1話 プロローグ
カタカタカタカタ…
「ふぅ…」
一息ついてPCから目を反らす。3月の寒さもいつも通り。
いつもと変わらない日常。唯一変わっているのは仕事の内容くらい。
「焦っていてもハマるだけだし少し休憩して落ち着こう」
そう思いながら俺は席を立ち喫煙所に向かおうと歩みを進める。
「はぁ〜、疲れた〜…」
煙草に火を付け一服。これもいつもと変わらない。
就職して2年、最初の頃はまだ新しいことばかりで新鮮味があったが最近はこの変わらない日常を繰り返している。
俺は中野伊織小さな会社でシステムエンジニアをやっている22歳。男だ。
昔からよく女の子に間違えられるが男だ。「喋らなければいい女なのに~♪」とか「どこから見ても女だよねー…」「えっ、男だったの!?私よりかわいいなんて…orz」なんて言われ、挙句の果てには「そっち男子トイレだよ?女子トイレはこっちだよ…?あっ、他の女の子には見せられないけど確かめたいことがあるのか。どれ、お姉さんがついて行って確かめてやろう♪」などと訳の分からない怖いことを言われる始末。
話のネタになるからいいんだけどね!
少し話がずれたが俺は地方から上京して、この会社に入ったんだが、地方から出てきて友達が周りにいないため、ここ1年は、仕事が終わったら帰って寝る。起きたら仕事に行って・・・みたいなほとんど変わることのない同じような毎日を繰り返している。
唯一の楽しみは、趣味のゲームとたまに地元に帰ってゆっくりすることだ。
あっ、アニメも好きだぞ?ここ2年くらい見ていないから久しぶりにみたいなぁ
「なんか面白いことないかな〜。まぁ、自分で探さないと面白いことなんて見つからないんだけどな。」
自己完結もお手の物だ。変わらない日常を繰り返してると嫌でも身についた。変わらない日常を繰り返しているため目新しいものもなく、時間だけが過ぎて歳を重ねていく。
やりたいことはたくさんあるし、自分が知らないことは知りたいしやってみたい。1度しかない人生だから何事も楽しんで生きていかなきゃね!
「とりあえず今日しなきゃいけない分ぱぱっと終わらして帰ろう!ついでに買い物もしていこう♪」
そうひとりごとを呟きながら仕事に戻る。
…この後歴史に刻まれるような出来事が起こるなんて誰も知らない…