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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第五章 三人の王子
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第一話 悲報は突然に

 アリリオは順調に商人への道を歩いている。店を自分で切り盛りしていくことで、より早く商人の経験がたまっていると思う。定期的にレアなアイテムがアネッテ達からくることもあり、安定した顧客がつくようになってきた。アリリオが若いということもあり、周りからなめられることもあった。しかし、そこはバックに『白銀の舞姫』がついているといううわさを流して解決した。この時代の商人は権力や物理的な力を後ろに持たないと難しいところがある。

 『白銀の舞姫』の名前はこの町で知れ渡っているし、特にクリスティーナの名は美女、しかも強いということで、有名になっている。クリスティーナに頼んで時々店に来てアピールしてもらっている。

 アリリオの面倒を見てもらっているレックスさん曰く、アリリオは商人の才能有りということだった。もう少し経験さえ積めば、一人でも十分やっていけると話してくれた。

 フローリアもアリリオの店の取引先に注意をしていた。掛け売りをしているお客もいるのだが、その中でフローリアが掛け売りを断っているお客もあった。その基準はツカサにはわからなかったが、将来ある、何かしらの動きに関係するのであろうと思った。


 ダンジョン攻略も商売も順調にいって、ついにおおきな動きがある三か月後になった。

 ツカサの下にニュースが舞い込んできた。

「エリンシアの王様アルフリードが死去。跡継ぎはまだ決まっておらず、後任の王様は未定。」


 この国の王様が突然亡くなる。確かに大きなニュースだ。しかも後継ぎが決まってないのはきつい。

「フローリアは当然王様が亡くなるのは、知ってたんだよね?」

「もちろん。ツカサが事前に知って動いても、あまり意味ないから黙ってたけどね。」

 確かに、事前に王様が亡くなることを知ってても。一介の冒険者には何も手の打ちようがない。事前に教えても意味がないというのは納得だ。今、宰相のアインスさんも色々事前に手は打っているだろうが大忙しだろう。

「『世界魔法』はニフルハイムで詠唱してるんだよね?王様が亡くなっても大丈夫なの?」

「王様が亡くなったぐらいで詠唱を止めることはない。だけど後継ぎが誰がなるかによっては非常に危うくなる。これから、何が起こるか。過去どんな選択をしてきたかをツカサに教える。もう少ししたらシレナスちゃんがツカサを呼びに来ると思う。それまでにできるだけ説明する。」


「まず、跡継ぎに関して候補は三人いる。一人目は長男のカイル。軍関係の貴族に支持者が多い。二人目は次男のプライス。財務関係の貴族支持者が多い。三人目はフロストこちらの支持者は芸術、財務関係が半々といったところ。それぞれの支持者の勢力で言うとカイルが4割。プライスが3割、フロストが1.5割ぐらい。残りの勢力は様子見してる。長男と次男は先代の王妃から生まれた子供。フロストは今の王妃から生まれた子供」

「それだと、誰が跡継ぎになってももめるような気がする。」

「そのとおり、誰になってももめるんだ。これは何度繰り返しても絶対に避けられなかった。次に、それぞれの選択肢の結果も教える。」

 フローリアの話は続く。

「まず、カイルが後を継いだ場合は軍関係の力が強くなる。カイル自体はいい王様になるから、別に問題ないんだけど、カイルの孫が王様になった時に問題が起こる。この孫が典型的な馬鹿で、後先考えずに軍を指揮して隣国に攻め入るんだ。隣国には勝って領土も増えるけど。エリンシアの国力が落ちてしまう。これが尾を引いて『世界魔法』を詠唱し終わる前にエリンシアが滅んでしまう。」

「次に次男のプライスについて話すよ。プライスが王様になると国自体の目指す価値がお金の方に傾いてしまう。で、王様になって賄賂がとびかう政治になってしまうんだ。それで、20年後、国家の財政から自分の私腹を肥やすような貴族が権力をにぎるようになって、『世界魔法』の詠唱は無駄だと勝手に判断してとめてしまう。それで。エリンシアは実質的に滅ぶ。」

「最後にフロスト、彼自体は華やかな才能ある若者ではないけどね、一本芯のとおった。しかし周りの意見をよく聞くいい王様になるんだ。現王妃の子供っていうのが強みだね。後、バランス感覚がとれてて、軍にも商人の方にも大きく依存せず政治をやっていく。ただ、問題なのは貴族の支持者が少ないから一時期とある町で反乱がおこるんだけど、反乱を収めるために戦ってくれる貴族の選定に苦労する。その分国の経済が落ち込む。」

 ツカサはそれぞれに良い点、悪い点があるのは理解した。ただ、プライスは王様にしてはいけないと思った。

「これが、大まかな流れだね。誰を跡継ぎにするかはアインスと相談して決めるのがいいと思う。」

 

 三日後、シレナスがツカサとフローリアを迎えに来た。今後の事の打ち合わせをする。ダンジョン探索はフローリアとツカサ抜きで行ってもらうことにした。それでも戦力は十分だと思う。


 アインスの下に影の通路をとおり行く。アインスの執務室に着いた。

「ツカサ早速だけど、カイル、プライス、フロストの中で誰を王様にしたらいいと思うかな?」

アインスがツカサに聞いてくる。

「フローリアに簡単な説明を受けたけど、カイルかフロストが王様になるのがいいと思う。」

「そこらへんは当然の選択支だね。でも、どちらにするかが悩ましいよね。」

「一度三人の候補を直接見ることはできないかな?『運命の煌き』を使ってみてみたい。で、その後アインスさんと相談して決めたい。」

「なるほどその手があったか。こっそり三人を見れるよう手配するよ。」

 アインスが大きくうなずく。

「『運命の煌き』の反応が大きさ、それが選択する上でも重要な気がしてる。クリスティナもアネッテもスレイナも僕にとって非常に大切な仲間だからね。」

「誰をどんな理由で選ぶにせよ、ツカサの選択を尊重するよ。今回はツカサの冒険だからね。」


「ちなみにアインスさんは、一番いいところまで行ったとき、どの選択肢を取った?」

 ツカサが当然聞きたい質問をアインスに投げかける。




 



 


 



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