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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第八章 次世代に残すもの
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第七話 話し合い

 ハーピー族長のアルステイトの屋敷を出るとレインソニアが待っていた。

 族長の後に会えという事なんだろう。

 レインソニアがついて来いとばかりに声をかけ、ツカサはそれに気をされついていく。


「お前はアルステイト様と何を話をしたのか?」

 レインソニアは家に入るや否やいきなり聞いてくる。

 アネッテの事は話せない。

「自分の知り合いのハーピーの一族がいて、そこが新たな交流先を探している。その話をアルステイトさんと話していた。もし良ければ交流しないかと勧誘に来た。」

 こちらの方は話しても問題ないだろう。


「ほう、私の思ってたのとは違うな。てっきり『リンデリウムの森』の護衛の依頼かと思ったぞ。」

「こちらに冒険者の依頼はよく来るのですか?」

「この集落にはこないが、たまに冒険者ギルドのに行くとよく頼まれる。『リンデリウムの森』は私たちの狩の場所で案内人もできるからな。」

 アネッテさんがハーピーに有利な狩場を提供している。それを活かして冒険者相手にお金を稼いでいるのだろう。


「それと、アルステイトさんからレインソニアさん達の事を聞きました。」

「やはり話したか。誰が見てもわかるよな。」

「二人とも話し合いで決めたりはできないのですか?」

 レインソニアの様子が外で会っていた時と様子が違う。争うつもりがないのなら、どうにかなるかもしれない。

 と同時にツカサはエレンシアの王様の選出は争ったことを思い出した。あれは勝ち目の薄いフロストを勝たせるためにかなりの冒険をした。そっちは未来がわかっているからやったことだ。

 いまのところ二人の内、どちらが勝てばいいのかなどはわからない。


「私もできれば争いはしたくない。私は族長はセルレイスでもいいのだけど、周りが納得しないんだ。」

 

 ツカサは次にセルレイスの所にいく、レインソニアから出た所に彼女が待っていてツカサ達は誘われたのだ。

 話はレインソニアと同じく、争いたくない事、自分が族長でなくても構わない事を言ってきた。

「なぜ、二人は争っているのですか?二人とも族長にならなくてもいいのですよね?」

「この村は大きく二つに分かれている。私たちはそれぞれその派閥の代表になっている。」

「派閥とは?」

「この集落はニフルハイムから来たハーピーと昔からいたハーピーで別れる。混ざりあってはいる。だけどそれでもまだ、混ざりあっていないハーピーの方が多い。」


 ニフルハイムの亡くなった里からはここに移ったようだ。それでここに定住したという事だろう。ハーピーは寿命が長い昔からいる世代はお互いに違和感を感じていて、それが次の族長選びに出てきた。


「二人の内どちらが族長になっても、お互いに仲良くやっていける?」

「昔から私たちは仲が良かったから、うまくやっていける。だけど、私たちの後ろにいる人達が対立を乗り越えれるかどうか自信がない。」


 周りが持ち上げていてレインソニアとセルレイスが引くに引けない状態であるみたいだ。人間の世界でもツカサの世界でもよくある状態だ。

 それでも二人の仲がよいことはまだ救いがあるかもしれない。


「ねえ、セルレイスさんとレインソニアさんの内、どっちがニフルハイムの方からきた部族のなの?」

 今まで、黙っていたメイフュリアがセルレイスに尋ねる。

 自分の母の故郷がどうなっているかが気にかかるのだろう。

「私の父、母がニフルハイムから来た一族の方だ。私はここで生まれたからニフルハイムの方は良く知らない。」

「私の母親がニフルハイムにいたの。父親は人間族だからついていかなかったらしいけどね。」

「ニフルハイムの事を知っているハーピーはいる。その方なら母親の事を知っているんじゃないかな。後で紹介するよ。」

「ありがとう。」

 メイフュリアのように人間とハーピーとの混血でも故郷をよく知りたい気持ちは変わらない。


 セルレイスの所を出て再びアルステイトの所に戻る。家を出た所、メイラに声を掛けられたのだ。

 ハーピーの能力で何をしているのか丸見えなのだろう。

 メイフュリアはその間はフルハイムの事を知っている人に会うみたいだ。


「二人の話を聞いてどう思った?」

 アルステイトが聞いてくる。

「二人とも別に族長にならなくてもかまわないようです、ただ、周りが辞退するのを許さないようです。」

「やはりそうか。何となく気づいてはいたんだが……。」

「周りの声を抑えて争いを鎮静化する事は出来ないのですか?」

「わたしが言えば騒動は収まる。ただ、選ばれなかった方が不満を内に秘める。私の目の黒いうちは表面には出てこないが……」

 族長の権限はかなり強い。ただそれは生きている時に限る。そんな感じか。


「この集落の事をクレスメイ半島のハーピーに伝えてもいいですか?」

「もちろん構わない。ハーピーにとって能力は非常に大事だ。よろしく伝えておいてくれ。」


 ツカサ達は集落を出て『リンデリウムの森』に向かう。アネッテに腕輪を渡したことを伝えないといけない。

「アルステイトさんに腕輪を渡してきたよ。ドラゴンをかわすスピードが出なくなって、こっちに来れなくなってたみたい。」

 アネッテさんに伝えるととても喜んでいる。

 アネッテさんはとても寂しがり屋だ。こちらの事を嫌いになったのではないと聞いて安心している。

 今、ハーピーの族長選びの事で困っていることを伝える。アネッテさんに何かいいアイデアがないか聞いてみる。


「私にそういう事を聞いても無理だな。何かと戦うとかそういった事以外私には無理。」


 一応聞いてみたがやっぱりそうだった。彼女にそこを期待するのは無理みたいだ。


「ハーピーの悩みだからさ、同じハーピーに聞いてみるのがいいんじゃない?」


 そうだ、クレスメイ半島に戻ってメイベルメールに相談してみるのもいいかもしれない。同じ同族が見つかったことを知らせる必要がある。


 今日はやたら転移を使うなと思いつつ、クレスメイ半島にあるハーピーの集落に転移した。



 






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