サンタさん
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
サンタさんです。
私はこの寒い中サンタ服です。ダウンコートの着用すら認められずに、サンタ服を義務づけられてます。
ではなく、みんなへのプレゼントを配達中です。
寒いです。
でも私の事なんか信じてないんでしょ、現生頼んでんでしょ。
サンタさんは親なんでしょ?
そんな夢の無い奴らの所になんか行かない。
行く訳がない。
間違いなく。
じゃあどんな子の所なら行くかって?
それは、しっかり信じてくれて尚且つ、ノットサンタ派の奴らにも屈せず、サンタはフィンランドに居るとか言ってくれるような素直な子の所に行く。
サンタさんに会うって言って、普段そんな時間まで起きた事無いのに、クリスマスイブの日だけは起きるけど、結局寝てしまう様なそんな子が良い。
お菓子と手紙を置いといてくれるとサンタさんやってて良かったと思う。
だからノットサンタ派にプレゼント配る時間割くくらいなら、信じてくれる子に配るに決まってる。
「ニコさん、次が最後です」
「うん、了解」
私、銃先ニコって言います。
ツツサキですよ。
サンタさんですよ。
先祖が狩猟する人だったみたいです。
因みにこの人は、直喜多 徒運。
なおきた とうんっていうんですよ。
珍しいですよね。
かっこいいですよね。
当り前ですよ、だって私が名付けたのだから。
話は変わりますが、私たちはプレゼントの中身を知りません。
その子の家に入ると、その子の欲しい物がこの白い袋に出てきます。
それをその場でラッピングして、枕元に置いて帰るんです。
質量保存? 何の事かさっぱりです。
「最後のプレゼントは何でしょう? 私、気になります!」
「そうですねぇ、気になりはしますが、ツッコミませんよ」
「冷たい人ですねぇ、でも安心してください。カモフラージュされますよ、この低い気温で」
「されませんし、僕は人じゃありません」
「知ってますよ、トナカイさんでしょ直喜多さん」
「トナカイでいいです、というかトナカイが良いです」
「折角私が手懐け名付けたのに、それは酷いと思います。この人でなし」
「だから人ではありません」
「あら、そういえばそうでしたね」
「ほら、着きますよ」
「あの煙突の家ですか? 久しぶりの煙突ですねぇ」
煙突は煤が付くのであまり好きませんが、まぁ良いでしょう、最後だし。
そしたら先ずは下調べ、煙突から直喜……いえ、コインを落とします。
音がしなければ煤があり、清掃されていないことが分かります。
まだ起きてるということです。
コインの音がすれば大体は寝ています。
窓からなら袋を一旦入れてから、プレゼントを取り出せば済む話ですが。
一応これも仕事ですからね、仕方ありません。
「ていっ」
耳を澄まします。
「んー、お。音しましたよニコさん……て、何ですかその笑顔は」
「ていっ」
「ちょ、あぶっ、うあぁぁぁぁぁ!」
「おっと。体が全体的に滑りましたぁ。あ、そのまま動かないでください」
「え?」
「とおーっ」
「グフォアッ」
「スイマセーン」
「ニコさん、踏みつけた事は許しましょう、何時もの事で慣れましたし。ですが今、不意に動物落としたんですよ! 何時もは梯子で降りてるのに、受け身取れませんでしたよ! あの団体に訴えられても知らないですし、僕は団体側に付きます」
「ねぇ直喜多さん、まだ気付かないんですか?」
「え……まさか」
「えぇ、オトシマシタ」
「…………ニコさん、まさかこのうすら寒いダジャレの為に」
「大丈夫です、カモフラージュされます」
「されないですよ! それよりニコさん、太りました?」
「仕返しのつもりですか? でも、今日は増えてなかったはずですけど……」
「あ、プレゼント、出てきてますよ」
「え? 軽くて全然気付かなかった」
「あぁ、プレゼント分が増えてたんですね。納得」
「直喜多さん。その程度の重量変動は感知しないで下さい」
そのプレゼントは、暖かそうな赤色の手袋だった。
「手紙が置いてありました。お菓子まであります」
「何々、何て」
『サンタさんへ、いつもくばってばかりのサンタさん。だから私がサンタさんのプレゼントをたのみます。サンタさん自分のプレゼントかったことないでしょ。だから私が決めました。赤色のあたたかいてぶくろをください。たいせつにしてください』
「感動的ですね。僕の分が無くても良い位感動的です」
「この子こそ、求めていた素直な子って感じ」
「えぇ、僕惚れそうです」
「うーん。プレゼントは受け取るけど、サンタさんが来たのに、こんな良い子にプレゼントしない訳にもいかないし」
「じゃあどうするんですか」
「わからないから、現生置いておきましょう」
「夢が無いなぁ~、本当にサンタですか?」
「嘘ですうーそ。手紙を置いておきます」
「お、それなら良いんじゃないですか、銃先ニコというサンタを知らない子にとっては嬉しいと思いますよ」
「自分で言うのも変だけど、不細工ではないと思う」
「尚更です」
信じる事は良い事です。
昔、私はずっとサンタさんが居るって信じていました。
ノットサンタ派の奴らにも、負けじと反論していましたし。
そんな子供だった私の夢は、サンタさんの一点張りでした。
そしたら、サンタさんになっていました。
きっと信じていれば、叶うのです。
『おかあさーん、サンタさんが来たー!』
〈メリークリスマス byサンタ〉
投稿日的に今更ですよね。