かぐや姫の罪
後半がメインになります。最後までお読みください。
「当然でしょ!変態!」
レイカの罵倒で宴会場に爆笑が起こる。
混浴作戦が失敗に終わり、オレとセルフィーは宴会場で公開処刑をされていた。
・・・・作戦の失敗
オレとセルフィーの作戦達成はそこまで来ていた。今まさに、咲良達が脱衣場で浴衣を脱ぎ浴場へ入ってくる。彼女達と俺達を隔てるものは1枚の薄い扉だけ。
磨りガラスなので誰だか分からなかったが、まさにドアの取っ手に手が掛り、ドアが僅かに開いた瞬間・・・・
オレの記憶はブラックアウト・・。
気付けばオレとセルフィーは脱衣場の床に産まれたままの姿で倒れていた。急いで浴場に戻ると、すでに咲良達の姿はなかった。
「やられた!『時の拘束』だ」
セルフィーの悔し涙が床に滴り落ちる。
ここでセルフィーの誤算があったらしい、『時の拘束』はクロさんの能力だ、その効果は自分以外の時間を止めてしまうもので、クロさんの得意技なんだって。時の女神なんだから当たり前なのか。
もちろん、セルフィーもその対策で対『時の拘束』専用シールドっぽいものを展開していたらしいが、そのシールドを突き破られてしまったようだ。
誤算というのは、セルフィーが知っている『時の拘束』と今回受けた『時の拘束』は似て非なるものらしい。その為に、対『時の拘束』用シールドが機能しなかった。どう違うのか聞いたが専門用語ばかりで理解出来なかったが、要するに、ティアちゃんの体を借りていることで、技にティアちゃんの味が加わった?合体技みたいなもんか。それって、もしかしてティアちゃんにも・・・・
っいうか、あまり残念とは思っていない。そりゃ、見れたら嬉しいけど、俺はどっちかというと浴衣から僅かに見える感じのが興奮するのだ。
だから、今の状況のが天国なのだ!宴会場にはお風呂上がりの美女達が浴衣姿でおおはしゃぎしてるので、大きく開いた襟会わせから、形の良い胸の一部が見え隠れする。全部見えるより、隠れた部分を想像するほうが興奮するしない?するよね!
宴もたけなわになり、ルナさんとティアちゃんは部屋に戻り、ミーシャと犬猫は何だかよくわからない塊になって寝ちゃってる。星月家はセルフィーを酒の肴にしてからかっている。
「ねぇ、ちょっと外に行こ」
「ちょ、咲良ぁ」
オレの手を握ると半ば強引に引っ張られて宴会場を出された。
最後に楽しみにしてた大トロぉぉぉぉ!
温泉宿の裏庭は小さな庭園になっていた。
夜22時を回っていたので真っ暗なのかと思ったら、雲ひとつない夜空に大きな月。それだけで、明かりは必要なかった。
砂利を踏む音だけが聞こえる。
ゆっくり歩く咲良の後ろ姿を眺めていた。
スケベな意味ではなく、素直にこう思った。
『咲良と2人だけでもう一度来たい』と
「綺麗な月・・・・ねぇ、かぐや姫がなんで地球に来たか知ってる?」
「確か、罪を犯したからじゃなかったか?」
咲良はちょっとビックリした顔になった。知らないと思ったんだろう。どんな罪を犯したのかは詳しくは知らないが、確か不倫が原因だったような・・月に住む不老不死の宇宙人が不倫を罪にするなんて、少し不思議に思ったのを思い出したのだ。
ちょっとドヤ顔をしてみた。この顔を笑うと思ったが、咲良の顔は悲しそうだった。
「・・・・そう、罪を犯したから」
咲良は静かに立ち止まると、月を見上げた。悲しそうに遠くの月を見つめる横顔は、今まで見たことのない表情だった。
えっ!?なんだろう。
ダメだ・・次の言葉を聞きたくない!
咄嗟にそう思った。
「錬太郎、ワタシ」
思考が停止して、頭の中が真っ白になる。
「そこまでにしときなさい」
強い意思をもった声が、咲良の言葉に割り込んだ。
お陰で思考を取り戻せた。
そして、声の方に振り向くと星月レイカの母親、マナさんが立っていた。
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