表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第八章 次世代に残すもの
170/187

第三話 開発開始

クレスメイ半島の開発する予定の所にようやくついた。グレイヤードたちから遅れる事二週間だった。

 ツカサの隊商も何とか予定通りにつくことができた。途中魔物に襲われたけれども、ブレイトン、マイルズの指揮のもと撃退する事が出来た。

 また、デクレアも戦いに出るようになった。クレスメイ半島で商人をする以上戦う事を避け続ける事は、できないと思ったのかもしれない。

 戦い方は魔法を使っての戦いで、オーソドックスに遠くから魔物に魔法を当てていた。


「やあ、ツカサさんようやく資材の割り振り、仮設住宅がみんなにできた所です。」

 グレイヤードはツカサを見つけて挨拶に来る。

「資材を色々持ってきました。資材や食料です。倉庫はどこにおきますか?」

 グレイヤードが指示するとテキパキと動いていく。ジェンナはツカサから持ってきた物のリストを受け取ると細かい指示を出していた。息の合ったコンビだ。

 メイヤーは兵を率いて周りを警戒しているそうだ。自ら先頭に立ち魔物の討伐、開拓民の警護をしている。


 ツカサはグレイヤードの所にデクレアを連れてくる。

「彼女はデクレア。『白銀の舞姫』の商人です。私かデクレアに行ってくだされば入用な物を揃えますのでよろしくお願いします。」

「初めましてデクレアと申します。商品のお届けは『白銀の舞姫』デクレアまで、クレスメイ半島まで安全安心でお届けいたします。」


 どんな挨拶だよとツカサは思う。


「なるほど、『白銀の舞姫』ならではのアピールポイントですね。」


 ああそうか、ここまで食料や資材を運ぶのに安全安心は多くなアドバンテージだ。盗賊や魔物に襲われても『白銀の舞姫』なら守る事ができる。自前で護衛もできるのは大きい。

「そうです。私達なら確実です。ぜひ購入をお願いします。


 今の所、他に商人は来ていない。開発計画はまだ立ち上がったばかりだし、距離が遠いこともあるのだろう。ツカサやデクレアは例外ともいえる。

 ただし、ニフルハイムにおいての売り込みは激化している。何せ支払いは国がしてくれると優良物件だ。どんなに大きい商会でも大きな利益を得る事は難しい。

 

 それを考えると、ここにいて実際にいる資材、商品を把握できることは大きい。それがわかればあらかじめ必要な物を送り込むことができる。

 デクレアとグレイヤードはこれからの開発の予定やいるものの聞き取りをしていた。


「私、まわりを見てきますね。」

 話がひと段落すると、デクレアはグレイヤードに礼をして去っていった。

 ツカサとグレイヤードが残される。


「ツカサさんは『白銀の舞姫』に商売を任せるつもりなのですか?」

 ツカサが商人の仕事をデクレアに振っているのを見て不思議に思ったようだ。

「私は『白銀の舞姫』があまり関われないところを補う役目なのですよ。だから、真っ当な商売は『白銀の舞姫』に振る感じですね。それぞれ役割に違いがあるわけです。」

「なるほど、あまり表に出てこない裏の存在というわけですね?」

 ツカサはうなづく。

 さすがにグレイヤードは理解が早い。ツカサの正体を明かせない以上、こう言って納得してもらうのがいいだろう。


 

 次の日ツカサとティーナとメイフュリアとフローリアでクレスメイ半島の捜索に行く。あらかじめ『深淵の洞窟』の場所は聞いてある。そこの場所を探すのだ。

 おそらくここだと居場所についた。小高い丘になってそこに木が生えている。普通に見ればただの丘だがここに洞窟の入り口があるはずだ。

 ツカサが風の魔法で丘の上にある木々を薙ぎ払っていく。そうすると全体像が見えてきた。

「ここら辺を少し掘ってみよう。」

 切り株をどけてその下の土を払っていく。

 上に載っていた土がへこんで落ちていく。どうやらこの下に空洞があるようだ。

 ツカサはその土を魔法でのけていった。


「ここが『深淵の洞窟』か。」

 大きな横穴がぽっかりと開いていた。洞窟が開けたとたん魔物が出てくるといったことはなかったが、外の空気に洞窟が触れたとたん中の時間が動いたような気がした。この感覚は言葉で説明するのは難しいが体で感じていた。


 ツカサはティーナを見る。ティーナも洞窟から感じる不思議な空気を感じていた。

「この洞窟は冒険者が喜んで入りそうですね。」

 ティーナがつぶやく。

 発見したてのダンジョンは一番乗りをした冒険者が美味しい思いをする事ができる。

「すこし入ってみる?」

 ツカサはメイフュリアが入りたそうな雰囲気を出していたので、提案してみる。


「え、本当?面白そう」

 メイフュリアの羽がパタパタと動く。

 『深淵の洞窟』は発見した後、グレイヤードに知らせる予定だ。その前に発見したにもかかわらず全く探索しないのは不自然なので、中を少し探検してみる。


 洞窟に入ると岩が自然とひかりだし、松明がなくても問題がない。

 メイフュリアが魔物の気配を感じ取り、魔物をティーナが風の魔法で切り裂く。入ったばかりの所なので当然魔物のレベルも低い。

 途中階段があり降りていく、魔物の戦いつつも探索に重点を置く。魔物の強さは下に行くほど強くなっているようだ。

 途中、奥に入ったところに宝箱があった。メイフュリアがワクワクしながら開ける。もちろん罠がないか事前に確認済みだ。

 中に紫色を基調としたナイフがあった。

「これは、毒のナイフだね。」

 フローリアが手に取りながら話す。

 斬りつけると相手に毒を送り込むナイフだ。


 宝箱を見つけたということで、一応の一区切りだ。洞窟から出たアイテムをグレイヤードに見せておこう。

 これ以上潜るには時間がいる。ツカサ達は外に出た。


 グレイヤードの所に戻り『深淵の洞窟』を見つけたという話をする。こういった誰もまだ探検していない洞窟は冒険者を引き寄せる。この話を公にするタイミングはグレイヤードに任せる。

 今、公表して冒険者が多く来てもギルドも、グレイヤードも対応はできない。


「しかし、ツカサさん達と『白銀の舞姫』は中に入って宝物を独占しないのですか?」

「『白銀の舞姫』はそこまでしなくてもお金に困ってはないのです。ここで独り占めしても周りから嫉妬されるだけですし。」

 ティーナが受け答えをする。

「そうですか。冒険者はそのような考え方をするとは思ってもみませんでした。」

 基本的に冒険者はできる限り稼げる情報は漏らさない。稼ごうと思って冒険者になるのがほとんどなので当然ともいえる。

『白銀の舞姫』のように商会、冒険者を同時にしているためそこまでお金に執着しないでもいいのは例外だ。


 それから一週間はツカサはデクレアと一緒に動く。デクレアの様子を見ておいてくれとマルティオに頼まれている。もし、うまくいきそうなら彼女をこちらの支店の責任者にするつもりのようだ。

 デクレアはこの現場に溶け込んでいた。開発という女性が少ないという事もあって、デクレアが簡易なテントを作り店を出すと、商品が順調に売れていた。彼女の愛想のよさに固定客もついている。

 デクレアはジェンナと話し合いをしていた。何が必要なのか細かい打ち合わせをしている。

 そしてそれを元に商品の発注をする。


 デクレアはブレイトンとマイルズに資材、食料の追加の輸送を頼んでいた。需要もはっきりしてきて、グレイヤードに様々な商品の注文を受けた。


 商人としての実務能力は問題ないだろう。ツカサはそう判断した。

 

 そこからさらに一週間後ツカサ達はここを離れるていった。クレスメイ半島の開発において障害となることがある。あらかじめそれを取り除きに行くのだ。


お読みいただきありがとうございます。

よろしければブックマーク、評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ