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05 信仰心のありどころ

 先輩神様達からの評価も上々になった俺は、天地創造をしつつ、俺を崇める宗教を布教したいなぁ。と本日も考えていた。


 前回は過酷な環境を与えすぎてしまったので、環境として良いものにしている。

 予言なんかで伝えられなくも無いが、俺自身が手を出して人間達を助けるにはまだ、見習いの状態だと難しい。文明を発展させて、自分達で何とか対応出来るようにしないといけない。でないと、おちおち昼寝出来ないしな。

 人類文明を発展させるためにも、物が豊かな世界にしてみた。資源等を豊富にして色々作ったり使えるようにしてみたんだ。そして、特色が出るよう地域差も作ってみた。


 国が出来上がり、自国で手に入らない物は他国で買い求める。貿易の発展である。

 俺の創った世界では馬車や船が国々を行き交い、物や金が運ばれる様になった。利害関係が一致した国は特に争うことも無い。経済の発展のためお互い商売に励み、様々な品を作る技術や知識を高め、そして売りまくる。

 流通が生まれると、国中、世界中の交通網が広がっていく。行き交うのは品物だけではない。人間だって移動する。旅や移住など、人間同士の交流が盛んになったのだ。





「うむ。今回は上手く行くな」

 人間の交流、つまり情報の行き交いが盛んになった今、俺教を布教すれば爆発的な勢いで全世界へと広がるであろう。

 それこそ貴族から奴隷、子どもに年寄りに至るまで様々な人間の耳に届き、俺という神の存在が認識させるのだ!


 また予言でも出せば、やつらは災害の恐怖に俺を支持するだろう。前回と同じようにやれば良いのだ。簡単、簡単〜!


 前回と同じく、権力者の夢に声をかけた。見習いには時間制限がある。一分程度でまとめて話さなくてはいけない。

 俺は、この文明にしては豪華なベッドで大きなイビキをかいて眠る、おっさんの夢に声をかける事とした。


「聞こえるか、我は天地創造の神である。予言を授けようぞ。五日後、この国に大きな嵐が来るであろう。木々はなぎ倒され、家は崩れ被害は甚大なものだ。我の言葉を信じ、備えるがいい。我を信じる心が、お前達を救う」


 と俺は言っておいた。

 信じてくれれば早い話しだし、ダメなら災害で死にかけて後悔しながら俺に救いを求めるといい。

 さてさて、どうなるのだろうか。朝を楽しみに世界を見守ってやろう。




 権力者の男は翌朝目を開けると、手紙を数枚したため手紙を持たせた家来を使いに出し、手紙の返事を待った。

 程なくして家来が手紙の返事を届けに帰って来ると、その後大量の立札を作らせたのだ。そこには、こう書いてあった。


 《本日より、王都であるこの街において災害が発生した場合、街に点在する地下倉庫に逃げること。尚、入場には一人銅貨三枚を必要とす。》


 ………………………………っおい!!!!

 お前ら商魂逞しすぎねぇか!!!!


 神である俺の事など一切触れられていない立札は、街中至る所に設置された。街の人間達はそれを読み、高いだのなんだの言っていたのだ。



 そして、俺の予言通り五日後、大きな嵐が訪れる。多くの街は滅茶苦茶になる被害を受け、死傷者も多いものだった。ただし、貿易大国であるこの国の王都にて、貿易の為に使用される大規模な地下倉庫に逃げ込んだ人間は別でな。


 それ以降、その権力者による地下倉庫の活用は民衆からの受けが跳ね上がった。皆、必要性を感じてしまったのは当たり前だよな。



 良いように使われ怒りに震える俺は、天災とばかりに次にくる災害を呪いだ!!と言って夢で宣言する事にした。


「貴様の行為、神の慈悲を侮辱するものである。天罰である日照りを受け、苦しみ反省するが良い!!!!」

 俺の高らかな宣言に権力者は大きく跪き、非礼を詫て俺を称える言葉を返した。


 よしよし。反省したなら、この一回程度にしておいてやるかな。

 俺は時間制限の一分を終えて、夢から出て少し気が済んだのだ。まぁ、謝ったしな。



 翌日、目が覚めると権力者の男は大量の酒なんかを買い漁った。そして、一週間もせず訪れた日照りから二ヶ月もした頃、水不足に陥った民衆に高値で酒を売りつけたのだった。



 …………………………………。

 うわっ……。



 眼下の世界を見たが、今の奴らには神なんかより今日の水を欲している。

 ここで日照りをすぐさま止めたら、神としての示しがつかないし、人間への甘さが分かって付け上がりそうだし。いや、もぅ十分付け上がってるし。えぇ……どうしよう……こういう時何すればいいんだよ………。



 とりあえず、今回も失敗した。という事は分かった俺であった。くっそ。

次回、見習いとれます。

好き勝手動けるようになってきますので、乞うご期待下さい。

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