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7 有機銅ってどんな色?

「じゃ、いこうか。召喚!濃度0、エアー0の有機銅フロアブル水和剤液を、中程度出力で停止するまで噴水開始!」


 詠唱が完成すると、指先から、勢い良く水が噴き出して、井戸に置かれたままの桶にみるみる溜まっていく。


「うわぁ!霧じゃなくて水が出てきた?」

そうだね。


「うん。成功したみたい。停止させて、と。召喚!濃度0、水分0の有機銅フロアブル水和剤液を、最高出力で停止するまで噴出開始!」


 今度は、霧状の水が混ざっていない空気だけが、竜巻のように吹き出す。

 目に見えないはずの空気の噴出が、あまりの高速度の奔流だったせいで、通った場所に歪みを残しながら突き進んだ。

 特に考えないで指定した方向には、崩れかけた廃村の家屋があり……

 轟音と共に屋根をくり貫いた竜巻は、風圧で周りの家屋を巻き込んで、もぎ取りながら空へと突き進んでいく。

 残ったのは残骸になった廃屋だったものの1部だけ。


「うわぁ!やり過ぎた!停止停止!」


「今度は竜巻!?言ってる詠唱は似たような言葉なのに、何事?」

ちょっと今の魔力での最高出力を舐めてたよ。


「さっきは、薬剤と空気を抜いて水のみを出して、今のは薬剤と水を抜いて空気だけにしてみたんだ。とりあえず、両方とも、有機銅の緑色に染まらなかったから成功だね」


「空気?そういえば、さっきも言ってたけど空気って何?」

は?

あ!

あぁ。

理科という概念の授業を受けた事が無きゃ、そこから解らないか。


「空気ってのは、僕らの体の周りを取り巻いている気体の事だよ」

「気体?私の体の周りには別に何もないじゃない!」

確かに見えないからなぁ…

イメージし難いか。


「じゃあ、例えば、河で泳いだことある?」


「無いわ!モンスターが住み着いてるもの!自殺行為ね!!」

そっか…

危険すぎて、泳ぐわけにはいかないね。


「じゃあ、お風呂には入ってるよね?」


「まぁ……頻繁には入れないけど。何よ?」

意味わからないって顔だね。


「湯槽に顔を浸けて、話すと何が起こる?」


「ボコボコって泡が出てくるわよ?当たり前じゃない!」

現象としては当たり前だよね。


「なぜ泡が出てくると思う?」


「口から息を吐くからよ!」

鼻からだったとしても出てくるけどね。


「そう。その息をするときに、吸ったり吐いたりしてる物。それが空気なんだ」


「え!?何も見えないじゃない!」

考えずに生活してると気づけないよね。


「さっきモンスリーが言ったよね。泡って。その状態が、空気が見えてる状態なんだよ」


「ふーん。私たちの周りに、見えないし触れない何かが一杯有るのね」

半信半疑だね。


「一番分かりやすく姿を見るなら、水中に全身入った状態で、上を向いて息を吐くと、泡がユラユラ浮かんでいくのが見れるよ?」


「だから河なのね。わかったけど、何でそんなものを出したの?攻撃のためじゃ無さそうだったけど?」

撃ってみたら攻撃力激高だったけどね。


「そうだよ。直接攻撃力を狙ったんじゃなくて、二酸化炭素を使った場所に入るときに、新鮮な空気を僕とモンスリー限定で送れないかなと思ってね」


「あぁ。さっき使った毒の話ね。いけそう?」

威力が高過ぎて、直接攻撃しろよって言われそうだけど…


「多分、大丈夫。素潜りの時にも活躍しそうだね」


「素潜りねぇ……そんな危ない事する必要ないと思うけど…」

水悽生物に出会っただけで、死亡確定とか勘弁して欲しいからね。

この調子なら、酸素ボンベ変わりだけじゃない運用も出来そうだし。


☆実験に使用した薬剤

有機銅フロアブル

殺菌剤で、銅の化合物の特徴を持った緑色の水和剤液になる。

因みに、あえて水和剤液としているのは、この薬剤が、水に溶けずに混和によって水中に分散するから。

トマトジュースで説明すると、静かに置いておくと、上澄み液と濁った部分に別れるけど、この濁った部分が水和剤液と同じ状態になっている。

上澄み液が塩分などが溶けている水溶液で、濁った部分はバラバラになった果肉が、混和してるから水和剤液と同じ状態という意味。

お汁粉なんかも同じように分離するね。

楽しんで貰えると嬉しいです。

次の投稿時間は、14時です。

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