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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第二章 リンデリウムの森の冒険
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第五話 帰り道にて

 二台の馬車が連なって進んでいく。盗賊がでたということで警戒して、馬車一台でいくのはやめて二台で行くことになった。ツカサの馬車には6人向こうの馬車には5人冒険者が乗っている。

 前回襲われたところである通路が狭くなったところを通る。『風の戦団』の皆達も武器を取り、何かあってもすぐに対処できるように待ち構えている。

 馬車は何事もなく過ぎていった。ツカサは杞憂に過ぎなかったことに安堵していた。

 だが、事件は帰りのテントで宿泊していた時に起きた。深夜、交代で寝ていた時ツカサは不審な気配を感じて目が覚めた。多くの人たちがこちらに近づいている。

 こんな時間に近づく奴はろくな奴じゃない。ツカサはそう考えフローリアを起こしに行くが、すでに起きていた。その後、見張りの人に怪しい人が近づいていることを伝え、もう一つの馬車にいた人たちを起こしに行ってもらった。フローリアには『風の戦団』の人たちを起こしてもらっていた。


 

 別視点。

 前回冒険者たちを襲ったが、失敗した盗賊たちはアジトに逃げ帰った。アジトについて生き残りの人数を確認する12人しかいなかった。半分も生き延びれなかったということだ。

「親分、まずいですぜ。この人数じゃ冒険者どもはおそえない。」

 生き残った盗賊が親分に話しかける。

 そう、この人数では冒険者たちを襲ったところで、勝っても自分たちにも犠牲が出る。そうすれば次に略奪することもできなくなる。

「心配するな。まだ手はある。みんなこっちに来い作戦を教える。」

 親部分は子分に安心するように話しかけた。



「まず、矢と魔法が飛んでくる防壁を張って準備を」

 ダイスが素早く指示を飛ばす。 

 奇襲攻撃の基本的なやり方だ。敵に気付かれないうちに数を少しでも減らす。そこで慌てたところを剣士などが切り込み敵を制圧する。

 だが、こちらはそれに気づいてる。逆手に取ってやろうとツカサは判断した。

 防壁はフローリアとエステルさんに任しておけば大丈夫だ。ツカサとレプリーそして、もう一つの馬車の方から男の冒険者が出て奇襲にでることにした。猫人族は夜目が効く夜の奇襲にもってこいだ。

 気配のする方にツカサが案内する。盗賊たちを発見した。

 人数が多いざっと見て50人ぐらいいる。

 これは多い。少しでも減らさないと、こちらに犠牲者がでかねない。ツカサはそう思いレプリー達に自分一人で奇襲をすることを伝える。男の冒険者は少し驚いていた容易であったが、レプリーと一緒にうなづく。

 気配を消しつつ、闇の魔法を唱える準備をおこないながらツカサは盗賊たちに近づく。盗賊たちは矢を撃とうと準備をしていた。ツカサは闇玉を盗賊の集団に放つ

「何が起こった。くそ、矢を放て」

 盗賊たちが慌てたように指示を飛ばし、矢を放った。

 今のうちに少しでも数を減らそう。ツカサは相手の体制が整う前に相手を戦闘不能にしていく。指揮している奴をさがす。前に襲ってきた親分が見つかった。相手もツカサに気付き剣を取り待ち構えていた。ツカサは多めの魔力を込め一気に火の玉を放つ。盗賊の親分にそれをかわす力はなく一気に消し去った。

 その時、ダイスさん達が盗賊に切り込んでいた。矢による負傷はないようだった。フローリアの姿が見えた。彼女はこちらを見て手を振っていた。


 ずいぶん余裕があるな。まあ、彼女なら当然か


 ツカサは戦い方を変え味方が負傷しないよう動いた。その時相手から、結構威力のある火の玉を撃ってきたやつがいた。これはまずいとツカサは思い慌てて防壁を張る。撃ってきた奴の気配を探る。見つけた。

 アイツを排除しないといけない。そう思い相手の魔法使いに魔法を撃ちながら近づく。しかし相手も手練れなのか魔法がなかなか当たらない。これは対魔法使いの練習だ。ツカサは防壁を張りながら戦い方を考えていた。

 その時いつの間にか側にフローリアがいた。

「全部ツカサに任せようと思ったんだけど。あいつ……エレンシアの魔法使いだ。だから、後始末は私がつける。ツカサは見てて。」

 宰相の責任を感じてるのだろう。

 フローリアはそう言いながら、敵の魔法使いに近づいていく。

「アインスがみたら嘆くだろうな。盗賊に雇われていたなんて」

 敵が魔法を放つがフローリアには当たらない。フローリアは敵に手が届くくらいまで近づき、敵の腹あたりを殴る。しかし相手は防壁を張り何とか防御したようだった。

「後ろがおろそかだよ」

 フローリアがそう言うと敵の魔法使いの背中に火の玉が当たっていたようだった。

「はい、これでおしまい。」

 抜き手で敵の首をつく。相手の魔法使いが崩れ落ちる。一瞬で倒していた。

 

 敵の魔法使いが倒れたせいだろうか盗賊から声が上がる

「ちくしょう、ひきあげだ」

 ツカサは味方で大きな怪我人がいないことを確認した後、声の主、おそらくもう一人の親分を探す。「今度は逃がさない」そう思いながら親分を探しあて、葬り去った。

 ほかの盗賊たちもみんなであらかた討ち取ったようだ。

「レプリーさん。逃げてる奴まだいる?」

 念のために聞いておく。

「おそらくいないよ。全員たおしてる。いやーそれにしてもツカサたちはつよいねー」


 レプリーさんに褒められるのはうれしいな


「魔法使いを倒したフローリアさんの動きみてたけど、華麗すぎだよ。無駄がなさすぎ。ツカサの師匠っていうのもうなづけるね。」

 

 そうあの動きはすごかった。戦い方のコツを後で聞いてみよう。


 盗賊たちの後始末も終わり馬車は出発しエウロパの町に向かう。次の村に泊まればその次の日はエウロパだ。油断はしてはいけないが、もう大丈夫だろう。

 

「盗賊の中に魔法使いがいた。盗賊が魔法使いを雇うことは、ないわけではないけど、あのレベルの奴を雇うのはあまり聞かない。」

 ダイスさんが話し出す。

「あのレベルの奴を雇うにはお金がかかるそれを支払うためには、相当な実入りがないと盗賊としてもプラスにならない。最初に冒険者を襲うのもすこしおかしい。盗賊どもは弱い奴を襲う。奴らは楽に稼ぎたいからな……商人の隊商ならともかく冒険者を襲うのはおかしい。特に今回は二回も襲ってる。で、多分二回目は別の盗賊まで誘ってる。」

「冒険者というよりも……リンデリウムの森から持ち帰ったものに執着しているのかもしれないね。」

 エステルさんが推測する。

「そうかもな。ギルドに帰って聞いてみよう。」


 エウロパの町につきギルドにいく。とれた獲物を換金した。ツカサ達が換金した時Gランクと得物が釣り合っていないと少し驚かれたが、『風の戦団』たちと一緒にいたから魔物が狩れたのだろうと向こうが勝手に納得してた。

 ギルドの職員に盗賊とリンデリウムの森について報告する。

 ギルドの職員が話す。

 とある冒険者の一人が全回復の薬エリクサーの材料となる草を持ち帰ってきたそうだ。リンデリウムの森では初めての事だったらしい。そいつがいたパーティーはその草を見つけみんなで喜んでいたが、次の瞬間そいつを除くパーティが炎に包まれ亡くなった。奇跡的に助かったやつが持ち帰ってきたということだ。


 これで話が繋がった。冒険者がエリクサーの元となる草を手に入れる。盗賊がその情報を素早く入手する。草を手に入れている可能性がある冒険者を襲いその草を手に入れようとする。草を手に入れれば盗賊としても大金を得ることができるということか。


「ダイスさん達はまたリンデリウムの森に行くんですか?」

「いや、私たちは別の所にいく。そんな草があることがわかったら色々なパーティが殺到する。なかにはろくでもない冒険者もくる。トラブルは避けたいからいかない。」

 ダイスさん達は非常に慎重な冒険者だということを改めて確認できた。


「ツカサさん、フローリアさん、ありがとう。盗賊たちにも無傷で勝つことができたし。旅も楽しかったね。また、会うことがあったらよろしく。」

 レプリーが話しかける。

「いえ、こちらこそ戦い方が非常に参考になりました。ありがとうございます。」

 ツカサとフローリアは一人一人と握手していく。フローリアとエステルさんは情熱的に握手してたけどきのせいかな。ツカサは見ないふりをした。


 『風の戦団』の人たちと別れた。

 

 リンデリウムの森に改めて行ってみよう。冒険の再開だ。強い敵と戦う訓練だ。ツカサとフローリアは転移でリンデリウムの森の中層まで行くのであった。

 



 


  


 


 






 











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