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13 モンスリーとの幸せな食事

「ふわっ……おいひい」

モンスリーが僕の料理を、蕩けそうな笑みを浮かべて食べている。

一緒に食べ始めたけど、モンスリーが美味しいと思ってくれるか気になって、まだ、手をつけれてない。

しかし、こんがり焼けたスペアリブに、特製のタレをかけたけど、そこまでの評価が貰えるとは思わなかったよ。


「こっちのもつ煮込みも、上手く仕上がったよ?焼いた肉とネギを挟んだサンドイッチも食べてね」


「はむ、んむっ!んん!うみゅ!」

結構な勢いで、口の中に3品とも運ばれていく。

気に入ってくれたみたいだね。

ひと安心。


「口に合ったみたいで良かったよ」


 一息ついたところで、取れたてのオークを心ゆくまで味わってみよう。

 まずは特製ダレのスペアリブから、香ばしく炙った肉にかぶりつくと、甘い脂とショウガ、シソの香りが口の中に広がる。

 その後に、特製ダレの甘辛い味が感じられ、かじりとった肉と脂に口の中が占領される至福の時が流れる。

 上手く出来たな…

 ミョウガの香りはほとんど感じられないけど。

 まぁ、ミョウガはくせが結構強いから、弱い位で正解かもしれないが。


 次は、サンドイッチを味見してみよう。

 しっかり焼いてから厚めに切った肉を、ネギと一緒に挟んだパンを噛み締める。

 肉自体には臭い消し以上の手は加えなかったから、ネギに仕込んだ塩と、胡麻油の香りが口の中をまず満たす。

 その後に肉から溢れ出る肉汁が、ネギを浸し、渾然一体となってパンにも雪崩れ込む。

 最初少し塩辛かった口の中が、次第に最適の味になっていく。

 無くなりかけたら、次を口の中に入れ込むという動作を夢中で何度か続けて、すぐに1つが無くなった。


 いくらでも食べられそうだけど、モツの方も味をみたいよね。

 追加でサンドイッチにのびそうになる手を、鋼の精神力で押さえ込んで、赤ワインで染まったモツ煮込みを手に取った。

 最初に臭いそうなものは全て取り除いたから、器から漂ってくるのは、赤ワインとモツが煮えた芳しい香りだけ。

 自作の箸で欠片を1つ持ち上げ、フルフルと震えるそれを、口の中に放り込む。

 肉には無い濃厚な味が口の中に広がり、モツにまとわり付いている脂が、甘い味わいを追加してくる。

 これ、凄いわ!

 モツ煮込みに関しては、元の世界のクオリティを完全に凌駕した!

 多分、処理時間と新鮮さ、血抜きの徹底が原因だなぁ。

 いくらでも食べたくなる。

 これの屋台とか始めたら、それだけで一財産稼げそうだ。

 原料は潤沢にあるしね。


 瞬く間に、二人で3品を平らげてしまった。


「全て食べられるか、わからなかったけど、余計な心配だったみたいだね」


「私、蚕登のご飯を残したことないわよ?」

確かに、僕の作った料理を残したところは見たことないね。


「モツ煮込みは、材料が手に入らなかったから、今回初めてだったじゃない?上手く出来るかわからなかったんだよ」


「私は欠片も心配してなかったけどね」

信頼されるのは嬉しいけどさ。

ちょっと信頼過剰で心苦しいよ?


「素人料理にその信頼は重すぎるからね?勘弁してよ?」


「あぁ、違うのよ?蚕登と一緒に食べる食事が、美味しくないわけないのよ!もちろん、今回の料理も最高の味だったけど!」

別のスパイス成分が、効いてましたか…


「僕も、モンスリーとの食事はいつもの何倍も美味しいよ」


「幸せな時間よね。ん?お邪魔虫が来たみたい…」

お邪魔虫か…

オークかな?

楽しんで頂ければ幸いです。

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