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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第八章 次世代に残すもの
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第十一話 人魚族の集落

 ハーピーの集落との関係がよくなった関係で、クレスメイ半島の陸の部分は問題がなくなった。アインスから聞いた範囲では致命的な部分は避けれると思う。

 もちろん、グレイヤードが開発の責任者になったことは初めてだし何が起こるかわからない。しかしそこまでひどいことにはならないはずだ。

 これからは海の方に軸足を移していく。

 グレイヤードが海から塩が予定通りに採取できなくて困っていた。魔物が出ているといっていた。人魚族のティーナに既に様子を探りに行かせている。


「港を開くまで時間がかかったんだよね?」

 確認のためにツカサはフローリアに聞く。

「そうだよ。何度やっても予定より遅れる。原因は様々。」


 クレスメイ半島の開発には二つの狙いがある、一つは国の領土を広げる事。領土が広くなればそれだけ国の力も付く。

 もう一つは交易の強化だ。クレスメイ半島に港を作れば、現状陸路からしか交易ができない所に船で交易ができるようになる。商品を移動するには陸路より海路の方がコストがかからない。ただし、海路はリスクもある。商品を大量に積むので難破や魔物に襲われでもしたら大きな損害になる。

 前の世界ではそのために保険が発達した。しかしこの世界にはそんなものはない。リスクを分散する事はできない。減らすことを考えるのみだ。


 ツカサはまずは魔物に襲われたところに行ってみることにした。

 海岸沿いに小屋が立っていて所々壊されていた。そして砂浜には壊された道具が打ち壊されておかれていた。

「なかなか酷いな。これだけ荒らされると塩を作るのをやめるのはわかる。」

「私が来た時にも魔物がうろついていたから排除した。」

 ティーナが話す。ツカサが来る前に色々と調べてもらっていた。

「この海は人魚族の縄張りになってる?」

「ここはなってないね。なってたらこんな魔物の進出はさせない。」


 海には人魚族の縄張りになっている所も多く、その縄張りは魔物の数も少ない。人間がお金なり物を渡して漁業を安心してしている所もある。

「ただ、近くの海までは人魚族の縄張りになってる。お金を払うかしてこの海を守てもらうのもいいと思う。」

 ティーナがツカサに助言をする。

「まず、その人魚族の所にいってみようか。ここの状況を知りたい。」

「わかった。それなら私が連れて行ってあげる。同じ人魚族だし挨拶だけはしといた。」


 ティーナがツカサ達を人魚族の集落に連れていく。人魚族といっても海の中で暮らしているわけではない。海の近くに住んでいる。

 クレスメイ半島の近くにある転々とある島の中に集落があるようだ。

 ティーナが小さな島に転移する。周りに木がないのでかなり風が強い。


 周りを見渡すと大小の島々が見える。メイフュリアが真上に飛び立ち遠くを見渡す。

「あっちの方がクレスメイ半島。こっちの方に集落がある。たくさん島があるね。」

 真上で指をさしながら説明している。こういう時ハーピーはいいと思う。


「話を通してくるからすこしまってて。」

 ティーナはそう言うと大きめの島に海の中を渡っていく。

 しばらくするとティーナと共に案内の人魚族の女性が来る。

 ツカサ達をみる。

「私はスイレンと申します。村に案内するので私の近くにきてください。」

 スイレンを先頭にツカサ達は海の上をすべるように移動していく。

(これは、どういった仕組み?)

 ツカサは小さい声でティーナに聞く。

(集落には結界が張ってあって、無理に来ることはできないようにしてる。今通ってるところは海の道。)

 不思議なこともあるものだと思いながら、ツカサは海の上をスイレンの後を歩いていく。


 大きな島に入ると人魚族が構えをしている状態で待ち構えていた。こちらを警戒している。

 突然外部から来たからしょうがないのかもしれない。ティーナがあらかじめ行っていなければ追い出されていても不思議ではない。


「長に会いに来たなら少しここで待ってておいてくれ。」

 ツカサ達は待っている間、集落を見て回ることにした。

 ツカサが話しかけると気軽に応じてくれる。集落はこの島だけではなく近くにある島々にあるみたいで、この集落に長がいるから色々と警戒しているらしい。

 人間との交流も拒んではいないらしい。たまにこの集落に来て商品の売買に来る商人もいるようだ。ただ、その商人は人間は少なくて人魚族かハーフの子孫という事が多いそうだ。

 確かにこんな外れまで関係がなければ来ることはない。


「長が待っているのでこちらに。」

 スイレンがツカサを呼びにくる。面会はしてくれるらしい。

 屋敷に入ると薄い水色をした長い髪をした女性が座っていた。体の大きさはティーナと変わらず、人間の女性よりも小さい。しかし、その秘めたる魔力はそういうのに疎いツカサでさえも感じていた。

 また見た目も若く本当に長なのかと疑問に思っていた。

「私の見た目が不思議か?これでもおぬしよりは年齢は上だぞ。」

 ツカサを鋭く見つめて話す。


「私はレンティス、ここの集落の長をしている。私に何の用だ?」

「初めまして、私はツカサといいます。クレスメイ半島の開発に来ました。それで挨拶と取引のお願いに来ました。」

「最近、海がざわついたのはお前たちか、浜で色々してたな。」

「それは、海で塩を作ろうと準備をしてました。その時、魔物たちに襲われました。」

「あそこは私たちの縄張りじゃない。」

 レンティスが強く否定する。自分の所では魔物にでかい顔をさせないという事だろう。これなら取引もうまく行くかもしれない。


「その、縄張りですがその襲われたところに拡大できませんか?あそこが使えないので塩の生産に支障をきたしています。」

「縄張りを増やすのは私もやりたい事だ。だがあそこはちょっとめんどくさい。」

「面倒くさい?」

「あそこの魔物を排除するのは簡単だ。だけど、その繰り返しになる。魔物を海に放っている奴がいる」

「そいつは排除できない?」

「私たちは人魚族。海。水辺での戦いなら問題なく敵を倒せるし、相手の場所も探れる。だけど、そいつの本拠地は山。一度確認したが私を見て逃げていった。」

 場所もここから離れてるし、わざわざそこまで言って討伐する必要性を感じないのだろう。


「今、クレスメイ半島に港を作っています。いずれこちらに来ます。後で開発の責任者を連れてきます。」

「取引の方はいつでもいい。できれば木材、鉱石などを持ってきてくれるとありがたい。」


 島には鉱山はない。木もあるのを安易に切ると問題が後々問題があるのだろう。

「それは伝えておきます。港ができればニフルハイムの方から船を回してもらいます。」

 ブルーティアラを経由すれば人魚族との取引もやり易い。


 ツカサはお土産として宝石を渡してレンティスの所を離れる。人魚族も宝石類が好きで特に青系統の色がすきみたいだ。

 ツカサは転移でブルーティアラに戻った。

 グレイヤードに人魚族の事と望んでいる品物の事を伝える。

 魔物事を伝えると『どうにかなりませんかと』言われる。たしかにあそこに魔物がウロチョロされると迷惑だ。塩も作れないし船の航路も危険だ。


 ただし、そこにいる魔物を退治をしてもいたちごっこになってしまう。元を断たないといけない。

「アネッテさん達に頼むことはできませんか?」

 グレイヤードがツカサに頼み込む。

 ツカサはアネッテさんに頼むかはともかく退治に誰かの手を借りる事は考えた。しかし、相手の場所がつかめていないのがきつい。相手を見つけるのに時間がかかるし、ツカサがこの時代を去るまでに蹴りがつない可能性もある。


「相手の居場所がわからないのが厳しいです。誰をつれてきても相手を見つける事が出来ないと無理です。」

 ツカサがそう言うとグレイヤードが落ち込んでいた。

「私も対策を考えますから、もう少し待っててください。」


 



 

 

 




 



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