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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第四章 魔族の国
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第七話 臨機応変

 ボルボロスにクリスティーナさんとジェイラス君を連れてきた。二人ともリンデリウムの森の冒険が終わってきてくれた。

 アネッテさんとシレナスさんは、こちらである程度めどがつき次第来てもらう。

 アネッテさんは今すぐにでも来たいようだったが、リンデリウムの森の事もあるし、ずっとこちらいるのはさすがに申し訳ない。


「ようやく私の出番が来たか。今度の相手は手ごわそうだ。」

 クリスティーナさんはやる気満々だ。

「俺もやるぞ。」

 ジェイラス君もやる気だ。彼は昔……と言っても100年も前より、当然成長してる。身長もかなり伸び185センチぐらいだ。ツカサは見上げるように話しかけている。

 竜人族は横にもごつくなり太くなる種族なのらしいが、ジェイラス君はそこまで太くなっていない。

 

 そう言えばジェイラス君が戦う姿を見たことがなかった。一度戦う姿を見たい気もする。


 ベルベネリウスが城から帰ってきた。クリスティーナとジェイラスを見つめて軽く微笑む。椅子に座り一息つく。

「クリスティーナさんとジェイラス君が助っ人に来てくれた。敵をはっきりさせた後でアネッテさんスレイナさんも来てくれる。これでかなりの強敵にも対応できるはず。」


「これからの方針を決めよう。城からの討伐隊は明日出発。ボログランスの討伐にいくらしい。何人か強い奴を連れていくから討伐も時間の問題だ。それとギルドの方にフェイルビラスの場所を伝えてる。こちらもしばらくしたら討伐隊が出ると思う。」


「現状、国からの討伐隊は問題なし。ギルドの方はこれからということ?」


「国の方はネルパス将軍率いる討伐隊だからほぼ問題ないはず、ギルドの方はわからないな強いメンバーが集まればいい感じだが……。」

 ベルベネリウスが答える。


「それなら私とジェイラスはギルドの討伐隊に参加しようか?私たちはランクも高いし参加できると思う。」


「それなら僕に二人が加わる形で討伐隊に名乗り出るのがいいかもですね、魔族の国の冒険者ギルドに魔族がいないのも不自然ですし。」

 クレソンが話に加わる。


 たしかにその方が自然でいいと思う。現状、盗賊団の方の行方をつかめていない以上、二人に魔人との戦いを経験してもらうのはいいと思う。


「それなら私も参加していい?パーティーには回復役も必要でしょ?」

 マーガレットがツカサの方を向いて許可を求める。一度戦いを経験してから戦闘に興味をもったのかもしれない。


 あまり、マーガレットに危険なことをさせたくないのだけど、言っていることは真っ当だ。

 だけど……僕が行くとナタリーさんの孫三人の面倒も見れなくなる……。こちらの方も心配だ。


「それなら私もついて行くよ。ツカサはマーガレットの事を心配しすぎだよ。」

 あまり、口を出さないフローリアが話し出す。


 たしかに、心配しすぎなのかもしれない。自分の心情をよく分かってる。

「うん、フローリアお願い。マーガレットを頼む。」


「よし。これでギルドの方は決まりだ。私は引き続きここで情報を探っていく。」

 ベルベネリウスが話す。


 今まで話を聞いていただけのエレーナが手を上げる。

「エレーナどうした?」


「私たちはツカサが向こうにもどっている時にいい情報を手に入れたよ。デモンズゲートの居場所を聞いた。」

 エレーナが誇らしげに話しだす。


「おお、やるではないか。だが、その程度の情報なら私も得たぞ。『黒い森』にいると国の警備隊から聞いた。」

 ベルベネリウスが楽しそうに合の手を入れる。


「それだけじゃないよ。デモンズゲートのやり口も聞いた。あいつらはボルボロスとグランセダールを行き来し、なかなか捕まえにくいうごきをしているって。」


「エレーナ、なかなかやるな。だけどそうなると『黒い森』に突っ込んで戦っても、逃げられる可能性がある。やり方を考える必要があるな。」

 ツカサは考え込む。


「とにかく『黒い森』の近くに行って見るのがいいと思う。その街にも私の屋敷があるから、そこで作戦を練ろう。」

 ベルベネリウスが話す。


 ベルベネリウスさんはボルボロスではかなりの有力者だ。国の貴族なのかもしれない。


 クリスティーナ、ジェイラス、マーガレット、フローリア、クレソンはギルド討伐隊に加わることに、ツカサ、エレーナ、アルノー、サンドラは『黒い森』の近くの町で情報収集と作戦会議。ベルベネリウスさんは引き続きここで情報を集めることになった。




 ボルボロスの城から20騎ほどの騎士4人の魔導士が出ていく、ボログランスの討伐に出かけていく。

 今までは討伐をその地域の警備隊や貴族に任せていたが、さすがに国としてほおってはいけないということになった。

「我らが討伐に出ることになった。ボログランスは南の村々を襲っているらしい。我らが行って素早くこれを討つ。皆油断なく立ち向かうように。」

 討伐隊の中心のギレン将軍が話し出す。


 ネルパス将軍は鬼人と呼ばれる種族で単純に力が強い。3年ぐらい前にネルパスは魔物を積極的に狩りに行って魔人に進化した。

 戦い方は自信の力に魔力を乗せて戦う。

 ボログランスと同じような戦い方という事で今回討伐隊に選ばれた。


 討伐隊の一団の後ろに黒いマントに身を包んだ一団があった。前の討伐隊の後ろから静かについて行く。そしてその後に馬車があった。


「何で、私がここにいるのかな?」


 馬車の中でベルベネリウスが対面に座っている女性に話しかける。


「諜報部門の私が来ている事から理由はわかっているでしょ?」


 この女性はボルボロスの諜報部門に属しており、名前はナイアロータスという。 

 全身を深い紫のマントにつつみ頭だけを外に出していた。蜘蛛の魔族の一種アラクネーの一族であった。顔は普通の人と変わらないが魔力を込めると額に四つの目が出てくる。瞳の色は紫色だった。


「私の役割は情報を得る事、それが今回の戦いで情報が得られということか。」


「そっ。急に強くなるには理由がある。吸収装置の仕組み。効果を詳しく調べる必要がある。」


「作ったやつはグレスホルムと私は推測している、それはそちらも把握してる?」

 ベルベネリウスが尋ねる。


「グランセダールの方にいる諜報部門の報告から考えても、恐らく奴だろうと考える。」


「それで夜兎の舞台を同伴させているのか。で私の方には夜魔を随行させてほしいと頼んだんだ。」


「そう、メリアちゃんもよろしくね。」


 ベルベネリウスの側に夜魔のメリアが付き従っていた。ベルベネリウスと同じく黒を基調とした服をきている。夜魔の名のごとく暗闇に強く敵の監視にはもってこいだ。


「ベルベネリウス様と外に出かけるのは久しぶりです。ナイアロータス様もよろしくお願いします。」

 メリアが軽く頭を下げる。

 

 メリアはベルベネリウスが人間の国に行った後はとても暇をだったので、いっしょに行ける事を今回とても喜んでいた。


 二、三日後ボログランスに襲われた集落の近くに来た。

「奴はこの近くにいるのか?」


「ああ、この集落のはずれの家屋にいる。」

 ギレン将軍の問いにナイアロータスが答える。


「よし、騎士は火矢の用意を、魔導士は奴を逃がさないようにしろ。」

 ギレンは自分の体に魔力を溜め戦いに備えた。

 

 




 



 





 



 


 

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