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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第八章 次世代に残すもの
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第十六話 次の時代へ

 ティーナが薬を手に取りツカサに話を始める。

「これを見たのは50年前、私とエルフのエリアスさんがヘイルバードに行った時の事。」

 今の時から50年前、ツカサがいない時の話。一応そういう事があったという事は報告を受けていた。


「ヘイルバードで倒したのはアズカーザスという魔族、体を調べたら私が今持っている薬と似たようなものを持っていた。」

「という事は、今回倒した魔物は僕が魔族の国に行った時に倒した魔人たちと関係がある?」

「薬か装置で魔人化したところは共通している。この部屋のほこりのかぶり方から見てかなり昔なのは間違いない。」


 おそらくここで、研究をしていた。その時余った薬をたまたま魔物が摂取した。そして長い年月を経て魔人化した。おそらくそういう事だろう。

 幸いここで研究してた奴はティーナ達が倒した。それで、ここに戻ってこれなくなったという事だろう。

「あとで、アインスにここにあるものを調べに来てもらおう。何か証拠が得られるかもしれない。」


 ツカサ達は小屋を出て人魚族の所に戻った。

 スイレンはダメージから回復し意識を取り戻していた。

「不覚だった。まさかあそこまで強くなっているとは思わなかった。」

 前にスイレンたち人魚族は戦った事があったそうだけれども、それよりもパワーアップしていたようだ。


 ハーピー族と人魚族が話し合いをしている。今まで交流はあったが、お互い深く接してはいなかった。この場所が魔物たちから解放されたこともあり、今後の交流が盛んになるかもしれない。陸と空お互いないものを補完しあう関係になるだろう。


 ツカサはアネッテを呼ぶ。人魚族達に囲まれて剣技について色々と話していた。周りからちやほやされていてとてもご機嫌だった。

「あの最後に見せた技はどこで学んだ?」

 居合の構えからの刀で真っ二つ、インパクトは強い。


「魔物に剣を折られた時に気付いてたら構えてた。剣の代わりに刀を手にしたら自然と体がね……。」

 アネッテの記憶が一部またよみがえったのかもしれない。

「何処から来たとか記憶はよみがえった?」

「刀の構え方とかは覚えたことが出てきた。体が覚えてたというべきかな。その他の記憶は出てこない。」

「その刀はどこから手に入れたの?」

「これはハーピー族から貰ったもの。森を自由に使わせているからそのお礼で貰った。」


 リンデリウムの森からハーピーの村、そしてそれから離れた所にアルネスクという国がある。そこは刀も生産しているらしい。エレンシアとは今の所ほとんど関りがなくツカサも行く必要がない。ただ時間があれば一度見てみたい国でもあった。


 アネッテはピンチになると戦い方を思い出す。今回も同じパターンだ。


「今戦った魔物は強かった?」

「今までで戦った中では一番強い。」

 ツカサは小屋の中にあった薬の事をアネッテに知らせる。魔族の国で見た魔人たちとの共通点があるのか聞いてみたい。


「魔物の雰囲気は同じ、赤黒い皮膚、そして瘴気は同じ。ただ、能力を使いこなしている雰囲気はあった。」

 魔族の国で戦った魔人は強さはあったが何かちぐはぐな気がした。パワーアップしてもそれを使いこなす技量が足りていないのだと思う。

 

 アネッテ達と共にブルーティアラに戻る。討伐の心配をしていたグレイヤードに報告をする。

 倒した事を伝えると安心したようだ。


 これで、この時代でできる事はやり終えた。100年後にはブルーティアラは大きく発展するだろう。

 グレイヤードにこの地を離れる事を告げる。商人として後はデクレアに任せる事にした。


 ティーナとメイフュリアはもう少しここに残る事になった。ハーピー族と人魚族ともう少し交流したいみたいだ。


 アネッテと一緒に『リンデリウムの森』にいく。今後の事を話し合うためだ。

「定期的にブルーティアラの様子を見に行ってくれないか?」

 周りは魔物がはびこっていて、大きなダンジョンもある念のために様子を見てもらいたい。

「ダンジョンもあるし、美味しいものもあるから定期的にいかしてもらうよ。ツカサがいなくなる100年間は私が面倒みる。」

 これで、こっちの方は大丈夫だ。


「後、どれぐらいこっちに滞在できる?」

 アネッテが尋ねてくる。

「後二週間ぐらい。それで次の時代に行く。」

「そうか、しばらく会えなくなるのか。また、100年後だね。」

 寂しそうな様子で話し出す。


「後の二週間はフィロメナさんと過ごすつもり、こっちに来てからゆっくり話をする機会が少なかった。」


 その後、スレイナにブルーティアラでもらった果物などの特産物を渡す。アネッテさんにはお世話になったのでそのお礼だ。



 ツカサとフローリアはエウロパに戻る。

 フィロメナさんが屋敷にいて小さい子供たちに魔法の基礎を教えていた。そして、ナタリーさんは剣術を教えていた。向こうの方でエミーリヤが体術を教えている。

 ツカサがこの時代に来た頃と変わらない景色だ。ただ、人数は減っている。魔族の国にアシュタロスについていった仲間も多い。


 フィロメナさんと二人きりになりツカサは今後のことを話す。

「後、二週間後ぐらいにはこの時代を去ることになる。もしかしたらこれが最後に過ごす時間になるかもしれない。」

 純粋な魔族ならもう少し長生きするのだけれども、フィロメナさんはハーフだ。

「それはわかっています。次に来た時は私はいないかもですね。でもあなたに会えて私は幸せでした。アシュタロス、マーガレットも生まれました。」

 アシュタロスを探せたことは本当に良かったと思う。また、マーガレットの子供、孫たちもフィロメナさんを慕って遊びに来たりしている。


 それから、フィロメナさんとニフルハイムに行ったりしてゆっくりと過ごす。マーガレットにも別れの挨拶をしておいた。

 マーガレットは100年後にもまた会える。


 残り一週間になってエリアスさんからの手紙が来ていた。結局、彼にはこの時代は会えなかった。少し寂しかった。

 何が書いてあるのだろうか?ツカサは興味を持って読んでみる事にした。


 





 

 




 



お読みいただきありがとうございます。

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