ジェラシーパーク
咲良はレイカを連れ、洋服屋に来ていた。
「このサクラ色のワンピース可愛い」
「咲良・・激しいアトラクションがあるんだから、動きやすい服のがいいんじゃない?」
「そっか、ならショートパンツならどう?」
「OK、じゃあ、トップスはボーダーのニットセータと、黒のタイツで大人っぽさを出そう」
「靴は、歩きやすいスニーカーね」
「試着してきたら?」
「うん・・・」
「合わせてみたけど 、どうかな?」
「やばい咲良・・・可愛い」
ショップの店員が集まって来ている。店の外では、ながらアイドル並の人垣が出来ていた。
「……もう、脱いでいいかな?恥ずかしい」
「良いわよ、とりあえず、もう何軒か回って何セットか気に入ったの買って、帰ったらじっくり選びましょ」
――――――――――――
その前日、パーク内で事件が起きていた。
パーク内スタッフと客が合わせて10名、パーク内で行方不明になった。
スタッフ総出で捜索したが、靴1つも発見できなかった。
1つ共通していることが、全員男性ということ、最後に彼らを見た人によると、女子高生らしき女の子と一緒にいるのを目撃されている。
「社長!閉園したほうがいいのでは?」
「1日閉園したら幾らの損失になると思ってるんだ!投資者が許してくれん」
「ですが、10名も行方不明になって、世間に知られるのも時間の問題ですよ!」
「なにか聞かれたら、帰ったと言え!」
「捜索は続行させろ、閉園はするな!いいな!」
「社長!どこへ⁉」
「約束がある、あとは任せたぞ」
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「・・・様、10名同時は・・・困ります」
社長は、ハンカチで額の汗を拭った。
「だって、美味しそうだったんだもん」
「あまり、表にお姿を見せるのは・・・」
「人間が、私に命令するの?」
「いえ!滅相もありません!」
社長は、足が震えて立っているのもやっとのようだ。
「・・下がりなさい」
「ハイ!」
逃げるように部屋から出ていった。
「退屈だなぁ、もっといい男いないかな」
口元に付いた赤い液体を、名残惜しそうに舌で舐めとった。