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25 おまけ 先輩の好み

 頭にじーんっと痛みを感じつつ、俺はEnterを押していた。


「………この馬鹿は……本当に完成させるなんて……」



 先輩は俺を殴った拳をさすりながら呟いた。

 んだよ、自分の事棚に上げといて。そんな風に言ってるなら、こっちに引き込んでやるか……。

 俺は痛む頭を左手で触りながら、むすっとした顔から口元をニヤリと上げた。


「ちなみに俺の推測ですけど、先輩の好きそうな子はですね〜。おっとり癒し系っすね。外見的特徴はタレ目、軽いウェーブのかかった髪質、体型は普通〜少々肉付きが良い。胸や尻は極端なサイズではなくて、体型に合っていれば良し……あとー………」


 と、俺はチラチラ先輩を見てやる。段々と先輩がそわそわしている。そして、

「んん……ゴホンッ………バグやミスが無いか人物データの確認作業は手伝ってやろう」

 目が泳ぎながらそう言った。

「まいどあり〜っおぅっ!?」

 また殴られた。このムッツリめ。


 まぁいい。ただ美少女を沢山作ってる訳でも無いのだ。ちゃんと生殖器官を変えてみたりしてるんで、生物的にはちょっとは意味のある世界だ。ハーレムの素晴らしさは俺が味わうので分からせてやらんが、美少女の体について詳細解説をすれば、少しはこの世界の意義を感じるだろう。




 と、いう訳で先輩には例のおっとり癒し系データ、数種のサンプルを渡しておいた。俺の隣で確認作業をしている。おいおい、これはバックアップの為。みてぇな顔してコピー取ってんじゃねぇよ。

 まぁ、これで先輩も共犯である。この世界の実験を黙認してしまった以上、俺がこれから好き勝手しようが別にいいだろう。


「……ちなみに他には、どんなものがあるんだ?」

 おっ乗ってきてる。

「そりゃ〜、俺の好きな感じっすよ。巨乳から貧乳、髪質長さ、肉の付きようも、よりどりみどりで。デブ専ではないから肉付きの良過ぎるのはいませんけど。標準的な範囲なら完全網羅。ケモミミ、翼や人魚みたいな要素もあるし……あ!服は俺がそのうち天啓で色んな服を流行らせるようにしますんで、これからっすね。まずは簡単な構造の服が良いのかなぁ。俺としてはセーラー服、和服、メイド服、水着、ナース……制服物は、職業あっての方が映えると思うんすよ。まずはその職業確立してから制服広めた方が良いっすよね?」


 先輩は俺の方に来て他のデータを確認に来た。見れば、呆気にとられた顔をしている。この熱心さと愛情に恐れいっただろう。

「確かに節操なく………と思ったが、お前はあれだな。ロリコンだな。渡されたデータも少女ばかりだなと思っていたが、全部そうなのか……」

「失礼っすね。俺の心はいつまでも青春なんすよ」



 なんか、このまま俺の性癖の話に進むと、犯罪者予備軍の疑惑をかけられそうなので流しておいた。まぁ、いい。これから思う存分、むこうの世界で愉しめるのだから。ぐふふふふっ。

全然愉しめなかったけどな!


なお、先輩が主人公のデータに食いつくには訳があります。

主人公は本当に『創る』には長けているからです。


先輩は文明への知識や流れをつかむのが上手く、歴史を誘導させて舵をきるのが得意です。

なので、得意な天地創造は文明の再現、検証、もしこの文明のこの時代にこの事件が起こらなかったら?等のifの可能性を探る事です。


代わって主人公は星や環境から動植物、人間など、創造するものを調節する事に優れています。

大きなものだと天体の軌道や世界の温暖・氷河の周期。小さいものだと動植物、人間などの外見から能力値の細かな微調整までを行う事ができます。

得意な天地創造は、様々な環境下での生物の進化、新種の生物の創造、突然変異の可能性を探る事です。


先輩は権力者に女性を産ませ、クレオパトラの様に世界に強い影響を残すよう仕立て上げ、クレオパトラと同じ歴史を歩ませる事ができますが、記録や伝承にある才能豊かな絶世の美女の再現は出来ません。


主人公は伝承の通りのクレオパトラそっくりの美女と、彼女が持つであろう能力を調節して備える事ができますが、史実を歩ませる為に、絶妙なタイミングで知恵を与えたり思想を動かしたりなどは上手くできません。


コンビで動けばとても良さそうな2人なんですが、残念ながら主人公は真面目に世界の可能性の発見とかする気は無いです。


次回26話更新は

5月2日(土)深夜0時頃更新。

本編最終回は27話。

あと少し、馬鹿な神様に付き合って頂けると幸いです。その後続く番外も面白いから。


主人公、男子定番の憧れをやる。

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