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咲良とレイカ

 


 公園のひときは大きな桜の木の下に、制服を着た一人の少女が桜を見上げていた


 栗色のショートヘア、猫のような大きな目、すらりとスカートから伸びた足、お世辞にも大きいとは言えない控えめな胸だが、それが返って、きっちりアイロンの掛かった制服を綺麗に着こなしていた。春の柔らかな風が少女の綺麗な栗色の髪を揺らし、その横顔を見た人は、通り過ぎる速度が自然と遅くなってしまうくらい綺麗な笑顔だった。この少女の名前は・・・


 「宝生 咲良(ほうじょう さくら)ーーッ」



挿絵(By みてみん)


 少女の名前を呼ぶのは、背中まで流れる綺麗な金髪の髪、切れ長で大きな目、制服のブラウスを盛り上げる大きな胸、太くも無く細過ぎず、だか男性の性欲を掻き立てる太ももとお尻の形、春の、時折強く吹く風によって、長い金髪の髪が、視界を遮るのを左手でそっと髪を押えつける表情と仕草は、まるで映画のワンカットとして使用できるのではないかと思わせるほど絵になっている。この少女の名前は、咲良の幼馴染みの星月(ほしづき)レイカ。

 

 「入学式サボって、こんなところでナンパ待ち?」レイカは呆れた顔でため息を付いた。


 「ウフフフ、待ってるんだけど誰も声を掛けてくれないの」苦笑をしながら、両手で残念という仕草をとる咲良。


 「声を掛けたって、見込みが無いって分かってるんでしょ」


 「レイカに声を掛けるより、可能性があると思うけど」腰に手を当て口を尖らせる咲良。


 「わたしは、そんなオーラ出してないわよ」


 少しの間の後、大笑いする二人に、通りすがりの人たちは、不思議そうにそれを眺めていた。


 「レイカこそ、こんな所にいていいの?新入生代表の答辞はどうしたの?」

 

 レイカは、今回の入学式で新入生代表として答辞を受けた。受けたというか、何度も断るレイカに、校長や学校関係者が大勢、家にまで来て泣きながら土下座をしてお願いされれば、流石に断りきれなく承諾したのだ。


 「済ませてきたわよ、そしたら咲良の姿がなかったから探しに来たのよ」


 レイカと咲良が、星の坂高校に入学すると噂が広まると、学校内ではファン達によるお祭り状態になっており、いざ入学式当日になると 、一目咲良とレイカの姿を見ようと、学校内外から人が集まり過ぎ、入学式どころではなくなっていた。


 そして、咲良とレイカは、エンジェルナンバー・チルドレンだ。ECには、能力の危険度によってランクを付けている。


 危険度ランクは、レベル1は他者に影響を与えない能力、レベル2は使い方によって他者に影響を与えてしまう能力、レベル3は殺傷能力がある能力、レベル4は国などに脅威を及ぼし兼ねない能力、レベル5は世界に対して脅威になる能力に分類される。


 咲良の能力は、炎を操る能力

 レイカの能力は、凍らせる能力


 咲良の炎を操る能力は、一見、それほど凄い能力ではないと思われがちだが、咲良が操れる炎の温度には限度がない、最悪な話 、ビックバン直後の温度《14溝2千穣℃》さえ作り出してしまう。そして、咲良の炎は、対象物のエネルギーを燃料にして燃える為に、消火不可能な炎がエネルギー《命》の尽きるまで燃え続ける。


  レイカの能力は、万物を凍らせてしまう能力だ

  操ることが出来る最低温度は、以前まで理論上の温度だった《絶対零度》を作り出してしまうものだ。絶対零度の空間は、エネルギーの存在を許さない。つまり、その空間には素粒子すらない。


  使い方次第では、二人とも世界に脅威を与えることが出来る。


  にもかかわらず何故、咲良やレイカがレベル4なのか。

 

 それは、レベル5は世界の脅威と位置付けられるため、レベル5になった瞬間、全世界から抹殺対象になってしまう。存在が許されないのだ。


 しかし、レベル4のEC能力者が重大な事件を起こさない限り、レベル5にはならない。


 現在、レベル5に認定されているEC能力者はいない。


  「ねぇ 駅前のモールに美味しいパンケーキ屋さんが出来たんだって、行ってみようか」

 咲良が満面の笑みで駅の方向を指差した。


  「甘いもの苦手なの知ってるでしょ」

  レイカは呆れた顔で言った。


  「えへへ、良いじゃない。苦いケーキもあるかもよ」

  「そんなケーキ誰も食べないでしょ」

  「そっか、えへへ」

  「でも、ほら!子猫もいっぱいいるんだって」

  咲良は、携帯の画面をレイカに見せた。

  「………かわいい」

  レイカの美顔がだらしなく緩んだ。

  「レイカは猫ちゃん超大好きだもんね」

  「いいでしょ!早く行くわよ」

 「ラジャー!」


 二人は駅に向かって走っていった。

 




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