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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第一章 この世界の概要とアインスに会うまで
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第九話 出会い

主人公の出番 一行……うーん

 アインスはエウロパの町の町長の出迎えを受けていた。そこから町長の挨拶、アインスの挨拶、そして歓迎式典へと続いていく予定だった。

 (退屈だな、歓迎式典は『少しでも多くの人を治療します。』と言って抜け出す予定だったのに。『アインス様の使い』せいでそれができなくなった。

 町長の挨拶が続いている。

 (シレナスちゃんはまだ戻らないかな。『アインス様の使い』の狙いは何だろう。早く知りたいな。)

 

 「……それでは、私の話はこれまでで、アインス様の挨拶をどうぞ」

 町長の話が終わる。


 「今日は歓迎式典をお開きありがとうございます。通常の視察と違い私は医療団の一員としてこの町に来ております。明日は私が先頭に立ち治療を行っていきます。国の基本は民です。一人でも多くの民を救うことが国を強くする力になります。今日ここにいらっしゃった方々もできる範囲で手助けを……」

 アインスの挨拶が続いていく、会場を見渡すとエウロパの町の近くにいる貴族の顔が、ちらほら見受けられた。シレナスまだ帰ってきてないみたいだ。


 挨拶が終わりアインスが壇上から降りる。途端に貴族、商人などがアインスの下にやってくる。

 (彼は跡取り息子かな、緊張でがちがちになってるな。)

 

 「初めまして、エウロパの町に何かあったら君たちが助けてね」

 アインスは笑顔でそう言いながら、その貴族の手を握りしめる。


 「エウロパの町は少し小麦が高くなっているみたいですね。」

 挨拶にきた商人ギルドの長に話をする。


 次々に来る招待客と話をしていく。

 (シレナスちゃんがいたら、ある程度の客はさばいてくれるのになー)

 そう思いながらも、笑顔を絶やさず話をしていく。

 手を握られた人、話しかけられた人、そのほとんどがアインスの魅力に取りつかれていく。彼女は自分の美貌、名声の活かし方をよくわかっていた。

 そしてそれを国の繁栄につなげていくのであった。


 シレナスがアインスの下に戻ってきた。そして、寄り添うように彼女の横につく。

 (そろそろこの会場から抜けるかな)

 

 アインスとシレナスは連れ立って抜け、自分たちの部屋に『アインス様の使い』の話をするべく行った。

 「結構時間がかかったみたいだね。何があったの?」

 「大きなトラブルがあったわけではないのですが、……」


 

 時間は少し戻る。

 シレナスはアインス下を影の通路を通り抜け出して、レティシアのいる教会まで来ていた。

 庭で作業をしていたシスターに、レティシアへの取次ぎを頼んだ。ユリの紋章を見せるとすぐに対応しレティシアの下に連れて行ってもらった。

 その途中で「真っ黒いきれいな姉さんだ」と子供に言われた。確かにシレナスはそういわれても仕方のないかっこうをしていた。

 アインス様と一緒に来なくてよかったなと思う。


 「初めましてアインス様に仕えているシレナスと申します。時間が惜しいので率直に聞きます。『アインス様の使い』はどなたですか?」

 シレナスは淡々とした口調でレティシアに尋ねる。


 「それが、彼らとの約束で話ができないのです。ただ、この手紙をアインス様にわたしてほしいと言われました。」

 そういうとポケットから手紙を取り出しシレナスに見せる。

 「この手紙ですね……」

 シレナスが手紙を取ろうとすると。その手紙が手をはじく。

 「何かの封印をしているようです。手紙をそそまま手のひらに置いてください」

 そう言うとレスティアの手をシレナスの両手が包み込むようにした。そして、魔力を込めていく。

 しかし、その魔力も手紙の封印を解くことができなかった。

 「私でも、解けない封印ですか……。仕方ありませんアインス様の下に一緒に来てください。」

 (あまり、連れて行きたくはないですが)


 

 「というわけです。隣の部屋にレスティアを連れてきてます。」

 「何かわくわくする展開だね。こんな気持ちになったのは久しぶりだよ。連れてきて」


 「はい」

 そう言うとシレナスはレスティアを連れてきた。

 「初めましてこの国の宰相をしているアインスだ。よろしくね。今回は大活躍したようだね。」

 「エウロパでシスターをしているレスティアと申します。私は彼らの治療に付き従っていただけで、たいしたことはしていないですよ。」

 

 「謙遜だね。さて、手紙をみせてくれる?」

 レスティアはアインスに手紙をわたす。今度は何の抵抗もなくアインスの下に手紙が届く。


 「なかなか高度な封印をしている手紙だね。早速手紙を開けてみてみよう……しかしその前に」

 アインスはレスティアの手を引き寄せて抱きしめる。

 「きれいな人だね抱きごこちもいい。目元も魅力的だ。」


 レスティアはドギマギしてどうしていいかわからず立ち尽くす。困ったよう顔をしてそばにいるシレナスを見る。

 「はいはい、そこまでですよ、アインス様。シスターが困ってらっしゃいます。」

 二人の間に入りアインスの手をのけようとする。

 「今日はここまでだねー」

 そういうともう一度力を込めてレスティアを抱きしめて、名残惜しそうに放す。


 「手紙をありがとう。君のした約束を破らせたくないから、彼らについては聞かないよ。僕の手を取って、教会まで送ろう」

 アインスはレスティアの手を取り教会まで転移する。アインスはその手に軽くキスをする。

 「また、明日ね」

 アインスはまた転移して戻っていった。

 教会には突然の色々な出来事に対応できずに立ち尽くすレスティアが残された。

 

  アインスは手紙を読んでいる。読み終わった後シレナスに手紙をわたす。

 「アインス様と単独で会いたいみたいですね。彼らに会ったレスティアさんの様子を見ると危険はないと思いますが、一応私が隣で待機して警戒をしておきましょう」

 「そうだね。そうしよう。どんな思惑があってこんなことをしたのか、どんな人なのか楽しみだ。」

 アインスは手紙の指示にあった聖の魔法を空に打ち上げた。



 「フローリア、合図がきたよアインス様の下に行こう」

 「ツカサの作戦がうまくいったみたいだね」


 

 


 

 



 

 

 

 


 

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