異世界転生
前世でのオレはいわゆる社畜っていうやつだった。ウザイ上司や使えない部下、先方からの無理難題に追われ、30代にして独身趣味無し彼女いない歴=年齢という人生に疲れていた。自分は何で生きているんだと考えていたその時、オレは暴走トラックに引かれて死んだ……はずだった。
次に目覚めたオレはなぜか真っ白い空間に立っていた。そして目の前には泣きながら土下座をしている少女がいた。
「一体此処は何処なんだ?というか何で土下座なんかしてるんだ?とりあえずハンカチ使え」泣いている少女にとりあえずハンカチを差し出す。
「うぅ、本当にごめんなさぁい」
「だから泣いてたらわからないだろ、落ち着いてからでいいからオレがどうなったのか話してくれ。」
「ひっぐ、実は私最近死神になったんですが、あなたのことを手違いで死なせてしまったんです。本当にすみません」
「まぁ気にするな、新人が失敗するなんてよくあることだろ」
「で、でも……」
「そんなことよりオレはどうなるんだ?」
「今回はあなたの体がもう燃やされているので臨死体験に出来ず、前世の記憶を保ったまま転生してもらいます。あと特別に
3つの願いを叶えることになりました。」
「何で前世の記憶を保ったまま転生するんだ?」
「来世では前世の記憶を保ったままのほうが役立つことがあるらしくて、願いはどうしますか?」
「そうだな…」(正直特に無いんだよな~そうだ!)
「じゃあとりあえず幸せで楽しい人生を送ること、大切なものを全て守れる力、あとはお前が今回やらかしたことの帳消しな」
「えっと幸せな人生と力、帳消し…えっ!いいんですか!?大切な願いの一つをそんなことに使って」
「オレがいいって言ってんだからいいんだよ。それに新人が
ミスするなんて当たり前だ、そんなことより同じミスを繰り返さないことが大切だろ?」
「あ、ありがとうございます。私、がんばります!」
「それじゃあ頑張れよ」
「あの、ちょっと待って下さい。」
「ん?どうした?」
「私からも贈り物をさせてください」その瞬間オレの周りを黒い雪のようなものが覆う。
「今の私ができる精一杯の加護です。良い来世を!」
その言葉とともに強い光がオレの視界を奪う。