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私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!  作者: たけのこの里
第二章 竜族の姫
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キスと謝罪



 「緊急搬送(きんきゅうはんそう)お願いします!患者は、12歳女の子、意識不明、酸欠状態、人工呼吸と心臓マッサージ開始します」


 救急車のサイレンが公園に鳴り響いていた。


―――――― 6時間前 公園


 「さくら! そうこからボール取ってきてくれよ」


 「・・・・やだよぉ」


 「そうこ、暗いし怖い」


 「いいから、とってこい!仲間に入れてやんねぇぞ!」


 「・・・・閉じ込めたりしない?」


 「出来るわけないだろ!ドアのカギ壊れてるし」


 「・・・わかった、とってくるね」


――――― 倉庫


 倉庫はコンクリート作りで4畳位の広さに様々な道具が整理されずに置かれ、大人でもやっと届きそうな位置に、光だけを取り込む小さな窓と換気扇、切れて点かない豆電球があった。


 「暗いなぁ・・ボールどこだろ」


 《ガシャ!》扉が締まる


 「えっ!!」


 ドアノブを回すが、ドアは開かなかった。


 「なんでっ!開かないぉ!」


 「引っ掛かった!お馬鹿なさくら!」


 「レンくん!開けてっ!開けて!」


 《ドンッドンッ!!》ドアを必死に叩く音


 「じゃぁな~」


 「まって!お願い開けて!開けて!」


 泣き叫ぶ声がしたが、無視して倉庫から離れた。もちろん、少ししたら開けるつもりだったが、遊ぶのに夢中になりそのまま帰宅してしまった。


―――錬太郎(れんたろう)の自宅(咲良が閉じ込められて4時間)

  家に帰り夕食を食べて、リビングでテレビを見ていると電話がなった。


 「れん、咲良(さくら)ちゃんのお母さんから連絡があって、咲良ちゃんまだ帰ってきてないらしいんだけど、公園で一緒に遊んでたんじゃないの?」


 「えっ!・・・」


 「・・レン!何か知ってるのね!」


 「たぶん・・・倉庫・・だと思う」


―――――倉庫前 咲良が閉じ込められて5時間


 大人が沢山集まって、倉庫を開けようとしたが全く開かない。なぜなら、俺のの言霊によって開かないようになっているからだ。


 俺のの能力は、言霊だ。言ったことが本当になる。


 そして、咲良を倉庫に閉じ込める為に使った言霊は《倉庫から出さない》だった。


 直ぐに言霊の効果を消した。


 扉が開くと、咲良が倒れていた。


 《倉庫から出さない》は、倉庫を密封状態にし、空気までも出さなかった。その為に、咲良は酸欠状態になり意識を失って倒れた。


 急いで救急車が呼ばれ、近くの病院に搬送された。


――――数週間後


 咲良は何とか回復した。あと数分遅かったら命の危険があったかもしれないと聞かされた。あれから、何度も親や警察、クロスゲートから事情を聴かれて、小さいながらもやってしまった事の重大さを感じた。


 ただ、後にレイカから聞かされた話では、咲良は自分で倉庫に入って出れなくなった、レンくんは関係ないと、警察と親などにも話していたと聞いた。レイカは俺がやったと分かっていたから、アイツぶっ殺してくると暴れ、レイカを止めたのも咲良だった。


 学校に復帰した咲良は、あんな事件無かったかのように何時も通り俺と接してきた。


 それから2ヶ月後にアメリカに行くことになり、来ないと思っていた咲良とレイカが見送りに来てくれたが、何を言っていいのか分からなかったし、咲良にはまだきちんと謝ってもいなかった。


 沈黙が続いた、まともに咲良の顔を見れなくてうつ向いていると、咲良が近づいてきた。こんな顔を見られたくなかった、来ないでくれと思った。瞳を力一杯閉じても、目の前に感じる咲良の気配は消し去ることなんて出来るはずもなく、ついに我慢の糸が切れた。力一杯閉じた目をパッ!と開くと咲良の瞳が間近にあった。


 こ、こんな状況になったらしないわけにはいかないだろ!!


 口紅なんてしなくてもハッキリとしたピンク色で、張と艶のあるクチビルにキスをした。


 咲良は数秒間立ち尽くし後、ペタンと座り込むと大泣きし、俺はレイカに殴られまくった。


 騒動が収まると、俺は能力の言霊にカギをかけた。それは・・


 《咲良の許可がない限り言霊は使えない、咲良の言葉でのみ効果を消す事ができる》と言霊を使った。


 言霊の使用管理を咲良に委ねたのだ。


 俺なりの謝罪のつもりだった。咲良にその事を言ったら


 「ウフフフフ、じゃあ預かっておくね」


 断るかと思ったら、咲良は快く承諾しやがった。


 少しだけ後悔の念がよぎったが、もう後戻りも出来なかったので深く考えるのは止めた。


 ただ、ご時世が能力者にとって危険な時代であったので、言霊に変わる身を守る能力が必要になった。


 その事をレイカに相談したところ、面白い人がいるから会うなら紹介すると言われたので、後日、アメリカで会う約束をしてもらった。人嫌いで絶対に会うことが出来ない方で、レイカ自身も実際に会ったことはないらしいが、何やら星月家に大きな借りがあり、星月には逆らえないと言うのだ。


 名前はセルフィー”自分勝手”、年齢不明(自称18歳)趣味:可愛い女の子が大好き、見た目は8歳児ぐらいの人間の子供だが、戦闘力は天井知らずで、なんでも最終地球大戦(ラグナロク)までアギスと戦って生き残ったと笑いながら言っていた。


 アメリカで会った瞬間にお題を出された(咲良とレイカのパン○ラ・ブ○チラ写真の提出)、レイカにボコボコにされ咲良に変態扱いされて、やっと手に入れた写真を渡して弟子にしてもらった。


 修行は地球時間で1日、セルフィーの作った空間で300年を過ごして、なんとかセルフィーの爪の垢程度の戦闘能力になった。だが、300年も一緒にいたため性格までセルフィーに似てしまった。


――――――――― 現在


 森に入った錬太郎は立ち止まると、レイカ達が向かった方向に顔を向けた。


 「こっち・・か」


 言い終わると同時に、一瞬で乱丸達に追い付いた。


 風のように森を駆け抜けていた乱丸は急ブレーキをかけた。


 《やっぱり来た》


 《バカ!ビックリしたじゃない!》


 《人間とは思えないニャ》


 「乱丸が折角ゆっくり走って気配を消してるのに、レイカが気配を消さないから、何匹かこっちに来てるじゃないか」


 「知らないわよっ!私はまだ人間なのよ」


 目の前で、大きな木々が一斉に揺れた。


 《ギャオオオオオオオオオオオオ》



 

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