8 野外でオークさんをお肉にするということ
「さて、水源の確保も出来て井戸にこだわる意味もなくなったから、あそこにある大きい木を使って作業しよう」
「いよいよ、血抜きね!わくわくするわ!」
わくわくすんの?
ご馳走の準備的な?
いいけどさ…
僕の中の認識でグロさを比較すると…
モンスリーが泣き叫んだ、あの虫どころの話じゃない気がするんだ。
これも慣れなのかな。
「2体吊りたいから、僕が処理してる内に、こっちの奴の足にロープをお願い」
「合点承知!蚕登もちゃんと、もやい結びで縛るのよ?」
ずり落ちると面倒だからね。
「あぁ、教わった通りにやってみるね」
「よしっ!こっちは済んだわ。うん!蚕登の方も問題ないわね」
速いなぁ。
僕も反応速度とかアホみたく早くなったんだけど…
モンスリーの作業時間より遅いとか…
多大に慣れがものを言う世界だよね。
「じゃあ、頭を下にして木に吊るすから、こっちのロープの先を木の根元に縛ってくれる?」
「んー。縛るのは良いけど、根元で縛ると、返り血がロープに大量についちゃうわ。私の胸当たりの場所で縛って良いわよね?」
そっか。
血抜きの作業をすると、どうしたって血が跳ねるもんなぁ…
根元にロープがあれば血が付きやすいに決まってる。
年季が違うって凄いね。
「ありがとう。全然気付けてなかったよ」
「ううん。こんなの踏んだ場数の差だもの、気にすること無いわ。蚕登も慣れれば自然に体が動くわよ」
うーん。
素晴らしい手際で、2体の宙吊りが完成していく。
ありがたい……
「さてと、宙吊りにして、首に血抜きの切り口は入れ終わった…この後はモツを抜こうと思ってるんだけど。どうかな?」
「うんうん。血が結構な勢いで出ていくわね。先に倒したのも美味しくなりそう。うーん、モツを抜くのは良いけど…結構汚れるわよ?あまりお勧めできないわ。先に討伐証明の耳を外したら?」
このままの状態で切ると、血の出る位置が高くなるもんね。
「そっか…血に塗れないように、まず耳を落として、血抜きをして、血が止まってから、モツの処理って流れか…」
「うーん、蚕登。血もそうだけど、モツを出すと凄く臭うの。だから、蚕登なら仕舞っておいて後で一括で処理した方が良いと思うわ。普通なら、臭う部分を穴を掘って埋めて処理してくぐらいだから」
あぁ!
そっち!?
そっか、生きてるんだから当たり前だね。
胃から大腸にかけての内容物が、撒き散ったりしたら、考えたくない惨状が出来上がる。
適当に処理しなくてよかった。
「了解。じゃあ血が止まったから、次に処理する分を出すね。……あっ!そうだ。ちょっと思い付いたことがある。先に試してみよう。ちょっと付き合ってよ」
「ん?とりあえず2頭とも収納はするのね。何を思い付いたのかしら?このモンスリーお姉さんがいくらでも付き合ってあげるわよ」
出来るかはやってみないとわからないけどね。
「収納の基本機能に、良さげなものがあったことを思い出したんだよ」
「ふーん。まぁ、排泄物まみれにならない方法があるなら、素晴らしい話ね」
誰だってそう思うよね。
僕もそう思う。
楽しんで貰えると嬉しいです。
次回は15時に投稿しますので、お会いできるといいなぁ。