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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第四章 魔族の国
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第十一話 ジェイラスの戦い

 クレソンが左手を吹き飛ばして蛇魔人を倒した。泥の魔物という事で腕を失ってもダメージはない。ただ、これから戦うには困るだろう。


「あのー左手はもとに戻るのですか?私の治療魔法で復元できますが。」

 マーガレットが心配そうにクレソンに話しかける。


「いえ、大丈夫です。痛みもありませんし。時間がある時に作り直します。今の状況で魔力を私に使うのはもったいないですよ。」


「そうですか。それでは二人を助けに行きましょう。どうしましょうか?」


「私とマーガレットはジェイソンの所にクレソンさんはクリスティーナの所にお願い。それと、このポーションを渡しとく。」

 フローリアがクレソンにポージョンを何本か渡す。

「これ、万能薬だからクリスティーナに使ってもいいし、なにかあったらクレソンさんも使っていいよ。」


 フローリアとマーガレットがジェイソンの所に移動する。

 ジェイソンはクレソンたちの戦っている所に近づけないようにしていたらしく、あまり攻撃をしていないようで、お互いに疲れた様子もダメージもない。


 ジェイラスがフローリアを見てうなづく。

 ジェイラスの体に大きく気がふくらんでいく。ここからが戦いというような雰囲気だ。

 

 相手の水晶魔人はキラキラと体が光っている。


「かなりの堅い敵だよ。さっきの蛇魔人よりはるかに硬い水晶で覆われている。水晶をとばしてくるかもしれないから防御魔法を厚めにしておいて。」

 フローリアがマーガレットに注意する。距離は離れているとはいえ何が来るかわからない。


 水晶魔人の右手に魔力がこもっていく。右手にある水色をした水晶が黄金色に染まり大きな爪が生えてくる。左手も魔力がこもっていった。こちらは長い剣が生えてきていて、銀色になっている。


 ジェイラスが大きく振りかぶり剣を振る。そして思い切り右手に叩きつける。

 かなりの大きな音をたてるが、ジェイラスの剣、水晶魔人の右腕共に傷が入っていなかった。


(あの一撃で傷が入らないのか、ジェイラスさんはどう戦うのだろう。)

 マーガレットが心配する。


 ジェイラスも傷が全く入らない事に少し驚いたようだ。しかしそれでも気にせず剣を交えていく。金属と金属が金属と鉱物がぶつかり合う音が聞こえる。


 水晶魔人の右手が赤色に染まる。爪の攻撃を剣で受けた時、火花が散っていく。剣を受けているジェイラスも嫌そうな顔をする。


(魔法障壁をはらないと。)


 マーガレットはジェイラスに火の魔法障壁を張る。そのおかげで火花が顔に届かなくなる。そのせいかもしれないがより一層打ち合いが激しくなる。

 

「お前しぶといな。」

 水晶魔人が話し出す。

 今まではこの形態になってここまでの打ち合いはなかった。なぜ倒れないんだといったところだろう。


 今度は右手が黒く染まるまがまがしい暗黒の気配が漂ってくる。


「おそらく、闇属性の剣だ。切られると腐食、呪い、そのたぐいのダメージをくらう。聖魔法の防御魔法をかけておいて。」


「はい。」

 マーガレットがフロリアの指示に従う。

(天の見守り、地の加護、空の防空、しろしめせ聖護)

 術式を組み立てジェイラスに防御魔法をかける。


 ジェイラスの体自体に白銀のオーラが浮かび上がる。強力な防護だ。

 水晶魔人がキッとマーガレットを睨みつける。自分の狙いが防がれたことにイラついているようだ。マーガレットの方を攻撃しようと歩みを進めようとするが、ジェイラスがそれを許さない。


 水晶魔人はまた戦い方を変える。右手がつやのある黒に変色し剣の形に、左手の方は鈍い光を放つ銀色の剣に変わった。

 攻撃の方法が変わった。剣を振り回しジェイラスに攻撃のスキを与えないようにする。それでジェイラスは防戦一方だ。


「ジェイラスさんの剣は大丈夫なのですか?」

 マーガレットが小さい声でフローリアに聞く。


「あの剣は火竜の鱗を加工して作った物だと聞いてる。簡単に壊れる剣じゃない。」


 マーガレットはジェイラスの戦いをよく見る。確かに防戦一方だけれど剣にまともに衝撃が当たらないように流している。

(戦う事をほとんど見たことないわたしだけど、ジェイラスさんの戦いがうまいことはわかる。相手の動きが一だとするとジェイラスさんの動きその半分だ。)


 なおも水晶魔人は剣を振るい続ける。が、ジェイラスの剣さばきと体さばきで、打撃を与える事ができない。

「何で、なんでだよ!!」


 相手に焦りが出てきている。剣の動きも鈍っている。10分近く剣を振るい続けてほとんどダメージを与えていないので当然だ。

 次第に水晶魔人の動きが鈍くなっていく、いくら魔人と言えども疲れるという事だ。

 

 ジェイラスが疲れの見えた水晶魔人の右手を大きく弾き飛ばす。そして返す刀で左手も弾き飛ばす。そして剣に大きく気を溜め叩きつけるように剣を振るう。胸に剣を叩きつけた時に大きな音たて水晶魔人の鎧である水晶が砕け散った。


 水晶魔人が血反吐を吐く。かなりの深いダメージを負ったようだ。

 もはや、今までのように剣を振るうことはできず。ジェイラスに追い詰められていく。最後にジェイラスが頭を剣で思いっきり叩き、水晶が砕け散り水晶魔人が倒れこんだ。


 マーガレットがジェイラスの下に駆け付ける。軽い切り傷がついているのを治療していく。


「マーガレットさん。ありがとう。障壁助かった。」


「あいつはそこまで強くなかったかな。もちろんジェイラス君にとってはだけど。」

 フローリアがジェイラスに話かける。


「はい。魔人にしては強くなかったです。ただ、防御が固いことには少し驚きました。今後の事も考えて様子見で戦っていたのですが、たいしたことないです。」

 ジェイラスが物足りなさそうに剣を振るう。


「おそろく急に吸収装置で力をつけたけれども、技術がついて行っていないと思う。あまり参考にならなかったね。……クリスティーナさんの所にいこうか。魔法使いが吸収装置でどれぐらい強くなるのか興味ある。」

 フローリアはそう言うとマーガレットとジェイラスと一緒にクリスティーナの所に向かった。





 


 











 

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