第三話 『世界魔法』について
ここからようやく話が動き出す感じです。
ツカサはフローリアが言った魔法のことを考えていた。
手から火を出す。雷を鳴らす。風を吹かせる。その程度の事は想像していたが、666年間魔法を唱え続ける『世界魔法』なんて想像の外だ。
というか、666年なんて最初に唱え始めた人は生きてるのか?異世界だけに長生きできる種族がいるのだろうか。地球でも植物なら千年以上生きているのはいるけど…
まあ、魔法なんてものがあるから、そういうものかと無理やりにでも納得するしかないのだろう。
しかし、疑問はある。順にフローリアに聞いていこう。
「666年後まで世界を守ってくれって言ってるけど、この世界では人は長生きなの?僕のいた世界では長生きでも120年ぐらいしか生きないし、体の衰え等を考えると90歳ぐらいまでしか活動できない。」
そう、どう考えても666年守りとおすのはは無理だ。それとも不老不死の魔法でもあるのかな?
「こちらでも、人は長生きしても100年ぐらいしか生きない。君のいた世界とかわらないね…… 666年守って欲しいと言ったけど実質の活動時間は7年半ぐらいしかない。ツカサが来た乗り物の鍵を取り出してもらっていいかな?」
ツカサは鞄の中から鍵を取り出す。
「鍵に残り時間を教えて欲しいと少し魔力をかけてみて」
ツカサが魔力をかけると鍵の一部分が透明になり数字が浮かびだした。数字は 365 だった。
その数字をフローリアにも見えるようにした。
「その数字がこの時代に滞在できる日数なの。その時が来るとロケットが起動し、次の時代に行くの。その次は今から100年後の未来、そこで一年過ごしまた100年後っていうこと。その繰り返し」
「つまり100、200、300、400、500、600、666年 その年に行き『世界魔法』を守るということ?」
「そういうことだね。」
淡々とフローリアが話し続ける。
二人の間に沈黙が流れる。
これは、相当厳しいというのが、ツカサの率直な感想だった。
いくら頑張ろうが自分がいないとき―例えば150年あたりに―世界魔法の邪魔をされたりしたら、それで失敗になってしまう。どんなに強力な魔法を使えようが、いない時には何もできない。
「自分の代わりにその時代で守ってくれるものを育ててつつ、邪魔な奴はあらかじめ排除するのが基本戦略だね。私はその方法を何百回も繰り返し行ってきた。ただ、どうしても666年の『世界魔法』の詠唱を終えることはできなかった。―で、前回も失敗してやり直しと思ったらツカサの世界になぜかロケットがいった。理由はわからない―ただ、今回はもう失敗はできない。おそらくこれが最後の挑戦だと思う。ツカサの世界でロケットと話した時『エネルギーがもう限界』といったよね。
フローリアはこの世界を何回も、何回も試行錯誤しながら守ろうとしてきた。しかしいままで失敗してきた。
「次に何が起こるかはわかる。それをツカサに教える、だからお願いだ。666年後の未来をすくってほしい」
フローリアがよく通る声でツカサにおねがいをした。
「僕にどこまでできるかわからない。だけど全力を尽くす。この世界を救おう!!」
ツカサの誓いのことばだった。
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