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666年物語 運命を覆すために  作者: コノハナ
第二章 仲間との交流
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第九話 お楽しみのデザート

 フィロメナさんが台所に行ってベレルの実のデザートの仕上げをしている。アインスはその様子を見てそろそろだと浮足立っているのが見える。とても楽しみにしているのだろう。

 ただ、ベレルの実のデザートを立食形式にすると問題があるので、一人分づつにして、提供する予定と聞いた。アインスがもう一つ欲しければ自分の物を渡せばいいだろう。この間食べたばっかりだし、ここは自分が遠慮してもかまわない。

 

 女性陣が手分けしてみんなにベレルの実を配りだした。一人にひとつづついきわたる。

「さあ、みんなで食べよう。」

 ツカサがそう言うとみんなが一斉に食べだす。新しく加入した四人組はあまりのおいしさに言葉を失っているようだ。レスティアさんも初めて食べたのかもしれない。にこやかにアインスと話しながら食べていた。

 そのアインスはあっという間に食べ終わり物欲しそうにしていたので、ツカサは自分の分を上げることにした。

「ありがとう、ツカサこの恩は忘れないよ。」

 ただ、ベレルの実のデザートをあげただけなのに実に大げさだ。

 みなデザートに夢中で会話が少なくなる。相当なレベルでおいしいのだろう。このデザートを開発したアリリオ君には本当に感謝したい。


 ひと段落してアインスと今後の打ち合わせをする。

「今のところこの一年間で魔族の国にいって赤黒い装置について何らかの対策をうつこと。アシュタロスに会ってはなしをすること。この二つをやっておきたいです。」

「あと半年ぐらいは動きがないから、ツカサの好きに動いていいよ。」

「それなら、少し情報を集めてから魔族の国に行ってみることにする。赤黒い装置について少し調べてみたい。」

「魔族の国とエレンシアはほとんど関りがないから、ツカサの好きに動いていいよ。事件が無ければ気にすることもなかった。」

「あまり、情報はもっていない?」

「そうだね。必要がなかったからほとんどない。」

 ベルベネリウスさんに聞いてみるのが一番だろう。いっしょに行ってもらえればいいのだけど。


 ベルベネリウスさんを目で追ってみると、お酒を飲んでいるのを見つける。

 酒類は買ってなかったはずなのにどうして飲んでいるのだろう。アネッテさんも一緒に飲んでいた。アネッテさんがもってきたのかな?

「アネッテさんお酒を持ってきた?」

「10年ほど前から作ってて、ようやく満足いくのができるようになった。今日はみんなで楽しく飲もうと思って持ってきたよ。」

「この酒はうまいな。自家製でここまでの物を作るとはやるな。魔族の国では酒作りは盛んだったからこちらに来て少し物足りなかったんだ。」

 ベルベネリウスさんが楽しむようにお酒を飲んでいる。

 フィロメナさんもお酒飲みの仲間に加わった。

「ツカサさんもお酒飲みませんか?」

 ツカサは未成年なので今までお酒を飲んだことがない。なのでここでは断っておく。

「ごめんね、お酒は飲まないんだ。フィロメナさんは気にせず飲んで。」

 フィロメナさんの所にメリッサもやってきた。魔族はお酒が好きだという事だろう。


 お酒を飲むグループと飲まないグループに分かれる。大人と子供に分かれるみたいなものだろう。いったんここでお開きにして、お酒を飲まないエレーナ達はここで終わりにした。

 ツカサは飲まないけれども最後まで付き合うことにした。主役がいなくなってはいけないだろう。

 意外にもレスティアさんもお酒を飲んでいた。

「レスティアさんがお酒を飲むとは意外です。」

「お祝い事がある時などは飲みますよ。お付き合いで飲むことが多いですね。せっかくツカサさんが帰って来たのだから、今日は飲みます。」

 レスティアさんの頬が赤らんでいる。色っぽく感じるのは気のせいではないはずだ。

 その後はとりとめもない話で夜は更けていった。親睦会という意味では成功だ。



 次の日ツカサが部屋で目を覚まし。台所に向かうとフィロメナさんが朝ご飯の準備をしていた。

「おはようございます。ツカサさん」

 明るい声であいさつがくる。一体いつ彼女は寝ているのだろうか。

「おはよう、フィロメナさん。昨日みんなは泊まってった?」

「アインス様とシレナス様、レスティアさんは帰って行かれましたよ。レスティアさんはアインス様が送っていきました。」

 アインスは忙しいから帰ったということだろう。お酒を飲んでも翌日に持ち越すタイプじゃないから大丈夫だろう。

「ツカサおはよ~。」

 眠そうな顔をしたアネッテがゲストルームから出てきた。確か一番最後までお酒を飲んでいた。軽くみんなに挨拶をしてスレイナさんを連れて自分の家に戻っていった。


 今日は午後からダンジョンに行く予定だ。エレーナ達は遅くまでパーティーにはいなかったし大丈夫なはずだ。


 冒険が終わりベルベネリウスさんに魔族の国について聞くことにする。

「近く赤黒い装置について調べたいので、魔族の国に行こうと思います。魔族の国について教えてくれませんか?」

「いいぞ。私が暮らしていた国についてなら、詳しくはなせる。」

「魔族の国は一つではないのですか?」

「主な国は二つだな。一つは私とメリッサが住んでた国ボルボレイア、もう一つはグレスリード。グレスリードは閉鎖的な国だな。国を出るのも入るのも面倒くさい。エレンシアにいる魔族のほとんどはボルボレイアから来てるはずだ。」

「魔族のグレスホルムはどちらの国にいる可能性が高い?」

「残念ながらグレスリードの方だ。見つけるのは難しいと思う。」









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