4 解毒の方法
「うわぁ!なんか白い霧が、凄い勢いで出た!しかも、蚕登が移動したのに、同じところから凄い勢いの霧が風と一緒に出続けてる!なにこれ!?」
あぁ。
二酸化炭素噴射の時は、無色無臭だったもんね。
あの時も同じ位の勢いで出てたんだよ?
「僕の魔法の特徴みたいでさ、一度成立すると、その地点で噴射させる事も出来るんだ。まぁ、こんな風に体の決めた場所からも出せるけどね」
「は?さっきの霧は止まってないのに、指先からも水が!2ヶ所から出せるの!?しかも無詠唱じゃない。なにそれ?」
複数箇所からの詠唱は、害虫退治の時からやってたから、普通なんだけどな。
モンスリーの家にゴキブリ退治に行った時も、殺虫剤を5ヶ所から出るように設置したし。
少量だったから、見つけられなかったかもしれないけど…
いや、半狂乱で騒いでたからそんな余裕がなかっただけか?
「詠唱は、破棄すると魔法力を多く失うみたいだ。レベルアップ前に同じことをしてたら、多分空っけつになってたよ」
「そんな無茶して、大丈夫なの?」
全然負荷がかかってないよ。
まぁ、折角魔法力が潤沢になったから、魔法でデンプンを一杯出して、集めて売ってみようかと思ったりするけどね。
でも、薬剤に添加されている薬とかが心配か…
あ、そうだ。
その辺も弄れるか考えてみよう!
「大丈夫だよ。さっきのレベルアップで体力や魔力も大幅にあがったから、無理なんかしてない!」
「そうだったわ!この炭酸水素ナトリウムとかいう霧が、オークの集落の毒を吹き飛ばす間に、力試しをするはずだったじゃない」
そうだね。
でも…
僕的には魔法を使ったら、なんとなく実感できたから、別にしなくても良いんだけど…
モンスリー的には引っ込みつかないよね。
「とりあえず、一対一でオークを力押しで倒せる数値にはなったんだよ。だから、簡単な証明としては、あそこの木を根元からひっこ抜いてみることかな?」
「え?それってレベル150を超える戦士職がやっとやれるやつじゃない!ホントに大丈夫なの?」
ここら辺だと、オークと言えば、こん棒代わりの引っこ抜いた木だもんね。
他の値は軒並み低いのに、力だけは突出した生粋の脳筋だ。
実はお前らオークじゃなくてオーガじゃないのか?
と突っ込みたい!
「力の値1010は伊達じゃないからね」
近くにある幹の太さ20㎝程の木を、両手で掴んで、引き抜きにかかる。
足を踏ん張り、上に向かって持ち上げた。
ミシミシと音を発てながら、思いの外簡単に、地中の木の根が姿を見せ始める。
ブツッブツッと根が切れる音を響かせながら、木が地面と引き離され引き抜けると、巨大なこん棒らしきものに見える様になった。
「くっ、負けたぁ…いとも簡単に生えてる木を引っこ抜くなんて芸当、前衛職の大ベテランにしか出来ないわ!確かに私よりも余裕で強くなったのね!」
多分もう少し太い木でも、簡単にいけそうな感じだけど止めておくよ。
木が太くなるには時間がかかるからね。
「そうだね。まぁ、技術もなく力だけ強くなっても、戦いでは良い戦力にはなれそうにないけど」
モンスリーと話しながら、鉈で引き抜いた木の枝を払っていく。
水分が多い木の上部付近を、まとめて切り落とすと、大分こん棒らしくなった。
とりあえず、異次元収納に入れておく。
「何言ってるのよ。そんなの慣れの問題なんだから、すぐに強くなっちゃうわよ」
慣れる前に死なないかが一番の問題になりそうだ。
「そんなもんかなぁ…」
「うわぁ…しかし、蚕登の異次元収納って、そんなでかいのも入るんだね!前から思っていたけど、それがあるだけでも一生食べるには困らないね」
どうかなぁ…
さっきまでの僕だったら、巧く活用出来なかっただろうな。
だって、こんなレアスキルは、間違いなく誘拐の的になるからさ。
「これで、食べていくなんて無理だよ。誘拐されて、さっさと短い生涯に幕を下ろすのが、関の山だったさ」
「今は違うでしょ?」
やっとレベルアップしたからね。
それでも王族や貴族には、かかわらないようにしとこう。
前衛職の大ベテラン二人分の力じゃ、財力とか権力には簡単に殺されそうだもんね。
☆送風目的で使用された薬剤→炭酸水素ナトリウム
殺菌剤で、うどんこ病などに効く。固体では白色だが、水に溶けると無色透明。作中で白い霧に見えたのは、薬剤の色では無く霧そのものの見え方。食品添加物でもあり、お肉を柔らかくしたりする。別名重曹
☆未使用→デンプン
殺虫剤で、ネバネバした状態で虫を絡めて駆除する。言わずと知れた食品でもある。
楽しんで貰えると嬉しいです。
次は11時の投稿です。