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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第六章 未来への準備と仲間の活躍
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第八話 シレナスの仕事

「アルフリード王が亡くなった。」

 この知らせが城中に知らされる。昼という事もあり伝達スピードは速い。数分後にはアインスの執務室にその知らせは届き、シレナスにも知らされる。アインスとシレナスは当然この知らせが事を知っている。しかし、あくまで初めて知った風によそわなければいけない。

「後は打ち合わせ通りで。」

 アインスはシレナスにそう言うと大臣たちや有力貴族が集まる会議に出かけていく。その会議はアルフリード王の葬儀の打ち合わせ、暫定的な政治の代行の手順の確認、次の王が誰になるかが議題になる。葬儀と暫定的に誰が政治を担うかはあらかじめ決めているので問題ないが、次の王に誰がなるかこれが一番の議題だろう。

 

 アインスが打ち合わせに言っている間、シレナスは事務の仕事を淡々とこなしていく彼女の指示を受けた部下が部屋を出ていき命令をこなしていく。王様がいなくなってもやっている事は変わらない。


 深夜になりアインスが帰ってきた。相当会議が長引いたみたいだ。

「次の王が誰になるかが重要なのはわかるけど、アルフリード王が亡くなったことを悲しんでないみたいで寂しいな。」

 アインスはアルフリード王と非常に仲がよかった。わかってたこととはいえ彼が亡くなって悲しいのだろう。

「大臣たちも自分たちの将来がかかっているので、必死なんでしょうね。私の方にも実家から誰が王になりそうなのか探りがきましたから。で、誰を王になさるつもりなんですか?」

「ツカサと話をしてからだね。今までだとフロストが王になるよう下準備はしてたけど、今回は誰がなってもいいような準備しかしてないよ。――興味があって聞くんだけどシレナスちゃんがもし王を選べるなら誰にする?」

「そうですね。未来を知らないと仮定した私なら長男のカイルです。一番無難な選択でしょう。長男が継ぐという事は貴族でも商人の世界でもよくおこなわれている事ですし。彼の能力は飛びぬけてはいないけれども、劣っていることもありません。また、軍部の支持が多いことも理由ですね。軍部がわれると最悪内戦になります。」

「それなら、未来を知ったシレナスちゃんならどう判断する?」

「そうですね。それでもカイルでしょう。彼の孫がとんでもない事をすると聞かされても今からならいくらでも対策がうてますから。」

 アインスはその答えを聞いて考え込む。

「自分が周回してた時もそう考えたことはあって、実行したこともあるけど、反作用がきつかったんだ。」

「反作用?」

「カイルの孫を徹底的にマークして、彼に余計なことをさせないようにしたこともあったんだ。ところがさ、彼は余計なことはしなくて済んだけど、彼の部下、親しい友達がもっと余計なことをした。その時は私はいない時だから、シレナスちゃんが対応したんだけど、後で報告を受けて愕然としたよ。思うにあまりにも外れたことをするとぶり返しが来ると思うんだ。シレナスちゃんも疲れて倒れそうだったよ。」

「その時の私も大変だったようですね。ただ、今回はツカサさんが選ぶから、私たちはその選択を尊重するだけですから、選択の重圧からは解放されてます。」

「今回は選択からの解放出来は楽になってる。毎回、魂をすり減らしてたからね。」


 その後ツカサとの話し合いでフロストを王になるべく動くことになった。そしてその手段はコロシアムでの勝者が王になるという単純明快なやり方。今までにない展開にアインスは期待を込めてツカサを見守っていた。


「私はアインス様の決めたことに反対はしませんが、ツカサ達は勝利できるのですか?」

「クリスティーナも強い、アネッテさんという謎の女性も強そうだし。ツカサも早々に負けないよ。カイルとプライズが集める事ができる代理人には負けないと思う。」

「そうですか。カイル戦は私も問題ないと思いますが、プライズに若干不安を覚えますね。彼はお金を持ってますから、どっからか強者を金で引っ張ってくる可能性もあります。」

 結果試合はツカサ達が勝った。シレナスの予想通りプライズは魔族と闇市場から連れてきた人を戦わせた。アインスも少々焦ったが、ツカサ達の予想以上の活躍に安堵した。


「後は、私が戦いの後始末をしてくるよ。」

 アインスのその言葉を聞きシレナスが言葉を挟む。アインスが何をするのかわかっているのであろう。

「その仕事は私がします。アインス様が自ら手を汚すことはないです。」

「いや、私はシレナスには手を汚してほしくないんだ。」

 アインスが真剣な顔でシレナスを見つめる。いつもの余裕のある表情ではない。それを見てシレナスは何も言えなくなってしまった。


 コロシアムでの試合が終わった後、闇市場から連れてきたエルレウスは姿を消した。普段、エルレウスは暗殺を生業としている。プライズが王になる望みが消えた以上、国に捕らえられれば今までの悪行がばれる可能性がある。それなら、逃げるしかないこの国からも、そして、自分を派遣した組織からも。

 城壁を乗り越え郊外にでて、大きな木のふもとでひと休みをする。ここまでくれば大丈夫と思った矢先転移してきた人物がエルレウスのもとに現れる。

「正体がばれたあなたを組織が逃すはずないでしょう。」

 エルレウスがその声の所を見ると黒いフードを被った男性が立っていた。

「始末部隊か。お前らに捕まるわけにはいかない。」

 エルレウスは一対一なら勝てる自信があった。自分のスキルはまだこいつにはばれていない。こいつさえ殺せばまだ大丈夫だと。

 そこに新たに転移で魔法使いがやってきた。

「エルレウス君は逃げ足がはやいね。だけど君のような人物をこの国から逃がすわけにはいかない。」

「アインスか。おい、エルレウス。アインスを殺せば今回の失敗はなかったことにしてやる。二人で倒すぞ。」

 フードの男が声をかけエルレウスが同調する。さんざん組織の邪魔をしてきたアインスだ。確かに殺せばコロシアムの敗北を上回るほどの成果だ。

 二人が剣を構え、魔法の準備をしている二人してアインスに戦いを挑むようだ。

「そっちの君も組織の一員か。たった二人で私を倒せると思ってるのかな。」

 アインスは余裕を見せている。

 エルレウスが攻撃を仕掛けると同時に、フードの男が火の玉をアインスに向かって投げつける。かなりのスピードだ。ただの魔法使いでは防御するのが精いっぱいだろう。だが、アインスはこともなげにかわす。

 それと同時に風の玉を二人に放つがエルレウスもフードの男も余裕でかわす。

「後に予定があるんでね、手早く終わらせるよ。」

 アインスがそう言うとエルレウスの周りに小さい球が出てくる。そしてその球が徐々に大きくなりエルレウスを囲んでいく。

「君に人の心を読む能力があるのは知ってるよ。だけど、これはわかっててもかわせないだろ。」

 魔力の玉が徐々に大きくなっていきエルレウスに触れ爆発した。エルレウスは倒れた。続いてフードの男にアインスは迫る。魔力を込めた拳で男の結界ごと貫く一撃を放つ。腹を貫かれた男が倒れる。

「暗殺は得意でも一対一では弱いようだね。」

 その声が男に聞こえたどうかはわからない。アインスは二人の遺体を素早く燃やした。

 そして、何事もなかったかのようにプライズのもとに転移した。プライズに島流しの刑を言い渡すためだ。


 王だフロストに決まり。仕事も大分落ち着いてきた。コロシアムの決戦から一ヶ月ほどたったアインスの執務室にて、

「心をいやしに行ってくるよ。」

 アインスがシレナスに向かって言う。いつものようにレティシアさんの所につもりだ。

「はい、それでは後は私が処理をしておきます。」

 いつもは仕事が詰まっていますと反対するシレナスなのだが、この日は反対しなかった。

(この前アインス様は心を痛める仕事をしました。休憩も必要でしょう。)

 少し調子の狂ったアインスだったが、レスティアの教会に転移した。

「レスティアさん調子はどう。学校はうまくいってるかな?」

 アインスが学校をだしにこの教会に会いに来ているのはうすうすレスティアも気づいている。それでもアインスに会うのはレスティアもうれしいので何も言わない。

「この間、ツカサさんがきて教科書を作ってみないかと言われました。それで、アインス様に相談してみたらと言われました。」

(ここによく来ているのがばれてるな。向こうにも僕の分身がいるから当然か。)

「ああいいよ。協力して一緒に作ろう。今度はシレナスも連れてくるよその方が速く事は進む。」

 シレナスは執務室で仕事をしている。アインスがそこにいようがいまいが仕事のスピードは変わらない。

アインス様の秘書という誇りもあるし、アインス様が大好きだからだ。





 

 


 


 



 



 


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