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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第四章 魔族の国
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第二十話 グランセダール アシュタロスの行方

登場人物メモ

フローリア  アインスのコピー人形みたいなもの

アシュタロス ツカサとフィロメナさんの子供 マーガレットの双子の兄 現在行方不明

 ツカサたちがアネッテの所に付いた時すでに『デモン』を倒していた。アネッテの方はほとんど無傷だ。

「デモンはたおした?」

 念のためにツカサは聞く。

「もちろん倒したよ。ただ、少し気になる事もあった。」


 ツカサ達は転移で馬車に戻る。死体を一か所に集めて燃やす。ほっておいてゾンビになられてはたまらない。

 盗賊で生き残っているのはデルアイズだけだ。そのデルアイズも糸に絡み取られて捕まっている。

 ナイアロータスの部下たちは半分に分けて片方はデルアイズの尋問のために町に戻る、片方はグランセダールに入るためにに残る。


 というのもデルアイズに軽く尋問した結果、『デモンズゲート』の残党がグランセダールにいる事がわかったからだ。

 グランセダールに行ってすぐに盗賊を退治をできるとはおもわないが、それでもここまで来たら行ってみようという事になった。


「ツカサ、少し話がある。」

 アネッテが珍しくまじめな様子で話しかけてくる。

 ツカサがうなづくと馬車の中にツカサを招き入れる。そして、結界を張り声が周りに漏れないようにした。


 アネッテは少し言いづらそうに姉っては口を開く。

「まず、『デモン』の事だけど彼は魔人ではなかった。だから吸収装置も使っていない。」

「吸収装置をつかうデメリット――生命を消費してしまうことに気付いたって事?」

「いや、もしかしてそれもあるかもしれないけど、彼は使う事が出来なかった。彼は魔族と人のハーフだと思う。だから人の部分が吸収装置に耐えられないはず。」

「それでも盗賊団のボスだったって事か。僕は戦うところは見なかったけど彼は強かった?」

「私が剣が主の戦いをするなら苦戦するかもしれない。戦い方も正統派だった。もちろんそれだけじゃなく隠していた切り札もあった。」


「魔族と人のハーフってところは少し気になるけど……。」

「そうだね、フィロメナさんと一緒だ。そして、魔族と人との血が流れている点を考えればマーガレット、アシュタロスとも同じ。」

 二人の間に沈黙が流れる、アネッテの次の一言をツカサは待っている。


「デモンの戦い方は私がアシュタロスに教えた戦い方と似ていた。いまわの際に聞いたら人と魔族のハーフの人に習ったと聞いた。」

「つまり、アシュタロスに戦い方を習った可能性があるということ?」

 ツカサが

「可能性じゃなくほぼ間違いないと思う。魔族と人のハーフの私が教えた戦い方と同じ戦い方だった。アシュタロスに関係がないことはあり得ない。」

「ひょっとしてアシュタロスの息子の可能性もあるのか?」

「それもないわけじゃないと思うけど、顔や魔力の質を考えると多分違うと思う。……盗賊に剣技を教える立場にある可能性が高い。それをツカサは覚悟しといてね。」


 

 馬車はまもなくボルボレイアを出てグランセダールに入る。とはいっても『黒い森』があるため町はない。立札があっただけだ。

 馬車でしばらくいくと町の壁が見えた。こちらの方の馬車を見て門番が構えている。いままで『デモンズゲート』のせいで人の流れがなかったせいで、突然大勢で来て驚いているのかもしれない。


「お前ら、盗賊に会わなかったのか?」

 門番の第一声がこれだった。

 いままで大人数を連れた商人の数がめっきり減ったこともあり、今の街道の様子を知りたかったのだろう。

「『黒い森』にいた『デモンズゲート』はいた。そいつらは殲滅した。」

 先頭を歩いているナイアロータスが答える。彼女はグランセダールに入るにあたり、色々と面倒くさいことが起こる可能性があると言ってついてきてくれた。


 門番は突然の倒したという報告に驚き奥に行き相談をしているようだ。

 その間は別の門番がツカサたちの荷物をあらためていく。通行料、関税をとるための手続きだ。

「先に町に行っておいて後から追いかけるから、派手な動きはやめといて。」

 そう言い残して、ナイアロータスが奥に行った。


 町に入ると当然ながら魔族が多い。獣人族もいるみたいだがボルボレイアより少なく、人族については圧倒的に少ない。

 なので、ツカサたちが通りを通っているとジロジロと眺められる。珍しいのであろう。

 何をするにも目立って動きは取れないなと思う。


「とりあえず、アネッテさんが持ってきた『リンデリウムの森』産のものを売ろうか?ベルベネリウスさんは商業ギルドの場所知ってる?」


「ああ、知ってるぞ。クレソン、案内してやれ。私たちは宿の部屋をとっておく。」

 クレソンとアネッテがナイアロータスの部下を連れて離れていった。


 それから、ベルベネリウスの案内で宿屋に到着する。しばらくの間盗賊団のせいで御客の入りが少なかった。こちらの人数を伝えると大喜びで迎えてくれた。

 

 部屋に着きフローリアとマーガレットにアネッテから聞いた。盗賊団のボスについての事を話す。アシュタロスが関係している可能性が高いという事だ。

 はじめマーガレットはそんなことは信じられないという顔をしていたが、詳しく話をしていくと考え込んでいた。

「マーガレットに聞きたいんだけど、『デモン』がアシュタロスと血がつながっている……似ているところあった?」

「私が見た範囲……といってもほんの少ししか見てないけど似通ってる所は見当たらなかった。」

「それは、アネッテさんも言ってた。という事は血がつながっている可能性はないと思っていいかもね。もちろん僕とフィロメナさんとも似ている所もなかったと思う。」


 この世界では親子関係、血がつながっているかの証明は難しい。例えば幼いころにさらわれた場合、後で見つかっても本当に親子かどうかわからない。

 ではどうやって判断するのかというと、見た目で判断するのが一番で次は内に秘めている魔力の質を見極めるのが二番目だ。


「アネッテさんが戦った時に相手の魔力の質は全然違ったそう、だから血の繋がりはないと思う。」

「アネッテさんが言うならそういうなら間違いないはず。『デモン』とアシュタロスの間に血の繋がりはない。」

 フローリアが断言する。


 しばらくしてアネッテが宿の方に戻ってきた。商業ギルドとの交渉、商人への商品の売渡などはクレソンに一任という事で任せたらしい。

 アネッテはそういった取引に対して興味がない。だから信頼する人に任しておこう。そういった事なのだろう。


 さっき話した続きをアネッテを入れてすることにする。実際に戦った時の話をしてもらうのがいい。アネッテはクリスティーナも呼んだ方がいいと言ったので呼ぶことにした。


「これはツカサにも話したことだけど、戦い方には癖がある『デモン』は盗賊のくせにきちんとした戦い方を習った剣使いだった。そしてその後の魔法と剣の使い方は私がアシュタロスに教えた戦いだった。そして、アシュタロスに小さい頃から剣と魔法を使った戦い方を教えたのはクリスティーナと私。」


「私はアネッテと共にアシュタロスに戦い方を教えた。彼は冒険者になりたがっていたからね。だから私は剣術の基礎を。そしてその後は剣を中心として魔法を補助的に戦うやり方を教えた。」

「私は剣と魔法を使う戦い方の応用を教えた。クリスティーナが基礎、私が応用といった役割。で、その後は私は人対人の対決の訓練を中心に、クリスティーナは対モンスターの戦い方を中心に教えた。……だから、戦ってアシュタロスの痕跡……って言ってもいいのかな。それを感じた。」


「私にはよくわかりませんが、戦うことによってそこまでわかるものなのですか?」

 マーガレットは念のために聞く。


「マーガレットは魔法の基礎は国の魔法使いから。工夫する戦い方、応用編はアインスから教わってるよね。?」

 フローリアが話す。

「はい。私の魔法は基礎的なものは教会に来てた魔法使いから、効率的な使い方、魔力の節約の仕方、複雑な魔法はアインス様より習いました。」

「魔法の癖というのかな、魔力の使い方や魔力の流れ方、それらをみたら特徴があるから何となくわかる。時分を褒めるみたいでなんだけど、私の魔法は効率重視で魔力節約を基本としてるからわかりやすい。特にわたしの弟子で優秀な奴ほどね。」


 アシュタロスの話はこれで終わった。実際に会わないと事情がわからないという事もある。

 よくない道にアシュタロスが進んでいる可能性も頭に入れておかないといけないとツカサは思った。そしてその思いはここにいるみんなも思っていることだった。

(最悪、アシュタロスと敵対関係になるかもな。)



 夜になりナイアロータスが戻ってきた。ここまでの経緯を向こうの役人に説明して来たらしい。

「私たちが盗賊を倒したことを報告したら感謝された。本来私たちのようなボルボレイアの役人が入ることは歓迎されないんだけど、今回は感謝された。彼らにとって『デモンズゲート』が相当目障りだったようだね。で、『デモンズゲート』の残党についても早く何とかしたいみたいだ。」










































お読みいただきありがとうございます。

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