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03 勝者による歴史改変とその繰り返し

「ふぁ〜ぁ……そんなもん造るくらいなら、俺の石像でも造ればいいのに……」



 欠伸混じりに体を伸ばし、今回の世界を眺めながら呟いた。

 うるさい先輩が目を光らせてるおかげで、お決まり文句の『段階を踏んだ文明の発展』をやらされている訳だ。


 低度文明の発達と衰退を経験し、少しづつ文明を高める事により、高度文明の種族もまとめられる力量を身につける事。

 神様見習いの俺は、見習いの字が消えるまで監督である先輩の方針で動かなくてはいけない。


 現在の文明は国というものが出来き、王族なんかを中心とした権力支配による統治だ。

 大抵の王は自分を神と名乗り、家臣を使い国民という名の奴隷をこき使っている。まぁ、国民の反発心を減らすため、さらに人身売買とそこからの奴隷制度が底辺を支えているんだけど。


 王は自分の偉大さを知らしめるため、巨大な城や墓などを建築させている。

 いやぁ、色々な環境を与えてみても、人間という種族は代わり映えのない事をしているなぁ。


 神様はここに居るのに。と思っても、俺の存在を主張する権限は見習いの俺には無い。

 天啓やら聖痕やら天罰としての天災やら、直接的に神の存在を伝える術は、見習いが取れてやっと使える。しかも最初のうちは乱発するほどの力もない。


 見習いのうちに手が出せるのは天地創造だけと言えるだろう。氷河期や温暖化、プレートの進み具合なども最初のうちに周期を決めてしまっているから、後は放置して中の生き物がどうなっていくのか観察するだけだ。

 危機的な状況だったり、本当に必要になった場合は先輩神様に相談を仰ぎ、世界に干渉して貰う。

 見習いという立場は、あれこれ独断も実行もできずつまらん期間である。




「お〜、完成完成」

 ぼんやり眺めていると王家の墓が出来ていた。

 古代文明資料で見た事があったような、四角錐の建造物が並んでいる。ここは砂漠地帯ではない平野のため、資料の様な石材ではない。レンガの様な土を焼き固めた物を積み重ねている。レンガには墓の主を讃える言葉と生涯を綴った物語が絵と共に彫り込まれており、脚色が付きすぎて膨大な文量になっていた。

「いやぁ、俺もこれくらい崇められたら楽しいんだけどなぁ」


 好き勝手出来ない世界の観察もつまらなくて、俺は時間の速度を早め始めた。

 すぐに奴隷の反乱が起こった。瞬時に政権が代わり、民主の決起人達を中心とした国となりだしたのだ。

 王家の神殿に乗り込み、王族を殺し様々な物を燃やし、壊し尽くす。

 先程完成した王家の墓は、既に民に荒らさている。表面の物語は削られ読み取れず、所々陥没した外壁から侵入し、中の宝物や装飾を剥ぎ取り栄光の輝きは数秒も持たなかった。


 少し様子を見るため、速度を落としたが、百年もしないうちにその新国家の上層部は腐敗し、親族で固めた政治は民の反感を買っている。

 そして、奴隷にまで身分を落とされた王族の生き残りも民と一緒に反乱に加わった。

 あの墓は植物が生い茂り無惨な廃墟と化している。新国家の建設中の城も、すぐに同じようになるだろう。

  まだしばらく、同じ事が続きそうだ。

「学ばねぇなぁ。早く発展してくれないと見習い期間が終わらないんだが……」


 興味が無くなった俺は、時間を早めて欠伸をした。

 あーあ。早く自由に遊びたい。とりあえず美少女だらけの世界を創りたい。

もうすこし、見習い期間になります。

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