第六話 洞窟の中で 5
あと少しでジャイアントスパイダーの所に着く、このボスを倒せばこのダンジョンはクリアーだ。
事前にどんなボスかベルベネリウスさんに聞いてみよう。備えあれば憂いなしだ。
「ジャイアントスパイダーはその名の通り大きな蜘蛛だ。糸による拘束に注意が必要。それと定期的に子蜘蛛を吐き出すので、それも倒す必要がある。巣を作って待ち構えているから、動きすぎると捕まってしまう。糸は火に弱いからそこが攻略のポイントだ。」
ツカサがどうやって倒そうか考えているとエレーナが自分たちで作戦を考えると言ってきた。このダンジョンで彼らは成長したはずだ。彼らの作戦に乗ってみようとツカサは思った。
エレーナ、アルノー、サンドラが集まって話し合っている。どんな作戦が出るか楽しみだ。
しばらく三人で話し合っている。エレーナが中心となって話をリードしていて、それに対してアルノー、サンドラが意見を言っている構図だ。
話がまとまったらしくツカサの方に歩み寄ってきた。猫耳がピクピクしている。この作戦は期待してもいいのだろう。
エレーナが話し出す。
「アルノーがボス蜘蛛を引き付ける役にします。サンドラがその補佐を。私は次々に出てくる子蜘蛛を炎で退治します。ツカサはさんはその補佐をお願います。ベルベネリウスさんとフローリアさんは糸を燃やして皆を拘束させないようにしてください。マーガレットさんは怪我をした人への治療をお願いします。」
役割を決めて戦いをうまくいかせようとする方針のようだ。アルノーとサンドラがジャイアントスパイダーを倒すことができるならうまくいくだろうとツカサは思った。
「その方針で行ってみよう。」
ツカサとベルベネリウスとも話し合って、その方針で行くことを確認した。フローリアも異存はない。
三人が中心で動く形だから、もしなにかあったら手伝いに行くという事にした。万一の備えは必要だ。
「エレーナの合図で行こう。今回の戦いはエレーナが指示を出して。」
ツカサは今回の戦いはエレーナをリーダーにする。経験を積ませるのにいいと思う。
エレーナが手を上げボス戦に入る合図をする。アルノーとサンドラがジャイアントスパイダーに真っ先に向かっていった。
名前の通りかなりの大きさの蜘蛛だ。さっそくお腹の所から糸を吐き出し罠を張っている。一番近いアルノーとサンドラにも糸を飛ばしている。アルノーとサンドラの方に飛ばしている糸は燃やせないが、他に飛ばしている糸はフローリアとベルベネリウスが確実に燃やしている。
アルノーとサンドラは軽く糸をかわし攻撃を仕掛ける。アルノーは剣で、サンドラは火の玉で攻撃を仕掛ける。ジャイアントスパイダーは長い足を振りかざしながら攻撃を防ぎ、その勢いのままアルノーに殴りかかる。
アルノーは素早くかわし足を切り付けるが、剣の勢いと魔力ののり具合が足りないらしく敵にはじかれていた。サンドラの火の玉も足で追い払われていた。
その隙にジャイアントスパイダーは腹から子蜘蛛を飛ばしていた。それに気づいたエレーナは子蜘蛛を火の玉で倒している。逃した子蜘蛛はツカサが火の玉で燃やしている。
ほとんどの子蜘蛛はエレーナが倒していた。耐久力自体はほとんどない敵だけれども数が多い。器用に火の玉を出して敵を倒していた。魔力を操る能力はかなりのものだとツカサは感心した。
アルノーは剣に魔力を溜め一撃を狙っている。その間のジャイアントスパイダーの攻撃はサンドラが魔法で防いでいる。
糸と子蜘蛛の援護がなければジャイアントスパイダーはたいした敵ではない。アルノーの剣に雷の魔法がまとっていて、ツカサにもまぶしい光を確認している。
アルノーが勢いよく剣をジャイアントスパイダーに振り下ろす。足で防ごうとするが今度ははじくことはできず、足を切り取った。ただし勢いが鈍ったおかげで頭の方には届かなかった。
切り飛ばした蜘蛛の足から緑色の液体が出ている。バランスを崩したらしく前のめりになっている。これは勝てたなとツカサは思った。
その感想はアルノーも思ったらしく戦い方に余裕が出てきた。次の一撃に備えて剣に雷の魔力を集めている。
ところがジャイアントスパイダーに魔力を溜めて行って、足が切り取られた部分から生えてきた。
「うそでしょ!」
エレーナが思わずつぶやく。計算外だったらしく動揺しているのがわかる。どうやら一気に倒さないといけない敵のようだ。
それを見たアルノーも魔力の溜めのスピードを速くして一気に蜘蛛を切り裂いていく。またも足をとばした。
「ツカサさん子蜘蛛をお願いします。」
どうやらエレーナも攻撃に加わり一気にかたを付けるつもりだ。剣を抜き魔力を溜めエレーナは自ジャイアントスパイダーに斬りかかる。剣には炎をまとっている。敵は子蜘蛛をだしながらエレーナの邪魔をするが、ツカサは子蜘蛛を燃やし続けエレーナの手助けをする。
残った足を出しジャイアントスパイダーは剣による攻撃を防ごうとするが、エレーナはその足ごと胴体を切り裂いた。緑入りの液体が出てきてた。かなりのダメージが入っているはずだ。
魔法も剣の威力もエレーナはアルノーよりも一段上だ。
敵が頭から地面に崩れ落ちた。
ジャイアントスパイダーの後ろの門が開いた。これでこのダンジョンをクリアーしたも同然だ。。門をくぐると洞窟が少しあったが敵も出てこない。
青空が先の方に見えた。
ついに魔族の国に到着した。




