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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第三章 魔族の国へ
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第五話 洞窟の中で 4

 朝、みんな起きてダンジョンの続きだ。森のダンジョンというのは変わらないが、魔物が虫型の敵が出てくる。

 昨夜は猫人族の三人で見張りをした。その時に話し合ったらしく、エレーナとアルノーが前なのは変わらないが、アルノーの後ろにサンドラが控えていて、アルノーの攻撃力をカバーしていた。

 昨日、虫系統の魔物は早く殲滅しないとまずいという事を行ったことを覚えているのだろう。

 カブトムシ型の魔物が出てきた。物理攻撃に強くアルノーには相性があまり良くない。そこでサンドラが魔法を叩き込みカバーしている。

 エレーナは魔法も剣も得意なので一人で対応している。ツカサとベルベネリウスも魔法を素早くたたきこみ敵を殲滅していった。

 虫系の魔物は数を頼みに攻撃をしてくる。そのために仲間を呼ぶ前に早く倒すことが必要だ。

 キラーアントが大量に出てきた。ツカサとベルベネリウスは炎の魔法で周りを囲い一気に焼き尽くす。何匹かはそれを逃れて攻撃を仕掛けてくるが、アルノーが剣で叩き潰していた。

 魔物狩りというより虫退治と言った方が正しいかもしれない。

 魔法が得意なメンバーが多いのでこのエリアは前の敵よりもやり易い気がしている。

 蛾の大きい魔物が出てきた。ポイズンモスだ。羽をばたつかせ毒をまき散らしている。風の魔法で毒がこちらに来ないようにする。後は氷の刃で貫いて終わりだ。耐久力はないのであっけなく勝てた。

「うまく魔法を使えば前の敵より楽だ。」

 ツカサがフローリアに話しかける。

「魔法が有効なエリアだから、このパーティなら問題ないね。前の動物エリアの方が時間がかかったと思う。」


 少し開けたところで一休みする。

「この調子なら、今日中に洞窟を抜けれる?」

 ツカサはベルベネリウスに尋ねる。

「問題なく行けると思う。油断は禁物だけどね。」

 注意は促しつつもベルベネリウスさんの表情は明るい。みんなをここまで連れていくことができてほっとしているのだろう。

「ところで、今まで一度も他の人とすれ違ってないけど、魔族の国から人間の国にはあまり向かう人がいない?」

 魔族の国と人の国の行き来の人数はわからないが、もし行き来が盛んなら何人かすれ違ってもいいはずだ。道の順路はわかりやすいし。回り道もする必要はない。

「すれ違ってもおかしくはないが、すれ違わなくてもそこまでおかしくない。」

 ベルベネリウスさんの答えは微妙だ。どちらともいえないという事だろう。

 腰を上げ洞窟の出口目がけて進むことにする。


 先頭を歩くエレーナがかなりの数の蟻の魔物に気づく。こちらに気づいて攻撃を仕掛ける訳ではないが、その数は脅威だ。

「この大群は避けた方が無難?」

 これと戦うのは手間がかかる気がする。負けはしないだろうが、時間がかかりすぎる。

「避けるのもいいかもしれないけど、あの蟻の魔物の中心に女王蟻の魔物がいるはず。それを倒せば女王の冠が手に入る。かなりのレアアイテムだ。私一人だったら倒すね。」

 ベルベネリウスさんにそう言われれば倒すしかない。作戦を立てよう。

 蟻の魔物達に気付かれてはたまらないので、少し離れておく。

「僕が火の壁を作って蟻を追い立てるから、フローリアとエレーナはその先に深い穴を掘っておいてくれないか?」

 作戦はツカサが火の壁で蟻の魔物を追い払う。その先にある穴に落としそこに、火の魔法を撃ちこみ一気に殲滅する。

 説明は単純だがツカサがうまく蟻を追い立てる事ができるかどうかがポイントだ。穴の方に向かわせることができなければ失敗だ。

(準備はできた?)

 ツカサがフローリアに念話で聞いてみる。魔物に気付かれないために声を上げる訳にはいかない。

(よし、こっちは準備はできた。)

 フローリアの念話を皮切りにツカサは炎の壁をつくり、蟻の魔物を穴の方に向かわせる。蟻は突然の炎の壁に驚いたようで、我先に火のないと所に逃げていく。

 虫の壁が動き出すといった感じで、我先に炎から遠ざかる動きをする。

(今のところうまくいってる。)

 ツカサの誘導はいい感じだ。

(すこしづつ穴の方に来てる。)

 フローリアの念話が届く。蟻の団体の先頭の方が穴に到達しドンドン落ちて行っているようだ。落ちた蟻から先にエレーナとフローリアが燃やしていく。

 魔物討伐というより虫退治という方がぴったりくる。 

 空を飛んでいるベルベネリウスから念話が入る。

(女王蟻を見つけた。)

 これで女王蟻を倒すことができる。今までは蟻の集団の中心部に位置していたが、周りの蟻が火の壁に追い立てられて陣形を乱し女王蟻の護衛も減ってきたはずだ。

(あと少し乱れたら倒しに行く)

 ツカサは女王蟻の場所をベルベネリウスさんから教えてもらい、そこを集中して乱すように炎の壁を向かわせる。

 遠くの方でベルベネリウスさんが急降下して攻撃を仕掛けていた。きっとそのあたりに女王蟻がいるのだろう。

(倒してレアアイテムの女王の冠をとった。)

 これで後は蟻を殲滅するだけだ。穴に追い立てるスピードを上げる。大方落とし終えた。

(こちらももう少しで片付く)

 フローリアからの念話が届く。

 あれだけ森の中をひしめき合っていた蟻の大群がいなくなった。これで前に勧める。

 ベルベネリウスさんが女王の冠を見せにくる。金の冠にに小さい宝石がちりばめられている。光の当たる角度によってキラキラ光っている。思わず見入ってしまう。レアアイテムというだけの事はある。猫人族の三人も見入っている。


「あと少し行ったら最後のボスのジャイアントスパイダーだ。そこを抜ければこのダンジョンは終わり。もう少しだ。」

 ベルベネリウスさんが声をかける。

 ツカサは気合を入れなおした。






 



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