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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第一章 この世界の概要とアインスに会うまで
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第六話 指輪のわたしかたを考える

 ツカサはどうやって指輪を渡そうか、考えていた。

 宿屋の主人から教会の場所を聞き、エウロパの町の散策にでてみた。

 

 フローリアは

 「自分が手助けをするのは、ツカサの方針が決まってからかな。」といって宿に残ってる。


 ツカサはアインス様が泊まる予定の宿に行ってみようと思った。


 何か思いつくかもしれない


 宿に近づくにつれドンドン街並みが高級屋敷の様相になって来た。行きかう人々の服装もきれいな身なりの人たちが、多いような気がした。

 衛兵の見回りの数もほかのところと比べて多い。おそらくアインス様が宿に泊まった時、押し掛ける人たちの排除もするんだろう。


 宿についた。石造りの建物で周りをレンガで囲っていた。庭は広く門から入り口には石畳が引いてあった。


 もう少し近寄ってみようかと思ったが、宿の警備をしている衛兵ににらまれる。

 これ以上そばに行くのはまずいと思い、立ち止まった。


 宰相がまだ泊まっていないのにこの警備、宿泊当日はもっと厳重な警備が予想される。今いるこの場所に行くことさえもできないことが予想された。


 次は教会に行ってみようと思った。アインス様が治療を行うなら教会で行うのが有力だろう。病人、けが人に歩いてここまで来させる事はないはずだ。


 宿から離れ教会に歩いて行く。大きなホロを付けた馬車を見かけた。教会の庭に泊まる人がいるのだろう。

 

 教会に着き教会の敷地を見てみる。シスターたちが忙しそうに準備をして、受け入れ態勢の準備をしている。庭では臨時の診療所をつくっている。


 少し話をしようと近づいたが忙しそうなので話しづらい。


 ツカサはもう少し待ってみるかなと思い眺めていた。教会の隣に木造の建物があった。その中から小さい子供たちが走り出していた。鬼ごっこでもしているのだろうか。庭を走り回っていた。


 その内子供たちが臨時の診療所の近くまできて、はしゃぎまわる。一人の子供がつまずき資材に頭から突っ込んでいった。資材が崩れる音が流れた。


 その音に気付いたシスターが声を上げる。


 「木の下に下敷きになってる。みんなきて!」


 ツカサも急いでかけつける。作業をしていた人たちも集まりはじめた。木が折り重なっているためになかなか重い。そこでツカサは魔力を腕に流し腕力を強化し、子供を救出した。


 シスターは急いで子供を抱きかかえた。

 頭から血が流れ、腕が変な風に曲がっていた。骨折しているかもしれない。


 「レティシア様を呼んできて!」

 

 子供を抱えたシスターが声を張り上げる。


 「ユナスしっかりして、今、レティシア様よんだから、それまで我慢するのよ!」

  シスターは抱きかかえた女の子に話しかけてた。


 「このままじゃまずい」とツカサは思い女の子に近づき、治療の魔法をかける。

 すると、ユナスの全身が光に包まれ傷が治り、曲がってた腕も治っていた。


 ユナスは目を見開き右左を見た後、ツカサの方を見つめた。自分に何が起こったかもよくわかってないようだった。

 

 周りのシスター作業者の人たちもあっけにとられているようだ。


 「強力な光だな!あのレベルの治療をできる人はそうはいないぞ」

 「レティシア様クラスの威力かも」

 「とりあえず子供が助かってよかったな。」


 次第に周りがざわつきだす。周りの人の興味はツカサにあつまってきた。


 (まずかったのかな、まあ、目の前で怪我している人を助けない選択はないよね)

 

 「ユナスを助けていただきありがとうございます。冒険者の方ですか?」


 「旅の途中でエウロパに立ち寄った物です。目の前にけが人がいたから助けただけですよ。」

 (無難に答えれば問題ないだろう。)


 「たいしたお礼ができないかもしれませんが、お茶でもいかがですか?レティシア様も戻られると思いますので。」


 ツカサは教会の一室に通される。

 周りを見渡す。清潔感があり物もきれいに整頓されているが、これは……


 「建物が古くてだいぶガタがきてます。とりあえずお茶をどうぞ。」

 ツカサの考えを見通しているようだった。


 しばらくすると、ノックがあり女性が入ってくる


 「初めまして、レティシアと申します。ユナスを助けていただきありがとうございます。」

 そういって頭を下げる。


 年は20台前半ぐらいだろうか。茶色い目にブラウンの髪を肩まで伸ばしていた。目元にほくろがあった。非常に魅力的で優しい目をしていた。

 ツカサは彼女は子供たちに慕われてるんだろうと思った。


 「何かお礼がしたいのですが、残念ながらお金があまりありません。」

 レティシアは申し訳なさそうに話をする。

 

 「私はこの町のことについて、まだよくわかっていません。色々、伺いたいのですがよろしいですか?」

 「それぐらいでしたらいくらでも、お聞きになってください」

 レティシアはほっとした様子だった。


 ツカサは色々と話をききだす。

 アインス様が来るということでこの町にドンドン人が来ていること。そのせいで受け入れている教会もあたふたしていること。ユナスが負傷した時には、レティシアは別のところで治療を行っていたということだった。


 アインス様でしか直せない病気、怪我を直していただくために、比較的軽い症状はレティシア達のような治療ができる人たちが、手分けして治療しているそうだ。


 「アインス様はこの教会に来ますか?」

 ダイレクトに聞いてみる。

 アインス様がここにくるなら、レティシアさんもアインス様に会える手助けをしてくれるだろう。


 「それは、わかりません。あらかじめ行く場所がわかってしまうと、そこに患者、アインス様をご覧になりたい人が集中してしまい大変なことになりますから」

 

 会うのはなかなか難しいみたいだ。


 「前に、私も治療団の一員として各地を回ったことがあるんです。その時の代表はアインス様ではなかったのですが、直前までどこに行くか知らされませんでした。」


 本当に厳しいな。


 教会にいた治療を必要としている人たちを、ツカサは治していった(ツカサが直せる比較的軽い症状の人だけだが)、この教会に来たのも何かの縁だ。


 レティシア様のよろこぶ顔をみたい。そういう思いがあったのかもね。


 「本当にありがとうございます。」

 改めて、お礼をいわれる。きれいな人にお礼を言われると気持ちがいいな


 「これで、明日は別のところに治療に行けます。」

 本当にやさしいひとなんだねー

 


 教会を出て宿屋に向かう。まだ、フローリアは帰っていない。

 アインス様に会う手段がおぼろげながら見えてきた。

 後で、フローリアと話してみよう。


 

 


 


 

 



 


 


 


 

 

 

 


 


 



 


 

 

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