第十二話 この世界のスキルとは
「まず、鑑定について説明するね。鑑定を使うとその人の種族持っているスキル、特性などがわかる。だけど、鑑定された相手が拒否すれば鑑定ができない。さらに、鑑定しようとしたことがばれる。ある種の攻撃とみなされるから、むやみに鑑定するのはやめてね。」
アインスがツカサに注意する。
「ただし、相手が赤ちゃんとか、気絶しているなどの場合は相手の許可なく鑑定できる。要は相手が自分より圧倒的に劣っている時は鑑定できるということ。」
「ツカサ、シレナスに鑑定をしてみて、で、シレナスちゃんは最初は拒否で、二回目は許可でお願い」
ツカサはシレナスに鑑定を試みる一回目はできなかったが、二回目は成功する。
頭の中にシレナスの種族、特性、スキルが浮かび上がる。
シレナス=マレイル
種族 影人
スキル 闇魔法 特大 邪魔法 特大 影の通路 復讐の化身 瞬間移動
「よし、できたみたいだね、で、これを投射の魔法で移すと、周りにも見せることができる。」
ツカサの頭に浮かび上がった情報がみんなに見えるようになった。
なるほど、これが鑑定なのか、魔法の特大はある程度想像つくけど、復讐の化身ってなんだろう?おどおどしい名前だ。
「ただし、持っているスキルの名前はわかっても、実際の働きはわからない。名前からは具体的にわからないスキルも多いから注意が必要だね。……『復讐の化身』ってあるよね。これ名前だけじゃわからないでしょ、シレナスちゃん、ツカサに説明していい?」
「はい、私から説明します。私は『影人』っていう種族なんですけど、この種族は『寄り添うもの』って言われてます。その最大の理由が『復讐の化身』にあります。このスキルは自分の大切な人を対象としたスキルで、自分が設定した大切な人が殺された場合、殺した相手の影を記憶し、その相手を殺すまでひたすらその相手の影を追い続けます。その際、感情が高まるほど能力が上がります。」
シレナスが感情を出さず淡々と話す。
あっさりと恐ろしいことを話してるな。一種の呪いみたいなものだろうか
「鑑定の使い道について少しアドバイスしよう。自分の子供が先天的にどんなスキルを持っているか確認する時。―スキルによって向き不向きの将来があるから。あと、知らない人とでパーティーを組む時にお互いに使いあう事が多い。お互いのスキルを明かして信頼しあうということだね。」
パーティの連携もお互いのスキルをわかってた方がやりやすいのだろう。
「さて、ツカサのスキルをみてもいいかな?どんなスキルがあるか楽しみだ」
アインスは翡翠色の瞳を輝かせツカサにせまる。
つかさは気押されたようにうなづく。
ツカサ=キサラギ
種族 人間
スキル 隠者 大地の恵み 運命の煌き (アインスのコピー)
わけのわからないスキルが多いな。『大地の恵み』ってどっかの農産物のキャッチコピーか!?
『隠者』ってなんだろ?普通、国を救おうとする人は英雄とか勇者であって、『隠者』が国を助けたことなんて聞いたことない。
ツカサが考え込んでいると。アインスが関心したように話し出す。
「やっぱり、異世界からきた人はいいスキルをもってる。『大地の恵み』はいいスキルだ。この世界を何週もしている間、会った異世界人がもってた。自分の周りの土、水、空気から魔力を吸い取るスキルだよ。そのスキルを持ってた異世界人は何か月もの間ずっと休みなしに、戦いつづけてた……。ツカサの魔力が膨大なのもこのスキルのおかげだね」
休みなしに戦い続けるか……ある意味ブラック企業の加重労働じゃあるまいし……酷いな
「『隠者』ってこれまた珍しいスキルを持ってるね。ニフルハイムにある図書館の本にスキルの名前が書いてあるのは知ってるけど、実際に見るのは初めてだ。持っている人に直接会ったことがないから効果はよくわからない。」
「ツカサ、隠者のスキルに意識を集中してみて、効果がわかるから。」
『隠者』に意識を集中してみる
隠者 何かしてもめだたない
なんだこれ?
スキルを説明をするとアインスとフローリアは少し笑みを浮かべていた。
さすが、本体とそのコピーとる行動が一緒だ。少し失礼だ
いつも冷静に話を進めているシレナスも目元が笑ってる。
はたしてこのスキルが役に立つときが来るのか……このスキルを過去持ってた人はいても、効果を人に話して笑われることを恐れて、黙っていたのではないだろうか。
よし、『運命の煌き』に期待だ。素晴らしいスキルでありますように、ツカサは『運命の煌き』に意識を集中する。
『運命の煌き』 このスキルを使うと、自分の運命を代える可能性がある人を見るとその人が輝きます。輝きが大きいほどその効果が大きい人です。
アインスにスキルの効果を説明する。
「このスキルは私も初めて見る。このスキルの効果はツカサの冒険を助けるものだろうね。」
輝きが大きい人とかかわりながら冒険をしていけばいいのかな? 「666年間国を守る」という漠然とした旅に、方位磁石の役割をはたすのだろう。
試しに使ってみよう。
おお、アインス、シレナス、フローリアの体が光っている。
まあ、当然だな。
「『アインスのコピー』これは私の持っているスキルをコピーしたものだね。私の持っているスキルの大部分をつかえるはずだ。『大地の恵み』と相まってツカサはかなりの強者になってる。普通の敵には負けようがない。私はスキルをたくさん持ってるから。」
試しに『アインスのコピー』のスキルを見てみよう。
ツカサの頭の中に大量のスキルのデータが流れてくる。プラスの効果のオンパレードだ。これはすごい
「わたしがスキルをたくさん持っているのは、スキルをもらったからだよ。スキルは取引ができる。親から子へのスキルの移譲、師匠から弟子への移譲などが多いね。信頼関係があり渡す相手との相性が良ければスキルの移譲ができるんだ。私は何度も666年を何度も繰り返してきたから……」
アインスが少し寂しそうに話す。
 




