とか神とか言いながら文明レベルは地球と大差ないのかよ⁉


『地球の科学文明は非常に優秀なんだよ?』


 知ってるよ! いや異世界レベルで高水準かどうかは知らないけれど、お前が見事に証明してくれたよ!


『Q.E.D.証明完了ってね』


 やかましいわ!

 ……とにもかくにも、キャラ追加の危機は免れたようだった。

 別の問題がスコールさながらの勢いで襲い掛かってきた気がするけれど。


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